@ キット屋倶楽部:ジャズ・オーディオの雑記帳:2013年 その4

ジャズ・オーディオの雑記帳
by 6041のS

ジャズ・スタンダード曲“Summertime”(2014.6.7)


 ぼくのパソコンのジャズの音源ホルダー分類に、Standardsという項目があり、中を見るとAs Time Goes By、Autumn In New York、Autumn Leaves、Beautiful Love以下50曲近くのホルダーがある。このように曲目別に色々なジャズの演奏を集めてホルダーを作るようになったのは、随分昔になるが、「感情的Jazzコレクション」寺島靖国著、講談社、1992年発行、という本を読むと「ザ・スタンダード・コレクション」という内容でジャズの名演を紹介した内容があり、それに影響されたからである。スタンダードとは何かという定義については、「ジャズ・スタンダード100、名曲で読むアメリカ」青木啓、海野弘著、新潮文庫に、多くのさまざまな歌手や演奏者によって常に歌われ演奏されている生命の長い歌曲や器楽曲、となる。この呼称はジャズメンの間から生まれたとか、ニューヨークのティン・パン・アレーから生まれたとか諸説があるようだ。
 このぼくのスタンダード・ナンバーの中で最も演奏者の多い曲が、Summertimeという曲で、CD換算で16枚になるくらい集まっている。サマータイムという曲は1935年にブロードウェイで公演が始まったミュージカル「ポギーとベス」に使用された子守唄で、その意味は「夏は暮らしが楽だ。魚は多く、綿は良く育つ。お前の父さん金持ちで、お前の母さん器量よし、だから泣かずにねんねしな・・・」と歌われる。ぼくはこれをエラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングの歌で聞き良いと思い、さらにチャーリー・パーカー・ウィズ・ストリングスで聞き、さらに感銘を受けCD1枚分くらいを集め持っていた。
 あるとき、このことをグッドベイトのマスターに話したら、ぼくも集めているよと言ってCD6枚分のコレクションを見せてくれた。それならぼくも仲間に加わって集めようという事になって、現在CD16枚分、曲数で言うと200曲以上集まっているのである。マスターの収集のきっかけは、ジャニス・ジョプリンの歌とかアルバート・アイラーのテナー演奏に感動したのが始まりのようである。
 こういう発想などがきっかけで、スタンダード・ナンバーの演奏を集めるというのは、大抵の人が経験している事で、企画本も多くある。その一部を以下に紹介する。(ダブりは抜いてある)
 ★ジャズ・スタンンダード100 新潮文庫より
 ・コラボレイション/ヘレン・メリル
 ・ポーギーとベス/MJQ
 ・チャーリー・パーカー・ウィズ・ストリングス
 ★感情的Jazzコレクション 講談社より
 ・ホーン・オブ・ソウル/ベニー・グリーン
 ・ウエスト・コースト・ジャズ/スタン・ゲッツ
 ・ゴー・マン/ソニー・クリス
 ・ブレーク・スルー/シダー・ウォルトン
 ・マイ・ネイム・イズ・アルバート・アイラー
 ・オール・カインズ・オブ・ウェザー/レッド・ガーランド
 ★Jazz“名曲”入門! 宝島社より
 ・Heavy Sounds/Elvin Jones & Richard Davis
 ・Cheap Thrills/Big Brother & The Holding Company(ジャニス・ジョプリン)
 ・Porgy and Bess/Ella Fitzgerald And Louis Armstrong
 ★もうひとつのJAZZ名曲名盤 スイング・ジャーナル社より
 ・レディ・デイ/ビリー・ホリデイ
 ・ポーギーとベス/マイルス・デイビス
 ・マイ・フェイバリット・シングス/ジョン・コルトレーン
 これらの曲は、ぼくとマスターのコレクションにはすべて含まれている。では、ぼくの独断によるベスト演奏はどれか(皆さんに聞いてほしいという意味を込めて)というと、ヴォーカルでは以下の3人か。
 1.ジャニス・ジョプリン
 2.ビリー・ホリディ
 3.エラ・アンド・ルイ

 平凡だがこうなる。とにかくジャニスの悲痛なシャウト、ジャズヴォーカルで最初に歌ったといわれるビリー、それから心温まるエラ・アンド・ルイと、それぞれがそれぞれの情感をこめてこの歌を歌っている。
 演奏ではどうか、
 1.チャーリ・パーカー
 2.アルバート・アイラー
 3.ズート・シムズ

