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T村さんとの再会
 皆さん、こんばんは。今日は台湾のT村さんと久しぶりに試聴室でお会いして楽しいひと時をご一緒させて頂きました。4月からはクリーブランド(オハイオ)にお引越しということで近々T村さんのオーディオも大移動の予定とか。今日個人的に一番印象的だったのはMIDをSV-2(2007)で鳴らし,SUONOをVP-2500SEで鳴らずパッシブバイアンプの音でありました。いつも思うのですがSUONOとVP-2500SEのマッチングは絶妙。ややクールで澄み切った音場(特に奥行き感)の展開するさまはいつ聴いてもオーディオ的快感に満ちていて音楽を聴く歓びを何倍にも高めてくれるようです。同じツィータでもPT-R4はやや暖色系の色合いを加えながら高域のキメを整えつつ拡がりが出ます。同じスーパーツィータでこうも効き方が違うことを経験されてT村さんもかなり興味を持たれたようでした。

 今日T村さんがお持ちになったCDは偶々全部私も会社か家で聴いているものばかりで過去に日記でご案内させて頂いたものもありますが、どれもお奨め盤ばかりですので改めてご紹介させて頂きます。



ベートーヴェン:交響曲第7番。イヴァン・フィッシャー/ブタペスト祝祭管によるベートーヴェン。古楽的な理性的な響きと対照的に熱い演奏が印象的です。お馴染みの"ベト7"ですがアナザーワン的に聴いても決して損がないですしクラシックが指揮者,演奏者による解釈の"振れ幅"をも楽しむ芸術であることを改めて感じさせてくれます。朝に聴くと「よっしゃ!今日もやるか」という気持ちになります、私は。



シューベルト:ます。アンドラーシュ・シフ(ピアノ)/ハーゲン四重奏団の確か80年代初め頃の録音ではなかったかと記憶していますが、さすがDECCA!という録音の素晴らしさが気に入っています。切れ込みと音場が両立し勿論シフの美しいピアノの音色が心行くまで楽しめます。845で聴くと最もその良さが出る音源ということが言えるかもしれません。



モーツァルト:ヴァイオリンソナタ集。これはもう何度もご紹介していますし、試聴会でも半定番化していた時期もありますから説明は不要かもしれません。このCDでは内田光子さんのピアノが少し奥に定位しフロントにマーク・スタインバーグのヴァイオリンが立つ録音なのですが、その絶妙な奥行き感と弓が弦の上を滑っていくのが見えるようなクリアな録られ方が素晴らしいです。この盤は300Bシングルでちょっと手綱を緩めて聴く位が一番気持ちいいかもしれません。



モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲。五島さんのヴァイオリンに加え今井信子さんのビオラとエッシエンバッハが振るの北ドイツ放送交響楽団の心地好い響きも楽しめる欲張りな一枚です。個人的に言うとみどりさんの音源はややシャープに過ぎるか・・・というものが多かったような気がするのですが、この盤はちょうど良いバランスで何度でも聴けるところが気に入っています。厳格さもありながら或る寛容さも有しているというか。DSDマスタリング ,ルビジウム・クロック・カッティングでも話題になった盤でもありますのでご存じの方も多いかもしれません。

 次回お目に掛かれるのは何時のことか分かりませんが、距離が離れていても装置や音源という共通項があればいつでも「同じ言葉」で語れるのが実に素晴らしいなあと思いながらのひと時でした。温暖な台湾から寒いクリーブランドに環境が変わるとまた音楽の聴こえ方も変わってくるのかもしれません。またお会い出来るのを楽しみに待ちたいと思います。

T田さんのレコードコンサート
 皆さん、こんばんは。今日は3組の方の試聴対応の傍ら、お待たせしておりました"Y-25"の予約受付を開始させて頂きました。初回ロットは2/10頃。19時過ぎの段階で初回オーダ分は残り2ペアという状況なので週明けにもユニットとネットワークの発注をしないといけなそうな状況です。Y本工房に良い報告が出来そうで大変嬉しく思っています。

