ジャズ・オーディオの雑記帳
by 6041のS

「FMジャズ喫茶Pitch」9月1-2週放送分の収録 (2017.8.28)

 先月でレーベル別特集を終えて、今回からまた自由に各自が選曲して持ち寄ることとなりました。こうすれば各自のジャズに対する好みがより際立つことになります。放送の中で自分と違う好みについて、気に入らないとか言っていてもあまり建設的な話とならないので、他人の選曲に対して自ら感想を述べるのは自由として、司会者がどう思うかと無理に振らないように、と事前取り決めをしました。
 今回も放送の始まる前に、お互いの選曲に対して、ネガティブに思っている部分を口に出してのバトルがありました。お互いの立ち位置を確認しあうといった程度のものですが。
 大橋さんからは、毎回1曲は女性ヴォーカルを取り上げて選曲するといった説明がありました。マスターも今まで不定期に女性ヴォーカルを取り上げています。ぼくは取り上げろと言われなければ取り上げません。(女性ヴォーカルが嫌いではなく、好みの幅が狭いため)
 番組で曲を取り上げる順番は、大橋さん、マスター、ぼく(清水)の順番で行こうとなり、冒頭のあいさつからスタートしました。

 トップバッターの大橋さんが取り上げたのが、ソニー・スティットのNow!というアルバムよりエストレリータという曲です。大橋さんはいつも、ぼくはジャズ初心者なので耳タコ盤しか取り上げられないと言っていましたが、こんなアルバムをいきなり取り上げるというのはどういうことでしょう。
彼の代表盤と言えば、「スティット、パウエル&J.J.+3 Pre. 49-50」とか「ペン・オブ・クインシー Rou.55」、「チューン・アップ Mus.72」などが普通は出てくると思うのだが、またハンク・ジョーンズとの共演盤では「ソニー・スティット・ウィズ・ザ・ニューヨーカーズ Rou.57」当たりが出てくるのだが、Now!という渋いアルバムを取り上げてきたのだ。演奏しているEstalitaはスティットの少し軽めで切込みの鋭いパーカーのフレーズのようなアルトサックスの冴えわたる曲である。

「1」大橋:Estralita (3:13)
・Sonny Stitt - Now!
・Impulse! - A-43
・Recorded June 10, 1963
  ・Bass - Al Lucas
  ・Drums - Osie Johnson
  ・Piano - Hank Jones
  ・Tenor Saxophone, Alto Saxophone - Sonny Stitt

 

 マスターが取り上げたギタリストのジャンゴ・ラインハルトのアルバムは、彼の代表作の一つでDjango And His American Friendsというアルバムタイトルは、Coleman Hawkins、Benny Carter、Rex Steawart、Bill Colemanといった当時のアメリカ・ジャズ・マンとの共演盤であることによる。確かにジャンゴ・ラインハルトは知る人ぞ知る欧州の名ジャズ・ギタリストであるが、取り上げたアルバムは王道を行くようなアルバムである。
 ぼくがジャンゴの名前を知ったのは、彼の演奏ではなくMJQのピアニスト、ジョン・ルイスの作曲したDjangoというジャンゴ・ラインハルトを追悼する曲をMJQの演奏で聞いて素晴らしいと思ったのがきっかけである。
 演奏しているStardustという曲は、コールマン・ホウキンスのテナー演奏を代表する曲で、ジャンゴのギターと共にホウキンスの素晴らしいテナーが楽しめる。

「2」神谷:Stardust (3:14)
・Django Reinhardt - Django And His American Friends Vol. 1
・His Master's Voice - CLP 1890
・Recorded 1935-1937
  ・Orchestra - Coleman Hawkins All StarJam Band (tracks: A7 to B2),
  ・Dickie Wells And His Orchestra (tracks: B3 to B8)
  ・Garnet Clark His Hot Club's Four (tracks: A4 to A6)
  ・Michel Warlop And His Orchestra (tracks: A1 to A3)

 

 続いて僕が取り上げたのは、ギタリストのグラント・グリーンのフィーリン・ザ・スピリットというアルバムです。マスターがジャンゴを取り上げると聞いたので、ぼくもギタリストを取り上げる気になりました。グリーンというギタリストは、一般的なギターの特徴であるコードとかリズムの演奏は得意でなく、ホーン奏者のようにメロディラインをシングルトーンでスピリチュアルに演奏するのが得意で、シンプルなギターです。ジェリコの戦いのようなゴスペル調の演奏はスピリチュアルでたまらなく僕は好きです。

「3」清水:Joshua Fit De Battle Ob Jericho (8:00)
・Grant Green - Feelin' The Spirit
・Blue Note - BST-84132
・Recorded at the Van Gelder Studio on December 21, 1962.
  ・Bass - Butch Warren
  ・Drums - Billy Higgins
  ・Guitar - Grant Green
  ・Piano - Herbie Hancock
  ・Tambourine - Garvin Masseaux

 

