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招福アンプ
 皆さん、こんばんは。今日は所用が長引き、外出先でWi-Fiでネットに繋いで携帯電話で時報を聞きながらTL3Nブラックをアップするという綱渡りをやったのですが、幸い上手く行って良かった!・・・と思ったら1分で蒸発。相変わらず皆さん凄いパワーですね!

 早速ですが、今日は皆さんにちょっと面白いモノをお見せしたいと思います。この先どうなるか全く分からない100%評価のための試作機とでも申し上げておきます。





キット屋のお客さんであればこの写真をみてピンと来る方も多い筈です。ご存じ"WE91A"をベンチマークにしていることは姿かたちからも明らか。ただこの手のレプリカものは既に色々ありますが、オリジナル通り純鉄コアの出力トランスを採用したり当時のパーツに代用になるものが調達出来ないものは自分で作って用意するなど、本当の意味でのWEサウンドに拘ったものは多いとは言えません。

 元々フォトセル出力を受けるシアターユースのアンプで裸ゲイン100dB近いオリジナルを現代のコンシューマユースに適合させるためゲインを30dB以下に抑えたり、若干音調を整えたりというモディファイが施されていますが、拙宅のオートグラフが今まで聴いたことのない音で鳴っています。

 ひとことで言えば音が濃く、太い。今まではVP-2500SEで冴え冴えとした高域の繊細感を楽しんで来た訳ですがパワーをこの91Atypeに替えただけで、ガッチリとした骨格感が現れて特に低域の締まりが全然違うのに驚きます。これが鉄コアの音か・・・一説には鉄コアではインダクタンスが取れずにオーディオユースでは使い物にならないというお話もありましたが、実際作ってみて何の問題もないことが今日確認できたと感じています。

 無論気になる点が皆無という訳ではありませんが、回路図を見ながら色々対策を考えています。もう深夜ですがかなり大きめの音でLPをずっと聴いていますが、今まで以上に"主張する"オートグラフを前にして楽しんでいるところ。

 先ほど玄関先で大声を出して"鬼は外、福は内"をやってお隣さんはひょっとしてビックリしたかもしれませんが、このアンプが何時か私どもの"福"アンプになってくれれば良いな、と思った今日でした。

皆さんのメールから
 皆さん、こんばんは。今日は所用で三重に行ったのですが、10時ごろから急に雪が降って積り出し、スタッドレスだから大丈夫だろうとタカを括っていたのが大甘で帰ってくるのにかなり難儀しました。昨日、新潟のお客さんとお話していたら2m以上の積雪量ということで"もう完全にお手上げですよ。掻いても掻いても次から次へと降ってくるんですから。お湯の雨が降る夢を見るんですよねぇ・・・自分の家の屋根や庭に積っている雪がさーっと融けていくんです。ああ、よかったと思って目が覚めると自分の背より高く積っている雪が見えて・・・ああ夢だったんだ、ってこの気持ちはなかなか分からんでしょうね"と仰っていましたが、自然の前では人間がいかに無力であるかを思い知らされました。たった1時間の間に10cm積っただけで道が道としての機能を失ってしまう訳ですから。早く春になって欲しいものです。

 今日も皆さんからの嬉しい"届きました"、"出来ました"メールが沢山届いています。まずはLM755Aをお求め下さったH田さん。

このユニットは全く気むずかしいところが無いですね。

録音の善し悪しがはっきり分かります。
かといって録音の良くないディスクもひどい音にはなりません。
最もうれしいのは、名演、名唱がより上手に聞こえること。

「演奏のテンポがゆっくりに聞こえる」感じもあります。

そういえば、(音は違いますが)ダイアトーンP610を初めて鳴
らしたときにもこれに近い感じがしました。

本物は聞いたことが有りませんが、ウエスタンのユニットって
設計や製造にものすごく手間暇がかかってるんでしょうね。

第一印象はすばらしいです。


H田さんは確かWE指定箱にLM755Aを入れておられたと記憶しています。ランドセルに入れた時よりもやや寛いだ感じが出るんですね。この前も箱によって変幻自在のユニットであることを書いたばかりですが、もう一方の定番であるランドセルでLM755Aを聴かれているA木さんからは

