ジャズ・オーディオの雑記帳
by 6041のS

ソニーのベルトドライブ・プレーヤー(2013.10.20)


 中古のLPでもないかとハードオフを覗いて、うろうろしていたら、ソニーのPS-2310というベルトドライブ方式のレコードプレーヤーがジャンク品の棚に2K円という値段がついて置いてあった。説明の表示には、モーターは回るがベルトは欠品とあり、手で回したら音は出たと書いてある。ヘッドシェルとカートリッジだけ使えれば2Kの元は取れるな。よく見るとトーンアームも取り外して転用も可だな。モーターはシンクロナスとある。それならば機構は簡単で壊れる所も無いな。いざとなればベルトを買えばよいか。(但しベルトを買うとまた2K円は出る)そう思うとつい手が出てしまった。
 その足でこういうものには興味を示す、グッドベイトのマスターのところへ、このプレーヤーを買ったよと持ち込んだ。これを見てマスターが奥からゴムベルトを持ってきた。このベルトはトーレンスのTD124で使っていたのだが、ゆるくなって使えなくなったけどどうだろうと言うのである。はめてみるとピッタリだ。
 さっそく家に帰り、まずは汚れ落としの掃除をして、ベルトをはめスイッチを入れてみた。ターンテーブルが静かに回りだした。ストロボを当てて回転を確認してみる。33回転はOKだ。45回転は?回転が上がらない。モーターについているプーリーと切り替えレバーの位置が良くない。微調整をすると45回転もOKで、回転もスムーズに切り替わるようになった。
  まずは家にあった比較的安価なオーディオテクニカのAT‐10GというVM型カートリッジを装着して音を聞いてみた。 音源はバロック協奏曲。たまたまPS-2310の調子を見るために装着した、このAT-10Gというカートリッジは、ぼく好みのとても気に入った音を奏でる。弦の音が明るくて、クリヤーで、しかも元気がある。現在は生産中止となったこの10K円にも満たないカートリッジをあらためて見直した。AT-150MLXのようなオーディオテクニカの高級カートリッジは、繊細で美しいが、あっさりとした感じの音だと思っていたが、むしろこのような普及型のカートリッジの方が元気があって、ぼくの好みには合っているのである。ぼくにとっては思わぬ発見をしたものである。
  次はアームのチェックであるが、針圧のバランス感度は高級アームほど敏感ではないようだが、特に問題はないようである。ステンレスのパイプアームはくすんだ部分をふき取ったら、さびもなく新品のようにピカピカに光り、インサイドフォースキャンセラーはSMEと同じ錘吊り下げ方式で、雰囲気があってなかなかたたずまいが良い。
 付属のソニーのカートリッジをつけてみると、片側しか音が出なく、出ない方からはハム音が聞こえる。どこか接点の不良があるのかと 思ってチェックしたが、どこにも異常が見つからないのに直らない。ヘッドシェルを付け替えてみたら、正常になった。可もなく不可もない音である。ソニーの付属のこのヘッドシェルのどこに問題があるのかは、今後検討を要す。
 とまぁ、たかだか2K円のターンテーブルを買ったのみであるが、随分と楽しませてもらった。それにしてもオーディオテクニカの普及型カートリッジを見直さなくてはと思っている。






カートリッジのチェック(2013.10.25)

