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人から人へ
 皆さん、こんばんは。気がつけば2月も終わり・・・何だか早過ぎです。3月は期末で色々なデスクワークも多くなるし名古屋のフェアのあるし決算を組んで・・・そうそう来週は一週間まるっとトヨタ自動車さんに缶詰になりますので結構ピンチです。いまざっと3月のスケジュールを見たら・・・休みが1日取れるかどうか。何とか気合で乗り切りたいと思います。

 ところで昨日の日記の件「中古を売ろうが買おうが勝手じゃねえか、バカ」とか「お前だって中古品を仕入れたり売ったりしてるじゃないか、何を格好つけて偉そうに」みたいな反応も一部あってちょっと驚いています。匿名で好きな事を書けるというのもネットの大きな特徴ですからこれは甘受するとして一方で私が皆さんにお伝えしたかった事が十分にお伝えできなかった事を残念に思います。
 私は勿論中古品の流通自体を否定するものではありません。憧れの機器を新品では買えなかったけど中古で半額ちょっとで買えて大いに満足されているという方もおられるでしょうし、自分の使わなくなった機器を譲って新たな購入資金に充当することだって大きな意味があります。私も自分の作ったアンプや使わなくなったSPを「欲しい!」と仰って下さる方に何度もお売りしていますし、お客さまで「**を探してくれ」というご要望があればツテを頼って何処へでもお願いに上がり、欲しいと仰っている方のお気持ちを代弁して分けて頂くことを何度も行ってきました。暮れのオートグラフなどはまさにその典型です。「これを買う人は何歳ぐらいの方ですか?お仕事は?大事にしてくれるかなあ」という気持ちも製品と一緒に受け取ってくるのです。また私どものアンプを中古で手に入れた方から「とても気に入っています、大切に使っていきます」というようなご連絡を頂いてずっと交流させて頂いている方もいます。

 ただ昨日申し上げたかったのは何でも一律に二掛だ三掛だと買い取って、五掛だ六掛で売れば商売になるという考え方に正直違和感があったという事です。勿論わたしの拙い文章と一貫しない論旨の行間を読み取って下さった方が大半だった訳ですが、一部にそのような曲解もあったことをご報告しておきます。私の家のオートグラフもウエスタンのホーン/ドライバも船に載って見知らぬ極東の地で第二,第三の使命を全うしている訳です。この珍奇な縁を感じながら何時か次のユーザの手に渡るまで大切に綺麗に使ってあげたいと思います。

 明日は試聴2件,お客さま訪問1件,電話取材1件,次期D/Aコンバータのデザインワーク・・・と相当に慌しい一日となりそうです。でも土日は色んな人と会えて平日と違う楽しさがあります。良い一日にしたいものです。

ザ・キット屋アウトレットストア?
 皆さん、こんばんは。お元気ですか?さて早速ですが、今日の午後試聴のお相手をさせて頂いていた時のお話です。少し予定時間を過ぎてタクシーでいらっしゃったその方は身なりの整った紳士然とされた方。試聴室にご案内してご希望のmodel2と樽アンプをStirlingで聴いて頂いたところ「実はタンノイのエジンバラを使っているのですが全然こんな良い音で鳴らないんです。というかこんな音のStirlingは初めて聴きました」と大変驚いておられる様子。現在お使いのマランツ7+9ではどうも音が硬く篭って低域が重苦しいと仰るので「エジンバラは非常にバランスの良い大変優れたSPです。恐らくはセッティングが決まっていないのでは?」と申し上げて私どもならではのスパイクを使ったスラントセッティングについてご説明しつつ更に聴いて頂いていると「しかし本当にサンバレーさんのアンプは値段が安いですよね」と仰っています。私どもが創業以来貫いてきた問屋,小売を通さない直販というやり方や業界標準の粗利の半分以下の利益設定など色々お話していると、だしぬけに「それだけ数が出るという事は下取りの希望も相当あるんじゃないですか?」という話になりました。

