ジャズ・オーディオの雑記帳
by 6041のS

野菜の病気(2009.6.1)


 農ライフでの2年目における実践栽培を始めて3ヶ月が過ぎようとしています。11人の実習生が約200uの畑にそれぞれの野菜を植え付けて、一生懸命育てていますが、すでに色々な病害虫による被害が発生しています。雑草は放っておいても、自然淘汰されながら、病害虫に強いものがどんどん増えますが、野菜はデリケートで、人間が早期に被害を見つけ、何が原因か突き止めて、的確に防除しないとまともに育ちません。その為にはそれぞれの栽培植物を見たときに、正常とは違う変化に気づき、何が原因でそのような異常が発生したのかの診断技術が大切です。
 もちろん実践栽培の目的の一つにこういった診断技術を習得することもあるわけだが、ぼくの使用している参考書を紹介します。静岡県植物防疫協会というところから出版されている「写真で見る農作物病害虫診断ガイドブック」という本です。430ページにわたって、主要76農作物に発生する病害虫642種類を2332点のオールカラー写真で解説したものです。しかも価格は3000円と手ごろです。この素晴らしい本の入手は直接協会に申し込みます。
 少々宣伝のようになりましたが、この参考書と対比しながら発生した異常を診断し、その自分の判断を言いながら、農ライフの先生に診断してもらい、自分の診断の確からしさを向上させたいと思っています。
 診断の次はどうやって防除するかということですが、これについては各県から農作物病害虫防除基準、もしくは農作物病害虫防除指針といったものが出されているのでそれを参考にすると良い。ぼくは大阪府と愛知県、静岡県のものがホームページで公開されているので良く利用する。それぞれに特徴がある。
 最近Mさんの実践畑で発生したのが、トマトの青枯病という恐ろしい病気である。この病気は青枯れ病菌というバクテリアの1種が、線虫などによって傷ついたトマトの根から進入し、導管内で増殖して、導管を詰らせ水の吸い上げが出来なくなり、青いまま突然枯れてしまうという厄介なものである。しかもこのバクテリアは地中の水分を伝って移動伝染をする。
 これが発生した時の防除対策について愛知県の「あいち病害虫情報」には次のように書いてある。・土壌伝染性の病害であるので、育苗には無病土壌を用いる。・前作に発病を認めたほ場では太陽熱による土壌消毒や土壌くん蒸剤等による土壌消毒を行う。・根が傷まないよう土壌水分の急激な変化、土壌の過湿、過乾燥が無いように適切なほ場管理を行う。・病原菌は水とともに移動するので、排水対策を行う。・根を傷めるセンチュウ等の防除対策を行う。・発病株は見つけ次第、ほ場外に持ち出し処分する。・耐病性の台木を用いた接木栽培を行う。・地温を下げる栽培管理を行う。
 要するに、予防対策をしっかりやること。発病したら、他への感染を防ぐために、発病した株は抜き取り処分する以外に手がないのである。この病気はトマト以外にもナス・ジャガイモ・ピーマンといったナス科の野菜には発生する。ナスにはバリダマイシンという放線菌からの抗生物質が開発され、殺菌剤として使用することで、ナスの延命が可能となった。しかしトマトには薬害が出るので適用できない。野菜にも難病がある!







国境の南・太陽の西(2009.6.2)


