キット屋倶楽部
私のオーディオ人生
Y下
by Y下
第10回 オレ流オーディオ・スピーカー編
 第10回のコラム製作中にサンバレーの大橋氏がガイシホールの帰りに拙宅にお寄りくださいました、グッドマンスピーカーとWE−300Aの試聴
店主日記を見られている皆さんはもうご存知だと思います。9月6日の「Y下の300A」です。

鳴かせてみせるぞ!英国ヴィンテージスピーカー
第9回目はGOODMANスピーカーを紹介しましたが、購入したのは良いがすべてが未知数、スピーカーユニットは不思議な物で上手に磨けば努力次第で「ダイヤモンドにもなり」下手に磨けば「石コロにもなりうる」である、
英国スピーカーの挑戦は私にとっては未体験だ、特にグッドマン3Way、コアキシャルタイプのバイタボックス、ステントリアン等はタンノイと違って使っている人は極少数で知らない人が多いと思う、こんな超レアーが付くスピーカーを聴かれた方は少ないから情報がまずない、しかもオリジナルの音などあって無いようなものだ、タンノイなら周りを見れば持っている人は沢山いる、クラシックファンが10人いれば8人まではタンノイと言われている、ヴィンテージショップに行けば何時でもタンノイなら試聴できるから購入しても失敗がなく誰が鳴らしてもタンノイトーンになり安心感はある、
第1回のコラムで書きました戦国の武将の「鳴かぬなら、鳴かせてみようホトトギス」の心境でもある。またコラムがスピーカー編である以上GOODMANの次は店主日記で紹介されましたバイタボックスその次にステントリアンをご紹介させて頂きます。

GOODMANユニット
前回のコラムでGOODMANスピーカーを写真でご紹介しましたがあれは本当にGOODMANなのか?疑いの眼差しで見ている方もお見えかも知れません、また一度もGOODMANスピーカーを見たことも無いから「全体の写真を見せろ」と声が聞こえてきそうですから今回は中音ホーンのみボックスからユニットを外して再度写真でアップしました、(キット屋倶楽部初公開)

 GOODMANの中音ホーンの写真です。開口部分は200×400で奥行は480あります。このホーンはスロートが長いので低い周波数帯から使用できます。英国のホーンスピーカーはあまり見かけません。

左側はウーファーでAudiam60になります。フレームを見ますと何となくタンノイのレッドによく似ています。このスピーカーはグッドマンでも初期タイプのウーファーでこれとよく似ていますのは同じグッドマンのAXiom−150になります。
真ん中の写真はこのスピーカーのネットワークになります。多少汚い配線ですが色々テストしたため雑になってしまいました、黄色の色の筒状になっているのはHOVLANDのMUSICAPコンデンサーで素材はフィルムになります。
右側の丸いユニットはツィーターで同じグッドマンのTrebax100になります。

オレ流の料理
オーディオで一番難しく奥が深いのはスピーカーシステムと言われています。このGOODMANをどのように料理するのか思案の為所であり腕の見せ所でもあります。もちろん個人の感性が特に入ってくる部分で「耳と頭」の悪い私ですが自分なりの構想を1〜7にまとめてみた、
1. ヴィンテージスピーカーは現代のスピーカーと違ってエッヂがフィックスドエッヂを採用してあるため重低音は望めないのでエンクロージャーは出来るだけ大型にして低域を豊かにする。
2. 使用するエンクロージャーの材質は何が適材なのか、また吸音材を何にするか、
3. リビングに設置する以上は見栄えも大切にしたい、
4. エンクロージャーの形式は密閉型、バスレフ型、バックロード型、後面開放型、平面バッフルと色んな方式があるがどれが自分好みかをじっくり検討する。
5. スピーカーユニットを生かすも殺すもネットワークと言われているこの部分に重点的に力を注ぎたい、3Wayのマルチも面白いがアンプが3台とチャンデバも必要になって予算オーバーになるので今回はL,Cの組み合わせのネットワークで行くことにした、特に使用するコンデンサー(C)で音がガラリと変わる体験をしているので自分なりに好みの合うコンデンサーを幅広く選択する必要がある。
6. 3Wayで使用するため二次、三次のクロスオーバーをどこに設定するか
7. スピーカーボックスの外観はどの様な形にするのか、「この部分こそ好みの世界でもあり楽しみでもある。」
 自分なりにまとめた大筋の7項目ですが3と7の構想だけは音には関係ない気がしないでもないが毎日顔を突き合わせて音楽を聴く以上、工作技術が小学生以下の私が作ったみかん箱のようなみっともないボックスでは良い音でも悪く聴こえる「オーディオもセンスの問題で外観が悪いと音も悪い?」

