ジャズ・オーディオの雑記帳
by 6041のS

Pieces of Jade by Scott LaFaro(2009.12.25)

 ビル・エヴァンス・トリオのアルバム、ワルツ・フォー・デビーの出だしの曲、マイ・フーリッシュ・ハートから2曲目のワルツ・フォー・デビーを続けて聞いていると、1曲目ではスコット・ラファロがビル・エヴァンスのピアノに寄り添うように、ボンー、ボンーとロングトーンでベースを弾き、2曲目になると、まるで自分もピアノを弾いているかのように、メロディを紡いでゆく。何回聞いても飽きることのないベースプレイである。
 スコット・ラファロは1936年4月3日にニュージャージー州ニューアークに生まれ、1955年にバディ・モロウ楽団に雇われスタートした。ビル・エヴァンスのトリオに参加したのは1959年秋で、ワルツ。フォー・デビーをヴィレッジ・バンガードでライブ録音したのが1961年6月25日、その日から僅か11日後の7月6日に、ニューポート・ジャズ・フェステヴァルに出演した帰りに、自ら運転する車で自動車事故を起こし、25歳で無くなった。早すぎる天才の死である。
 彼の死から38年が経つ今年になって、新たに彼のメモリアル・アルバムが発表された。「Pieces of Jade by Scott LaFaro」である。内容は以下のようである。
1 I Hear A Rhapsody
2 Sacre Bleu [take 1] - (take)
3 Green Dolphin St.
4 Sacre Bleu [take 2] - (take)
5 Woody'n You
6 My Foolish Heart [Rehearsal Tape]
7 Interview with Bill Evans - (with George Klabin)
8 Memories for Scotty
Don Friedman(p) 1-5,8
Scott LaFaro(b) 1-5
Pete LaRoca(ds) 1-5
Recorded in New York City 1961 (1-5)
Recorded by George Klabin 1985 (8)

 この中で6と7以外は、「ドン・フリードマン/スコット・ラファロの想い出」と同じ内容であるが、ぼくが思うには、6のマイ・フーリッシュ・ハートのリハーサル音源一つで、このアルバムは決定的に素晴らしいと思う。最初にラファロがアルコでベースを弾きながら、二人で音を探り、「分かった、分かった」とか「よし、これで行こう」などと会話し、20分にわたり、まるで対位法の作曲をしているようです。アルバム「ワルツ・フォー・デビー」での名演奏もこういう努力があって生まれたのだと実感できます。
 メモリアル・アルバムと時を同じくして、彼の伝記「JADE VISIONS」が発売されました(英語)。ラファロが作曲し、アルバムSUNDAY AT THE VILLAGE VANGUARDのラストを飾る曲、JADE VISIONSを本のタイトルにしたようです。本の表紙のデザインは、グリーンを基調としたもので、アルバムとほとんど同一です。JADEの名のとおり、翡翠のグリーンであり、ラファロの音楽性が翡翠のように、珠玉のものということでしょうか。本の内容は(まだ目次を見ただけ)、彼の一生を記述した以外に、彼の音楽性についての解説、関係者による彼の思い出、それからディスコグラフィーがついています。執筆にはHELENE LAFARO-FERNANDEZ(彼の姉妹)が加わっています。

 この本の中でChuck Ralston氏によって書かれた、Scott LaFaro Discographyよりのアルバムのタイトルのみを載せておきます。
Scott LaFaro Album List
1: Buddy Morrow - Shorty-Tunes
2: Buddy Morrow And His Golden Trombone
3: Buddy Morrow - Let's Have A Dance Party!
4: Clifford Brown/Chet Baker - Trumpet Geniuses Of Fifties
5: The Arrival Of Victor Feldman
6: Stan Getz/Cal Tjader Sextet
7: Hampton Hawes - For Real!
8: Buddy DeFranco And His Septette - Live Date!
9: Cal Tjader - Kamuca - Feldman - Tjader: Featuring Scott LaFaro
10: Howard Rumsey's Lighthouse "all-stars" - Jazz at A. N. A.
11: Joe Gordon/Scott LaFaro - West Coast Days
12: Harold Land −Jazz At The Cellar
13: This Is Pat Moran
14: Beverly Kelly Sings With The Pat Moran Trio
15: Marty Paich - The Broadway Bit
16: The Stan Kenton Orchestra In Concert
17: Victor Feldman - Latinsville!
18: Herb Geller And His All Stars Play Selections From Jule Styne And Stephen Sondheim's Music For "Gypsy"
19: Tony Scott - Sung Heroes
20: Tony Scott - Dedications
21: Bill Evans - Portrait In Jazz
22: Bill Evans - The 1960 Birdland Sessions
23: Booker Little
24: Steve Kuhn - 1960: Kuhn LaFaro LaRoca
25: John Lewis/Gunther Schuller/Jim Hall - Jazz Abstractions
26: Ornette Coleman - Free Jazz
27: Ornette Coleman - Ornette!
28: Bill Evans - Explorations
29: Stan Getz - Stan The Man
30: Don Friedman -Memories for Scotty
31: Bill Evans - Sunday At The Village Vanguard
32: Bill Evans - The Complete Live At The Village Vanguard 1961
33: Bill Evans - Waltz For Debby
34: Miles Davis / Stan Getz - Tune Up
A: Hampton Hawes - Bird Song
B: Stan Kenton - Stan Kenton & His Orchestra
C: Stan Kenton At Ukiah 1959
 以上の34枚プラス3枚です。