 国境の南・太陽の西というのは、一体何のことでしょう。それは、曲のタイトルであり、小説の題名であり、ジャズアルバムのタイトルでもあります。そして、それぞれが関連しています。村上春樹の書いた恋愛小説のタイトルが「国境の南・太陽の西」であり、この小説の主人公がジャズバーのオーナーであり、話の中でジャズの曲が効果的に使われている。例えば、主人公が経営する店の閉店になると、ピアニストが静かにデューク・エリントンの作曲したスター・クロスト・ラヴァーズを演奏し始める。これはオーナーが好きな曲だからである。そして若い頃にナット・キング・コールの歌った「国境の南」を聞いたといっている。しかし実際にはナット・キング・コールが「国境の南」を歌ってはいないと思われる。
 CDアルバム「国境の南・太陽の西」は、この村上春樹の小説で取り上げられた、ジャズの曲をクロード・ウイリアムソン・トリオが演奏したもので、ヴィーナスレコードより発売された。このピアノ・トリオはクロード・ウイリアムソンのピアノ、アンディ・シンプキンスのベース、アル・トゥーティ・ヒースのドラムといってメンバーである。いかにも日本人の視聴者を意識して作られたアルバムであるが、さすがジャズ好きの村上春樹が取り上げた曲だけあって、センスのよい選曲だと思う。このピアノ・トリオもしっとりと演奏していて、趣味の良いジャズになっていると思う。アルバムに取り挙げられた曲名を紹介する。1)国境の南、2)スター・クロスト・ラヴァーズ、3)ロビン・ネスト、4)エンブレイサブル・ユー、5)プリテンド、6)コルコバード、7)時のたつまま、8)太陽の西
 そして明らかに、この企画がきっかけだと思うが、次にヴィーナスレコードが出したクロード・ウイリアムソン・トリオのアルバム「ニューヨークの秋」では、村上春樹がライナーノートを書いている。しかもこのトリオのベースをビル・クロウが担当している。このビル・クロウは「さよならバードランド」という自伝を書いており、それを村上春樹が翻訳している。と、色々関連があるが、このアルバムも前作と同様楽しいアルバムである。
 ぼくは村上春樹の小説を読んだのがきっかけで、上記の2枚のアルバムを手に入れて、クロード・ウイリアムソン・ピアノ・トリオを楽しむことが出来たが、では小説はどうかというと、残念ながらあまり印象がなく、すでに忘れてしまった。買った本も誰かに貸して、そのままになっている。手元においておきたいとも思わない。村上春樹の書いたエッセイ集「やがて哀しき外国語」などを読むと、彼の物事を観察する細やかさ、それを表現する文章力などに感心し、また書いてある視点にも共感するものが多いにあるが、彼の最近の小説は、残念ながら、ぼくにはフィットしないのである。
 ヴィーナスレコードのどちらかというとベースの太い音がしっかりと録音されている、音つくりで製作された、クロード・ウイリアムソンのピアノ・トリオを、少し大きめの音量で聞きながら、村上春樹のエッセイや、翻訳したフィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーの短編小説、またビル・クロウの書いた自伝やアネクドーツを読むのは、ぼくの好きなことの一つである。






野菜の花(2009.6.3)


 右に写っている花は何の花だか御存知でしょうか。答えはメイクイーンという品種のジャガイモの花です。ジャガイモは茎の一部が肥大して養分を蓄えた、芋を野菜として利用し、果実を利用するわけではないので、花は重要ではないのですが、今の時期には花を咲かせます。農家の人は当然知っていますが、一般にはなかなか見る機会がないので紹介しました。なかなか可憐な花だと思います。同じ芋でもジャガイモやサトイモは茎が太ったものであり、サツマイモは根に養分を蓄えて太ったものであり、分類が異なります。
 次の写真はキュウリとスイカの花です。一般に瓜科の植物、キュウリ、カボチャ、スイカなどの花は、雄花と雌花に分かれています。
 左のキュウリの写真で言うと、上に咲いているのが雌花で下に咲いているのが雄花です。見分け方は雌花にはキュウリとなる実が付いてその先に花が咲いています。雄花には実は付いていません。右のスイカでは、甘くて美味しいものを取るためには、良く晴れた日の午前中に、人の手で雄花を取り、雌花に受粉させます。そしてエフなどに受粉日を書き込んで、雌花の咲いている蔓に取り付けておきます。そうすると45日前後で甘いスイカが熟します。
 次の写真はナスの花です。ナスは瓜科の植物と異なり、一つの花の中におしべとめしべが付いています。黄色く見えているのがおしべです。このナスは植えつけて間もないので、めしべが見えていませんが、ナスが元気になると、めしべがおしべの中心に突き出てきます。農家の人はナスの花を見て、めしべが長いか短かいかでナスの元気度合いを判定しています。ナス以外にトマトもジャガイモもナス科の植物です。
 同じ野菜でも、果物を食するスイカやナス、トマトなどは花を咲かせ実をつけて収穫するので、確実に花を見ることが出来ます。根物を食するジャガイモのように花を見ることの出来るものと、ニンジンや大根のように花を咲かせるとまずくて食べれないものは、花の前に収穫するものとに分かれます。葉物を食するネギやほうれん草、白菜といったものは、花を咲かせると硬くて食べれません。こういったものは花を見ることはまれです。