昨日、LM755A+ランドセルいただきありがとうございました。

早速、今朝からダイナコマークIII+ダイナコPASで聴いていますが、
もうエージング済んだような音です。

しっかりした中低域に支えられた気持ち良い高域で、密度のある音で、
本当にジューシーになっています。

これだけ小さい密閉箱からは想像できない、空間表現を体験しています。
正に、スピーカが消えて、ONステージです。
ホリーコール、美空ひばり、伊藤君子・・まで聴きましたが、これから聴き
こむほどどのようになっていくか、そら恐ろしいほどです。

スピーカの潜在能力が高いので、余程力のアンプでないとアンプが負けて、
本領が発揮されないような気がします。

WE755Aは非常なに正確な音であると同時に音楽表現が抜群ときいて
いましたが、このLM775Aはその再来だと思います。
大橋様に感謝と同時に、素晴らしいランドセルを手作りしていだいた小野寺さまの
ご苦労とクラフトマンシップに、本当にお礼を言いたいです。

昨今、値段ばか高くてよいものが少ない中、本物をこんなに安く提供していただき
ありがとうございました。


A木さんは確かオリジナルWE755Aの音を試聴室で聴かれ、更にLM755A入りランドセルを試聴されたうえでご購入を決められた方。エンクロージャの選択だけでなくセッティングにも極めてクリティカルに反応するユニットですので、既にLM755Aをお使いの皆さんも時々SPの間隔や高さなどを変えてみて出音の違いをお確かめ頂ければと思います。ランドセルの場合はやや低めのスタンドの方が低音のバランスがいいようです。40cm程度が一番お奨めかも。

 次はアンプ関連です。まず最初はSV-8800SEキットを一ヶ月掛かりで組み上げられたMさんです。

こんばんは。SV-8800SE完成しました。
大橋さんから慌てず騒がず工程毎に必ずマニュアルと対比してハンダ部分の引張り
確認をしていけば必ず出来ます、の言葉を呪文のように何度も唱えながら毎日
仕事帰りの1時間ぐらいを使って楽しみながら組み立ててきました。完成までは
アンプの部品が広がっている工作室は家人も立ち入り禁止(爆)。そのお陰で家に
帰ってすぐに臨戦態勢が整って時間がムダにならず充実した一ヶ月でした。

一番大変だった(作りがいがあった)のはCRパーツをヤグラに取り付ける部分でした。
せっかく作るのですから美しく仕上げたいという思いもあったのでパーツの高さや
リードの曲げ方にもかなり配慮しましたし、大橋さんがこの前言っていたアンプ
づくりのレベルは機構部品の取付を見れば分かる、という話を思い出してボックス
ドライバーでキッチリ締めこむだけでなくネジロック材もつけて完璧を期しました。

電圧も誤差範囲。バイアス調整も完了してケーブルをつないで音出しします。
スピーカーは20年近く使っているJBLエベレストですが、今までのカウンター
ポイントだと薄く感じていた中域の厚みが増しただけではなくてホーンロードが
しっかりかかって音が張り出す感じが全く違うことがすぐ分かりました。ツィーター
の帯域も実体感があって実に濃密な音です。公表値は130キロヘルツ(これでも
十分すごいんですが)だけど実測値200キロヘルツ以上というのはこの巨大な
トランスの力だと思いますが、とてもジューシーな音でとても満足しています。

今までエベレストを使っているというと「うまく鳴らないでしょう」と言うし実際つながりの
良い音を出すのは難しいスピーカーですが、SV-8800SEで初めてその真価が発揮
できたのではないかと思っています。値段は高かったですが、それ以上の感動
と自分の音に対しても自信を持つことが出来ました。大切に使わせて頂きます。
 