 ところで今日は楽しみにしていたT田さんのレコードコンサートにお邪魔させて頂きました。毎月最終土曜日の定例会で今回が16回目とか。教会という恵まれた環境でT田さんのオリジナル盤コレクションを一緒に楽しむという企画です。

 今回私が楽しみにしていたのは装置環境が一新されたこと。これまではT田さんのJBLランサーをマッキン240でドライブしていたのですが今日は「キット屋倶楽部」でお馴染みY下さんが機材面でフルバックアップ。これは聴き逃せない!と馳せ参じました。


会場はこんな雰囲気です。天井が高くレコードコンサートにはもってこいです。入力機器は勿論オールアナログ。カートリッジはSPUで・・・


プリはマランツ7"Y下チューン"バージョン。


パワーもSV-91BオールWE"Y下チューン"バージョンです。


今回一番興味があったのがSP.T田さん特製の平面バッフルにY下さん持参のワーフェデール(英)"スーパー12"をインストールしたものです。


これがSP後面部。後面開放は低域レンジ的には不利と言われるものの、ユニットに一切背圧が掛からず箱鳴りも一切ありませんので実にスカッとしたユニットそのものを音を楽しめる形式です。


参考出品。ALTEC/CF404+T田さん特製箱。良い感じ。

 今回も前半クラシック,後半ジャズ,そして今回は最近名古屋で亡くなられた浅川マキを皆で楽しんだ訳ですが、毎回何故この会に参加させて頂いて思うのはオリジナル盤や選ばれた装置の音の良さも然ることながら、T田さんの「良い音楽を楽しんで下さい!」という気持ちが伝わってくるところが、毎回多くの方を集める原動力になっていると思います。単なるオリジナル盤の品評会でここまで続く訳がありません。
 私どもも日々試聴室で自分のアンプやSPの音を聴いている訳ですがアンプやSP云々以前に「楽しんで欲しい」という"開かれた"気持ちでなければ決して出来るものでないことは私が一番よく分かっています。はっきり言って自分の音を聴いてもらうというのは裸で人前に立つのと同じこと。"素の自分"を晒すのは勇気の要ることですが、多くの方にその開かれた気持ちはちゃんと伝わるもの・・・今日の音はT田さんとY下さんの合作による美味しい手料理のような美音だったと思います。余計な音の一切しない、それでいて必要な音は全て聴こえる力強い音を堪能させて頂きました。今まで持っていたワーフェデールのユニットに対するイメージがすっかり変わったような気がします。


オーガナイザT田さん。ジャガーEタイプと葉巻、そしてオリジナル盤をこよなく愛する粋人です。今回も楽しかったです!


機材オペレートは奥さまの役目。慣れた手つきでアームを降ろされる様子はこのレコードコンサートに欠かせないものになっています。次回も是非参加させて頂きたいと思います。

 明日は台湾在住のT村さんと久々にお会いすることになっています。「朋(とも)あり遠方より来る、亦楽しからずや」な一日になることでしょう。

試聴は楽し!
 皆さん、こんばんは。お元気ですか?お正月の休み明けから試聴のご希望が非常に多く、なかなかご要望の日時に予約をお受けできなくなっています。毎週土日も含めなるべく沢山入れるようにしておりますが、狙い目は水,木の午後・・・ただ出張でお近くに来られる時など夕方とか朝イチでないと寄れないという方もいらっしゃると思います。その辺も早いタイミングで仰って頂ければスケジュールが組める場合も多いですし、遠方からいらっしゃる場合はJR刈谷駅までお迎えに伺うことも出来ます。既に3月の予約も入り始めていますので、なるべくお早めにお申し付け頂きますよう、宜しくお願いします。

