ジャズ・オーディオの雑記帳
by 6041のS

モーツァルト交響曲第38番「プラハ」(2009.5.1)


 ぼくはモーツァルトの音楽を昔から聞いているので、それぞれの曲に色々な思い出がある。昔は一番好きだったピアノ協奏曲では、エラートのピリスの演奏に出会った時の強烈な印象とかアシュケナージの美しさ、それから交響曲ではワルターやセルと出会ったこと、大好きなセレナードとディベルティメントについてはいつか雑記帳に書いた、などなど、である。今回またぼくにとっての新しい発見があった。
 先日リサイクルショップで買ったLPのなかに、ニコラウス・アーノンクール指揮、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団が演奏する、モーツァルトの交響曲第38番「プラハ」があった。ぼくはモーツァルトの交響曲については、いわゆる3大交響曲といわれる、39番、40番、41番、それと35番「ハフナー」、36番「リンツ」などを良く聞くが、この38番については今ひとつピンと来ていなかった。それがこのアーノンクールの演奏を聞いて、本当にこれは素晴らしいと思ったのである。
 どう素晴らしいと思ったか、言葉に表わす必要があるが、まずは演奏時間を比較した表を作ってそれを眺めてみた。

演奏者 第1楽章 第2楽章 第3楽章 録音年月 レーベル

★ワルター指揮・コロンビア交 10:50 9:00 4:05 1959・12 CBS
★ベーム指揮・ウィンフィル 13:38 8:51 6:20 1979・3 DG
★カラヤン指揮・ベルリンフィル 10:04 9:52 5:46 1970・9 EMI
★ヨッフム指揮・アムステルダム 10:45 8:55 7:25 1961・12 フォンタナ
★アーノンクール指揮・アムステルダム 19:25 11:00 7:50 1981・9 テレフンケン

 ぼくが特に素晴らしいと思った第1楽章は、他の演奏に較べてテンポが極端に遅いが、各パートを丹念に演奏し、ティンパニーを強打させたり、クレッシェンド、デクレッシェンドを多用し、リズムを強調し、とまるでバロック調のモーツァルトを聞いているようで、少しも遅さを感じさせない。それに較べれば第2楽章はゆったりとした演奏に感じ、第3楽章は普通のテンポに感じるが、第1楽章で感じた演奏の方法は同じである。これは今まで聞いたウィーン風の優雅なモーツアルトではなく、もう少し素朴なモーツァルトであるが、音楽の表情が豊かでいきいきとしており、聞いていると本当に音楽に引き込まれてしまう。こういう演奏は大好きである。もっとも、カラヤンの演奏する、レガートを多用した滑らかで美しい演奏が好きな人には、正反対であり抵抗が大きいかもしれない。
 アーノンクールの演奏する第1楽章を何度も何度も聞きなおし、一人悦に入った後、表に掲げたような演奏者の演奏する第38番の第1楽章を聞いてみたが、ダメである。この演奏にほれ込むと、他の演奏では物足りなくなってしまう。これはアーノンクール中毒症状かもしれない。このテレフンケンのドイツ直輸入盤は録音も優秀で音も素晴らしい。
 アーノンクールの指揮するモーツァルトは、ほかに40番と41番の入ったCDを持っているが、38番ほどには感激しない。どうやら中毒も限定的である。






ヤン・ラングレンのCD(2009.5.2)


 1999年2月27日(土)のぼくの日記にこう書いてある。
 「発見の喜び」
 50才を過ぎた男が目を輝かして好きなことについて滔滔と話す。その情熱をすばらしいと思う。安原顕の話を聞いていると本当にそう思う。
 ジャズのCDを買いに行く。最初からこれを買うと決めているのではない。何か新しい発見はないかと、捜しまくるのである。どうやって?演奏者はもちろん、それを知らなくても、楽器は何か、どんな曲が入っているか、誰が録音エンジニアか、どこのレーベルか、国はどこか、何年代の録音か、といったことがわかればカンが働くのである。またジャケットの良いCDもうれしいものである。そんな彼のまねをして私が選んだ一枚がこれである。
 「スウェディッシュ・スタンダーズ」ヤン・ラングレン・トリオ 1997・5、コペンハーゲン録音(Sittel)
 少しナローレンジではあるが、とても清々しい音で録音されたピアノトリオで若々しい演奏であり、新しい発見である。曲もスエーデンの民謡が、ジャズのテーマとして取り上げられているが、ここでは大変良くマッチしている。

