ジャズ・オーディオの雑記帳
by 6041のS

名曲鑑賞会「ピアノトリオ編」(2008.7.1)

6月17日に書いた「テナー編」についで、「ピアノトリオ編」を紹介します。

・ケニー・バロン 「ザ・モーメント」
     レザヴォアRSR CD 121 1991年

1.フラジャイル
スティングの名曲フラジャイルを、ケニー・バロンが大変リリカルに演奏している。演奏の後半から始まるルーファス・リードのベースソロ、その沈み込みの凄さを堪能してください。

2.ジャッキーイング
何も言うことはありません。とにかくヴィクター・ルイスのドラムの演奏を楽しんでください。時としてシンバルが耳を裂くような凄い音を出します。


・ニューヨークトリオ 「夜のブルース」
     ビーナス TKCV−35154 2001年

3.一晩中踊れたら
ビル・スチュワートのブラシがサクサクと軽やかにリズムを刻み、ジェイ・レオンハートのベースがゴリゴリとしゃしゃり出て来る。そしてビル・チャーラップのピアノが歌うようにメロディーを奏する。

4.ドントエクスプレイン
ビル・チャーラップのピアノが1音入ると、覆い被さるようにジェイ・レオンハートのベースが鳴り響く、暗雲のように。ビル・スチュワートのドラムも暗い。暗く美しい曲です。


・トミー・フラナガン 「ジャズ・ポエット」
     タイムレス MYCJ-30180 1989年

5.レインチェック
ビリー・ストレイホーンの名曲。ジョージ・ムラーツの原メロディを生かした、リズミックで超絶技巧的なベースソロが聞ける。ここでのトミーは、まさに絶好調と言っていいほどの乗りで、小節ごとに印象の異なるフレーズを繰り出している。

6.ミーン・ストリーツ
アルバム「オーバーシーズ」ではベルダンディというタイトルで入っていた曲。ここではケニー・ワシントンのスピードの限界に挑戦したようなブラシワークが冴えている


・デヴィッド・ヘイゼルタイン 「不思議の国のアリス」
     ビーナス TKCVー35327 2003年

7.ビューティフル・ラブ
ピアノのイントロのあと、いきなりジョージ・ムラーツのベースソロが始まる。その低音の心地よさをまず味わってください。そしてすべての楽器が前へ前へと飛び出してくる、ビーナスのこれがジャズだという録音を楽しんでください。

8.ダニーボーイ
前半のヘイゼルタインのリリカルなピアノと、後半のムラーツのベースソロの対比があざやかです。どちらもしっとりと聞かせる。


・ホッド・オブライエン 「ソー・ザット・ハウ・イット・イズ」
     レザヴォア RSR CD 155 1997年


9.ウイル・ユー・スティル・ビー・マイン
まずはレイ・ドラモンドの地を這うような低いウォーキングベースに耳を奪われます。リズムのメリハリばっちりのなかで、オブライエンの乗りの良いピアノが冴えます。


・クリスチャン・マクブライド 「ゲッティング・トウ・イット」
     ヴァーブ 314 523 989−2 1995年

10.アラバマに星落ちて
フランク・シナトラの名唱やキャノンボール・アダレイの名演で知られる曲。ここではベースの若き名手クリスチャン・マクブライドがピアノとドラムをリズム隊に従えてベースソロを展開している。


・ケニー・バロン 「ウォントン・スピリット」
     ヴァーブ 522 364−2 1994年


11.テイク・ザ・コルトレーン
まずチャーリー・ヘイデンの骨太のウォーキングベース、ロイ・ヘインズの華麗なドラムテクニック、そしてケニー・バロンの打楽器的なピアノ奏法。そのスイング感を味わってください。







リズムギターの名手フレディ・グリーン(2008.7.2)