 今日は静岡のA倍さんが自作のプリとSPをお持ちになって試聴室にいらっしゃいました。プリは市販キット(ヘッドフォンアンプ)の改造品でパワーアンプはmini91BとSV-19D、その他に樽アンプもお使いです。SPは自作中心ですが今日は樽シグネチャーをリファレンスにしてA倍プリとキット屋プリの聴き較べなどをしながら楽しく過ごさせて頂きました。

 mini91BはPrime300Bver.5仕様とし、入力系はいつものTL-51X+SV-192Sで今日はMC-3で176.4kHz/24bitにアサインし解像度と響きの両立を狙い、プリは比較用にSV-20D(樽プリ)をスタンバイし同じ曲で帯域感,基音と倍音のバランス,密度感などを較べてみました。

 A倍さんから先ほど届いたメールでは

本日はお忙しい中、試聴対応ありがとうございました。
いつものことですが、あっという間の2時間で大変楽しく
濃密な時間を過ごさせていただきました。
やはりmini91Bには樽プリの相性が一番の様ですね。
中低域の密度感がなんとも言えませんでした。
樽シグネチャーも実にナチュラルな響きでいつまで聴いていても
疲れない感じで、本当に素晴らしかったです。
真空管オーディオフェアではmini91Bとの組合せを聴くことが
できませんでしたので、今日は素晴らしい音楽を堪能させて
いただきました。
ソースを選ばない懐の深さはさすがウインズサウンド!
村瀬さんの思いがぎっしりつまっているようでした。
300BVer.5の低重心で厚みのある音も魅力的でした。
最後に少しだけ聴いたサン・サーンスの交響曲3番の情報量の
多いサウンドも微動だにしない感じて軽々と鳴らしきった
MIDも圧巻でした。


ということでありましたがA倍プリも大健闘だったと思います。あと僅かに中低域の密度感が加われば言う事なし、というところでしょうか。次回聴かせて頂く時は更にブラッシュアップされていることでしょう。
 その後いよいよA倍さんの自作SPを聴かせて頂くことに・・・ミクセルさん扱いのTang Band8cmとダイトーボイスのユニットを使った所謂「タンデムドライブ」。容積的にはkitLS3/5Aと同じ位ですが8cmフルレンジとは思えない量感と伸びやかな高域を聴かせてくれました。


これがそのSP。概要につきましてはA倍さんからレポートを頂きましたのでご興味のある方はご覧下さい。写真で注目頂きたいのはSPの上に載っている黒檀の木片の全面に張り付いたゲジゲジ?・・・いいえこれは以前日記でご紹介したこともある「BATPURE」です。製品としても販売されているようですが、これはA倍さんの自作。これが音のスパイスになっているのでしょう。何しろ価格が安いのが嬉しいですよね・・・気軽に試してみたくなります。樽SPや樽ウッドコーンにも使ってみたくなりました。今日は試聴させて頂いた感じの私でありますが、こういう積み重ねからインスピレーションやアイディアが浮かんでくるものです。だから試聴の相手は止められません。最も楽しいひと時です。


これがBATPUREの拡大部です。テイクティさんのHPを読んでも純技術的な部分で私の浅薄な知識では???なところもありますが、何事も試してみるのが一番です。

ところで先週,今週と行いました球の頒布会でお求め頂いた球で早くもアップグレードを楽しまれた方からレポートが続々と届いています。

VP3000SEの球をRCAの6SN7GTに変えてびっくりしました。
TUNG-SOLに変えたときも、力強くなったなあと思いましたが、
それ以上の変化です。プッシュプルにシングルアンプの透明感
が加わったというか、ゴージャスになったというか...良い買い物を
させていただきました。
こういう企画をぜひまたやってください。買ったあとでチューニング
できるのは真空管アンプの楽しいところですね。
 (T沢さん)