構想その1
ヴィンテージスピーカーを上手く鳴らすには箱の容積を大きくしないと低域が弱くなってピラミッドバランスが崩れてしまう、ヴィンテージスピーカーのほとんどはエッヂがフィックスドエッヂになっているので低域の振幅が少ないため低域が出にくい傾向がある、それを補うためにはボックスの容積を大きくすれば豊かな低域が望めそうだ、

構想その2
昔はエンクロージャーの材質をラワン合板で製作した経緯があるがラワン合板の響きは付帯音がついて回り響きが悪い、「作り方が悪いのか耳が悪いのか」は記憶にないが良い響きでなかったのは頭の片隅に残っている。当時は特殊な合板は手に入らないからコストの安いラワン合板が簡単に手に入れることができたので自作マニアはラワン合板でスピーカーボックスを製作する人がほとんどであった、
 今は色んな材料が手に入る、米松合板、アピトン合板、フィンランドバーチなどの集成材はスピーカーボックスには良い音が出そうな合板が沢山出ている。昔から米松合板はアルテックのA5,A7に使用されているが確かに響きは良いがコストは高いけど実際はどうなのか未知数であるが今回は初めてアルテックに見習って米松合板を採用して見ることにした、板厚は25mmでチューニングしながら吸音材の量と補強を入れるべきかはやってみなければわからない部分でもある。
 オーディオは自分なりにやってみないとわからない未知の世界だ、自分の耳と技量で馬鹿馬鹿しいことでもやってみるのも面白い、ひょっとしたら良い結果が生まれるかも?ボックスの吸音材は安くて手に入るグラスウールを使用する予定ですが「あれは触るとチカチカする」のがマイナスだ、

構想その3と7
木工工作が子供の頃から得意?であったがフロアータイプのボックス製作は労力が必要だ、それよりも腰を痛めたら病院代の方のが高いものに付くから専門の業者にお願いした方のが無難である。久しぶりに買ったMJ誌に(レコードのスズキ)の広告に特注家具、「スピーカーボックスなど製作します」の文字が書いてあった、
場所は神奈川県の川崎市だが名古屋からは高速を使えば4時間ぐらいで行ける、せっかく作っていただく以上は一度面識を持つ必要もあるがオーナーがどんな人柄であるか不安もある、
事前にアポを取ってから東名高速を4時間かけて行ったのはよいが「レコードのスズキ」の場所がわからない、近所の方に場所を聞いても知らないとの返事
が返ってきたが周りをよく見るとレコード店や木工工房と言うより駐車場完備の木工所の建物がありそこに大きく鈴木産業の文字が目に飛び込んできた、

レコードのスズキ
初めてお会いした鈴木氏は非常に温厚なタイプでこちらの要望にも嫌な顔をせずに親切に対応してくれたのが印象に残る、ここの「レコードのスズキ」の工房の中に入ったらびっくり仰天、右を向いても左を向いてもスズキオリジナルのスピーカーボックスとスズキオリジナルの真空管アンプが所狭しに陳列してあるではないか、「ここはヴィンテージオーディオのご本尊だ、」関東地区のマニアの方は羨ましい、クラフトオーディオの宝庫である、このような工房は名古屋地区にはない、
 スピーカーボックスの打ち合わせで奥の事務所に案内されたが、この事務所も凄い!部屋の中は「真空管、真空管」どうしてこんなに大量にストックされているのか不思議でならない、
 早速スピーカーボックスの打ち合わせを開始すると奥から20代半ばの青年が打ち合わせに入ってきた、この青年は鈴木氏の息子さんで木工職人らしくお父さんとは似ていない中々のイケメン男だったのが印象である。(笑)
スピーカーの外観はタンノイのGRFメモリーに似たデザインで決定したのだがGRFメモリーとはどんな外観なのか正直言って知らなかった、すべて鈴木氏にお任せである、
 ボックスの材質は米松合板の25mm厚でツキ板はウォールナット仕上げに決定した、サランネットはタンノイに似たようなサランネットが気に入ったのでこれに決めた、出来上がりの納期は約1か月とのこと、その間に真空管アンプを自作すれば完成と同時に聴ける、どんな音で音楽が奏でるか楽しみだ!