 それから「LA Days 1958」Scott LaFaroというアルバムが現在発売されていますが、これはオムニバス盤で、"Kamuca-Feldman-Tjader: Featuring Scott LaFaro"より10曲と、"Stan Getz with Cal Tjader Sextet"より2曲が収録されています。逆に言うとこういうアルバムを持っていない人は、このアルバムを入手すると良いかもしれません。






サンケイホール・ライブ(2009.12.30)

 大阪のサンケイホールでのライブのオーディエンス録音によるCDがCOURIERS OF JAZZというレーベルより発売されている。大変珍しい音源と思うので紹介します。

 ・ZOOT SIMS 「Live at Sankei Hall 1977」 COURIERS OF JAZZ(COJ-001)
 これはズート・シムズの第2回目の来日時の大阪サンケイホールでの記録である。メンバーはZOOT SIMS (ts)、BUCKY PIZZARELLI (g)、DAVE McKENNA (p)、MAJOR HOLLEY (b)、JAKE HANNA (d)という構成である。ズートはバックが誰であっても、関係なくいつもズート節を聞かせてくれるが、それでもデイブ・マッケンナのピアノがバックの時のノリは大好きである。
 ・ART PEPPER 「Live at Sankei Hall 1978」 COURIERS OF JAZZ (COJ-002)
 アート・ペッパーが初来日したのが1977年で、それを記録したのが、Tokyo Debutというアルバムだ。そして2回目の来日時に、大阪サンケイホールでの記録がこのアルバムである。このときのメンバーは、ART PEPPER (as)、 MILCHO LEVIEW (p)、BOB MAGNUSSON (b)、 CARL BURNETT (d)という構成で、演奏はペッパーのワンマンショウである。
 ・ART PEPPER 「I'll Remember You - Live at Sankei Hall 1980」 COURIERS OF JAZZ (COJ-005)
 アート・ペッパーの1979年・第3回来日公演の記録については、2008年2月1日の雑記帳に書いたが、このときからピアニストのジョージ・ケイブルスが参加し、その他のメンバーも固定となり、以降、不動のカルテットとなっている。。そして第4回目の来日公演のサンケイホールでの記録がこのアルバムである。メンバーは、Art Pepper (as,cl)、 George Cables (p)、 Tony Dumas (b)、 Carl Burnett (ds)というレギュラー構成で、ペッパーと共にジョージ・ケイブルスのピアノが素晴らしい。ペッパーがケイブルスをミスター・ビューティフルと讃えるだけのことはある。
 ・CHARLES MINGUS 「Live at Sankei Hall 1976」 COURIERS OF JAZZ (COJ-006)
 チャールス・ミンガスは1971年と1976年の2回来日しているが、第1回目の来日公演は期待ほど出なかったといわれている。レギュラーメンバーが欠けていたためだ。それに対して第2回のこの公演は評判が良かった。メンバーは、JACK WALRATH (tp)、RICKY FORD (ts)、DANIEL MIXON (p)、CHARLES MINGUS (b)、DANNIE RICHMOND (ds)という構成で、特にダニー・リッチモンドの活躍が素晴らしい。
 ・PHIL WOODS with ZOOT SIMS 「Live at Sankei Hall 1976」 COURIERS OF JAZZ (COJ-007)
 ズート・シムズは日本に5回来日しているが、これは1976年の初来日での大阪サンケイホールでの記録である。メンバーは、Steve Gilmore Male (b) 、Bill Goodwin Male (ds) 、Mike Melillo Male (p) 、Zoot Sims Male (sax) 、Phil Woods Male (sax)という構成である。厳密には、フィル・ウッズ・カルテット、ズート・シムズ・カルテット、フィル・ウッズ・カルテット・プラス・ゾート・シムズという3部構成となっている。
 ・ART FARMER & JACKIE McLEAN「Live at Sankei Hall 1977」 COURIERS OF JAZZ (COJ-011)
 アート・ファーマーは10回来日しており、これは第2回目の来日となる。またジャッキー・マクリーンは20回来日しており、これは3回目の来日に当たる。メンバーは、ART FARMER (fh.tp)、JACKIE McLEAN (as)、CEDAR WALTON (p)、SAM JONES (b)、BILLY HIGGINS (ds)という構成となっている。
 
 以上、ジャズが華やかなりし1970年代頃の、大阪サンケイホールで行われたライブ録音の紹介でした。年末を、これを聞きながらゆっくり過ごします。













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