それぞれのピアニスト(2009.6.4)


 ぼくがモーツァルトのピアノ曲を、誰の演奏で最初に聞いたかは、はっきり思い出せないが、印象に残っているのはイングリット・ヘブラー、リリー・クラウス、ロベール・カザドジュである。いずれも学生時代のことである。ある時、マリア・ジョアン・ピリスの演奏に魅かれ、彼女の演奏会を聞きに行ったりした。レコードではアシュケナージの演奏する協奏曲、コンサートではペライアの演奏する協奏曲などが印象に残っている。・・・・・等々モーツアルトのピアノ曲を演奏するピアニストについては、色々な思い出があるが、最近良く聞くのはワルター・ギーゼキングの演奏するモーツァルトのピアノ・ソナタである。
 ぼくが手持ちしているギーゼキングのLPは次の3枚である。
 ★モーツァルトピアノ小品集T(キラキラ星変奏曲など)
 ★モーツァルトピアノ小品集V(サリエリの主題による変奏曲など)
 ★モーツァルトピアノ・ソナタ全集T(ソナタ1番〜4番)

 いずれもモノーラル録音による古い演奏であるが、ギーゼキングの澄んだ美しいピアノの音色、過度な感情移入を抑えたクリーンな演奏に強く引かれる。特に小品集などは、演奏の技巧的には高度でないと思われるが、それだけに演奏のセンスが良くないとしっくりと来ないが、ギーゼキングは素晴らしい。
 ぼくがグレン・グールドを知ったのは、例のゴールドベルク変奏曲のCDを聞いてからである。それからはバッハに限らずモーツァルト、ベートーヴェン、ハイドンなど彼の演奏したCDを手当たりしだい買った。グールド好きとなり、彼の著作や、彼についての著作を買って本も読んだ。主なものを上げると、
 「グレン・グールド書簡集」宮澤淳一訳、みすず書房
 「グレン・グールド伝」ピーター・F・オストウォルド 宮澤淳一訳、筑摩書房
 「グレン・グールドとの対話」ジョナサン・コット 高島誠訳、晶文社
 「グレン・グールド孤独のアリア」ミシェル・シュネデール 千葉文夫訳、ちくま学芸文庫
 「文藝別冊 グレン・グールド」河出書房新社
 そしてまたLPを集めている。最近購入したものは、
 ★グールド/ハイドン:後期6大ソナタ、CBS/SONY(マスターサウンド)
 ★ベートーヴェン変奏曲集、CBS/SONY
 ★J.S.バッハ/インヴェンションとシンフォニア(全曲)、CBS/SONY

 この3枚は同じ人が所有していて、手放したLPと思われるが、だとするとまだ他にも手放したグールドのLPが出てきそうな気がする。
 ぼくはグールドの演奏によって、バッハのピアノ曲の良さを理解することが出来、それがきっかけでグールド以外のピアニストによるバッハの演奏を聞くが、なかなかピンと来るものがなかった。そんな中でグールドとはまた違った、どちらかというと情緒的なバッハの演奏にめぐり合った。それがタチアナ・ニコラエーワである。
 ★J.S.バッハ/インヴェンションとシンフォニア、メロディア
 ★J.S.バッハ/フランス組曲(全曲)、メロディア

 ぼくは以上2枚のLPを最近入手した。どちらも素晴らしいと思うが、特にフランス組曲のしっとりとした表情が好きである。グールドのノンペダルでチェンバロのように演奏するバッハも素晴らしいが、彼女のピアニスティックに一つ一つの音を響かせるバッハも、ぼくには素晴らしい。
 それ以外にアルフレッド・ブレンデルのLP2枚とサンソン・フランソワのLP1枚を入手した。
 ★シューベルト・即興曲/ブレンデル
 ★リスト・ピアノ曲、忘れられたワルツ他/ブレンデル
 ★ラベル・ピアノ曲全集、鏡他/フランソワ

