ジャズ・オーディオの雑記帳
by 6041のS

百冊の時代小説(2008.5.8)

1933年生まれの文芸評論家、寺田 博さんが平成11年に出版した「決定版 百冊の時代小説」文芸春秋に目を通しています。何故時代小説がこんなに読まれるのか、著者は語っています。・現代人が失ってしまった性情や生活習慣がそこに現れる時、歴史の残照に立ち会うような気分の中にひたることができる。・私たちとまるで異なった時空間に生きている人間だからこそ、自分のかわりに生きている人間として素直に感情移入できる。・そして、生と死のせめぎあいがもたらす緊張感、などなど。ここに紹介されている時代小説の中で、ぼくが愛読しているものを単純に紹介します。

・政変に挑む下級武士描く成長小説「蝉しぐれ」藤沢周平
・隠居武士の公平寛大さ「三屋静左衛門残日録」藤沢周平
藤沢周平は、今ぼくが最も愛読している作家である。テレビでも、上記のほかに用心棒シリーズがドラマ化されている。藤沢周平全集(全20巻?)というのが出版されているが、1冊3500円もするので全部は持っていない。
・剣豪の一大青春物語「宮本武蔵」吉川英治
ぼくの時代小説の原点とも言える本。今は、定本 宮本武蔵 全 六興出版 という本で持っているが、題字・装画が東山魁夷、挿絵が矢野橋村という豪華なものである。
・老齢加えるヒーロー「剣客商売」池波正太郎
池波正太郎も好きな作家だ。この剣客商売シリーズはすべて読んでいる。これ以外にも鬼平シリーズ、梅安シリーズも愛読している。小説に出てくる食べ物も、作者の食通を反映していて大変興味深い。
・空白の眠り誘う殺法「眠狂四郎」柴田錬三郎
これは市川雷蔵(古い?)の映画が有名であるが、小説もなかなか面白い。
・旅館一家の捕り物描く江戸風物詩「御宿かわせみ」平岩弓枝
このシリーズも2〜3巻を残してすべて集めた。
・喧嘩剣術の御家人「親子鷹」下母沢寛
これは古くからもっているが、いまだに読破していない。
・土方歳三の孤立感「燃えよ剣」司馬遼太郎
司馬遼太郎は、その小説を書く歴史的視点の大きさに共感して、以前は大変よく読んだ。しかし今では、さっぱり手にしなくなった。
・柳生流極意を示す剣客の生涯「柳生兵庫助」津本陽
全巻揃えて買ったが、3から4冊読んで中断している。
・時代小説の新しい魅力を創造「柳生武芸帳」五味康祐
この人は、時代小説よりも、オーディオと音楽の話を繰り返し読んでいる。
・肉体の機能を極限まで活用「甲賀忍法帖」山田風太郎
山田風太郎のくノ一忍法もかつては愛読した。
以上、取りとめのない話でした。






退職サラリーマンの勘違い(2008.5.9)

会社を退職し10ヶ月が過ぎました。その間、趣味とか、農業とか、地域の会合とか、色々な仲間の集まりに参加して、おしゃべりをする機会があるが、話しをしていて時々違和感を覚えることがある。どうも一言多いようである。何が多いかというと、これはこういう風にしたほうが良いのではないかと、こちらは親切心のつもりで、相手の行動を評価しているようである。要らぬお節介というやつである。
会社で中間管理職になったときに、TWI−JRという職業訓練のトレーナーになる教育を受けたことがある。TWIというのは、第2次世界大戦時に兵士の訓練のためにアメリカで開発されたトレーニング法で、日本には今の厚生労働省を通して紹介され、独自に発達した職業訓練法である。JRというのは、職場の管理監督者が、人間関係を円滑に保ち、問題が起きればそれを如何解決するかについての、ひとの扱い方のスキルを向上させる訓練である。
その中に、職場で問題を発生させないための3つの基本的な心構えというのがある。
1. 仕事振りが良いとか、悪いとか、当人に伝える。・・・良い時は褒め、悪い時は指導する。後からあれやこれや言うのではなく、タイミングよく伝える。褒められないとモチベーションが維持できないし、指導されないとレベルが上がらない。良い上司は両方できる。
2. 当人にとって変更のあることは、早く伝える。・・・自分から見ればたいしたことはないと思っても、部下から見れば大変であり早く言ってほしかった、などということにならないように。
3. 部下は個人として扱う。・・・それぞれに異なった家庭があり、価値観も違うのであるから、誰もが自分と同じ考えと思ってはいけない。これは最も難しい。他人の意見を傾聴できることが大切。すぐに説得しようとする人には、部下は本音をなかなか言わない。

