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2010,07,28, Wednesday
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皆さん、こんばんは。早速ですが今日はとても良い事がありましたのでご報告させて下さい。昨日「管球王国」の最新号が会社に届きパラパラとページをめくっていると実に久々、キット製作のコーナが復活しているではありませんか。私どもも嘗てSV-4,SV-91B,SV-310と3機種の誌上製作のお手伝いをさせて頂きましたが、いつしかキット製作のページが消え相当の年月が経過しました。以前から事あるごとに「是非またキットのページを復活させて下さい。お待ちの読者さんも多いと思いますよ」と申し上げてきたのですが、当然のことながら私どもの声は届かず企画自体が潰えてしまったのだと思っていたのです。
それが今回、堂々の復活!そして復活第一号は地元名古屋の小坂井電子さんではないですか。メーカ企画の製品でなく店舗開発型製品というところもマニアックな感じで好きです。また出力管が6B4G(6.3VヒータでUS8ピンソケットの傍熱2A3と言うと分かりやすいでしょうか)というのが渋い。久々の登板はストライクゾーンぎりぎりのカーブ!でバッターをのけぞらせた、という感じで或る意味"球王"らしいなあと勝手に思っていました。 それが今日、電話で次(10月下旬発売号)は私どもの製品で出来ないかとオファを頂いたのです。機種は何が良いですか・・・ということになり結果的に決まったのが巨艦SV-2(2007)。もう何の説明も必要ありませんね。実は10年以上前の初代モデル発売直後から雑誌社に対してこちらからもSV-2シリーズの製作記事をやって頂けないかと何度となくお願いはして来たのです。ところがどこの媒体も一様に「1000V近い高圧のアンプですからねえ、ちょっと・・・」みたいな感じで余り相手にしてもらえませんでした。恐らく世界的にも現在845のキットを販売しているのは私どもだけだろうと思いますし、市場では非常にロングランの製品として認知も頂けているにもかかわらず、です。 そんな事もあって私も何時か845アンプの製作記事は無理なんだ・・・と勝手に諦めていた部分があったかもしれません。今日そんなお申し出を頂き、改めて3年前のSV-2(2007)の発売直後のフィーバーを思い出しながら「このアンプは電源部,高圧部は組立済,動作試験済なのです。お客さまにやって頂くのは6SN7(2本),300B(2本)が載る電圧増幅段の基板製作と渡り配線中心で超重たいトランスや何か取り付けが面倒なターミナル類も全部実装されているのです」と熱く語ってみました。考えてみたら2007ver.になってから何処にもこんなオファをしていなかった訳で改めて自分の不明を恥じた訳ですが、直ぐ先方から連絡を頂いて即決・・・あっけないほどでした。組立取材はお盆明け直ぐ。今回は有園氏を連れて上京しようかなあと思っています。 キットというには余りに大規模なSV-2(2007)。確かに手軽に試すには少し勇気が要る製品思えるかもしれませんが、今回の取材を通じて実は半日で出来てしまう手軽さと調整なども必要ない高い完成度の製品であることが改めてお伝え出来るのではないかと思っています。取材の日が大変待ち遠しいです。 次に出荷がほぼ完了したスタントン500についてお知らせがあります。既に「良い音で鳴っています」という沢山のご連絡を頂いておりますが、その一方で「右チャンネルから音が出ません」というご連絡を複数のお客さまからお預かりしています。現物を確認しませんと何とも申し上げられない状態ですがシェルとカートリッジの予備接続が一部間違った状態で出荷されている可能性があるようです。元々シェルについた状態で入荷したため、個別に接続状況まで確認せずに発送してしまいましたが、取り急ぎ直ぐ連絡のつく方に電話して「こんなお話があるんだけどどう?」と訊くと「私は問題なかったですけど」という方もおられるので、ロットアウトではなさそうです。ただ今回のご指摘は一例ではありませんので、少なくとも一定の割合以上は同様の状態で発送されているのではないかと私は踏んでいます。 現在スタッフに最優先で現状把握すると同時に、正しくはどう接続されているべきかを図示してご下命いただいた全員の方に連絡するように指示を出しました。今「あれ?」と思われている方、未だ繋げてないけど・・・という方は大変ご不便をお掛け致しますが、暫くこのまま待機いただいて当社からの連絡をお待ち下さい。必ず明日中にはご連絡させて頂きますので。大変ご迷惑とご心配をお掛けし申し訳ありません。 私は明日、佐藤氏と一緒に名古屋駅前のミッドランドスクエアでオーディオセミナーをやるために終日外出しますが、本件に関しましてはtechnical@sunvalley-e.co.jpを窓口として有園が担当させて頂きますので、ご不明の点などありましたら何時でもご連絡いただきますよう、宜しくお願い致します。 |