 ブレンデルというピアニストは、ピアノ曲の推薦盤には必ず顔を出す人であり、演奏を聞いても大変上手い人であるのは分かるのだが、聞いていても何か違和感が、ぼくには残る。音楽が醒めている様に思えるのである。それなりにLPも持っているのであるが、これは感動物だと言える1枚がない。その点サンソン・フランソワは対照的である。特に彼の演奏するショパンのピアノ曲は良く聞いた。やはりラベルよりもショパンのほうが良い。
 以上11枚のLPとピアニストについて、取りとめもなく書いてきたが、これはある人が最近放出したLPレコードを入手したことがきっかけである。これ以外にもホロヴィッツの演奏するスカルラッティやリスト、シューマンのピアノ曲、グルダの演奏するベートーヴェンのピアノ・ソナタ、リリー・クラウスの演奏するモーツァルトのピアノ・ソナタ、ケンプの演奏するベートーヴェンのピアノ・ソナタなども含まれていた。要するに大変ピアノ好きの人である。
 ぼくもこれだけのLPをまとめて聞いたので、少々混乱しているところがあり、重要なことを聞き逃しているかもしれない。LPを作曲家別に分類して、ピアニストの聞き比べをするのではなく、ピアニスト別に分類して、一人一人のピアニストの演奏をじっくり聴くということをやってみたいと思っている。ジャズではLPを演奏家別に分類している。






ジャズ・ヴォーカルの1枚(2009.6.5)


 農ライフの実践畑で、ぼくの隣畑はKさんという方が研修されています。この方は本人だけでなく奥さんも時々来られて、畑の手入れをされています。とても研修熱心な方で、一生懸命されている様子を見ると、ぼくのほうが多少良く知っていることがあると、ついつい口出しをしてしまいます。そんなことがきっかけで、お二人とお話をしていると、ジャズの音楽が好きだという話になりました。ジャズ好きのぼくとしては、好きなジャズの手始めに、ヴォーカルを紹介することにしました。ぼくの手持ちのCDから歌手と曲をピックアップして、1枚のCD-Rを作成し、これを聞いてもらうことにしました。以下はそのリストです。
 1. Don't Know Why / Norah Jones (Come Away With Me) 2002
 2. Come Away With Me / Norah Jones (Come Away With Me) 2002
 3. Over The Rainbow /Jane Monheit (Come Dream With Me) 2001
 4. Hit The Road / Jane Monheit (Come Dream With Me) 2001
 5. My One And Only Love / Johnny Hartman & John Coltrane 1963
 6. You Are So Beautiful / Johnny Hartman & John Coltrane 1963
 7. You'd Be So Nice To Come Home To / Billy Eckstine ( Billy Eckstine Sings With Benny Carter) 1986
 8. September Song / Billy Eckstine ( Billy Eckstine Sings With Benny Carter) 1986
 9. On The First Warm Day / Chris Conner (Chris Craft) 1958
 10. Chinatown My Chinatown / Chris Conner (Chris Craft) 1958
 11. A Nightingale Sang In Berkeley Square / Anita O'Day (This Is Anita) 1955
 12. Them There Eyes / Anita O'Day (Anita Sings the Most) 1957
 13. Lover Come Back To Me / Mildred Bailey (Me And The Blues) 1948
 14. I Can Give You Anything But Love / Ann Burton (Blue Burton) 1967
 15. The Nearness Of You / Ella Fitzgerald (Ella And Louis) 1956
 16. Whenever There's You
 17. Left Alone / Lady Kim (Left Alone) 2003
 数字の後が曲名です。そのあと歌手とカッコ内はアルバム名そして録音年です。ノラ・ジョーンズのアルバムは当時かなりヒットしたものですが、ジャズ・ヴォーカルとは言い切れないものがあります。ジェーン・モンハイトのアルバムはピアノのケニー・バロンの名を見て、ニューヨークに行ったときにいち早く買ってきたものです。ジョニー・ハートマンとジョン・コルトレーンのアルバムも超名盤ですね。ビリー・エクスタインのアルバムではヘレン・メリルが共演しています。ぼく的には9から12のようなクリス・コナーやアニタ・オデイのスイングするヴォーカルが好きです。ストリングが入ったり、ビッグ・バンドで歌うのも良いですが、小編成のリズム隊をバックに、スイングして歌うのは最高に楽しいですね。エラとルイのアルバムはすべての曲が素晴らしいと思います。レディ・キムのレフト・アローン、ビリー・ホリディが生きていたらこんな風に歌ったのでしょうか。
 ぼくは久しぶりにジャズ・ヴォーカルをまとめて楽しみましたが、果たして、これを聞いて、Kさん御夫妻は、喜んでくれるのでしょうか。