 2周めでは大橋さんが予告通り女性ヴォーカルを取り上げました。ベヴァリー・ケニー(Beverly Kenny)のカム・スイング・ウィズ・ミーというアルバムからI Guess I'll Hang My Tears Out To Dry(この涙を乾かさなくては)という曲です。よく似た名前の女性ヴォーカリストにベヴァリー・ケリー(Beverly Kelly)という人がいます。この方はベーシストのスコット・ラファロと共演したBEVERLY KELLY SINGSというアルバムで有名で、どちらかというと本格的なシンガーですが、ベヴァリー・ケニーさんはキュートな歌い方の癒し系のシンガーです。この曲も大橋さんの好みらしく、大変キュートに歌っていて、夜のひと時に聞いていると癒される感じですが、ぼくは大好きなクリス・コナーの歌を思い出しました。

「4」大橋:I Guess I'll Hang My Tears Out To Dry (2:58)
・Beverly Kenney With Ralph Burns' Orchestra - Come Swing With Me
・Roost - RLP 2212
・Recorded in New York City, 1956
  ・Bass - Milt Hinton
  ・Drums - Don Lamond, Teddy Sommer
  ・Guitar - Barry Galbraith, Billy Bauer
  ・Piano - Moe Wechsler
  ・Trombone - Urbie Green
  ・Trumpet - Nick Travis
  ・Vocals - Beverly Kenney

 

 マスターがここにきて取り上げたのがアルトサックスの森 剣治さんのプレイ・ザ・バードというアルバムです。森 剣治さんは名古屋在住のジャズマンで、昔はマスターの店でもライブを行ったようです。今回はピアノレスのトリオの演奏で、ドナ・リーです。この曲は速いパッセージで、サックスの技術をひけらかすようなところがありますが、ここではドラムの小原哲次郎さんとの掛け合いというか、対話をしているような演奏で、スタジオ録音にも係わらずライブ演奏を聴いているようです。

「5」神谷: Donna Lee (6:50)
・Kenji Mori Trio - Plays The Bird
・Offbeat Records - ORLP-1001
・Recorded on 30 April - 2 May 1975 at New Meguro Studio, Tokyo.
  ・Alto Saxophone - Kenji Mori
  ・Double Bass - Nobuyoshi Ino
  ・Drums - Tetsujiro Obara

 

 ぼくの2周目が回ってきました。取り上げたのはレイ・ブライアントのピアノ・トリオです。この人は1972年のモントルー・ジャズ・フェスティヴァルに急遽オスカー・ピーターソンの代役で登場し、ソロ・ピアノを披露したのがきっかけで広く知れ渡り、多くのアルバムを出すようになったという、大器晩成型の人です。哀愁を帯びたブルース感覚が多くの日本人の共感を呼び、このアルバムとかThrough The Yearsというアルバムのように日本人が企画にかかわっているものもあります。取り上げた曲は、マーサ・エリントンが作曲した昔は良かったねという曲です。多くの人が耳にしたことのある曲だと思います。

「6」清水:Things Ain't What They Used To Be (6:16)
・Ray Bryant - Ray Bryant Plays Basie & Ellington
・EmArcy - 832 235-1
・Recording Date; February 15, 1987 & February 16, 1987
  ・Bass - Rufus Reid
  ・Drums - Freddie Waits
  ・Piano - Ray Bryant

 

 いつもは6曲でお終いとなることが多いのですが、今回は短い曲が多かったせいかもう1曲かかることになり、大橋さんの選んだレッド・ガーランドとコルトレーンのソウル・ジャンクションというアルバムよりBirk's Worksを時間までかけることになりました。それにしても今日取り上げた大橋さんの選曲は、耳タコ盤ではなかったように思います。

「7」大橋:Birk's Works (7:34)
・The Red Garland Quintet Featuring John Coltrane And Donald Byrd - Soul Junction
・Prestige - P-7181
・Recorded in Hackensack, New Jersey, November 15th 1957.
  ・Bass - George Joyner
  ・Drums - Arthur Taylor
  ・Piano - Red Garland
  ・Tenor Saxophone - John Coltrane
  ・Trumpet - Donald Byrd

 

 終わりにあたり、今日は石神ディレクターを紹介したいと思います。全体の進行を、コンソールを操作しながら統括するのはもちろんですが、ぼくたちがおしゃべりをしていて、途中でかんだりすると、「アッ、石神さん、今のカットしておいて!」などと言っても、「はい、わかりました」と気持ちよく答えてくれます。また姿勢が悪くマイクから遠くなったり、近すぎて、吹いたりした時も、すかさずチェックを入れてくれます。放送の後半になると、時間を見ながらおしゃべりは軽めに、とか。次の曲で終わりになりますとか、色々神経を使って時間調整をしてくれます。ぼくたちは収録が終わればやれやれですが、彼女は放送が終わっても、収録中にメモした項目をチェックしながら、曲をかけるLPの出だしを調整したり、何やかやと編集の仕事があり、なかなか忙しいようです。(内輪の話ですが、石神Drに感謝です)

 

 


 

 


 

 









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