ナス管300B買わせて頂きました。TU-8300を年末に組んで今まで
十二分に満足しいていたのですが、ナスに変えたら更にブリっと
した音に変わってカミさんも驚いています。こうなるとカップリング
コンデンサもキット屋さんお勧めのオイルコンに変えたくなります。
真空管アンプって自分で手が入れられて音を自分で良く出来るのが
とてもいいですね。ナス管300Bはぜったいにレギュラー商品にすべき
だと思います。

SV-192Sの球もCV管も買わせて頂きましたが、恐れ多くてまだ
変えてません。どんな音に変わるのかとても楽しみです。次回は
いつやるのかわかりませんが楽しみに待っています。ではこれからも
ガンバッテ下さい。
  (M岸さん)

 今回今までストックしてきた球を一気に放出させて頂いた感じでありますが、今後も良い球がゲットでしたら都度ご紹介させて頂きたいと思います。リクエストなどございましたら是非お聞かせ下さい。

 明日は日中試聴対応で、夜は会社から20分くらいの教会で毎月行われているレコードコンサート。今回はオーガナイザのT田さんだけでなく、倶楽部でお馴染みのY下さんが道場破りを仕掛けるということで見逃せません。明日の日記で詳しくレポートさせて頂きたいと思いますのでお楽しみに!では良い週末をお過ごし下さい。

難しいから面白い
 皆さん、こんばんは。今日はまず困っているお話から・・・。先日の日記で「建もの探訪」の件を書かせて頂きました。N岸さんの素敵なリスニングルームに溜息を吐かれた方も多かったようですね。実は私の住んでいる地域では本放送が終わった後の情報でしたので残念ながら私は見ることが出来なかったのですが、有難いことにO河原さんやK林さんから放送を録画したメディアが届いたのです。O河原さんの封筒にはひとこと「バッチリです」の文字が・・・。おお!そうなんだ、楽しみ楽しみ・・・と思ってPCで見ようとして・・・見られない。DVDプレーヤでもやっぱりダメ。私はこの辺の事には極めて疎い人間なので詳しいことは良く分からないのですがお二方から頂いたデータはいずれもVROという拡張子でしたので、これをDVDで読める形式に変換すれば良い筈と自分なりに調べて種々の方法でトライしたのですが加工後のデータが壊れていたりプログラムがファイルを受け付けなかったりして苦労しています。でも絶対に方法はある筈ですし苦しみながらも難しい問題の謎解きを楽しんでいるようなところもあります。
 一刻も早く観たいのは勿論ですが何とか自力でこの問題を克服してみたい・・・アンプでも同じで、音が出ない時などに原因が何処かにあるのは分かっていても、それが何処で、何が原因で起こっているかを見つけるまでが一番大変です。でも苛立つ心を鎮め、前にも書いたように真空管に3つのエネルギーが適切に与えられているかどうかを電圧測定によって知り、それでも音が出ないのであれば信号が途切れているかグランドに逃げているかのどちらかを疑って「割り箸チェック」。そういう苦労を経て音が出た時の「やった!」という爆発的な感動は決して忘れられるものではありませんし、アンプに対する愛着も何倍にも大きくなるものです。今回の件も私どもの製品を全国ネットで観られるという貴重な機会であった訳ですので、何としても頑張りたいと思います。
 詳しい方から見れば「何言ってんの?簡単だよ」という事なのでしょう。でも私にとっては難しいパズルを解くような楽しみを感じながら色々調べているところです。

