ジャズ・オーディオの雑記帳
by 6041のS

「FMジャズ喫茶Pitch」10月1-2週放送分の収録 (2017.9.11)

 「FMジャズ喫茶Pitch」という名前で放送を開始してから、今月分でちょうど1年になります。その間、大橋ナビゲーターのもとに神谷マスターとぼくの2人はレギュラーメンバーとして1回も休むことなく続けてきました。しかし慣れたかというとこれがなかなか難しく、今回も冒頭で大橋さんから二人に対して“この放送の反響はどうですか”と質問を投げかけられても、頓珍漢な返答しか返せません。どちらかというとマスターは思ったことをあっけらかんと言い、ぼくはつまらん無難なことしか言えません。なかなか大橋さんの思い描いた進行通りにはいきません。しかし事前打ち合わせなしで、大橋ナビゲーターの進行のもとに番組を進めていますので、ある意味ではそれがぼくたち二人の地であると割り切っています。それでもあまり背伸びをしない中で、うまく呼吸を合わせることができればと思っています。今回の曲紹介は、清水、神谷、大橋の順となりました。

 ぼくが今日持ち込んだ最初のアルバムは Miles DavisのSaturday Night At The Blackhawk, Volume Ⅱ である。マイルスが録音したアルバムの中でも、最もリラックスして演奏したライブ録音の1つである。今日選んだ If I Were A Bell という曲では、ジミー・コブの良くスイングする軽快なドラムと力強いポール・チェンバースのウォーキングベースに乗って、マイルスが気持ちよさそうに思う存分のアドリブを展開する。本当に長いアドリブである。この曲に限ってはハンク・モブレイは休憩をしているようで、マイルスに続いてウィントン・ケリーのこれまた軽快にスイングするケリー節のアドリブが心地よく聞こえてくる。ぼくが楽しんでいる1枚である。

「1」清水 : If I Were A Bell (8:40)
・Miles Davis - Saturday Night At The Blackhawk, Volume Ⅱ
・Columbia - CS 8470
・Recorded at The Blackhawk Restaurant, San Francisco, California, April 22, 1961.
  Bass - Paul Chambers
  Drums - Jimmy Cobb
  Piano - Wynton Kelly
  Tenor Saxophone - Hank Mobley
  Trumpet - Miles Davis

 

 知立のジャズ喫茶「グッド・ベイト」のマスター神谷さんは、土曜日に放送される「FMジャズ喫茶Pitch」の内容を早速録音すると、日曜日にはその内容をたいていお店で流す。常連のお客さんから、もっとマスターの好きな前衛っぽい曲をかけたらどうかと、時々言われるようである。今日はそういうこともあってか、John Surman のアルバムである。最近のぼくは、管楽器の奏者が前衛っぽい演奏をしてもそれほど違和感なく聞いている。むしろ John Zorn の演奏なんかは好んで聞いている。但しかなわんなと思うのは、多くのドラマーがドシャーン、バシャーン、ジャーンとあおるのを聞くと、静かにしてほしいと思う。ジャズ・ドラムをたたくマスターからすると、その掛け合いも味があって面白いと思うようである。このアルバムの Utah, Oregon という曲では、ドラマーが極端ではないので、ぼくにも聞きやすかった。特に John Surman のアルト・サックスでも演奏しているような奏法のバリトン・サックスの演奏はなかなか味があって面白いと思う。

「2」神谷 : Utah, Oregon (6:00)
・The Trio - By Contact
・Ogun - OG 529
・Recorded at Tangerine Studios, London, 1971-04-16, 1971-04-17
  Baritone Saxophone, Soprano Saxophone, Bass Clarinet, Cornet - John Surman
  Double Bass - Barre Phillips
  Drums - Stu Martin

 