言葉にするとこれだけであるが、これを実行するとなると、なかなか大変である。後から何故、人間関係を悪化させる問題が起きたかを反省してみると、上記の3つの心構えのどれかが実行されていないことが多い。
ということで、かなりこの3つの実践が実行できるように、努力をしたものである。しかし、これは監督者と部下との関係では大切なことであるが、当然そういう関係にない者に、たとえ親切心でも、"仕事振りが良いとか、悪いとか、当人に伝える"などということをされたら、言われた方は良い気がしないものである。関係ない人に評価されても、それこそ関係ないからである。(最も当人が、何かアドバイスを求めているならば、状況は異なるが)こんなことは改めて書かなくても分かっているつもりであるが、どうも徹底度が不足しているようである。時々こういうことは本人が気づいたほうが良いのではないか、と思って一言口がすべるようである。

退職サラリーマンの、人間関係で問題を発生させないための基本的な心構えについて、改めて訓練し、身につける必要がありそうだ。






なつかしのレコードコンサート(2008.5.10)

昭和40年に発売された、音楽の友社編の「名曲の案内 上 中 下」をパラパラとめくっていたら、レコードコンサートの招待券が出てきた。40年前の当時は、レコードコンサートなるものが、人気があったのである。このコンサートのお話と解説をされたのが、音楽評論家の志鳥栄八郎氏である。当日のプログラムを紹介します。(以下当日のプログラムより)

・ベートーヴェン 交響曲第6番ヘ長調「田園」/フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル
解説:ベートーヴェンは、この交響曲の総譜の最初に"描写ではなく、むしろ感情の表現"と書いています。自然を愛したベートーヴェンのロマンティックな表現がここに見られ、彼の9つの交響曲中もっともなごやかな感情にあふれています。作曲されたのは1808年で、第5交響曲とほぼ同じころにあたります。曲はそれまでの伝統を破った5つの楽章で書かれ、また作曲者自身が各楽章に標題を附しています。
指揮のフルトヴェングラーは、ドイツが生んだ今世紀最大の巨匠で、すでに1954年に物故していますが、この演奏は歴史的名演として名高いものです。
・ショパン ワルツ集より数曲(1、6、7、9番)/サンソン・フランソワ(ピアノ)
解説:ショパンの作品は、ほとんどすべてがピアノ曲です。ピアノのもつ表現の多様性、美しい音色をこれまでになく、最大にひきだしたこと、とくに珠玉の香りをもつ詩的な表現を与えたことは大きな功績でしょう。ショパンの書いたワルツは全部で15曲あります。これはショパンがウインナ・ワルツを聞いてそのリズムを借りた作曲ですが、いずれも実に詩的で高雅な幻想を漂わせたものばかりです。曲によって華やかな雰囲気のものや、わびしく憂愁の感情のこもったものなど、曲それぞれに様々な変化と特徴があり、すべてが名品といえるものばかりです。
演奏のフランソワは、フランスの大ピアニストです。今年41才という円熟期にあり、"現代のショパン弾き"として最高の評価を得ています。
・ビゼー アルルの女 第1、2組曲/クリュイタンス指揮 パリ音楽院管弦楽団
解説:南仏の地方色豊かな牧歌的音楽「アルルの女」は、歌劇「カルメン」とならぶビゼーの代表的傑作です。これはフランスの自然主義文学の巨匠ドーデの戯曲「アルルの女」の伴奏音楽としてかかれたもので、全部で27曲からなっていますが、のちにビゼーと彼の親友ギローによってこの中から4曲づつ選ばれて、2つの組曲が作られました。今ではこの組曲が特に良く知られています。組曲では、フルートとハープが奏でる美しく素朴な<メヌエット>第2や<アダージェット>の夢幻的な雰囲気、また激しく高潮する<ファランドール>の快調なリズムなどがとくにききどころでしょう。
アンドレ・クリュイタンスは今年60才になるフランスの大指揮者。常任指揮をつとめるパリ音楽院管弦楽団と共に、1964年春に我国へも来演しています。本場フランスの艶やかな美しさと香りをもったキメの細かい演奏は、最高の聴きものといえましょう。
(使用したジャケットは当日のものと関係ありません)

このプログラムに基づき、志鳥栄八郎氏の名解説を思い出しながら、ぼくの手持ちのLPでレコードを聴いています。

追記
志鳥栄八郎氏は「大作曲家とそのレコード 上 中 下」音楽の友社、の中で以下のようなLPを推薦されています。
・ベートーヴェン 交響曲第6番ヘ長調「田園」
 ・ワルター指揮、コロンビア饗
 ・ベーム指揮、ウィーン・フィル
 ・ブロムシュテット指揮、ドレスデン国立管
 ・ヨッフム指揮、ロンドン饗
 ・クリュイタンス指揮、ベルリン・フィル
・ショパン ワルツ集
 ・ルービンシュタイン
 ・リパッティ
・ビゼー アルルの女
 ・クリュイタンス指揮、パリ音楽院管弦楽団
 ・カラヤン指揮、ベルリン・フィル
 ・アンセルメ指揮、スイス・ロマンド管
 ・マリナー指揮、ロンドン饗

 LPの音源だけでもまだまだ楽しみは続きます。






大型と小型スピーカーの使い分け(2008.5.11)