とのことでした。次にTU-870Rウインズスペシャルを組立らえれたS口さんです。S口さんは現在闘病中ですが何事に対しても非常に前向きで、日々のメールでも此方がパワーをいただくことの方が多い大変エネルギッシュな方。そんなS口さんからは

左手の痺れが進む中、左は、親指と人差し指で、ピンセットをつかみ 右手を中心
ですが、作成が完了しました。

幼い時は別として、”870”で、手造りを再起動し、”870R”で、終了という感じになった、
思いで深いモノとなりました。昨晩は、気持ちの良い疲れで、久しぶりに熟睡することが
できました。

樽プレートが 自慢そうに 話しかけてきます。
ありがとうございました




とメールをいただきました。実はTU-870Rの追加販売を求める方がかなりいらっしゃって村瀬さんに樽パネルの準備が出来るか訊いたところ、2月末ならOKということですので近々追加販売させて頂くことになりそうです。S口さんが書かれているようにパネル一枚で雰囲気・・・というより伝わってくる温かみまで違って感じるから不思議ですね。
 今日のAmp Base ver.2も2分で完売、同リアパネルは池田さんと話し合って限定を解除し原則2月末までの受注分を作る方向で調整しました。ウインズスペシャルの870Rもなるべく多くの方に行き渡るようにしたいと思っておりますので、再アップ(来週予定)にどうぞご期待頂きたい訳ですが、ちょっとしたことでモノのエネルギーというか命というか・・・そんなものまで変わって感じるマジックをこれからもご提供するお手伝いが出来れば幸いです。

 明日は午前中外回り、午後から打ち合わせ・・・と忙しい一日になりそうですが、良いご報告が出来るように頑張ります!

過程と完成の狭間で起こったこと
 皆さん、こんばんは。とても冷えますね!こんな日は皆でコタツに入ってミカンでも食べながら人の温もりで暖を取るのが一番です。

 早速ですが、先日モノマガさんから久々の原稿依頼を頂いたことを報告致しましたが、今日その見本誌が届きました。monoマガジン2/16号です。既に店頭にも並んでいる模様。

 モノマガさんではしばしばオーディオネタが展開され、時々私どもも仲間に入れていただくのですが、今回は"ハロー!PC オーディオ!"という特集記事のなかで"キミのオーディオにUSB DACを滑り込ませろ"というページがあり、SV-192PROを取材したい・・・というオファをいただいた際に"ネットラジオ探検隊"というテーマで少し書いてみないか、というお話をいただいたことは先日書きました。


今まではM字額だったりヒールな写真だったりしたのですが、今回はミッドナイトブルーに彩られたページに素敵な挿絵。ちょっと今までとは品格が違うぜ!という感じで大いに気に入っています。ネット(PC)とオーディオが今後益々距離感を縮めていくことは間違いないなかで、今後は数字主導の高音質よりも聴いて楽しい"好音質"がネットワークオーディオで求められるだろうことをベースとして、これはお奨め!という幾つかのネットラジオ局と有料ダウンロードサイトを紹介させて頂いています。ぜひ皆さんにもご一読頂ければ幸いです。

 今日は朝9時~夜7時までビッシリ試聴で殆ど試聴室から出ることなく一日終わりました。それぞれの印象に残る楽しいひと時であった訳ですが、今日はそれよりも"まさか!"というニュースが飛び込んで来たので、そちらをレポートしておきたいと思います。

 私どもが一昨年から話をスタートさせ、昨年夏に現地へ飛んで詰めていた新300Bの事は皆さん覚えておられるでしょうか。過去の日記でも度々その過程を報告して参りましたが、電極構造という面では満足出来るものの、音質に重要な影響を持つガラスの厚みの違いであったり、音質差であったりを詰めている途中でパートナーであった"桂光"が社名を"恒揚"に社名変更したりして、私どもとしては少し様子を見よう・・・モノづくりは改めて落ち着いてからの方が向こうも都合が良いだろう、と考え、春頃にも再始動しようと思っていた矢先にこんなニュースが飛び込んできました。

