ジャズ・オーディオの雑記帳
by 6041のS

ミステリー作家;海棠尊(2015年11月2日)


 亡くなった俳優で読書家の児玉清さんの読書についての著作「寝ても覚めても本の虫」などを読むと、児玉清さんが常に最新の著作の出版予定に目を通し、好きな作家の本をいち早く手に入れて読んでいたことが伺える。外国の作家のものについては、日本で翻訳されるのが待ちきれず、原本で入手し英語とかドイツ語を読んでいたことが書かれている。
 ぼくも、この9月、10月についてはかなりの時間を読書に費やした。その中で好きな従来のノンフィクション物や時代小説も読んだが、新しく足を突っ込んだ分野がある。それが医学関係の分野である。例によって講談社のブルーバックスに「死因不明社会 Aiが拓く新しい医療」海棠尊著というのを入手し読み始めた。ついでPHP新書の「日本の医療この人を見よ 海棠ラボVol.1」海棠尊著を読み始めた。
 

 この海棠尊という名はペンネームであるが(本名は非公開)、千葉大医学部出身で独立行政法人・放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院臨床検査室医長という職業を持ちながら、作家活動を始め、2005年に発表した処女作「チーム・バチスタの崩壊」で、第4回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞。なお2006年「チーム・バチスタの栄光」と改題して出版される。
 という事で、10年前から有名となった作家であるが、ぼくとしてはそんなことは知らず、ここに書いた2冊のノンフィクションの本によって彼の名を知り、それからやっと「チーム・バチスタの栄光 上下」を今日読み終えたのである。児玉清さんと比べれば、なんとも遅い読書紹介であるが、自分では知らなかった分野に新しく一歩踏み出すことが出来たから、良かったと思っている。
 本のタイトルにある「バチスタ」というのは、「左心室縮小形成術」という心臓の手術の名前であるが、創始者R・バチスタ博士の名を冠した俗称で「バチスタ」と呼ばれている。というように、作者の本業の世界を題材としたミステリーとなっていて、医療の世界が描かれていて大変興味深い。シャーロック・ホームズに例えるならば、ワトソン役のような東城大学医学部付属病院の田口医師と、ホームズ役の厚生省の変人役人・白鳥調査官という二人がチームを組んで、病院内で発生したバチスタ手術患者の死亡というミステリーの謎を解いてゆく活躍をする話である。大変面白く一気に読み終えた。その後、早速このミステリーの続編ともいえる「ナイチンゲールの沈黙 上下」、「ジェネラル・ルージュの凱旋 上下」、「イノセント・ゲリラの祝祭 上下」いずれも宝島文庫を入手し読み始めている。
 海棠尊氏のミステリー小説は宝島文庫だけでなく、講談社文庫、角川文庫、新潮社文庫などから数多く出版されている。彼は医師としての顔も持っているので、それに関連して以下のようなノンフィクションも書いている。死因不明社会2 なぜAiが必要なのか(2011年8月 講談社ブルーバックス)、医療防衛 なぜ日本医師会は闘うのか(2012年3月 角川oneテーマ21新書)、ほんとうの診断学 「死因不明社会」を許さない(2012年5月 新潮選書)、日本の医療 この人が動かす 「海堂ラボ」vol.2(2013年4月 PHP新書)、日本の医療 知られざる変革者たち 「海堂ラボ」vol.3(2014年2月 PHP新書)ぼくはどちらかというと、こういう方面の方がより興味をひかれる。  


 

 



物事の「こつ」について(2015年11月5日)

 「こつ」.とは何か、国語辞書を引くと「あるものごとをうまく成しとげるための要領。呼吸。かんどころ」と書いてある。さらに講談社発行の「暮らしのことば 語源辞典」を引くと「物事をうまくやるための要領。勘所。語源は漢語「骨」で、人間の骨格ということから天賦の素質を意味し、さらに物事の本質を見抜き、自分のものとする才能をさすようになった。・・・(略)・・・また訓練によって会得する勘所という意味も生まれた」とある。
 ぼくの農ライフ5期生の仲間のジョウさんが、料理のコツのようなものを書いた本がないかなと言っていたのを思い出し、15年くらい前にぼくが買った本がどこかに置いてあるはずと探してみた。確か「日本料理のコツ」言ったタイトルであったと思う。ごそごそと本棚を探していると出てきた。この本には、第1部(基本)・基本調味料のなぜ、素材のなぜ、調理法のなぜ、第2部(実践)・道具と下ごしらえ、美味しいこつあれこれ、造り、焼く、煮る・・・といった内容が書いてある。例えば基本調味料のなぜでは、
 「調味料を加えるとき「さしすせそ」の順で加えるのはなぜ?」
 濃度の異なる溶液が接触すると拡散現象が起きる。その速度は分子量に反比例する。食塩の分子量は58.5であり、しかもNa+とCl-のイオンに分離する。砂糖は分子量342で食塩の6倍も大きい。また食塩はたんぱく質を硬くし、拡散速度を遅くする。砂糖はたんぱく質を柔らかくし、拡散しやすくなる。酢、醤油、味噌は風味の問題。したがって大切なのは砂糖と塩を加えるタイミングである。
などと言ったように、料理の手順の大切さと、それがなぜそうなのかと言ったことを、科学的というか、理屈を説明している。著者は杉田浩一、比護和子、畑耕一郎の3氏となっている。この中で杉田浩一さんは、1954年東京農工大学農学部農芸化学科卒業・ひきつづき同校専攻科修了、東京栄養食糧専門学校に勤務。1958年昭和女子大学に勤務。講師・助教授をへて、1996年まで生活科学部教授、調理学、生活文化史担当。2003年没という経歴である。
 先生の著作は「日本料理のコツ」(1995年12月)以外に「調理の疑問に答える新装版「こつ」の科学」柴田書店(2006年11月)、「調理のコツの科学」講談社ブルーバックス(1989年1月)などがある。