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2010,07,27, Tuesday
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皆さん、こんばんは。いま日記を書こうとして管理者用の画面を開けたら「記事ID:3000」の文字が目に飛び込んで来ました。3000・・・つまり今書いているこれがキット屋HP開設以来ちょうど3000回目の店主日記ということになります。今を遡ること9年前・・・まだブログなんて言葉も一般的ではなかった2002年5月31日から飽きもせず日々これを日課として続けて参りました。皆さんからは「よくやるねえ」と言われることもありますが、私としては誰に言われてやる訳でもなく、気がつくと自然とPCに向かうのが当たり前になっていた・・・というのが実感です。
不思議と書く事は毎日あるものです。これが「面倒くさいなあ」とか逆に「格好良い事を書いてやろう」だとか思ってやっていたらとうの昔に頓挫していたに違いありません。毎日の雑感を文字通り日記として自分を偽らずに書いてきたからこそ続けられた訳ですが、日々の日記を読んた皆さんから色々なご意見やご感想を頂けるから自然に「さあ、今日も書くか!」という気持ちになれたのだと思います。時々有り体に思ったままの事を書いて上司から大目玉を喰らった事も一度や二度ではありませんが(笑)、これだけは仕事であって仕事でない、私の聖域として守って行きたいと思います。いつか私がキット屋を引退した時、この日記の価値や重みが自分にとって如何ほどのものであるかに初めて気付くのかもしれません。 早速ですが今日はソナスのSPが試聴室に仲間入りした記念すべき日。今のところ正式導入ではなく自分なりに検討した結果、この2機種はデモ機として置いても良いのではないか・・・という事で輸入元のご厚意でお借りしたものです。 その2機種とは・・・ ![]() これが今日のセッティング状態。 ![]() 一つはminima vintage(ミニマ・ヴィンテージ)。 ![]() そしてもう一つがcremona M(クレモナM)です。 今から10年ちょっと前ですが私もソナスの「コンチェルト・グランド・ピアノ」というモデルを自宅で使っていたことがありますし、ソナスのSPは真空管アンプと一緒にお使いのお客さまもとても多く、何時かは・・・という想いがずっとありました。まだ本決まりではありませんが、今日試聴室でソナスの優美で艶やかな音を聴いて格別の感動がありました。 SPにも国民性(?)があるという話はお聞きになったことがありますでしょうか。個人的にSPづくりが一番手馴れているのはイギリスだと常々思っています。対してイタリアのSPは低域に特徴があり、やや印象派的なデフォルメがあります。高域は尖鋭的に過ぎず円やかで主張し過ぎることがなく、イタリアのSPを聴いた後にイギリスのSPを聴くと生真面目で端整な音に感じます。因みに日本のSPは欧州産のそれと比べると高域が優勢で繊細ではあるものの写実的で個性に乏しい、ということになりましょうか。いずれにしてもこれだけ雄弁で"唄う"SPはイタリアならではです。 またソナスというとクラシック一辺倒と考えている方も多いかもしれませんが、どうしてどうして・・・特にクレモナの深く沈む締まった低域はジャズにもバッチリです。「ザ・低音」CD"ブライアン・ブロンバーグの「WOOD」 ミニマは普通のアンプで丸っこく鳴らすことは簡単ですが、このSPの個性を活かすにはSV-2(2007)が最も好印象でした。因みにSV-9Tseも非常に良かったです。サブシステムと呼ぶには贅沢過ぎるSPかもしれませんが、こんなSPと真空管アンプがリビングにあっただけで、どれだけ豊かな気持ちになれるだろう・・・そう思わせられるようなソナス・ファベール。これがあるだけで試聴室の雰囲気までソナス色に染め上げてしまう、そんな魅力を満喫した一日でした。 |
