ジャズ・オーディオの雑記帳
by 6041のS

夢や憧れについての感情(2008.11.30)


「今は」   落合朱美

赤毛のアンを読んでいても
ゲーテやヘッセの詩集を見ても
たとえ
国語辞典を丸暗記していても
今は
あなたにささげる
言葉一つすらさがせない
あなたがあまりにも遠すぎて
弱虫な私には
声をかけることも
手紙を書くこともできない
だから今は
あなたの写真を
そっと見つめているだけ
(作者が中学2年生の時の作品)


「今は」   生野 恭

赤毛のアンに身をダブらせて
ゲーテやヘッセの詩を愛した
そんな少女の言葉に
ぼくはめぐり会った。

そのやさしさを何に例えよう
ばら ゆり はと よりも
おまえだけと歌った
デュッセルドルフのあの人か

厭々それよりも
もっと強い衝撃が
ぼくの眠った心を呼び覚ます

さがしていた言葉は
見つかっただろうか
きっとあると信じたいのです
(上の詩を読んだ感情)


あの娘(こ)はカスミ草が好き   生野 恭

情熱の赤いバラ
艶やかに匂う白いユリ
秘めやかなガーベラ
明るいカーネーション
花はたくさんあるけれど
わたしはカスミ草が好き

バラ、ユリ、ガーベラ、カーネーション
カスミ草で そっとつつんでやれば
みんな 華やかで優しくなる
一つ一つは秘めやかで 小さいけれど
とっても包容力のあるカスミ草
わたしはそんなカスミ草が好き

あの娘はカスミ草に
そっと触れてそう言った


時計が正確に時を刻み

時計が正確に時を刻み、夜の、一人で思索する時間がやってくる。
自分の考えや、感情を、今まで如何に多くの言葉で語ったか。
でも、どんなに言葉を重ねても、それを誰が理解してくれたのだろう。

それでも私は、表現したい衝動を思索し、言葉を探す。
今まで自分の目や耳で、自ら体験したり、読書したりして、
集めた言葉より、丹念に、焦らずに時間をかけて。

こうした作業を積み重ねて、分身たちが出来上がっていくが、
私の手を離れると、届けたい私の気持ちはもどかしく、
彼らは彼らで、勝手にしゃべりだす。

時のたつのも忘れて、私が時間をかけて誕生させた分身たちが、
愛する人に、何を伝えたか、私は考えている。
そして思う、言葉は空しい。理解されているという確信が大切だと。

時計が正確に時を刻み、私の人生の多くが過ぎ去った。
それでも、戻ることの出来ない、過去をふり返りたくない、
理解してくれる人がいれば、その人を愛し、表現し続けたい。
生野 恭


彼女の歩く姿は美の化身

彼女のほっそりとして、しなやかに、歩く姿は、
美の化身のようだ。
まるで雲ひとつないよく晴れた、
漆黒の天空に輝いている星星のように。
光と闇が織り成す、絶妙のコントラストが、
彼女の眼差しと全身を飾る。

彼女の優しい微笑みは、太陽の輝く光も及ばない。
光に映し出された、黒髪になびく顔の美しさは、
一つの翳り、一つの憂いさえも、わたしの心を乱す。
変化を見ていると、
数々の想いが静かに姿をあらわし、
清らかで、みやびた表情をとどめる。

やさしく、静かに、語りかける声の響きは、
わたしの心を誘い、輝かせ、
幸せな、過ぎた日の思い出と、
明るい未来を語ってくれる。
まわりを明るくし、人々に愛されるその人柄は、
わたしの心に秘めた愛を告げる。
生野 恭


あこがれ

あなたは、わたしの心に秘められていたものを
思い出させてくれた。
あなたは、わたしの心の糸に触れる
春のそよ風

あなたは、わたしの心を熱くたぎらせて
わたしの胸を焼き尽くす。
それでもあなたは、わたしの孤独な心をうめる
夜の星

あなたのその黒い瞳に魅入られて、
わたしの心が、どんなに揺れているか。
あなたのその笑顔を見るたびに、
わたしの心が、どんなにせつなく乱れるか。

私がいかに望んでも、
そよ風は捕まえられない。
夜の星には手が届かない。
わたしの心は泣いている。 
生野 恭


虹が光る十月

空は抜けるように青く、
日差しは柔らかく、
すべての木々が色づいている。
ぼくの気持ちもさわやかだ。
ぼくがこんな気持ちになれたのは、
気候のせいだけでもない。

人を愛しいと思い、
そのことによって得た、
感動、苛立ち、寂しさ、
すべてが時間と共に和らいだ。
残っているのは何か。
やはり、愛しい気持ちである。

夕日を浴びて、いつしか
西の空に、虹がかかっている。
とても大きな虹である。
きっとあそこでも、
雨が降ったのであろう。
ぼくも大きな虹をかけてみたい。
生野 恭


高原の秋

山はもう秋だ。
カラマツの林のなかを、
風が通り過ぎると、
真っ黄に染まった、
繊細なカラマツの葉が、
ダイヤモンドダストのように
風に乗って、降りそそぐ。

真っ青な空には、
柔らかな日が溢れている。
あざやかに赤く染まった、
ななかまどの葉が、
逆光を浴びて、
ステンドグラスの
モザイク模様に、
きらきらと輝いている。

こんなに美しい、
自然の中に、身をおいて、
ぼくは一瞬の時を過ごす。
生野 恭



夕焼け

西の空を赤く染めて
夕日が沈む
夕焼け雲のカーテンが
目に染みる

それをじっと
眺めていると
何だか胸が
切なくなってくる

この切なさは
何だろう
ぼくが一人ぼっちの
せいなのか
生野 恭


大切なもの

大切なものはシンプルであり
自然とともにある。
太陽、花、水、朝の空気
そして愛。

私たちは、ときめくような愛に
疲れを感じ、
やがては、穏やかな関係を
望むようになる。

大切なものはシンプルであり
君とともにある。
笑い、涙、しぐさ、思い
そして愛
生野 恭


 冒頭に引用した、詩人の落合朱美さんの「今は」という詩は、作者が中学2年生の時に書いたものであり、その感情に共鳴して生野恭が落合さんのホームページ投稿したのがその続きである。「あの娘(こ)はカスミ草が好き」はその延長の感情を表現したものである。
「時計が正確に時を刻み」から「大切なもの」までの7編は生野恭が書きとめたものであり、そこに載せた4枚の絵は、友人のT.K.君が鹿児島をスケッチしたものである。










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