 これも3人、3様の表現で演奏している。
 本当にこれをお前はよく聞くのかと言われると、実は返答に窮する。プライベートでは、実は心ここに有らずというところだ。もっと静かで穏やかな演奏を良く聞く。例えばシャーリ・スコットのトリオ・クラシックッスというアルバムのハモンドオルガン演奏だ。彼女はジミー・スミスとは異なりベースラインはベーシストに任せてメロディラインをしっとりと演奏している。
 ではピアノトリオではどうか。ぼくのコレクションの中では、ハンク・ジョーンズ、ケニー・ドリュー、デューク・ジョーダン、エロル・ガーナ、ジョージ・ケイブルス、ビル・エヴァンス、ウイントン・ケリー、ホレス・パーラン、オスカー・ピーターソン、レッド・ガーランド、マーシャル・ソラールなどのトリオ演奏があるが、やはりピアノはリリカルに演奏してほしいが、それだけでなく、ベースがうるさくてもダメだ。ゆったりとウォーキングベースを弾いてほしい。ハンク・ジョーンズ◎、マーシャル・ソラール○、レッド・ガーランド□と言ったところか。






ジャズ・ピアニスト、ホレス・シルバー氏が逝去(2014.6.20)

 ブルーノートレコードを代表するジャズ・ピアニスト、ホレス・シルバー氏が6月18日に逝去されました。85歳でした。謹んで哀悼の意を表します。
 ホレス・シルバーと言えば、ブルーノートに数々の名盤を残しているのと、アート・ブレイキーと共にジャズメッセンジャーズを立ち上げたことが、良く知られていることだと思います。彼はブルーノートに、
 ・BLP 1520 Horace Silver Trio And Art Blakey-Sabu / WOR Studios, NYC, October 9, 1952
 ・BLP 1518 
Horace Silver And The Jazz Messengers / RVG Studio, NJ, November 13, 1954
 ・BLP 1539 
6 Pieces Of Silver / RVG Studio, NJ, November November 10, 1956
 ・BLP 4076 
Doin' The Thing / "Village Gate", NYC, May 19-20, 1961
 ・BLP 4185 
Song For My Father / RVG Studio, NJ, October 31, 1963
 などを始めとして、40枚以上のアルバムを録音しています。
 今回の訃報に際してCDジャーナルは、ブルーノート・レーベルのアナウンスを掲載し、その中でシルバーが最初にブルーノートに録音したいきさつを次のように紹介しています。「・・・1952年、サックス奏者のルー・ドナルドソンがカルテット・セッションを行なうはずがスケジュールが合わず、偶然ブルーノートのレコーディングをすることになったのがホレスの最初の作品でした。ブルーノートの創始者であるアルフレッド・ライオンはレコーディングをキャンセルする代わりに、ホレス自身のデビューの時であると決断し、彼のオリジナル楽曲のトリオ演奏をレコーディングしました。・・・」このようにして彼は、ブルーノートにデビューし、以降数々の名盤をブルーノートに残すことになったのです。
 ホレス・シルバーは19289月にコネチカット州ノーフォークの生まれ、1950年頃ハートフォードのクラブ“サン・ダウン”に出演中、スタン・ゲッツにその才能を見出されて、同年ゲッツのグループに入り活動した。したがって、シルバーのディスコグラフィを見ると、まずゲッツとの共演盤が最初に来る。
 The Sound - Stan Getz / Roost、NYC, December 10, 1950
  (Tootsie Roll、Strike Up The Band)
 ・
The Complete Roost Recordings - Stan Getz / Roost、NYC, December 10, 1950 - August 15, 1951
  (Imagination、Out Of Nowhere、'S Wonderful、Split Kick、 It Might As Well Be Spring、The Best Thing For You、The Song Is You)
 ・
The Getz Age - Stan Getz / Roost、NYC, December 10, 1950 - August 15, 1951
  (Imagination、Navy Blue、Penny、 It Might As Well Be Spring、Melody Express、Yvette、Potter's Luck、Wildwood)
 ・
That Top Tenor Technician Stan Getz / Alto、"Birdland", NYC, April 5, 1952
 (Potter's Luck、I Can't Get Started、Parker 51 (Cherokee) )