"カナダで中国製のWE300Bレプリカが売られている"

 最初その話が飛び込んできた時は!!という感じでまさか・・・と思いましたし、本来話が入ってくる筋以外からの情報だったので半信半疑だった部分もありました。心のどこかでは"ひょっとして去年のあの球が・・・"と思わない(思いたくない)部分もありましたが"まさかそんな事はないだろう"と思いながらも先ず情報を集めてみました。そして結果は以下の通りです。

 カナダの輸入商社と思われるGrant FidelityのHP上に興味深い情報が掲載されていました。ここにはまさに昨年私どもが追いかけてきたWE300Bレプリカに関わっていた企業の具体的な動きが掲載されていますが、ここは割愛して肝心な部分のみ和訳をつけると

2011年10月にPsvane Audioは、中国南部の桂光の設備および生産
チームのすべてを買収することにより、別の大きな動きを起こしまし
た。桂光の買収に伴って曙光のかつてのチーフデザイナーも桂光に
やってきました。彼はPsvane Audioが2010年以来桂光を復活させる
ために立ち上げられる前に曙光を離れた人です(桂光とは何かにつ
きましては、こちらの私のメッセージを読んで下さい)。
桂光の設備を得て、Psvane Audioの管理および所有権の下で、今
Psvane Audioは新たにあらゆる高品質真空管を開発し、立ち上げて
いく途中であります。


 そしてGrantが販売するというWE300Bレプリカなる球のページがこちらです。写真で見る限りガラスの厚みや色味等がクリアできていない"あの"サンプルに酷似しています。 あれからガラスの厚みや音質が改善されたのか、或いはあのまま出たのか・・・こうなってしまった以上は私どもは一切介入するつもりはありませんが、ペア1000ドル(保険65ドル込)という価格が意味するものは何かを改めて考えています。その値段は私どものベンチマークの倍(以上)ですから。

 私どもが"まだまだ!"を繰り返しているうちに工場側が他のルートにモノを流してしまったとは考えたくもありませんが、或いは・・・という気もします。別の情報筋からは既に日本でもこの球を買い付けた人が居て契約も成立しているらしい、という事ですので、現物が入って来さえすれば、モノを見て音を聴けばそれが"あれ"であるかどうかは直ぐ分かることでしょう。スッパ抜かれた方としては気分の良い話ではありませんが、不可抗力としか言いようがないかもしれませんね。私どもにとって"過程"であったものが別の方には"完成"であったのであれば止めようがありませんから。

 気分を変えて私どもは私どもの道を歩みます。明日はAmp Basever.2と同リアパネルの販売(20時~)でしたね。そして明後日はTL3Nブラックの追加受注(21時~)が待っています。沢山のご来店をお待ちしております!

"焦点距離"で選ぶエンクロージャ
 皆さん、こんばんは。先ず最初に業務連絡です。先週金曜にご開帳,即完売したTL3Nブラックバージョンですが、5台だけ追加で確保することが出来ました。納期は少しずれて2/20頃になりそうですが、恐らく今後ブラックの生産はないとのことですので、今回の5台が私どもで入手する最後のチャンスということになりそうです。前回買い逃したという方も是非いま一度ご注目頂ければと思います。
 なおオープン・ザ・カーテンは金曜の21時ということでお願い致します。いつも20時ですが今回に限り、私の都合で販売開始を1時間遅らせて下さい。宜しくお願い致します!