 ところで昨日から出荷が始まったSV-2PP(2009)ですが早くも第一報が入ってきております。先日お邪魔させて頂いたK藤さんからのレポートです。

本日無事到着し、偶々遊びに来ていた友人の手を借りて設置、
音出しまで漕ぎ着けました。
思えば、秋の真空管フェアーで聞いてしまったのが運の尽き。
圧倒的存在感の音にぶちのめされSV-2(2007)取り置きして
頂いてたのに発注、、、、
今日、改めてオートグラフに繋いで聞いてみて、しなやかさ、
重心の低さ、安定感に感動しました。
SV-2(2007)に比べ一聴、柔らかい音に聞こえましたが、よく聞くと
目詰まった絹のような柔らかさで38cmのユニットが軽やかに動く事!
比べてしまうとSV-2(2007)の低音ですら遅く感じる軽やかな低音。
いや、これはこれで買って後悔無しです。
でも面白いですね、色々繋ぎ換えて遊んだんですが、ランドセルだと
SV-2よりVP-mini300の方が味が出て楽しいんですよね。
VP-3000SEはこれはこれで色づけの少ない爽やかな音だし。この音も
代え難い。
マルチに行く前にもう少し遊んでみます。



K藤さん、有難うございました!CETRON845/Prime300Bver.5仕様のアップグレードされたようで格好良いですねえ。何せ本体重量が2台で80kg近い巨艦ですので移動も大変だったと思いますが、音の質量感も見た目に負けないドッシリと根を張ったようなスケール感・・・どうぞ末永くご愛用いただければ幸いです。

 そうそう忘れておりました。SV-192A/Dですが結論!これで行きます。今まで細かいことをグダグダ,ウダウダと言い続けて着ましたが音質的には遂に目指すところまで来ました。山頂を極めてパッと眼下に広がる景色の眺めの良さ・・・そんな気分です!あとは再度測定と細かい部分での意地悪テストをやってから正式な量産GO!をかける予定です。考えてみるとここまで来るのに丁度1年掛かった訳で昨年2月の打ち合わせで192A/D構想をブチ上げた時「そんなムチャな」と言われながら(実は私もその時半分くらい無理だと分かってオファした部分もありました)、でも1年掛かって皆でやったらチャンと出来た・・・それを一番喜んでいます。DVDへの書き換えもアンプの不具合も新製品の開発も「難しいから(難しいほど)面白い!」点で一緒なのです。あとは3月末までに皆さんにお届け出来るよう、必死にやるしかないですね!来月半ばには予約受付を正式にスタートしますので、どうぞお楽しみにお待ち頂ければと思います。

評論家のミッション
 皆さん、こんばんは。お元気ですか?私の方は2回目の球の頒布会のスタートを無事切ることが出来てちょっとホッとしているところです。今回も多数のご注文有難うございます!

 早速ですが暮れから発刊を楽しみにしてりました"管球王国55号"の見本誌が今日会社に届きました。都内の方からは月曜時点で「サンバレーさんの製品が沢山出てますねえ」とお知らせを頂戴しておりましたので今か今かと待っていた訳ですがY-08,SV-A2,SV-192A/D,SV-2PP(2009),Prime300Bver.5と皆さんも注目の新製品がどのような評価を受けるかが楽しみでもあり少々心配でもあったというのが本音です。今回SV-2PPは製品試聴,Prime300Bver.5とY-08は複数の評論家による対談(流れ試聴)形式。SV-192A/DとSV-A2はサマライズした製品概要の紹介というスタイルになっている訳ですが特にSV-2PPについては私どもの製品に賭けた思いや音質を汲み取って頂けたと感謝しています。正直言ってツラツラ読めば、その文章にどの程度の「魂」が入っているかは直ぐ分かります。

 聴いていると、ふと同社がいうところの「300Bシングル+845ブースターアンプ」
 を体験しているような気がして来た。300Bシングル特有の美音のパワー感を
 加え、それを純度高く増幅したような印象を受けたのである。
 (抜粋)


 ・・・この20年でオーディオにおける評論の位置づけは大きく変わりました。本来"評論"という行為は何を意味するのでしょうか。辞書的にいえば「物事の善悪・価値などについて批評し、論じること」であり、ある事物・事象についての、何らかの思想・主張を持つ者による個人的見解の発露であるべきものですが、これだけネットによる情報の流布が良くも悪くも簡便に(安易に)行われる環境のなか、敢えて対価を払って活字化された特定の人間の評価を"購入"する価値があるのか・・・読む側が何を求めているかも含め基本的な何かが問われる中でオーディオ評論も少しづつ変化しつつあると感じています。