 これらスタン・ゲッツとの4枚のアルバムに録音された20曲を聞くと、ホレス・シルバーのピアノスタイルがバド・パウエルの影響を受けていることが良くわかる。しかし、これらのレコードを聴くとどうしてもスタン・ゲッツの演奏の方に耳を傾けてしまう。
 知立のジャズ喫茶「グッド・ベイト」に顔を出したら、マスターがシルバーの死を追悼して、彼のアルバムを集中して流していた。丁度ぼくが居合わせたときには、Horace Silver And The Jazz Messengersの演奏が流れていた。Kenny Dorham (trumpet) Hank Mobley (tenor saxophone) Horace Silver (piano) Doug Watkins (bass) Art Blakey (drums)というメンバーで、Room 608、Creepin' In、Doodlin'、Stop Time、Hippy、To Whom It May Concern、Hankerin'、The Preacherという曲が収録されている。
 RVGの刻印の入ったレコードの音は素晴らしく、まさにブルーノートのバンゲルダー・サウンドが満喫でき、ホレス・シルバーのみならず若きケニー・ドーハムやハンク・モブレーのヴィヴィッドな演奏に聞き入ってしまった。
 もう一つおまけの話をすると、ぼくはMilt Jackson Quartet、Recorded at Rudy Van Gelder Studio in Hackensack, New Jersey on May 20, 1955というアルバムが好きである。Milt Jackson - vibes、Horace Silver - piano、Percy Heath - bass、Connie Kay - drumsというメンバーで、当時のMJQからピアノをジョン・ルイスのかわりにホレス・シルバーに交替したものである。Wonder Why、My Funny Valentine、Moonray、The Nearness of You、Stonewall、I Should Careという6曲が収録されている。 このアルバムは、アンサンブルを重視したMJQの演奏とは打って変わって、ミルト・ジャクソンのワン・ヴィブラフォン・カルテットといった趣で、スタンダード曲を中心にして、彼のブルージーでリリカルな演奏を十分に堪能できる。ホレス・シルバーの演奏も端正である。A面の@Wonder Why、AMy Funny Valentine、BMoonrayを良く聞く。特に@とBが気に入っている。これもRVGの刻印の入った盤で聞くと素晴らしいサウンドを体験できる。




デューク・エリントンのストンピー・ジョーンズ(2014.6.25)

 6月の我が家でのジャズの集まりに、ジャズでのブルースの演奏の話題が出たついでに、エリントンがブルースを演奏しているCDとして、ピジョン・グループというのが発売した「デューク・エイントン●ストンピー・ジョーンズ」というタイトルのCDを紹介した。内容は下表の一番右の行に示した、Stompy JonesからLoveless Loveまでの8曲が入ったものである。誰かがこのCDもとになったアルバムは何かと質問した。ぼくはそんなことを考えていなかったので答えられなかった。
 という事で、早速調べてみた。ぼくの手持ちのエリントンのLPを引っ張り出してみると、Duke Ellington/Johnny Hodges・Blues Summitという2枚組のLPを探し出した。このLPに収録されている曲目は下表の16曲である。この中にCD8曲はすべて含まれており、元の音源はこれに違いないと思った。そして改めてLP1面からかけて聞いてみると、これはどこかで聞いたことがあると又思った。答えは1面と2面に含まれている曲はBack To Backというアルバムと同じである。もしやと確認してみると、3面と4面に含まれている曲はSide By Sideと同じであった。この2枚を合わせたのが、Blues Summitという2枚組のアルバムだったのである。
 結果はお粗末であったが、なぜこんなことに気が付かなかったのか。上記3枚のLPはいずれもエリントンとジョニー・ホッジスの競演を謳っており、アルバムのジャケットも二人の写真が大きく載せてある。一方ピジョンのCDは、写真は一切なく、演奏を聴くとハリー・エディソンのトランペットがなかなか素晴らしく聞こえる。ドラムもジョー・ジョーンズとベイシーバンドの卒業メンバーといつ共演したのかと思ってしまった。
 と、言いわけを書きましたが、改めてBack To Backを聞いてみると、ジョニー・ホッジスももちろん素晴らしいが、ハリー・エディソンのトランペットも素晴らしいですよ。










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