 
 ぼくがLPレコードで音楽を聴くときは、リファレンスにオルトフォンのSPU-GEを使用するが、普段はテクニクスのEPC-205CUSというMM型のカートリッジを使用している。最大の理由はジャズを聞くときのベースの音が、あまり緩まない中で量感がたっぷりとあり、それでも広域も伸びていて、シンバルも軽快に聞かせ、なおかつMCのような分析な傾向もなく、ビビッドに再生するからである。実はSPU-GEでもMCトランスの受けを3Ωとせずに、20Ωで受ければ低音の量感は同じようにあるが、MC特有のクリヤーさが緊張感を感じるのである。(これは完全に好みの問題であるが)
 ぼくはジャズとクラシック音楽を良く聞いているが、聴き方としてはジャズを聞くときはジャズ、クラシックを聴くときはクラシックだけを集中して聞いている。両方を同時期に聞くことはない。あるところでクラシックの中古LPを200枚ばかり入手し、それの手入れをしながらあれこれ聞いていたので、今は完全にクラシックのスイッチが入っているのである。モーツァルト関係の気に入ったものを挙げると、
 ・交響曲第40番・41番、カール・シューリヒト指揮、パリオペラ座管弦楽団、Columbia
 ・交響曲第36番・40番、カール・シューリヒト指揮、パリオペラ座管弦楽団、Concert Hall
 ・クラリネット協奏曲、プリンツ(cl)、カール・ベーム指揮、ウィーン・フィル、DG
 ・クラリネット5重奏曲、ウラッハ(cl)、ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団、Westminster
 ・クラリネット5重奏曲、フックス(cl)、ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団、Columbia
 ・レクイエム、アーノンクール指揮、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス、Telefunken
 というような名盤があり、特にシューリヒトの指揮でパリオペラ座管弦楽団の演奏するモーツァルトの交響曲はいつかは入手したいと思っていたので、幸運である。但しまだ38番(プラハ)の入手が出来ていないので、また探そうと思っている。
 このような状況の中で、オーディオテクニカのAT‐10GというVM型カートリッジの音を聞いて、おやッ!と思ったので、またごそごそと手持ちのカートリッジをあれこれと引っ張り出して、鳴り方の再チェックをしているのである。
 改めて30個近くある手持ちのカートリッジの特性を一覧表にまとめ眺めていると、どうも知識としてあやふやなことが見えてくる。MCカートリッジの特性で、内部インピーダンスと負荷抵抗の関係はどう見るか?ネットで調べてみると面白い例えが載っていた。内部インピーダンスというのは水道の蛇口で、負荷抵抗というのはそれにつなぐホースのようなものである。蛇口よりもホースの径の方が大きい必要がある。但しあまり大きすぎると圧力が出ない。そのようなイメージで接続するMCトランスの負荷を3Ω、20Ω、40Ωより選択すればよい。負荷抵抗を小さくすると低音の出方が小さくなるようで、最終的には鳴り方を確認して、好みで選択すればよい。
 またヘッドシェルにつないだカートリッジの、トータル重量をはかって眺めると、コンプライアンスの大きな、いわゆるカンチレバーの柔らかいカートリッジに重いヘッドシェルを使用しているのももある。これではLPのそりに対してアームが上下せずに、カンチレバーのみが上下して、歪の原因を作っているようなことになる。実際に少し歪があって、再生すると上下することが分かっているLPにカートリッジを載せると、理屈通りの動きをする。逆に言えば、こういうカートリッジを使ってアームの感度をチェックすることもできる。
 特筆すべきはSMEのアームである。3009は軽針圧ハイコンプライアンスのカートリッジと組み合わせると、抜群のトレース能力を発揮する。しかしMC主流の現代ではもはや特殊なアームかもしれない。ぼくも定番であるシュアーのV15TypeWとの組み合わせで使用している。
 現在使用しているカートリッジにはMM型とMC型があり、一般的にはMM型は音が柔らかくて雰囲気が良く出るし、MC型は解像力が良くて一つ一つの楽器をくっきりと浮かび上がらせると言われている。ぼくもその通りであると思うが、しかしMM型でもMC型の音を彷彿とさせるような音色の物もあり、そう簡単には割り切れず、個々のカートリッジの音を聞いてみないと何とも言えない。そこがカートリッジを使う楽しみでもある。ぼくは現在4台のターンテーブルを稼働できるようにしており、それぞれに次のようなカートリッジを取り付けている。
 1) DENON DP-80、SAEC WE-407にオルトフォンのSPU-GE(MC)
 2) THORENS TD126MKV、SME3009にシュアーのV15-W(MM)
 3) SUNVALLEY SV-A2にベンツマイクロのACE(MC)とゴールドリングの1012G
 4) YAMAHA GT-750にテクニクスのEPC205CUS
 この中で1)〜3)はほぼ固定であるが、4)はオルトフォンのMC20とかDENONのDL-103を付け替えて使用している。傾向としてはジャズを聞くときはMM、クラシックを聴くときはMCを使用することが多い。そんな中で、先日オーディオテクニカのAT-10Gの音を聞いて改めて見直したので、現在も発売されているAT-5Vというカートリッジを入手して聞いてみようと思っている。
 (追記)
  先日ある友人(Yさん)に、シューリヒトの指揮でパリオペラ座管弦楽団の演奏するモーツァルトの交響曲38番(プラハ)を聞いてみたいと言ったところ、CDを探していただき入手することが出来ました。