コンコードからハーブ・エリス名でクレジットされている「Rhythm Willie」と言うアルバムを聞いていて、改めてフレディ・グリーンというリズムギターの名手の偉大さを認識した。このアルバムの最初の曲、It had to be youの出だしは、何ということはないピアノトリオのイントロで始まり、すぐにハーブ・エリスのソロとなり、しばらくするとフレディ・グリーンのリズムギターが聞こえてくる。すると不思議、まず名手レイ・ブラウンがコードを弾くのをやめて、エリスのカウンターパートのようなメロディを弾き始める。ピアノのロス・トンプキンスもコードをつけるのを止めてメロディラインを引き始める。ドラムのジェイク・ハナだけがグリーンとリズムをキープしている。要するにグリーンのリズムギターがあれば、コードとリズムのキープは十分であり、快適にスイングするのである。だからベースもピアノもメロディパートに回ることが出来るのである。フレディ・グリーンのギターが加わることによって役割が変わってしまうのである。これはすごいことである。もちろん例えばOrange, Brown and Greenと言う曲(オレンジはハーブ・エリスのこと)では、ブラウンとグリーンがぴたっと息の合ったコードワークを聞かせさすがと言う演奏もある。フレディ・グリーンは最後までリズムギターに徹し、ここでもソロを取ることはない。
・Rhythm Willie/ Herb Ellis and Freddie Green (1975)
Ray Brown(b)Herb Ellis(gt)Freddie Green(gt)
Jake Hanna(ds)Ross Tompkins(p)
1 It Had to Be You 2 Rhythm Willie 3 Gee Baby, Ain't I Good to You 4 A Smooth One 5 When My Dreamboat Comes Home 6 Conversations 7 I Want a Little Girl 8 Orange, Brown and Green
フレディ・グリーンはカウント・ベイシー楽団でオールアメリカン・リズムセクションと言われたリズムセクションの中心的人物で、ベイシーの楽団がスイングするのは彼のリズムギターがスイングするからと言われている。彼はソロを取ることはなくバックに徹しているが、ベイシー楽団の初期にはソロを取ることもあったが、彼がソロを取ると途端にバンドがスイングしなくなると言うことで、ソロを取ることを諦めたようである。その間の事情について、ビル・クロウがジャズアネクドーツという本で、ハリー・エディソンから聞いた話として書いている。
フレディはチャーリー・クリスチャンとも仲が良く、彼からギターアンプをもらい、ソロを取る時にはこのアンプを使っていたが、彼のリズムギターがいなくなると途端にバンドがスイングしなくなる。そこでバンドのメンバーが彼にソロを取らせまいとして、アンプのコンセントを抜いたり、アンプの配線を断線させたり、最後にはとうとうアンプ本体を抜き取ってしまい、空の箱だけにしてしまった。それでフレディもあきらめてソロを取らなくなってしまった。彼がソロを取っていれば、今頃はトップのソロイストになっていたと思うが、スイングしないバンドでは困るので、ベイシー楽団としては今のやり方が良かったと思っている。と言うようなことである。そんなフレディであるので、彼がリーダーのアルバムは、1955年にRCAに録音したNatural Rhythm一枚のみである。ベイシー楽団での録音以外では、上記のRhythm Willieとフランク・ウエス名でSAVOYに1956年に録音したOPUS IN SWINGが好きである。






ケニー・ドーハム(2008.7.3)

ぼくはケニー・ドーハムというトランペッターが好きである。中音域を使って、良くコントロールされた音で、しかも力強く吹くトランペットは、哀愁を感じ日本人好みであると思う。だが渋めのトランペッターであるので、あまり華やかな曲を演奏すると、場末の演歌になってしまう。彼がオータム・イン・ニューヨークとかロータス・ブロッサムといったバラードを中音で力強く吹くと、まさに哀愁であり、誰にも出せない彼独特のものである。
かれは1924年に生まれ、1972年に48歳の若さでなくなっている。その主な経歴を整理してみると、1948年から1950年(24〜26才)の3年間マイルスの後釜として、チャーリー・パーカーの楽団で活躍した。この時の彼のトランペットは、まるでマイルスであり彼独特の音色にはなっていない。その後ブルー・ノートに録音し、1955年(31才)には「カフェ・ボヘミヤのジャズ・メッセンジャーズ」に参加する。その影響を受けて、1956年には自らジャズ・プロフェッツを結成し、「カフェ・ボヘミヤの夜」のライブ録音をする。しかし同じ年に、クリフォード・ブラウン亡き後のマックス・ローチに誘われ、1958年(34才)までマックス・ローチ5に参加する。その後はフリーとして参加したり、自己名義のグループで録音したりした。ロータス・ブロッサムとかページ・ワン、ブルー・ボッサといった曲は彼の作曲による。