 ぼくが思うに、「こつ」を習得するには二つの方法があるようだ。一つはなぜそうしなければならないか、もしくはそうした方が良いのかと言った科学的な根拠をしっかりと理解することだ。昔、仕事をしてた時に、熱力学がなくても自動車のエンジンは出来たが、熱力学があったから効率の良いエンジンが開発できた。基礎をしっかり学びなさい。と先輩にいわれた。そういうことだろう。そうしないと正しい「こつ」を習得できない。もう一つは、丁度自転車の乗り方を習得するように、繰り返し繰り返し実践してその体験を体で覚える事だろう。二つの方法をバランスよく実践することが「こつ」を習得することに繋がるのではないかと思っている。
 


 

 



斎藤美奈子の書評(2015.11.10)

 11月8日の中日新聞に、宇江佐真理さんの訃報が載っていました。
 作家の宇江佐真理さんが死去 「髪結い伊三次」シリーズ
 「髪結い伊三次捕物余話」シリーズなどで知られる作家の宇江佐真理(うえざ・まり、本名伊藤香=いとう・かおる)さんが7日午前9時17分、乳がんのため北海道函館市の病院で死去した。66歳。北海道出身。葬儀・告別式は10日午前11時から函館市田家町5の29、赤坂中央斎場で。喪主は夫伊藤仁司(ひとし)氏。「幻の声」でオール読物新人賞を受賞しデビュー。同作が皮切りとなった「髪結い伊三次捕物余話」シリーズがヒットするなど、江戸庶民の暮らしを情感豊かに描く時代小説で読者を獲得した。「深川恋物語」で吉川英治文学新人賞。「余寒の雪」で中山義秀文学賞。

2015年11月8日 中日新聞より引用

 彼女のペンネームは、「ウエザ・リポート(weather report)」というタイトルでエッセイを書くために思いついて、宇江佐とつけた

と聞いて、一度に覚えてしまった。ぼくは宇江佐真理さんの「髪結い伊三次捕物余話」シリーズを、最近になって読み始め、 江戸庶民の暮らしを情感豊かに描く時代小説が気に入り、これからもっともっと楽しませてもらおうと思っていた矢先に、66歳という若さで乳がんで死亡というのは本当に惜しまれる。
 と、話がタイトルとそれてしまったが、実は米原万理さんの「打ちのめされるようなすごい本」という読書日記と書評を合わせた内容の本に、書評家としての斎藤美奈子さんが書いたものは大変面白いと紹介されており、それで斎藤美奈子さんの本に興味を持ったのである。
 ぼくは米原万理さんが「不実な美女か貞淑な醜女か」という本を書いて作家としてデビューした当時から、彼女の発想とか考え方、センスに共感を覚え、また彼女のある意味波乱に満ちた生き方にも注目していた。そんな彼女も残念ながらガンにより56歳で亡くなった。
 そんなわけで斎藤美奈子さんの本をとりあえず数点入手して読んでみることにした。
 ・「本の本 1994-2007」筑摩書房 2008年
 ・「読者は踊る - タレント本から聖書まで。話題の本253冊の読み方」マガジンハウス 1998年 / 文春文庫 2003年
 ・「あほらし屋の鐘が鳴る」朝日新聞社 1999年 / 文春文庫 2006年
 ・「趣味は読書」平凡社 2003年 / ちくま文庫 2007年
 ・「それってどうなの主義」白水社 2007年 / 文春文庫 2010年
 まだ読み始めたところだけれど、この人はどれだけ本を読んでいるのかと思うほど、すごい読書量のようだ。それを毒舌も交えた言い方で批評していて、確かに米原万理さんの感性に響いていたようだ。それにしても「本の本」という1994年〜2007年にかけての書評集は700頁を超えている。本なら何でも読みまくっているのか!この人は!!