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2010,07,26, Monday
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皆さん、こんばんは。大変お待たせしました!スタントン500(B)ただいまアップしました(20:40)。
・・・再び失礼します。スタントンですがアップ後約8時間が経過し約75%のご注文が決まっているようです。このまま行くと明日のAM中にも完売になってしまうかもしれません。今のところ追加調達出来るという情報は入っておりませんので所謂一発モノの可能性大ですが、大変使いやすいカートリッジで且つ音も良いので「これからアナログやってみよう」という方だけでなくMC一辺倒だった方にMMの良さを知って頂く良い素材でもあると考えています。いずれにせよ少々お急ぎになった方が良いかもしれません。 ところで今日の大阪納品。結果的にはノープロブレムでお納め出来たのでホッとしているところですが、最初のご提案から今日の納品までの一連の作業を通じ、真空管アンプの良さどころか存在そのものをよく知らない方々に対して、どうやってこの魅力をお伝えすれば良いのかという点に於いて少なからず今まで味わった事のない葛藤がありました。途中ボタンの掛け違いがあってお叱りを頂いたりもしましたが最終的には先さまのご理解を頂戴することが出来て無事納品させて頂くことが出来たことを大変喜んでいます。 その一方で日頃わたし達が如何に皆さんの知識や理解に助けられてこの仕事をさせて頂いているかを改めて痛感しました。多くを語らずとも製品に対する理解と日頃から培っているお互いの信頼関係が大きいのは間違いありませんが、逆に言えば「サンバレー?真空管?何それ?」というお客さまに私どもの製品の何たるかを理解頂く事の難しさは並大抵のことではない、という現実を突きつけられたような気もしています。今後真空管アンプを多くのお客さまに知って頂き、使って頂く為に私どもがどうアプローチし、何をすべきかを改めて原点に帰って真剣に考えなければいけません。その点では今回の商売は私の中で忘れられないものになりました。「分かってる人が買ってるんだから」はもう通用しないという事です。 明日、N響さんの機関誌「フィルハーモニー」向けの広告撮影があります。今日時間がなくて実機を拝むことが出来ませんでしたが、会社からの連絡では無事ソナスのSPも届いたようですので、久しぶりにこの音を聴いて改めて自分の中でこのイタリアのまさに楽器的なSPの魅力がどこにあり、私どものアンプでどう鳴らすべきかを考えてみようと思っています。 音楽ファンとオーディオファン。目指すところは同じ筈なのに別の島の住人のような間柄であるのが不思議でならない訳ですが、今日の大阪のお客さまのように時間は掛かっても最終的には「良い音だね」と仰って頂ける為に、私どもが何をどう訴求したら良いのかを改めてよく考えてみたいと思っています。 写真を撮るとき、被写体から離れすぎると何を際立たせたいかが分かり難くなる・・・近づきすぎると全体が見えなくなる・・・この難しさ。どの角度からどの程度の距離で私どもの製品を切り取ったらよく分かって頂けるのだろう?恐らく業界全体に共通するこの問題をしっかり考えてみたいと思います。知らない人に全部を理解頂く必要はない、先ず興味を持って頂けるかどうか・・・「あ、素敵だな」とか「良い音しそうだな」という感覚を持って頂けることを最初の目標にして良いのではないかと何となく思っているところです。 |
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2010,07,25, Sunday
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皆さん、こんばんは。今日も暑かったですね。いかがお過ごしでしょうか。今日とてもショックな出来事が・・・。先日WE10D(1920年代のマグネチックSP)を買ったと報告申し上げましたが、荷主であるロス在住の友人から輸送途中のトラブルで今日品物が戻ってきた、と連絡があったのです。混載のコンテナの中で荷崩れが起こり10Dの入った箱そのものが潰れてしまった模様。折角VeryGoodコンディションの10Dが手に入る!と喜んでいたのに残念無念です。また時間を掛けて探せば良いようなものですが今回失われた10Dは二度と使われる事はない訳ですし、今から80年以上前の・・・云わば文化遺産のようなものですので単に壊れた、捨てたという問題ではないような気がします。この手のモノは所有するというよりも一時預かる的な感覚で使う必要があると常々思っています。皆さんの中でもWEのアンプやSPを使っている方もおられると思いますが、単なる耐久消費財を超えた価値があることを再認識いただき大切に使って頂きたいと思います。