 当時のぼくは、安原顕さんに刺激されて、ジャケ買いで新しいジャズマンを発見するんだと意気込んでいて、最初に買ったのがヤン・ラングレンのCDなのである。彼に注目してその後次のようなCDを購入した。
 ★Stockholm get-together! Jan Lundgren Trio & Herb Geller Fresh Sound 1994
 ★Cooking! At the Jazz Bakery The Jan Lundgren Trio Fresh Sound 1996
 ★A Touch Of You Jan Lundgren Trio Alfa Music 1998
 ★Lonely One Jan Lundgren Trio Marshmallow Records 2001
 ★Charade Jan Lundgren Trio Marshmallow Records 2002
 最初の2枚はFresh Soundから出ている輸入盤で、取り上げている曲目からすると、欧州や米国での発売を意識して録音していると推測する。あとの3枚は日本のレーベルでの企画で、日本人好みの曲がずらっと並んでいる。ぼくのヤン・ラングレンのCD購入はここでストップしている。そしてここ数年彼のCDを聞くこともなかった。
 そんな時、キット屋の大橋さんから、マシュマロレコードから出た彼のCDの最新盤を聞かせてもらった。相変わらず上手なピアノ演奏を聞かせ、録音も素晴らしかった。それでもう一度ぼくの手持ちの6枚のCDを聞き直している。日本で企画したCDの方が録音は圧倒的に素晴らしく、JBL4344のようなスピーカーで少しヴォリュームを上げて聴くと、音がグイグイ前に出てきて本当に心地よい。しかししばらく聞いていると、日本人の好きなセンチメンタリズムが、ぼくには苦痛になってくる。もっとアーシーでエネルギッシュな演奏をと思うようになる。Fresh Sound企画のCDの方がどちらかと言うとぼくの好みである。ぼくが彼のCDから遠ざかったのもこの辺が理由であるのだろう。これは好みの問題であるが。
 それでも録音は素晴らしいので、音のチェックには使えそうだ。






嫁に行ったJBL4344MkU(2009.5.3)