虫の話(2009.6.8)


 シェーンベルクの「清められた夜」を、夜ひとり静かに聴いていて、私も何かを表現したい衝動に駆られた。そうだ、トウモロコシの虫の話をしよう。トウモロコシの雄穂が出る頃になると、待ち構えていたようにアワノメイガがやって来て、卵を産み付ける。これを人間どもが見つけるのは非常に困難だ。やがて孵化した幼虫は、トウモロコシの雄穂にもぐり、旺盛な食欲でそれを食い荒らす。風が吹いてくると、アワノメイガに食い荒らされたトウモロコシの雄穂がポキッと折れてしまう。ここで初めて人間どもは、自分の育てた作物が虫たちにやられた事に気づく。虫だって本当は人間に見つからないように、目立たないようにしていたいのだが、早く一人前になりたいという衝動が止まらずに、食い荒らし、糞を撒き散らして、あちこちに痕跡を残してしまう。こうなると雄穂に潜んでいた虫たちは、一網打尽に殺されてしまう。でも虫たちも全滅してしまうほど柔ではない。夜中にこっそりと、雄穂に続いて出てきた雌穂の中に潜んでいるのだ。しばらく我慢すれば、受粉した雌穂の中には栄養たっぷりのトウモロコシが出来てきて、これに有りつけるのだ。しかし、人間どももこれに気づき、何匹かの虫たちも殺されてしまう。でも虫たちが全滅するかって。とんでもない。今年もトウモロコシの雄穂の出る季節が来ると、アワノメイガが活躍している。そして私も、雄穂の中に潜んでいるアワノメイガの幼虫を、必死に探している。
 これが、私がシェーンベルクの「清められた夜」を、夜ひとり静かに聴いていて、衝動に駆られて表現したかったことだろうか。
 ズビン・メータ指揮のロスアンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団の演奏を録音したLPの、原田由之氏の解説には次のように書いてある。この曲の素材となったのは、リヒアルト・デーメルの詩であり、それは総譜の冒頭に記されている。「男と女が、葉が落ち冷え切った森の中を歩いてゆく。雲ひとつない空に高く聳えた樫の木の梢を、月がよぎってゆき、彼らはそれを見つめる。そして、女の声が語りかける。「私は妊っていますが、あなたの子供ではありません。私は自分の罪をせめ、そしてそれを背負いながら、あなたのそばを歩いているのです。私は、幸せな将来を期待してはいませんでしたが、生と、そして母としての歓びや務めに、強い望みを抱いていました。そして私は、震えながら、敢えて見知らぬ男に身をまかせ、またそれを祝福さえしたのでした。しかし、生は私に報復をしたのです。そして今、私はあなたに出会ったのです」彼女は身をかたくして歩き、にぶい眼差しで月のよぎる空を見あげる。そして、男の声が語りかける。「妊った子供は、あなたの心の重荷となりません。ごらんなさい。何とすべては清らかに光り輝いていることでしょう。あなたは私と冷たい湖をさまよってはいますが、私たちお互いの中には温もりが伝わりあい、それは熱く燃えあがっています。それによってその子は清められ、私のものとなり、そして私に歓びを与えてくれるのです。あなたは、私自身を子供にしてしまったのです」彼は彼女の腰を強く抱き、その息吹は、風の中に唇をかわした。そして、ふたりは明るい深夜の路を歩んでゆく」
 今の私には、この詩を読んで、シェーンベルクの「清められた夜」を聴いて、何かを表現したい衝動に駆られた時には、きっと「虫の話」が1番ふさわしいのであろう。アワノメイガをやっつける方法を考えよう。









<<雑記帳トップへ戻る