 ジャズのフルート奏者と言えば、Herbie Mann というのがすぐに浮かぶ名前であるが、マスターに質問すれば Eric Dolphy、Roland Kirk、Jeremy Steig という名が上がるだろうし、ぼくで言えば Lew Tabackin、Jeremy Steig と答えるだろう。Lew Tabackin のフルートは日本の尺八の味があり、それがぼくの好みである。Jeremy Steig はそれとは異なり非常に情熱的に、声を出しながらフルートを吹く。その中でも大橋さんの選んだ Oleo という曲はそういった意味の代表的な演奏であり、今日は最初から身を乗り出して演奏を聴いていた。Steig とともにピアノの Denny Zeitlin の角の立った切れの良いピアノも素晴らしいと思う。

「3」大橋 : Oleo (5:15)
・Jeremy Steig - Flute Fever
・Columbia - CS 8936
・Recorded October 23, 1963
  Bass - Ben Tucker
  Drums - Ben Riley
  Flute - Jeremy Steig
  Piano - Denny Zeitlin

 

 次に僕が取り上げたのは、Jackie McLean の4, 5 And 6 というアルバムである。このアルバムは録音されている中の Sentimental Journey という曲を聞くために持っているようなものである。マクリーンの参加しているアルバムというと、Sonny ClarkのCool Struttin’とか Mal WaldronのLeft Alone といったアルバムを思い浮かべる人が多いと思う。彼の少し陰りのあるアルト・サックスで哀愁のある曲を演奏されると、胸にグッと迫ってくるものが有るのである。さらにあとノリで、引きずるような感じに聞こえる Doug Watkins のベースが演奏に重厚感を与えている。

「4」清水 : Sentimental Journey (9:57)
・Jackie McLean - 4, 5 And 6
・Prestige - LP 7048, Prestige - PRLP 7048
・Recorded in Hackensack, NJ; July 13 (#A1-A3) and July 20 (#B1-B3), 1956.
  Alto Saxophone - Jackie McLean
  Bass - Doug Watkins
  Drums - Arthur Taylor
  Piano - Mal Waldron

 

 マスターが2枚目として取り出したのが、Duke Ellingtonと Ray Brown による This One's For Blanton というアルバム。Jimmy Blanton というベーシストはエリントン楽団に在籍していたが、1942 年に23 歳という若さで亡くなった。ピチカート とアルコの両方の奏法を用い、その歌心溢れるベース・ラインとアドリブ・ソロで当時のジャズ・ベース界に多大な影響を与えたベースマンである。エリントンは彼とのデュオの演奏を残しているが、ここではレイ・ブラウンとのデュオで偉大なベーシスト・ブラントンへの敬意を示したアルバムである。このようなアルバムを取り上げるマスターはやはりジャズを聞く耳はプロである。

「5」神谷 : Do Nothin' Till You Hear From Me (5:30)
・Duke Ellington and Ray Brown - This One's For Blanton
・Pablo Records - 2310 721
・Recorded December 5, 1972 in United Recording, Las Vegas, Nevada.
  Double Bass - Ray Brown
  Piano - Duke Ellington

 

 最後に大橋さんが取り上げたのが、Sarah VaughanのHow Long Has This Been Going On?というジャズ・ヴォーカルのアルバムである。ぼくなんかはこのジャケットを見ただけで聞く気を削がれてしまうが、彼女の数あるアルバムの中でも聞くべきアルバムの1枚だろう。取り上げた歌も Midnight Sun という大変難しい歌である。この曲はライオネル・ハンプトンが作曲し、ヴォーカルとしてはElla Fitzgeraldの持ち歌として知られているが、「真夜中の太陽」とはどういうことだろう。

「6」大橋 : Midnight Sun (4:36)
・Sarah Vaughan - How Long Has This Been Going On?
・Pablo Records - 2310-821
・Recorded April 25, 1978
  Bass - Ray Brown
  Drums - Louie Bellson
  Guitar - Joe Pass
  Piano - Oscar Peterson
  Vocals - Sarah Vaughan

 

 リスナーの皆さんにジャズの楽しさを理解していただくには、私たちが楽しく番組を進めなくてはと思っていますが、一方であまり手前みそでは、聞いているほうが白けてしまうのではと思います。まぁ、あまり難しく考えずに知恵を出していこうと思います。

 

 


 

 


 

 









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