 私どもは販売商品の下取りは一切やっていないんですよ・・・でも仮にHP上で「ご不要のキット屋アンプ下取りいたします」という展開を掛けたら売りたいという方は少なからずおいでになる可能性はありますね、とお話しました。
 聞けばこの方、中古品販売店の社長さんだったのです。つまり有り体に言うと下取り云々のお話は「ザ・キット屋アウトレットストア」のお勧めだったという訳。今まで私のなかで自社製品の二次流通に関して考えたことも無かったので一度中古品のプロに色々訊いて勉強してみようと思い、「私どもの製品の90数パーセントはキットで販売されています。つまり外観は全く同じでも中身は全て違うものと考える必要がある訳で、適正な査定をしようと思うと相当工数と時間がかかって大変なんじゃないですか?」とお伺いすると「それは考え方そのものが違って中古品と言っても2種類あって所謂メーカ製のもの(つまり私どもで言うとPSEをつけてご提供している完成品のことです)の買取相場とキットの買取相場は全然違います。上手に出来ているとか出来ていないとかは関係ないのです。キットはジャンクとして扱えば良いのです。つまり動作保証なしの現状販売。私どもの店は全ての買取データがコンピュータに登録されているので程度の良し悪し関係なく一定の金額でしか買い取りません。綺麗だからプラス5000円なんてことは一切やっていないのです。バイトでもその場で査定出来るような仕組みでないと手間が掛かってとても回りません。いや、安いという人はお帰り頂ければ良いのです。私どもの買取価格はこの値段です。これで宜しければどうぞ、という風に割り切らないと。確かに大橋さんの言うようにオークションの方が高く売れるでしょう。でも実際不用品を売りたい人,買いたい人が全体のうちどれだけの人がオークションという方法を採ると思います?ざっくり言えば5%でしょう。その為に時間と手間を掛けられる人はオークションをやればいい。私どもは現物,現金商売ですから結局は強いですよ」とのことでした。

 確かにそういう下取りをやってどこかで「ザ・キット屋アウトレットストア」をやったら売れるかもしれません。皆さんの中にもそういう店がもしあったら是非利用したいと仰る方もおられるでしょう。でも私の中では自分で「良い音出ろよ」と念じながら一生懸命作って下さったキットをジャンク扱いで買い取る事に違和感を拭えないと思いますし、例えば樽アンプ完成品買取が25000円,キットが10000円という買取価格を自ら提示することは非常に難しいと思います。皆さんも自分の分身のような思いで作ったキットをそんな値段では売りたくないですよね。

 確かに要らないものを眠らせておいても仕方ない、というご意見もあるでしょうしお金に換えられるなら換えたい、という方もいらっしゃるでしょう。でも売ってしまったら最後、二度とその音を聴けなくなるのです。確かに出番は多くないかもしれない。多分私なら自分の組んだアンプを下取りに出すというのは相当に勇気が要ると思いますし、きっとお金を貰っても寂しい気持ちになるんじゃないかな、と思いながらお話を伺っておりました。私にとっては単なるモノの売り買いでない何かがこの仕事にあるような気がしてならないから。知らないうちに買い手でなく売り手の立場になっていました。

ハンバーガーと真空管アンプ
 皆さん、こんばんは。今日夕方所用で出掛けた時のことです。車で走っていて何故だか、無性に、我慢ならないほど急にマクドナルドのハンバーガーが食べたい衝動に駆られてどうしようもなくなりました。皆さんにはそういう事はないのでしょうか?私は本当に時々ですが「もうだめだ!ケンタッキー(フライドチキン)の6ピースパックを食べずに居られない!」とか「吉野家の特盛を我慢できない!」という時があるのです。
 考えてみれば家まで5分の距離。ちょっと走れば何か食べ物にありつけるのに、何だか磁石に釘が吸い寄せられるようにドライブスルーに入ってビッグマック,チキンフィレオ,フィレオフィッシュ,普通のハンバーガーを2個とポテトのLを一個,それにホットコーヒー(ブラック)を注文して我慢出来ずに車の中で全部食べちゃいました。いやあ、久々で旨かったぁ!まさにむしゃぶりつくように完食してしまいました。

 アンプ製作にもそんな時があります。何度か日記にも書いた事がありますが無性に何か作りたくなる時があるのです。これは日々皆さんも一緒のようですね。突然電話で「大橋さん、今って何が在庫あるのかなあ?明日午前指定で届くヤツが良いんだけど・・・いやね、急に一台作りたくなってさあ」というお話もよくあります。こういう時は決して高いものじゃなくてそこそこ作り甲斐のあるシングルアンプ辺りがぴったりです。私の家にも自称サブ機、実際は作りたい!という本能を満たす為に作られた数々のアンプが出番を待っていますがmini88MkIIとか樽アンプとかmini300MkII辺りはそんなニーズに一番合うような気がします。折角やるなら満腹感を味わいたい・・・でも余り手間の掛からない物が良い・・・そんな風にものづくりそのものを楽しまれる時があっても良いものです。