 

 



思わず買ってしまった“フランス書院”翻訳本(2015.11.15)

 フランス書院と言えば、官能小説の老舗として世に知られている存在である。現在では「フランス書院文庫」が同社の主力製品で、多くの国内の作家が活躍されているようであるが、文庫本は1985年の発刊であり、1975年の創業からそれまではアメリカの翻訳小説を中心に単行本を発行していた。アメリカの翻訳小説から出発しているのに、なぜ社名が「フランス」なのか。同社の関係者のコメントが週刊誌に乗っていた。「フランス書院というネーミングはイメージ優先で決まったそうです。ドイツやアメリカでは、少しイメージが違ったのでしょう」

 というくらいの予備知識の中で、豊田市の中古本屋に立ち寄ると、まさに1977年から1979年にかけて出版された同社の翻訳本が30冊近く0.1K円で売られていた。色々なものをコレクトするのが好きなぼくとしては、当然すべてを買い占めるのであるが、今回は官能小説ということでこんなものをたくさん集めてもと迷いが生じた。そして半分の15冊を、内容は良くわからずに機械的に購入した。
 買ってから気づいて発行年月を確かめると、トー・クンという作家が書いた「義母」という本が発行から1年で11回も版を重ねているので、ネットの知恵を拝借してみると。1975年に創業したフランス書院の官能小説の最大のヒット作はトー・クンが書いた「女教師」で、それ以外に「義母」や「姉」もフランス書院から発売され人気となった、と載っていた。(週刊ポスト2014年5月9・16日号の記事)「義母」も当時のベストセラーとなり、それで版を重ねたのかと納得した。同時に、ぼくの記憶では確か「女教師」って本もあったなと思い出し、やはり全部買っておくべきだったと思った。もうこんな本は中々市場には出てこないだろうし。気を取り直して、翌日もう一度残りの本がどうなったか見に行った。結果は全部売れていた。こういうことは本だけでなく、中古レコードを買う時とか、中古オーディオの時とか、前にも何度か経験している。中古品というのは、本当に一期一会で、出会った時にすべてを買わないとどこかに飛んで行ってしまう。と言っても、今回は後悔する程の大げさな事でもない。  

 実は、思い出すと今でも残念に思うことが一つある。同じ豊田の中古本屋で数年前に、梅棹忠夫著作集・全23巻が、1冊0.5K円で売りに出されていた。残念ながらその時は、すべてを購入するお金を持っていなかったので2冊だけ購入した。そしてあくる日に早速駆けつけてみると、すべてが見事に消えていた。
 梅棹先生は、「日本における文化人類学のパイオニアであり、梅棹文明学とも称されるユニークな文明論を展開し、多方面に多くの影響を与えている人物。京大では今西錦司門下の一人。生態学が出発点であったが、動物社会学を経て民族学(文化人類学)、比較文明論に研究の中心を移す。代表作『文明の生態史観』の他、数理生態学の先駆者(オタマジャクシの群れ形成の数理)でもあり、湯川秀樹門下の寺本英が展開した。・・・(ウィキペディアより)」
 今回も同じ店なのでまさかと思ったが、やはり同じようなことがまた生じたのである。


 

 



ジャズのレコード・コンサート(2015.11.22)

 今年の5月に豊田市の地元の交流館から依頼を受けて、ジャズのレコード・コンサートを実施しました。これは交流館でほっこり・サロンという行事の一つとして企画されたもので、実施内容についてはすべてこちらに任されました。“スピーカーAltec A7を真空管アンプ(サンバレーSV-722、SV-275)でドライブして、LPレコードでジャズを聞こう”というキャッチフレーズの元に、再生装置をすべて持ち込んで実施しました。当日かけたジャズのLPは以下のようです。

 区分1、オール・アメリカン・リズム・セクションを擁したカウント・ベイシー楽団の演奏を聞く。
 区分2、同じ曲をそれぞれの演奏者がどう即興演奏するか聞く。
 区分3、ピアノ・トリオのスタイルの違いを聞く。
 区分4、名演奏を時間まで。

 実施した結果は、予想したよりも多くの方に参加して頂き、音源についても一部を知立のジャズ喫茶「グッドベイト」の協力を頂き、ほとんどをオリジナル盤で再生することができ、好評でした。
 と、過ぎたことを思い出してなぜ書いているかというと、また来年の5月に開催してほしいと交流館よりリクエストがあり、色々考慮してどうしようか検討しているからである。(実施するにしても、ぼく一人ではできないので、今年と同じように周りの人に支援してもらわないといけない)
 
 


 

 











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