キット屋倶楽部
私のオーディオ人生
Y下
by Y下
第19回 もう一度アナログの世界に挑戦だ!
 キット屋クラブの皆さん大変長らくお待たせしました!前回はマランツ#7を題材にしましたが沢山の反響があったのではないかと想像しておりますがこのコラムは一方通行ですから読まれた方の評価は私の所には入って来ないのが非常に残念に思っています。皆さんがコラムを拝読されて文句が言いたくても言えないのは申し訳なく思っております。
 今回はアナログを題材にします。アナログと言えば1960〜1970年代が繁栄期であったと思います。当時を振り返りつつ今私が愛用しているアナログシステムを公開させて頂きますが私はオーディオの異端者ですから皆さんのアナログシステムとは多少違うかも知れませんが過去のアナログ関係に纏わるエピソードを交えながら変わり者のコラムを拝読して下さい。
 
アナログの再開とオークション
 再度オーディオを再開してもアナログには関心は示さなかったが使用している英国製のヴィンテージスピーカーがデジタルCDを鳴らした場合本当にベストな再生音なのかひょっとしてアナログのが本来のヴィンテージスピーカーの良さを引き出すのではないか疑問符が付き纏っていたのは事実である。
 アナログをやるのであればヤオフクなどでプレーヤーは安く手に入るがどうせ再開する以上本格的にやりたいのでもあるが先立つ軍資金が無い、オークションでこれは良いと思っていても終了時には手の届かない価格になっている。しかも競争入札になれば予算が限定されるからそれ以上の価格になるとまず負けるからいつも指をくわえて溜め息だけで終わってしまう、皆さんもネット・オークションに参加して同じ気持ちの方も沢山いるはずだが・・・・
 
アナログプレーヤー
 ヤオフクのネット・オークションなどで沢山のプレーヤーが出品されていますがプレーヤーに関してはモーター、アームなどは精密機器の部類に入りますから安いからといって簡単に手を出すと動作不良で後々トラブルの元にもなります。また高級なプレーヤー程リスクが高くなります。折角買ってもパーツの故障でかえって高い買い物になる場合がありますから慎重にならざるを得ない、
 アナログを再開しようか迷っていた時、岡山県真庭市のM村氏に相談したところ「Y下さん私の所に使用しないプレーヤーがありますから良かったら使って下さい。愛知県に住む息子が来たときに渡します。」との大変うれしい返事を頂きました、プレーヤーはヤマハのGT−シリーズらしいとのことですが私にはこれでも贅沢極まりない物で感謝の気持ちがいっぱいで何時かは何かのかたちでお返しをしなければと思っております。
 
ヤマハ・プレーヤー改造
 今回、無理を言って分けて頂いた機種はGT−シリーズですが正確な型番は分かりません。この機種のターンテーブルは36pのアルミダイキャストを採用したためずば抜けた慣性モーメントを持つ高級機の一つでもあるらしい、
 折角分けて頂いたプレーヤーですが一週間も経たないうちにトンアームのウェィト部が下がり始めた、トンアームの交換をする事になったのだが同機種のアームはウェィト部が経年変化で下がる傾向が強いらしくこれを直すにはウェイト用防振ゴムを交換するしかないがもう保守品は手に入らないのとメーカーメンテはきかないと言われ泣く泣く違うタイプのアームに交換することにした、(写真を参照して下さい。)

 私なりに改造したヤマハプレーヤー

 アルミダイキャストのターンテーブルは冷たい印象があるのでターンテーブルをゴールドメッキ調に塗装をした、ターンテーブルマットは一般的には黒のゴムシートですがこれでは面白みがないのでDJ用のスリップマットに変えました、この赤色マットとブラックのボディーとはマッチングします。
 この辺が変わり者の発想ですが自分が良ければいいんじゃないでしょうか、

 トーンアームはパイオニアのPA−70に交換しました、このアームはオイルダンプ方式のスタティックバランス型の実行長283mmのロングアームになります。ヤマハのアームを外すと取り付け穴が大きい為、再度自分で3mm厚の真鍮ベースを作り前の穴を隠すように製作しました。
 
