ジャズ・オーディオの雑記帳
by 6041のS

不滅のジャズライブ‐モダンジャズ編(2009.3.5-11)


 1990年代であると思うが、正確にはいつとはっきりしないが、NHKのFM放送で「不滅のジャズライブ」という特集番組があり、進行を児山きよしさん、解説が油井正一さんで放送された。5日間連続で放送され、第1日目がデキシーランドジャズ特集、第2日目がスイングジャズ、第3日目と4日目がモダンジャズ、最後の5日目がジャズヴォーカルであった。今回その時の録音テープが出てきたので聞き返しているとなかなか楽しいので、その中のモダンジャズ編についてまとめてみる。
 このテープのことはすっかり忘れていたが、整理しようと思ったのは、2007年の6月に知立のジャズ喫茶「グット・ベイト」で「ライブハウスの夜」というタイトルをつけてレコード・コンサートをやったことがあり、その時のぼくの選曲との違いも興味深いものがあるからであり、ぼくの聞いたことのないものがあるからである。

 第1部:今は無き伝説のジャズクラブにおけるライブ
 「カフェ・ボヘミア」ニューヨーク、1955-58
 このクラブの音楽監督をしていたオスカー・ペティフォードが自分の楽団のエンディング・テーマに作曲したのが「ボヘミア・アフター・ダーク」という曲である。曲名はこのクラブに敬意を表わしてのことである。そして地方からニューヨークにやって来たキャノンボール・アダレイがこの店でオスカー・ペティフォードのバンドに飛び入り参加して、みんなをあっといわせ一躍有名になったという逸話も残っている。ケニー・クラークのボヘミア・アフター・ダークというアルバムはこれがきっかけで製作され、キャノンボールの溌剌としたプレイが聞ける。ジョージ・ウォーリントン、マイルス・デイヴィス、アート・ブレイキー、ケニー・ドーハム、J.J.ジョンソン、チャールス・ミンガス、らのライブ盤が有名。
 ★The Jazz Messengers at the Cafe Bohemia/ Art Blakey/1955.11

 ケニー・ドーハム、ハンク・モブレイ、ホレス・シルヴァー、ダグ・ワトキンスを擁する"オリジナル・ジャズ・メッセンジャーズ"の「カフェ・ボヘミア」でのライブ演奏。ブレイキーが演奏者に合わせてドラミングを変えるなど精細なところを見せ、熱い演奏をしている。取り上げた演奏は「ソフト・ウィンズ」である。

 「ハーフ・ノート」ニューヨーク
 ここも有名で多くのジャズメンがライブ盤を録音している。アル・コーンとズート・シムズ、ドナルド・バード、ジョン・コルトレーン、ホレス・シルヴァー、ズート・シムズ、ケニー・ドーハム、ウイントン・ケリーとウエス・モンゴメリなど。
 ★A Night at the Half Note/ Al Cohn and Zoot Sims/1959.2

 テナーバトル盤の白眉といえば、このアル・コーンとズート・シムズの「ハーフ・ノートの夜」であろう。ウッディ・ハーマン楽団でフォー・ブラザーズのメンバーであった二人だけに息もぴったりで、バトルというよりも共演といったほうが良い演奏である。取り上げた演奏は「It Had To Be You」である。ぼく的には、1曲目の「Lover Come Back To Me」の方が好みであるが。

 「ファイブ・スポット」ニューヨーク
 ビレッジ・ヴァンガードと並び、ジャズのライブ録音で有名なニューヨークのクラブ。「ブルース・マーチ」や「アイ・リメンバー・クリフォード」を作曲したベニーゴルソンの「ファイブ・スポット・アフター・ダーク」はこのクラブにちなんだ名曲である。このクラブにはセロニアス・モンクやチャールス・ミンガスがレギュラー出演していた。ジョン・コルトレーンとモンクの白熱したセッションもここで行われた。エリック・ドルフィ、ペッパー・アダムス、ケニー・バレル、セロニアス・モンク他多数がこのクラブでのライブ録音を残している。
 ★10 to 4 At The 5 Spot/ Pepper Adams/1958.4

 タイトルの意味は「ファイブ・スポットの10時から4時」という意味。ペッパー・アダムスのゴリッとしたバリトンサックスの音色を児山さんは大好きだといい、油井さんはあわないといい、ハーリー・カーネイとジェリー・マリガンを好みだといっている。取り上げた演奏は「ハスティングス・ストリート・バウンス」である。
 ★At the Five Spot/ Eric Dolphy and Booker Little/1961.7