 次にAmp Base追加製造分(リアパネル付)ですが、急なお話で恐縮ですが明後日(2/2木曜日)の20時~受付を開始します。内容はリンクした日記の通りですが、一点変更したのがリアパネルの色。日記の写真ではクロですが製品版ではメタルボンネットと同色のシルバーグレー塗装になります。納期はTL3Nブラックと同じ2/20頃ということになりそうです。このリアパネルは私どもだけ販売させて頂く(リアパネルのみの単売も並行して行います)ことになりますので池田工業さんバージョンをお求めの方からもそれなりに引き合いがあるのかもしれません。私どもとしてはロット=100ということですので、一旦は100で打ち止めとさせて頂いて、もし皆さんから追加のオファがあればその時考える、ということで進めさせて頂きたいと思っております。

 ところでLM755Aの1月末上がり分の出荷が終わり、皆さんから続々と"届きました!"メールを頂いています。皆さんそのユニットのずっしりとした重量感と質感に満足され"エンクロージャどうしよう"というごと"アンプは何が良いのかな"というご相談を交えてのご連絡が大変です。

 ここで参考になれるといいかな、と思うのが出たばかりの"管球王国63号。後半の特集でWE755Aをいろいろな箱に入れて試聴した記事が掲載されています。出来ればオリジナルランドセルに入れて試聴して欲しかったなあ、という思いもありますが、5種類のうち4種類が"指定箱タイプ"の密閉箱である点が注目されます。
 私が今まで聴いてきたところではWE755A/LM755Aとも密閉よし、バスレフよし、バックロードよし、後面開放(平面バッフル)よし・・・三方ならぬ"四方良し"です。無論音はそれぞれ変化します。ランドセルはしっかりとした骨格を聴かせるヴィンテージフルレンジの味そのものですし、合宿で作った後面開放箱は実にゆったりと鷹揚になる感じ。一点ハセヒロさんのWCW辺りに入れると、もう音がすっ飛んで来て咆哮するようなエネルギー感が炸裂するようですし、リングアダプタを用意して,middyのエンクロージャにLMを入れると実に麗しくニュートラルな音がします(このインスピレーションはY下さん宅訪問時に得ました)。いずれの音も紛うことなき755Aサウンドなのですが、この差は実に大きなものです。

 今日試聴にいらっしゃったM野さんもランドセルと後面開放の2種類のLM755Aの音を比較試聴されて"音が変化するというレベルではなく、受けるイメージそのものが違う"と仰っていましたが、SPユニットとエンクロージャの関係は"音の焦点距離"を決定づけるもので極めて重要でファクタです。ランドセルに入れたLM755Aはステージかぶりつきの位置で楽器の直接音を聴く感覚。ソロや小編成はバッチリですがTuttiのスケール感は少々苦手かもしれません。一方後面開放は響きの良いホールのバルコニー席から聴く感覚に近い・・・つい最近SPによって音楽のスピードすら変わって感じる、という事を書きましたが、まさにバッフル面積を十分に取った後面開放箱から、そのゆったり感が漂う感じです。ただ彫りの深さや緊張感はランドセルには及びません。この違いは実際に聴かなくても皆さんが私の書いた文章の印象そのものですので、どの形式が自分のイメージに近いか・・・という観点から検討されても失敗はありません。箱によって変幻自在,七つの顔を持つ男・・・ではありませんが、つくづくLM755Aが様々な箱によって生み出す万華鏡のような楽器性はオーディオの深遠さと歓びの大きさを感じさせるものです。

 そうそう、"球王"63号にはSV-8800SE,SV-192PRO,SV-2300SE(300Bver.)の試聴記事も出ています。特に192PROと8800SEは必読!です(笑)。

10Mproの音
 皆さん、こんばんは。いやあ、今日のセミナーは楽しかったです。或る企業の上得意さん40数名を招聘して行われたもので私は一応講師。ただ喋る方の思惑としては堅苦しいお勉強にするつもりは全然なくて、一緒に真空管アンプで音楽を聴いて楽しみましょうよ、という雰囲気にしようと思って臨んだのが正解でした。製品の宣伝やテクニカルタームは基本的に一切なし。前半CD(音楽),後半BD/DVD(映像+音楽)という二部構成にして真空管アンプ+大画面TVで楽しむリビングオーディオの醍醐味をお伝え出来たと思います。