ぼくがオーディオに興味を持ち始めてから、もう随分となる。聞く音楽はジャズとクラシックであるが、オーディオ的にはジャズをメインに音作りをしてきた。マイルス・デイヴィスのミュート・トランペットから、唾が飛び出すようなシャープな音をイメージしてみたり、体に振動として響いて来るようなベースの音にあこがれたりした時期もあった。そのためにスピーカーはずっと大型スピーカーを、それもJBLを好んできた。JBLの少し重く締まった低音が、ぼくのイメージするベースの音であったからである。それとそれぞれの楽器の音像が目の前に再現するのが好み。(最近ではアルテックA7の軽やかな低音も聞いている)
そんなぼくが、数年前、最初にキット屋の試聴室で、タンノイ・スターリングから聞こえてきたクラシックを聞いて衝撃を受けた。それまでに聞いたタンノイのスピーカーのイメージは、箱鳴りのする響きは良いが、シャープさが足りない音、というものであった。それが、左右のスピーカーの音の焦点がぴたっと合って、音が前後の奥行き・左右の広がり共に素晴らしく、まるでコンサートホールのS席で聞いているようであった。大橋店主の腕前に大いに敬服したものである。
いつかこういう音を再生してみたいと、大橋店主のアドバイスも貰いながら試行錯誤したが、最近やっとそれらしき音が出るようになった。スピーカーはKit LS3/5Aである。このスピーカーでなくても良いかもしれないが、オーケストラの音の前後の奥行き・左右の広がりを出そうと思ったら、性能の良い小型スピーカーが断然有利である。(英国系のサウンドを持ったスピーカーが良いと思える)左右のスピーカーの音の焦点を正確に合わそうと思うと、小型の2Wayくらいが、あまり高度な技術がなくてもセッティングしやすいのである。
それともう一つ気づいた事は、部屋の大きさである。ぼくは大型スピーカーを比較的広い部屋に置いて、ジャズを大きな音で聞いているが、そこに小型スピーカーを置いても、音が今ひとつピンと来なかったが、これを半分くらいの広さの部屋にセッティングし直すと、大変ビビットに聞こえて来るのである。部屋の大きさの影響は大変大きい。
従来のぼくであれば、大編成の交響曲は大型スピーカーのほうが、再生に有利に決まっている、と発想したであろうが、そういう曲ほど、音の前後の奥行き・左右の広がりが重要であり、小型スピーカーが良いと、今は思っている。それと小型スピーカーのもう一つのメリットは、音を大きくしなくても聞けるので、夜が更けてからでもクラシックが心地よく聞けるのである。
ということで、大型と小型スピーカーの使い分けをしているのである。まだまだ腕が未熟なために、部屋とスピーカーに頼って、音の前後の奥行き・左右の広がりを再現させているが、さらに腕をあげようとすると、技術の奥は深い。しかし当面は、色々な小型スピーカーの音を聞いてみたいと思っている。






往年の3人のピアニスト(2008.5.12)

ソロモン、ワルター・ギーゼキング、ホロビッツという3人の、往年のピアニストのLPを入手した。
「ソロモン」
・ベートーヴェン/ピアノソナタ第28番、29番

ソロモンのことを僕が知ったのは、評論家の吉田秀和氏が「世界のピアニスト」という著作の中で大変高く評価していたのを読んだからである。「・・・今世紀は幾人かのベートーヴェンの名手を持ったが、ソロモンは、その中でも最高級、最上級にしか数えようのないピアニストである。・・・」このLPで聞かれる29番のハンマークラビア・ソナタは、氏が言うように"この曲でこれ以上の演奏はちょっと思い出せない"くらいに、素晴らしい演奏であると思う。
「ギーゼキング」
・ドビッシュー/ベルガマスク組曲、子供の領分
・ドビッシュー/前奏曲 第1巻

ワルター・ギーゼキングといえば、モーツァルトとドビッシーの演奏が大変評価の高いピアニストであるが、今回入手したLPはドビッシーである。またも吉田秀和氏の言葉を引用すると、"例えば「前奏曲」の中の「沈める寺」の演奏をきいた人は、一生忘れることができない―遠く暗い海の底からかすかに響いてきたものが、次第に姿をとってきて、ついには目もくらむような壮大な伽藍となって、私たちの前にそびえ立ったかと思うと、また、消えてゆく、その間の音の描くもの。あれは力強さと微妙さの無類の結びつきだった。あの演奏一つだけでも、ギーゼキングは、歴史に残るに値したのではなかろうか?・・・"
「ホロビッツ」
・ホロビッツ・コレクション第1集
・ホロビッツ・コレクション第2集

ホロビッツのピアノのイメージは、研ぎ澄まされたような音色で、スピード感があり、それでもって憂いを含んでいる、言葉にするとこういうことか。このLPは、1942年から55年にかけて、若き日のホロビッツがRCAに録音した演奏である。曲は、モーツァルト、シューマン、メンデルスゾーン、ショパン、スクリヤービン、バーバー、プロコフィエフ、ムソルグスキー、サンサーンスなど多岐に渡っている。
以上、往年のピアニストの話でした。














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