構想その4
スピーカーのエンクロージャーを設計する場合、ボックスの構造をどのようなタイプにするのか、これ又頭を悩ます部分でもあります。外観などは予算との兼ね合いで決まりますがボックスの構造になるとどれが最適なのか実際に試聴してみないと結論は出ません。
 最初の案としてバックロードも考慮していましたが3Wayを一つの箱に納めるのはユニットの構造上難しいので断念しました、密閉型は相当な容積がないと低域が豊かになりません、その昔エレクトロボイスのスピーカーを密閉型にして試聴してみましたが低域のレゾナンスが高く期待通りの音ではなかった、
 後面解放型の場合はスピーカーボックスの後ろの部分が硬い材質でできた部屋でないと効果が出ない、日本の建築は最近の家の壁はブラスターボードの上にクロスが貼ってあるのがほとんどでどうしても低域が逃げてしまう恐れがあります。リスニングルーム専用の部屋にするなら床も壁も考慮して設計しますけど・・・・
 最後に残ったのはバスレフタイプになります、このタイプは単に箱に穴を明けてポートを付ければ完成とは行きません、バスレフタイプにする以上必ず位相反転しないと逆効果になってしまいます、最近は便利になったもので市販のパソコンのソフトを使ってデーターをプロットするだけでポートの径とダクトの長さが求められるが計算はあくまで計算であって最終的には耳で調整する必要がある、今回はバスレフタイプで製作することにした、

構想その5
スピーカーユニットを生かすも殺すもネットワークと言われています、ネットワーク回路は複雑でなくコイルとコンデンサーの組み合わせですから難しく考える必要はありません。何Hzでクロスさせるか減衰量を6dB、12dB、18dBにするかだけです。これもネットワークの計算式で求めることが出来ます。ただしスピーカーの能率の差がありますから必ずアッテネーターのボリュームを介してやらないと音量のバランスが取れません、コイルも空芯か鉄芯を使うか議論もありますが今回は深く考えないようにしました。問題はコンデンサーを何にするかこれが悪いと音に影響します大切な部分です。
 今回は4種類のコンデンサーを使ってヒアリングテストをしました、ただしあくまでも私個人の評価であってこれが一番とは言えません、使用するスピーカーのユニットで評価はひっくり返る場合もありますからあくまでも参考にして下さい。
1. WEのオイルコンデンサー
2. 一般的なローコストのフィルムコンデンサー
3. イギリスのTCC社のオイルコンデンサー
4. HOVLAND,MUSICAPフィルムコンデンサー
リファレンス用コンデンサーはHOVLAND,MUSICAPでの比較試聴です。
1, WEのオイルコンデンサーは価格的には非常に高価です、巷ではオイルコンはWEが最高と言われていますが、今回のテスト試聴では音全体がモャ〜とした感じで抜けが悪いような気がしました。
2, 音の傾向は少しきつい音で歪感が感じられ長時間聴いていますと聴き疲れする傾向があります。エージングすればと思いますがエージングだけの問題ではなさそう
3, このコンデンサーも価格的にも高価なコンデンサーです。音の傾向は多少硬い部分もありますが長時間かけてエージングかければ評価も変わると思います。
4, このHOVLANDのMUSICOPは不思議にも同じ定数でもこのコンデンサーは低域が伸びてきます。音は嫌味な音にならず歪の少ない爽やかな音の傾向になります。このコンデンサーの代理店でウェスタン・ラボの宮岡社長が絶賛していた通りのコンデンサーで私も大のお気に入りの一つになりそうです。
以上がテストをしたコンデンサーですが音の捉え方は人其々です、皆さんも実験して見るのも面白いかも知れません。

構想その6
最後は何処でクロスさせるかですが、GOODMANのユニットの取扱説明書を読みますと(英文)中音ホーンは600Hz〜6000Hzの範囲で使用と書いてあった、今回は安全を見込んで下は700Hz上は5000Hzの12dBでクロスさせることにした、

次回のコラム
以上がオレ流のスピーカー編パート1です。次回のコラムは真空管アンプ製作のオーソリティーで岡山県真庭市に在中のM村氏をご紹介します。M村氏は真空管アンプに情熱を燃やす素晴らしい方、しかもボーリングで300点を出されたボーリングの達人でもあります。写真も沢山撮らせて頂きましたので是非ご期待下さい。その次に続編でオレ流スピーカー編パート2を紹介します。

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