 あまり正面切って言ってしまうとまた爆裂弾が飛んで来そうな感じもしますが、皆さんの中にも"オーディオ評論=提灯記事"だと思っていらっしゃる方がいらっしゃると思います。つまり広告主の広告代の一部としての評論。メーカから提供された製品情報が半分。残り半分でレトリック化されたある種の定型文が続くお決まりのパターン。事実評論家によっては「あの人の文章は機種名だけ入れ替えれば全部使えるから」なんて業界内からも言われるような事もありました。まあそれを前提として本質を読み解く面白さもあるといえばあった訳ですが・・・「これは本当に誉めてるな」,「これは提灯だな」って何となく読んでれば分かるものですし。
 
 そんな流れのなか、ここ数年は流れが少し変わってきています。先生方も上記のような流れに気付かれたのか意図的か否かは別としてただブラボーとだけは言わなくなり、ある部分持ち上げておいてある部分落とす的な書き方をするようになったように私には思えます。「単に提灯持ってるだけではないぞ」という先生方の意思表示であったのかもしれません。ただそれが非常に定性的であるが為に読み手としては何が言いたいのか分からない。推薦しているのか文句を言っているのか、誉めているのか腐しているのか理解に苦しむような文章が目に付くようになりました。既にこの時点で本当の意味での評論とは言えなくなっている訳で、色々な柵(しがらみ)のなかで変な捻じれ現象が起こっているように感じるのは私だけではないでしょう。そういう所には私どもは製品の貸し出しを行わず取材や製品の掲載も辞退している訳で、これから「この媒体に是非私どもの製品を聴いて欲しい」というメディアがどんどん出てきて欲しいものです。
 皆さんも是非今回の"球王"を読んでみて下さい。何度も何度も読むうちに印象に残る製品が実は非常に少数であることに気づかれるでしょう。恐らくそれこそが本当に価値ある逸品と言う事が言える物だと思います。

 今日SV-192A/Dの第五試作が上がってきました。私も色々と製品の開発をやってきましたが五回も試作を上げてもらったことは殆ど記憶にありません。今回は恐らく「ファイナルアンサー!」になってくれていると信じて自宅と会社で早急にチェックしようと思います。
 他人が作ったものを評論するのは容易い(たやすい)ことです。無責任に何とでも言える訳ですから。しかし自分の作り出したものを冷静且つ客観的に評価するのは極めて難しい事。言うならば自分の中にある過ちや穢れを自ら掘り起こす事を意味する訳です。SV-192A/Dに関しては過去4回の自問自答を繰り返しもう直ぐ峠の天辺に辿り着けるところまで来たと自分では思っています。D/Aはある意味簡単。取捨選択され定量化された情報を変換する行為である訳ですから。しかしA/Dは全く違います。アナログという無限情報を有限情報に落とし込むのです。「さあ、この景色をキャンバスに描いてみろ」と言われてどのようにデッサンし、どのように色を置くか・・・二つと同じ絵画がないようにA/Dという変換技術は極めて創造的であり感覚的な要素が根底にあります。
 今回Lv1環境における44.1k/16bitのA/DとLv3環境における192k/24bitハイサンプリングA/Dの激烈な音質差を自分なりにどう理解するのかも含め本当に悩みました。どこまで行けばゴールは来るのだろうか・・・その結果皆さんに当初提示させて頂いた昨年12月納期という約束を破ってまで音質に拘ろうという決断をしたのは本当に断腸の思いでありましたが、やっとその苦しい道程も終わりに近づいているのかもしれません。

 結果は明日、自分の耳で決めたいと思います。最も厳しく、そして最も愛情を持った批評家の耳で。

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