よく「このハイファイの時代にWEのアンプやSPがもてはやされるのでしょうか。単なる骨董趣味にしか思えませんが」というようなご質問を頂きます。これには使う人それぞれの回答があると思いますが、私の場合は自分の嗜好の揺らぎを楽しんでいるようなところが多々あります。何でもそうですが、どんなに優れているものや気に入っているものでも食傷気味になることがあります。幾ら麺好きでも毎日同じパスタばかり食べていてはきっと飽きるでしょうし食べる感動も薄らぐに違いありませんし、Tシャツを着慣れているからこそシルクの肌触りの素晴らしさも分かろうというもの。私はオートグラフで聴く音楽を勿論愛していますし充分に満足している訳ですが、時々WEやALTECのフルレンジを聴くことでその素晴らしさを再認識すると共に改めてオートグラフの魅力に気付く・・・その行ったり来たりを楽しんでいるところが多々あるのです。 つい先日、ショールームにWE755Aが来ました。東京のK林さんが貸して下さったものですが、そのお知らせをこの日記でして以来、多くの方がこの名器の音を体験しにいらっしゃいました。その方々の多くが非常に大掛かりなシステムをお持ちであったり、現代のハイエンドシステム愛好家の方でいらっしゃった訳ですが一様に755Aの音を聴いて「なんて自然なんでしょう」,「これ以上何が要りましょう」と口々に仰います。勿論立派な自分のリファレンスシステムを持たれたうえで時々755Aの音も楽しみたい、というのは非常に贅沢なお話ですが、必ずしも大規模であったり高価であったり最新鋭であったからと言ってオーディオというのは一つで全てを網羅出来る訳ではないという裏付けでもあります。 かの五味康祐氏はこう言いました。「あのほそい針先で、そのフォルテを拾おうというのもどだい無理な話である」と。この短い文章にオーディオの深遠さが全て集約されているような気がしてなりません。完全でないからこその美、とでも言いましょうか。オーディオという趣味はある意味箱庭的です。強いていえば盆栽に似ているかもしれません。何百年も風雪に耐えてきた巨木の佇まいを一つの鉢の上で再現しようという感覚。茶室の美学にも通じるような日本人ならではの色即是空の小宇宙。私が10Dや755Aにシンパシーを感じるには、こういう削ぎ落とされた美意識とも大いに関係がありそうです。 皆さんのなかにも「やはりフルレンジSPでは低域や高域の再生に限界があるでしょうか」というご相談を頂くこともしばしばです。結論から言えばその通り・・・もっと言えば当たり前の話です。でも低域がズドーンと鳴って高域がチンチンいうのが優れたオーディオでない事はオーディオを長くやってきた人ほどよくご存じの筈。むしろ或る抑制された(制限された)なかで如何に良い音楽を楽しむか、というテーマにこそオーディオファンの業(ごう)と魅力があるに違いありません。 何百万のシステムでも味わえないハッとするほどの感動や鮮度を時に聴かせるフルレンジ。この振れ幅を大いに楽しむことこそがオーディオという素晴らしい趣味を長く楽しむ大きな秘訣ということにもなるでしょう。つまりオーディオにおける「最高」は決して一つではないということです。高いものが優れている、新しいものが優れている・・・そんな教条的で堅苦しいオーディオでなく「これも最高」という開かれた気持ちで楽しめるオーディオマインドが早く戻って来て欲しいものです。その為に私どもも早く同軸10インチ2ウェイを完成させて、次のテーマである8インチフルレンジに挑戦したいと思っています。 今日は私の手許からスルッとすり抜けて行ってしまった10Dの音に思いを馳せながらそんな事を考えていました。 明日は朝5時半に家を出て佐藤氏と一緒に大阪へ据付に出かけます。市内でも屈指の高級中華のVIP用個室でタンノイDC8-Tを中核としたシステムがどう鳴るか、とても楽しみ。そして会社に戻る頃には試聴室にソナス・ファベールのミニマとクレモナの試聴機が我々を待っていることでしょう。新たなリファレンスSPとして導入するか否かを真剣に検討したいと思っています。これも私たちの新たな本命の"振れ幅"の一つという事になるかもしれません。 |