 ファイブ・スポットでのライブ録音の中で傑作中の傑作といわれるのが、エリック・ドルフィとブッカー・リトルが共演したこのアルバムである。ジャズの新しいスタイルを先取りしたような熱演で、取り上げた演奏は「ファイアー・ワルツ」である。

 「プラグド・ニッケル」シカゴ
 プラグド・ニッケルはシカゴのオールドタウンの一角にあった、もっとも本格的なジャズクラブであった。ジミー・スミスやホレス・シルバーといったファンキーなジャズが好評を博するような熱い雰囲気があった。ライブ盤ではマイルスがダントツ。
 ★The Complete Live At The Plugged Nickel 1965/ Miles Davis/1965.12

 このアルバムはマイルスのアコースティックな演奏の頂点を極めた作品で、これ以降のマイルスはエレクトリック・バンドへと移行していった。コンプリート盤のCDには40曲近い演奏が収められており、曲そのものは従来から演奏している曲が多いが、そのスタイルはかなりフリーな演奏となっている。取り上げられた演奏は「Milestone」「Autumn Leaves」の2曲。

 「カーネギー・ホール」ニューヨーク
 第1部の最後に登場したのがカーネギー・ホール、ここはリンカーン・センターが出来るまではクラシックの殿堂であった。ここで最初にジャズを演奏したのがベニー・グットマンであった。そのあとチャーリー・パーカー、クリフォード・ブラウン、セロニアス・モンク、マイルス・デイヴィス、デーブ・ブルーベック、スタン・ゲッツ、その他の一流ジャズメンが演奏している。
 ★Charlie Parker Memorial Concert Live /Various Member/1965.3

 このアルバムはチャーリー・パーカー没後10年を追悼して、ゆかりのメンバーが集まって行われたコンサートの記念盤である。取り上げられた演奏は「Blues For Bird」ここではリー・コニッツがパーカーへの敬愛の念をこめて切々としたソロをとっている。そしてもう1曲が「Bird Watcher - Disorder At The Border」ここでは一変して豪華なジャムセッションとなる。メンバーはディジー・ガレスピー(tp)、ケニー・ドーハム(tp)、J.J.ジョンソン(tb)、リー・コニッツ(as)、ビリー・テイラー(p)、トミー・ポッター(b)、ロイ・ヘインズ(ds)である。

 第2部:ピアニストのライブ
 「ビレッジ・ヴァンガード」ニューヨーク
 いわずと知れたビレッジ・ヴァンガードは世界最古のジャズクラブであり、1934年から開店している。50年代に入りジャズ専門のナイト・クラブとして営業し、枚挙に暇のないほど多くの第一線のミュージシャンが出演している。この店は、月曜日はマンデイ・ナイト・オーケストラというリーハーサル・フルバンドが出演することでも有名である。サド・メル・オーケストラが長いことレギュラー・オーケストラとして出演していた。ライブ盤のベストはジョン・コルトレーンの「ヴレッジ・ヴァンガードのジョン・コルトレーン」「ヴレッジ・ヴァンガードのコルトレーンとドルフィ」「インプレッションズ」か。これ以外にもソニー・ロリンズ、ビル・エバンス等の有名盤がある。
 ★Waltz For Debby / Bill Evans/1961.6

 ビル・エバンスがベーシストのスコット・ラファロを迎えてピアノ・トリオを結成し、ポートレイト・イン・ジャズというアルバムを発表したのが1959年の暮れでした。それから1.5年経って、ビレッジ・バンガードでのライブをサンデイ・アット・ザ・ビレッジ・バンガードとワルツ・フォー・デビィという2枚のLPとして発表したのが1961年の6月です。そしてその11日後にスコット・ラファロは交通事故で亡くなりました。取り上げられた演奏は「My Foolish Heart」「Waltz For Debby」の2曲です。

 「ビレッジ・ゲイト」ニューヨーク
 ニューヨークのグリニッジ・ビレッジの入り口(Gate)にあるのがこのビレッジ・ゲイトです。ここでも多くのジャズメンがライブ盤を残しています。ぼくの好きな歌手クリス・コナーやハービーマンなどが良く知られています。