 ぼくが色々とお世話になったY.Wさんから、かねてよりJBLのスピーカーを譲って欲しいと言われていた。Y.Wさんはジャズを中心に、自分でも楽器を演奏されながら、時にはクラシックも聴くという音楽愛好家である。現在はTAOCのLC800を愛用されておられるが、前々からいつかJBLを導入したいと思っておられたようである。ぼくも長いことJBLの4343や4344を愛用しており、手放すには愛着もあったが、Y.Wさんならばと思い、JBL4344MkUを嫁入りさすことに決めたのである。
 ゴールデンウィークに入る前にY.Wさんとぼくと二人で、重たいスピーカーを何とか運び出し、ぼくの軽トラに乗せてY.Wさんの家へと運び込んだ。とりあえず現在使っておられるアンプにつなぎ音を出してみた。JBLらしく音が前に飛び出してくるような聞こえ方で、確かに今までのスピーカーとは違った表現になるが、やはり少しアンプが力不足に感じた。そこで改めてぼくの持っている手持ちのアンプを持ち込んで音の聞き比べをしてみることにした。
 日を改めてぼくの家から、YAMAHAのA-9というアンプとSV-14LBプラスSV-510SEというプリとメインのアンプを持って出かけました。現状のY.Wさんが使ってみえる一般的なトランジスターのアンプをJBLと組み合わせると音の輪郭が少しぼやけて聞こえるのです。
 まずYAMAHAのA-9ですが、見違えるように音の輪郭がクリヤーになり低音、高音共にダンピングの聞いた切れの良い音になりジャズのピアノトリオなんかはご機嫌となりました。しかし見方を変えると、少し硬い音なので、クラシックの弦の響きが少なくなり、少し潤いが不足します。Y.Wさんはこういう音が好きなようで、これはいいと言っていました。このアンプはヤマハにしてはシャープな音だと思います。
 次にSV-14LBプラスSV-510SEですが、音の硬さが取れて柔らかい響きが出てきました。予想通りの音です。アンプによってこんなにスピーカーの表情が変わるのかと、Y.Wさんも感心していました。彼もジャズだけではなくクラシック特にチェロの音楽が好きなようで、どちらのアンプも良いなと言っていました。
 YAMAHAのA-9と言うアンプは、今はぼくもあまり使用していないので、JBLとセットでY.Wさんのところで使ってもらうことにしました。この組み合わせで、先日から聞きなおしているヤン・ラングレンのアルバム「Charade」を全曲通して聞いていると、あぁ、ジャズを聞いていて幸せだな!と思えてきます。Y.Wさんも気に入っておられるようで、ぼくも、ほっとしています。
 真空管のアンプについては、ぼくがSV-14LBプラスSV-510SEを持ち込んだのは、A-9と対照的な音の出方がするアンプをと言う意味であり、Y.Wさんの好みとベストマッチングするとは思っていなかったので、またいつか二人でキット屋さんを訪れて、音を聞かせてもらうということにしました。
 ぼくは、今まで人からスピーカーを譲ってもらうことはあっても、譲ったことはなかったのだが、愛着のあるものを嫁に出すと、色々と気がかりなものである。






ジャズ喫茶「グッド ベイト」(2009.5.4)


 ぼくがよく行くジャズ喫茶「グッド ベイト」について、この雑記帳にも時々書くが、きちんと紹介していないので、今日は「グッド ベイト」について書きます。まずどのくらいよく行くかと言うと、1週間に最低でも1度は顔を出さないと落ち着かない、といった程度です。この店は、月曜日が定休日で、火曜から金曜日までは午後2時から開店、土曜と日曜は午後1時から開店です。閉店時間は9時か、10時か、かなり弾力的です。ぼくが顔を出すのは比較的開店直後が多いです。
 マスターは、この地方のジャズ通には名の通った有名人で、雑誌「ジャズ批評」からも時々原稿を依頼され、またそれ以外にもジャズ批評の特集で、ジョン・コルトレーンやエリック・ドルフィーなどが取り上げられると、ライターに名を連ねたり、データーを提供されたりしています。その知識たるや半端ではありません。
 「ジャズ批評」の2009年3月号の、特集「マイ・ベスト・ジャズ・アルバム2008」にもライターに名を連ね、自分のことを以下のように紹介されています。
 「神谷年幸:ジャズ喫茶「グッドベイト」を35年やっています。この不況であちこちで客足が減ったようですが、当方は固定客中心の営業であり、不況には強いが、やはり若い人にも気楽に来てもらえるように営業努力しています」
 ぼくがこの文章を見ると、固定客中心と言うのは、現状の姿を言っているのであって、マスターは、本当はジャズに興味のある人には気楽に来て欲しいと思っているのだと思います。何を営業努力しているかと言うと、店でかかっているジャズの曲目が、専門的な難しい曲だけではなく、例えば、デイブ・ブルーベックのテイク・ファイブのようなテレビのコマーシャルにも使われているような一般的なものを、リクエストに応じて快くかけています。ジャズ喫茶のマスターと言うと、頑固で気難しくて近寄り難いと言うイメージがあるが、神谷さんはそうではありません。気さくで、優しい人です。
 店は、知立の駅から、イーグルボウルというボーリング場のほうに向かって歩くと、イーグルボウルと隣り合わせてあります。車の駐車場もあります。扉を開けると右にカウンターがあり、左にテーブル席があり、その奥にJBLのオリンパスというヴィンテージ・スピーカがあり、ジャズが鳴っています。ジャズをかぶりつきで聞く人は左の奥に座ります。カウンターには椅子が一つしか有りませんが、マスターに色々と聞きたい人は、遠慮せずにここに座ると良いと思います。私語はなるべく慎むということですが、ここだけは例外です。(もっとも運良く、他に誰もお客さんがいないときは貸切り状態になりますが)
 かかっているジャズはすべてLPが中心です。レコードの枚数は、2万5千枚以上はあると思われるが、正確にはわからない。かなりの枚数のオリジナル盤を所有されており、素晴らしい音が聞ける。また店の片隅には、委託販売のジャズのLPやCDが置いてあり、値段的にも割安である。
 飲み物はコーヒー、紅茶が主体で500円である。それ以外にコーラやビールなどもある。食べ物は置いてない。
 ぼくはここに何をしにいくかというと、ジャズを聞くのはもちろんであるが、LPを買ったり、ジャズについて知らないこと、疑問に思うことなどについて、マスターの知恵と知識を活用しに行くのである。(書きなぐりの紹介になってしまいました)