 ゲストはかなりご高齢の方も含めご夫婦で参加された方が多く、一層寛いだ雰囲気の中で進めることが出来たのも良かったかもしれません。キット屋の10数年の歴史(私が起業してから今日までの様々な七転八倒の日々)や製品の開発秘話なども交えて"音楽を良い音で聴くのってこんなに楽しいことなんですよ"というメッセージを発信できたかな・・・ゲストの皆さんもニコニコしながらウンウンと頷いて下さっていたので、少なくとも想いの部分は共有できたのだと思います。次回は暫く先ですが、ある病院のホールで入院されている患者さんに良い音を聴かせてあげたい・・・という院長さんからのオファをいただいているので、今日のような雰囲気で楽しく進められたらいいなと想っているところです。

 帰宅すると玄関にダンボール。お!届いてる・・・と思いながらそそくさと荷を解いて食事もせず着替えも後回しにして自室に直行しました。何かと言えばヤマハのNS-10Mproが届いたのです、勿論中古。"大橋もついに宗旨替えか!"と思われたかもしれませんが然にあらず。或る音楽制作者から"良い悪いは抜きにして、実際我々はこの音をモニターしながら音楽を作っているんだ、ということを大橋さんにも分かって欲しいから是非10モニを手に入れてもらって同じ地平で議論したいよね"と言われ、一念発起して買ってみた、というのが経緯です。
 果たしてこの手のSPをタマで鳴らすのが良いのか悪いのかは別として、常用のSV-192PRO+192A/D+VP-2500SEで鳴らしてみると、今までこの部屋で聴いたことのない世界が出現しました。


何と言えばいいのでしょう・・・・白磁のお皿のような音。どこまでもフラットで一切の曇りのない鏡のような音。これと較べてランドセルを鳴らしてみると手捻りの抹茶茶碗のように感じるほどの差です。勿論10Mproの音が悪い訳ではないのです。ただこの音を聴いていて、いつも試聴室や家で"なるほど・・・このSPはこういう音なんだな。よし、だったらアンプはアレにしてみよう"みたいな感覚がまるで起きないのです。音をオーディオ側で作り込もうという気持ちにならない音というか。つまり個性や主張を感じない世界。モニターSPは斯くあるべきという見本のような音なのかもしれません。でも同じスタジオ用途でもLS3/5aの世界観とは全く違う何かがあるような気がします。LSはモニターでありながら主張があり非常に強い個性を感じる音です。オーラトーン5Cも同じです。だからこそいずれも民生機として高い人気を得たのです。

 15年ほど前に買ったAmcron D75A(半導体DCアンプ)があるので、試しにこれを繋いでみたら白磁器が金属のお皿に変わったような雰囲気で、さすがに直ぐ元に戻しましたが、MF(ミュージカルフィディリティ)のA1はそれなりに良かったです。いずれにしても今まで私がオーディオに求めてきた楽器性=鳴りの個性を究極に排した世界の音を手に入れたことで、これから自分の音を相対化させる意味での一つのリファレンスになるかもしれません。真逆であるが故に自分を知るツールになるというか・・・大切に使って行こうと思います。

 そういえば昨日の夜、N響アワーを観ていたら何と3月で放送終了とか。30余念に亘る歴史ある番組というだけでなく、私にとってはN響さんの今を知る貴重な情報源だったので返す返すも残念でなりません。一体何があったのか分かりませんが、広く音楽ファンに愛されてきた"我らのN響"がもっと多くの方に愛されるような別の取り組みが必ず用意されていると信じます。文化は数字で量れないもの。失くしてはならないものが必ずあることを私たちは知らねばなりません。

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