サトイモの話(2013.10.31)

 どこの家庭でもサトイモは時々は口にする野菜であると思うが、この植物は染色体がバナナと同じように3倍体である。こういう植物は種がうまく取れません。種ができないので、交配による品種改良とかはできません。しかしそういう性質なので芋そのものは、自分たちで変わろうとする特性があります。よって、良い種イモを選んで何回か作って、安定させてやると品種という形になります。こうして実際には、一口にサトイモと言っても地方地方で色々な品種があります。
 ・石川早生(早生):同じ系列に愛知早生などがある。子イモ、孫イモを食べる。
 ・蓮葉芋(早生):同じ系列に女早生、大和早生などがある。子イモ、孫イモを食べる。
 ・土垂(中晩生):子イモを食べる。
 ・赤芽(晩生):別名セレベス。親芋、子イモを食べる。
 その他にも八つ頭、えぐいも、などいろいろあり。
 同じサトイモでもその系列によって、耐寒性、耐乾燥性などの性質がかなり異なる。この辺で多く作られている愛知早生、石川早生といった系列の品種には水晶症(俗に水晶イモ)になりやすいという弱点がある。水晶症というのは子イモを縦に切ってみると、イモの周りにでんぷん質の欠乏した透明な層が出来、そこを食べると硬くて食味が落ちるという現象である。
 石川早生の系列の早生品種の特性として、8月までは良く育った葉面の旺盛な光合成により、十分なデイプン質が合成されるが、9月に入ると効率が落ちてくる。一方子イモについた孫芋の生育は9月に入って旺盛となる。そのため光合成による養分の供給が十分でないと子イモの養分が孫イモに取られて、子イモに水晶症が出るのである。
 これを防止するためには、十分な葉面を確保する必要がある。そのためには十分な肥料を与えて葉茎を大きく育てる。夏場の水不足で葉を傷めない。ハスモンヨトウなど芋虫類による葉の食害を防ぐなどの必要な管理をして、健康な葉を確保する。更には収穫時期をあまり遅らせない。などの考慮が必要である。
 なぜこんなことを書くかというと、主婦は水晶症になったイモは、その部分を削除して料理しないと美味しくないことを心得ていて、今年とれたサトイモの一部で大量のごみが出たと指摘されたからである。夏場の水の管理が悪かったのと、収穫が遅れたのが原因かと反省しているのである。
 やはり早取りには早取り用の品種、遅取りには遅取り用の品種をしっかりと意識しないといけない。売られているイモは単にサトイモという表示であるが、作る方はそれぞれのイモの性質を意識して作る必要がある。

 この件に関しての技術的な知見については以下の論文が有用と考える。
 ・宮本史登、松本美枝子(1998)サトイモ「石川早生」における水晶症状の発生要因、富山県農業技術センター研究報告18号:83-90
 ・小野敏通、武田英之(1988)サトイモの水晶症状に関する研究、千葉農試研報29:71-79
 ・佐藤亨、宮内英治、杉本秀樹(1988) サトイモの物質生産に関する研究 第2報:日作紀57(2):305-310










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