・Kenny Dorham - 'Round About Midnight At The Cafe Bohemia (Blue Note) 1956
ケニー・ドーハムのアルバムを1枚挙げるとしたら、ぼくはこの「カフェ・ボヘミヤの夜」が好きだ。特にオータム・イン・ニューヨークという曲を良く聞く。JR・モンテローズのテナーもケニー・バレルのギターもしっとりしている。そしてバックのリズムもとてもよくスイングしていて素晴らしい。さらにバンゲルダーの録音がライブの雰囲気を良くとらえ期待通りである。



・Barney Wilen - Barney (RCA) 1959
このアルバムの素晴らしさについては、昨年の10月11日の雑記に書いているので省略する。



・Kenny Dorham - Quiet Kenny (New Jazz) 1959
このアルバムは日本では一番人気のあるアルバムであるが、米国ではあまり高く評価されていない。ケニー・ドーハムがワンホーンで演奏している。ぼくはロータス・ブロッサム1曲で十分である。ドーハムのトランペットのみを全曲通して聞くのは、ぼくには少々辛い。



・Kenny Dorham - The Art Of The Ballad (Fantasy) 1953-59
このアルバムは、ケニーがリバーサイド、デビュー、ニュージャズといったファンタジーGのレーベルに、アーニー・ヘンリィ、オリバー・ネルソン、ハロルド・ランド、キャノンボール・アダレイと共演して録音した複数のアルバムより、バラードプレイを集めて編集したオムニバス盤である。色々と変化にとんだ演奏を聴くことが出来重宝している。元となったアルバムは、「ケニー・ドーハム・クインテット+2」「ジャズ・コントラスツ」「2ホーン・2テナーズ」「ブルー・スプリング」「プレゼンティング・アーニー・ヘンリィ」「ミート・オリバー・ネルソン」と思われる。(厳密な検証までは出来ていないが)



ぼくはケニー・ドーハムの場合は、彼のワンホーン・カルテットよりも、サックスを入れての共演のほうが好きである。ここにあげたアルバム以外にも、ジャッキー・マクリーンと共演した「マタドール」とか「カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ」、ジョー・ヘンダーソンとの「ページ・ワン」なども好きである。(マックス・ローチとの共演アルバムはあまり聞いていないので、コメントできない)






七夕の日に思う(2008.7.7)

今日から日本でG8が始まった。原油や食料価格の高騰、地球温暖化問題など地球規模の視点で考えれば、当然解決しなければいけない問題であるが、地球全体に目配りして責任を持っている人、もしくは組織はないので、各国が協力・協調して解決に当たる必要があるが、さてその方法論となると、各国の利害が絡んできて、なかなかすんなりとは行かない。まさに人間の叡智が試されているようである。
そんな中で自分に出来ることは何か。まずは我が家の食料の自給率を上げるために、しっかりと野菜を作ろうと思う。必要以上に出来たものは、身近な人たちに食べてもらおうと思っています。最近強調されている言葉にフードマイレージというのがあります。
「フードマイレージ (food mileage) は、「食料の (=food) 輸送距離 (=mileage) 」という意味。重量×距離(たとえばトン・キロメートル)であらわす。食品の生産地と消費地が近ければフードマイレージは小さくなり、遠くから食料を運んでくると大きくなる。1994年にイギリスの消費者運動家のティム・ラング Tim Lang 氏が提唱した概念。フードマイル food mile とも。日本では、農林水産省農林水産政策研究所(所長・篠原孝=当時)によって2001年に初めて導入された。
基本的には「食料品は地産地消(生産地と消費地が近いこと)が望ましい」という考え方に基づく。生産地と消費地が遠くなると輸送にかかわるエネルギーがより多く必要になり、地球環境に大きな負荷をかけることになるほか、生産地と消費地が異なる国で発展途上国と先進国という組み合わせだった場合には特に顕著だが、生産地が消費地からの大きな経済的圧迫を受けるといった問題も指摘されている。フードマイレージの数値が大きければ大きいほど、その消費地は食料に関して贅を尽くしているとされる。農林水産省の2001年の試算によると、日本のフードマイレージは、総量では世界中で群を抜いて大きく、国民一人当たりでも一位となっている。これについて農水省幹部は「現代の日本人が歴史上のどの時代における、どの国の王侯貴族よりも贅沢な食事をしていることになっている」と解説している。」出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「世のため、人のため、地球のため、それが自分のため、子供のため」と思えるような視点でもって、自らに出来るテーマを見つけて実践したいと思う。