 Doin' The Thing / Horace Silver/1961.5


 5月にシルバーがこのアルバムに残したような、ファンキーなジャズを演奏している時に、6月に近くのビレッジ・ヴァンガードでビル・エバンスがまったく違ったアプローチのジャズを演奏しているといった面白い対比が見られる。取り上げられた演奏は「Filthy McNasty」です。

 「プレリュード」ニューヨーク
 このクラブでのライブ盤はレッド・ガーランド以外にもあるだろうか?良く分からない。
 RED GARLAND AT THE PRELUDE / RED GARLAND/1959.10

 レッド・ガーランドらしさが良く出ている、リラックスした楽しい演奏である。演奏されている曲は「レット・ミー・シー」「プレリュード・ブルース」「ジャスト・スクィーズ・ミー」の3曲である。

 「ハーフ・ノート」ニューヨーク
 ズートとアル・コーンで取り上げたハーフ・ノートである。
 Smokin' At The Half Note / Wynton Kelly Trio Wes Montgomery/1965.6

 このアルバムも、名盤といわれているものの一つです。ウイントン・ケリーのピアノ・トリオにギターのウエス・モンゴメリーが参加して、まさに白熱の演奏を展開しています。ウエス・モンゴメリーといえばギターで1オクターブ離れた音を同時にユニゾンで演奏するという、いわゆるオクターブ奏法のテクニックを多用した人でもあります。
 取り上げられた演奏は「No Blues」です。ここでもウエスのアドリブが静かに始まり、徐々に、徐々にと白熱を帯びてくるとオクターブ奏法が冴えまくり、あまりのすごさにウイントン・ケリーが聞きほれて、バックを取るのを時々止めてしまっています。もちろんウイントン・ケリーもウエスに触発されたのか、素晴らしくスイングしています。またチェンバースのベースソロも負けずに熱を帯びています。まさに白熱のライブ盤です。

 「スポット・ライト」ワシントンDC
 Washington D.C.というか、George Townにあるジャズクラブ。このクラブのほかに「Cellar Door」というクラブもある。
 Ahmad's Blues / Ahmad Jamal/1958.9

 マイルス・デイヴィスの演奏に影響を与えたといわれるアーマド・ジャマルは、ピアノの間の取り方に独特のものがある。マイルスはレッド・ガーランドにアーマッドのようにピアノを弾けと要求し、そのように演奏したアルバムもある。ここで取り上げられた演奏は、「アーマッド・ブルース」「スカッティ・ルー」の2曲。

 「エッセン・ジャズ・フェスティバル」ドイツ
 西ドイツで開かれたジャズ祭。
 The Essen Jazz Festival Concert / Bud Powell/1960.2

 演奏しているメンバーは、バド・パウエル(p)、オスカー・ペティフォード(b)、ケニー・クラーク(d)、後半にコールマン・ホーキンス(ts)が参加し、ここで取り上げられた演奏は「ジョンズ・アビー」「ソルト・ピーナッツ」である。

 「ロンドン・ハウス」シカゴ
 シカゴのノースミシガン通りにあるのがロンドン・ハウスで、プラグド・ニッケルとならび知名度の高いライブハウスである。ここはオスカー・ピーターソンのライブ盤がダントツ。
 London House Sessions [Box Set] / Oscar Peterson/1961-62

 オスカー・ピーターソンの演奏についてはどれも素晴らしい。ここで取り上げられた演奏は「クロース・ユア・アイズ」「クバノ・チャント」である。

 以上こまごまと書きましたが、取り上げた演奏以外の文章については、ぼくが勝手に書いたものであり、放送とは関係ありません。
 それにしてもジャズの素晴らしいライブアルバムが、まだまだ沢山ありますね。「ライブハウスの夜」パート2が出来そうですね。

 「追加」
 BOHEMIA AFTER DARKを聞くアルバム。
 ・BOHEMIA AFTER DARK/KENNY CLARKE
 ・Cannonball Adderley Quintet In San Francisco


 ・ZOOT SIMS QUARTET/ZOOT SIMS

 ぼくはズートがアルトで演奏したものの方が好きである。

 FIVE SPOT AFTER DARKを聞くアルバム。
 ・BLUES ette / Curtis Fuller

 作曲者のベニー・ゴルソンも参加したこのアルバムで決まりである。









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