 今日、試聴にいらした方がこんな事を仰っていました。「我々金融関係にいて企業さん相手の取引中心だと現金を見ることはまずありません。書類とハンコで大概終わってしまいます。ゼロが幾つも並んでいる書類を見ても自分としては全くリアリティが無いというか自分がこういうお金を動かしているという実感が全然ありません。もし大金を目の前にドンと積まれて自分の会社に持って帰れ、と言われても確かに困りますが何か感覚的に今ひとつ違う感じなんです。
 私が真空管アンプに興味を持ったのは未だ数年前のことですが、最初は出来合いを買おうと思っていたのが偶々キットを買うことになって、苦労したですが無事に音が出た時にはウォォォォ!というリアルな感動があったのです。自分がこの目の前で鳴っているアンプを作ったんだ!という達成感、実感。日頃どこか空虚な感じ,リアリティのない世界に居る私としてみればこんなに自分の心の隙間を埋めてくれるものはなかったのです。その後、いちど高価ということもあり完成品のアンプを作って頂いたのですが、同じ真空管でもやっぱり与えられたものはどこか違う。何かしら距離感を感じる。あのウォォォォ!がないのです。そんな訳で今日はVP-3488かmini300か樽アンプか・・・そのクラスを1台求めて久し振りに週末楽しもうかなあ、と思ってお邪魔しました」と仰っていました。その感じ、とても良く分かります。

 キットは完成品を買えない人の為にある次善の策だ、と以前言われた事があります。冗談じゃない!キットを作る人は「作ること」を楽しむ為に敢えてキットを買っているのだと私は信じます。完成の一瞬の歓びの為に敢えて手間を掛けて自分と対話しながら楽しむ時間を買って頂いているのだと思います。「やった!出来た!」というその感動の一瞬は何物にも代えがたいものです。今何事にも達成感を味わい難い時代。最近企業の研修や学生さんの実習で球アンプの入門キットを作る、という取り組みが増えていますが、非常に良い事だと思います。一から十まで全部やる事って今、本当に少なくなっていますから。

 さすがに少々胸焼けがする私ではありますが、日頃食べられないマックのハンバーガーを沢山いただいて今日は大いに満足でした。やはり偶にはダイエットだメタボだと言っている自分を解放して好きなようにやるのが何事にも大事かと。払ったお金以上の満足感がありました。

4/10〜の新価格について
 皆さん、こんばんは。早速ですが昨日から「大橋さんが気に入ったというケーブルはどんなものなのですか」というお問い合わせを沢山頂いております。正直、困りました。あくまで元々評価を目的としてメーカさんのご厚意でお借りしたものです。いつか当社のリファレンスケーブルを持つ時の為の勉強として色々聴かせて頂いた訳で、もとより販売を前提とした試聴ではなかったですし、当社と販売契約もないブランドのケーブルを軽々にお奨めして先様にご迷惑が掛かるのでは・・・という懸念も正直ありました。しかし色々考えるうち私が初めてケーブルの存在を意識するに至る契機となったケーブルがどんなものであったか皆さんにお知らせすることは或る意味、私が志向する音を知っていただけるきっかけになるかもしれませんし、幸いお伺いしてみると仕入れも可能であることが分かりましたので、急遽ご案内させていただくことにいたしました。

 そのブランドは「キュリノ」(Qrino)といいます。詳しくは存じませんがお一人で全て手作りで製作されているケーブルブランドだそうです。私が今回各種ケーブルを試聴させて頂いたなかでダントツのパフォーマンスを発揮してくれたのが「QR」というシリーズのものでした。そこで一番汎用性の高いと思われるQR-150を一度テストセール的に販売させて頂いて皆さんのご感想をお伺いしてみたいと考えています。既に発注を完了しまして3/5前後には入荷するという回答を頂戴しておりますので、それまでにHPでの受注環境を整えておきたいと思います。価格は正式には決まっておりませんが定価の15%OFF程度になりそう。「これが大橋を唸らせたケーブルか」という気持ちで是非一度聴いて頂きたいと思います。

 ところで今日、夕方から急遽佐藤氏,有園氏に残ってもらって緊急ミーティングを行いました。皆さんには最近の急激な原価の高騰で四苦八苦していることをお伝えしてきましたが、今日だけで更に3社から「4月から大幅な価格改定を行います」と連絡があったのです。うち一社は私どものオリジナルアンプの多くをお願いしているメインの取引先のひとつ。正直もう私どもも一刻の猶予も許されません。急遽雑誌の広告で校正段階にあるものをストップ。私どももこの仕事を続けていく為,新たな製品を開発し続ける為に最小限の価格改定をしよう、方針としてはMJが毎月10日発売ですので4/9までにご注文頂いたものは納品時期に関わらず旧価格,4/10以降のご注文は新価格とさせて頂きたいと思います。電卓片手に3人で電卓を叩きながら「もう少し何とかならないのか」と言いながら出した4/10以降の新価格(予定)は下記の通りです。