雨の日には音楽を聞きながら(2009.5.7)


 ゴールデンウィークの後半、子供の日の5日より、3日間雨が降り続いている。必要以上に水分が補給されるとトマトの生育のバランスが崩れるのを心配し、雨よけをしたり、排水路を確保したりと、ばたばたしていたが、さすがに今日は打つ手もなくなり、家にじっとしている。
 こんな時は、音楽を聞きながら、のんびりと時間を過ごすと行きたいところだが、先日買ってきたクラシックのLPレコードが60枚あまり溜まっているので、それを、1枚1枚音を出して状態を確認することにした。といっても全部が聞けるわけでもないので、面白そうなものを10枚ばかり取り出して聞いて見た。その1部を紹介します。
 最初は、岩城宏之指揮・NHK交響楽団の演奏によるベートーヴェンの交響曲第5番とシューベルトの未完成交響曲、1966年東京での録音、日本コロンビア発売。当時のN響は弦の厚いどっしりとしたドイツ風の音を出しており、なかなか渋い演奏である。録音も良い。
 次はワルター・ギーゼキングのドビッシー作品集の第5巻で「映像」第1集、第2集、「ピアノの為に」「版画」が演奏されている。ドビッシーのピアノ作品を素晴らしいと思ったのは、ベネディッティ・ミケランジェリの演奏を聞いたときであった。それ以外にはあまりぴんとかなかったが、録音は古いがギーゼキングも素晴らしいと思う。この作品集はこれで3枚、LPで集まった。
 次はネヴィル・マリナー指揮、アカデミー室内管弦楽団の演奏するコレルリのコンチェルト・グロッソである。1973年録音のロンドン盤である。ぼくはヘンデル以前の作曲家としては、テレマン、ヴィヴァルディ、モンテヴェルディくらいしか知らないが、バロック風の音楽は好きなので聞いてみたが、期待に違わず楽しめた。この時代の作品はまだまだ知らないものが多い。
 次はパイヤール指揮、パイヤール室内管弦楽団によるモーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲である。これは1974年にDENONがPCM録音したもので、録音も素晴らしい。モーツァルトの音楽はどれも好きだし、パーヤールのきびきびとした演奏も良い。
 これ以外にも、
 ★シューベルト、死と少女、プラハ四重奏団、1973年、日本コロンビアによるPCM録音。
 ★ヴィヴァルディ、グローリア・ミサ、カイヤー合唱団、パイヤール管弦楽団、エラート
 ★ベートーヴェン、弦楽四重奏曲第9番・第11番、スメタナ四重奏団、スプラフォン
 などを聞いた。気が付くと今日1日が暮れようとしている。雨の日の音楽三昧でした。









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