ハードオフで見つけたジャズギターのCD(2008.7.8)

3ヶ月くらい前に、知立のハードオフにジャズギターのCDがまとめてジャンク品として出ていた。ギター奏者のアルバムは沢山聞いていないので、とりあえず8枚ばかり買ってきて、机の上にしばらく積んであったが、最近やっとそれを聞いている。ジャズギター奏者の演奏は、なかなか特徴がつかめず、名前を聞いただけでその演奏が頭に浮かんでくる人は少ない。こんなことが気かけでジャズギターを聞き込んでみた。

Stop And Listen / Baby Face Willette / Blue Note 1961
オルガンのウィレット名のアルバムであるが、ギターのグリーン、ドラムのディクソンと言ったトリオの演奏で、もともとオルガン自体がソウルフルな楽器であるが、このメンバーでR&Bの曲であるChances Are Fewなんかを演奏すると、このアーシーな感じはたまらないですね。



Grantstand / Grant Green / Blue Note 1961
グラント・グリーンのアルバムでは、ゴスペル調のFEELIN' THE SPIRITがぼくのもっともお気に入りであるが、彼のシングルトーンでソウルフルに歌うメロディラインが好きである。このアルバムもその雰囲気がたっぷりあり、なかでもMy Funny Varentineのソロは秀逸である。



Live At Club Mozambique / Grant Green / Blue Note 1971
このアルバムをジャズと言うのか、しいて言えばファンクジャズとでも言うべきか。ちなみにAMGとかペンギンのジャズガイドブックには載っていない。こんなジャズもあるという一枚。



Kenny Burrell Vol.2 / Blue Note 1956
このアルバムは中身のよさと共にジャケットのデザインでも、アメリカのポップアートの巨匠ANDY WARHOLの作品と言うことで有名である。これはウォーホルがケニーのギター演奏のファンだったようである。ホーンライクに歌うブルージーなフレーズの、しかもハードバップ・ギタリストの演奏がここにはある。



Kenny Burrell & John Coltrane / Prestige 1958
ケニー・バレルとジョン・コルトレーンが共演したアルバム。コルトレーンとギタリストとのデュオは本作のWhy Was I Bornが唯一のものである。しっとりとしたバレルのギターと少し緊張感のあるコルトレーンのテナーの妙である。



Jimmy Raney Featuring Bob Brookmeyer / Verve 1956
こういうギターはじっくりと聞き込むと良さがわかるかもしれない。ブルックマイヤーのトロンボーンも含めて地味な演奏に聞こえる。1曲目に入っているIsn't It Romantic?の様なメロディラインの美しい曲ではよさが理解できるが。



Easy Like / Barney Kessel Vol.1 / Contemporary 1953-56
ポール・ウィナーズで活躍したバーニー・ケッセルの1953〜56年に録音したリーダー・セッションをまとめたアルバム。彼の洗練されたハードバッパーぶりがここでも聞かれる。シェリー・マンの見事なブラッシュワークはここでも健在である。



Conversation / Michel & Tony Petrucciani / Dreyfus Jazz 1992
このアルバムはミッシェル・ペトルチアーニ(p)が父親のトニー・ペトルチアーニ(g)とのデュオによる、1992年に故国フランスのリヨンでのライブ録音。親子の共演と言うと、心温まるというイメージがあるが、このアルバムはそれ以上に火花を散らすような緊張感あるものである。父親のギターの腕前も素晴らしい。



以上、何かコメントをしようと、スピーカーと向き合って聞いたジャズギターのCDでした。ぼくはこれまでジャズギターといえば、ウエス・モンゴメリー、タル・ファーロウ、くらいしかしっかりとしたイメージを持っていないので、大変良い機会となりました。それにしてもこの様なジャズギターのアルバムばかりを、ハードオフに持ち込んだ人は、ギターが好きなんでしょうね。















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