クリックすると拡大します。

 ここに書かれていない製品は今のところ価格据置を予定しております。ただ目下大人気のPARCウッドコーンも近々定価が改定になる見込みと今日連絡が入りましたので状況が分かり次第、私どもも追随します。また前にも申しましたがPMコンポーネンツ社(UK)から入荷するGoldenDragon,Svetlana真空管も近日定価が改定される見込みです。全体的には多分1割強のアップになると思っておりますが、私どもが何故このようにフライングで値上げ情報を皆さんにお伝えしているかをご理解頂ければ幸いです。もし近々キット屋の球アンプを・・・と思って下さっている方は是非4/9までにご注文をお願い致します。私どもとしては値段は守りたい、でもその為に安易にパーツレベルを下げることは絶対にしたくありません。同じものなら安く買いたい・・・これは皆同じですよね。その為にも今日は予定を早めて新価格の第一報をお伝えいたしました。追ってHPで正式にご案内させて頂く予定です。何卒ご理解賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

最後の味の素
 皆さん、こんばんは。昨日日記を上げてからもずっと色々なケーブルと格闘しておりました。結果、自宅でも試聴室における印象とほぼ同じもので単なる思い込みやイタコ現象ではないことを確認しました。偶々か必然なのか分かりませんが私のイメージに合ったのはいずれも細いケーブルでいずれもハイフロン(テフロン)被覆のタイプ。雑誌などでよく出てくるホースのような様なケーブルとは全然違う外観のものです。意外だったのは試聴前に期待していたリッツ線のケーブルが会社でも自宅でも音の粒が大きく、太りじしで繊細感がなく結果が全く芳しくなかったこと。リッツ線で巻かれているSPネットワークのコイルや一部メーカのトランスなどに以前から好感をもっていたので期待していたのですが、こればっかりは聴いてみなければ分からないものだな、と思いました。

 いずれにしても今回、ラインケーブルの比較などという今まで殆ど自分のなかに無かった文化に触れ、今まで「無色透明」な存在として固有のキャラクタが存在することを敢えて度外視してきた私ですが、実際聴き較べてみるとそれぞれの個性が厳然と存在することを自分の耳で理解しました。何より数あるラインケーブルの中で自分の「好み」のものがあったということもラッキーだったと思います。この素材を採用して私どものリファレンスケーブルが出来るのかどうか今後もメーカと情報交換を重ねていきたいと思います。

 しかし一方でケーブルの泥沼性と言ったらいいのか・・・次々とケーブルを取り替えていくうち何が何だか分からなくなりそうな瞬間というのが何度かあったことを告白しておきます。SPやアンプを替えるのとは較べものにならない程小さな変化であることは間違いありません。定量的に比較できるものでもありませんからその時々の印象に自らを委ねるなかで「だからどうだっていうんだ?」という内なる疑問が提示されたことも一度や二度ではありませんでした。また種々のケーブルに触っている過程で一部流布されている「ケーブルこそがオーディオだ」みたいな啓蒙が大きな誤解を孕んでいることも改めて実感しました。

 やはりケーブルは料理でいえば最後の味の素ひと振り。素材を吟味し、十分に下ごしらえし、適切なレシピで愛情を以って作られた料理をひと摘みの味の素で更に引き立たせる・・・そのような存在のものであることを知って使う事が何より重要だと思います。「何を当たり前の事を!」と思われる方は正常。今まで沢山のリスニングルームを訪問させて頂いて大蛇がのたうち回るようなケーブルを使っている人でも基本のセッティングから出来ていない方が少なからずおいでになりました。総額何百万という投資をされながらオーディオという趣味が結局「良い素材」を集める趣味になってしまっているというパターンです。良い素材は勿論大事。しかしその先にある営みこそがオーディオなのに・・・良い楽器を買うことイコール良い弾き手になるような幻想がオーディオにあるのは残念ながら事実です。もし私どもがケーブルのリファレンスを持つとしても「最後の一振り」としてお使いいただきたいものだと考えています。
 私どもアンプやSPを企画し販売し皆さんと一緒に楽しみながらこの素晴らしい趣味の世界を一人でも多くの方にお伝えしたいと思っている立場の人間からすると本当は余り重箱の隅的なことを言いたくありません。むしろ「良いケーブル、いいよね。でもその前にやることがもっとあるよね」という気持ちの方が遥かに大きいのです。

 ともあれ今回、このような得難い機会を与えてくれたM社長には本当に感謝しています。実にオーディオは深い・・・そんな気持ちです。どうも有難うございました。

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