アナログ回顧録
 再度オーディオを再開した時はアナログにはまったく関心なくこれからはデジタルの世界がオーディオと思っていた、当時を振り返ると1970年代のオーディオはレコード再生が主流でした。2トラック38テープもマニア間では話題が上りましたが一部マニアの楽しみでしかなかった。
 確かに生録をテープで聴くとレコードとは比較にならないダイナミックレンジの広いシャープな音は私も納得でしたがテープデッキは簡単には改造できない面白みがなかったのと昔からレコード盤という丸い物への愛着と音楽と言えばレコードで聴くのが子供時代から育った環境も有因するのではないか、その点アナログプレーヤーは沢山のメーカーから単体別で販売されていましたからマニアはこぞって色んなメーカーの機種を組み合わせて楽しむことで自分だけしかない音が追求できたのではないでしょうか、
 今の時代はデジタルサウンドの時代なのに何故アナログレコードが見直され始めているのか大変面白い現象でこれはアナログをやっている人しかわからない何かを秘めているような気がします。
 
過去に使用した機種
 当時もカートリッジと言えばオルトフォンSPU−G,SPU−A,DENONのDL−103が主流であった、今もこのタイプでアナログを楽しんでいる方が多い、カートリッジと言えばMCタイプが主流でMM型はランクが落ちていたのだがMC型には大変苦労した記憶がある。特にSPUとDL−103のカートリッジは巷では大変好評でマニアは競って使っていたのだが私の耳のレベルが低いのかあの有名なDL−103はコロンビアに勤めていたA井氏が薦めて頂いて使用したことがありますが何処かの放送局のつまらない番組と同じで味もなければ個性もない優等生のカートリッジであったのを覚えている。またオルトフォンSPU−Gタイプも中域の厚みのある良いカートリッジであるがトランス付きのGT−Eもやはり不満が残っていた。EMTのカートリッジも一度使った経験があるがあの高価なEMTはオルトフォンが作っていたと知った時、阿呆らしくなって手放してしまった、色々試行錯誤していく内にMCカートリッジは昇圧トランスで決まるのを実感した。現在でも手に入りにくいUTCのトランスを使った時でそれまではオリジナルトランス、T社の昇圧トランスその他いろいろなトランスで楽しんでいたのだがUTCのトランスに変えた時には音が激変である。あんな汚いトランスなのにMCカートリッジが水を得た魚のように見事に変身した記憶があるが残念ながら当時使用したUTCトランスの型番が思い出せないのが心残りでもある。UTCトランスは諦めてウェスタンのWE−618B当たりを使えば最高の状態でMCカートリッジが聴けると思うのですが価格がとんでもない価格になっているらしい、MCカートリッジを再度考慮するには時間をかけて昇圧トランスを探すしかない、MCカートリッジも本体よりも昇圧トランスの方の音の変化がある。トランスの音を聴いているのかカートリッジの音を聴いているのか私は40年前に体験してるからなおさらだ、
 
昔の恋人との再会
 昔の恋人との再会と書きますと非常にロマンチックに感じますが私の昔の恋人とは今回ご紹介しますGRACE(品川無線)のロングアームでG−565です。このアームを40年前に購入して楽しんでいた私のお気に入りの一つで偶然にも最近入手することができましたが使うのがもったいなくてディスプレーとして飾って眺めて楽しむように特注のアクリルケースに入れました。毎日見ても飽きない素晴らしいデザインには愛着を感じます。精巧な作りとクロームメッキの仕上げの良さはトンアームの芸術品ですね、皆さんも一度使った経験をお持ちの方もお見えと思いますが懐かしいじゃないですか!

 GRACE(品川無線)のG−565ロングアームになります。このアームはジンバルサポートを採用した高感度のアームで仕上げ等は芸術的な作りでデザインもグッドです。このアームのペースはアルミでしたがこの部分を真鍮で作りました、



 使うのがもったいなくて特注のアクリルケースに収容してディスプレーとして飾っています。シェルはオルトフォンのGシェルでカートリッジはGRACEのF−8Lが実装してあります。(この辺が変わり者かも?)
 
私のお気に入りカートリッジ
   知る人ぞ知る、今は無きの音響メーカー
 1960〜70年代の音響メーカーの老舗と言えば皆さんご存知のNEAT音響(田谷精機)がありました、ここのメーカーは良心的な価格とデザインに関しても大変良く私も使用した経験があります。特に有名なのがMCカートリッジではVS−1000D,VS−2000DがありこのカートリッジはMCタイプでありながら高出力と針交換が出来る画期的なカートリッジで米国のコンシュマーレポート誌にも紹介された記事を読んだのを覚えています。
 私もNEAT音響のMCカートリッジでVS−1000Dを一時使用した事がありますが大変良いカートリッジでMC独特の爽やかな透明感のある音色でMMカートリッジとは一味違うMC特有の音と記憶しています。しかも出力電圧が5mmVもあり昇圧トランスが必要のないのが印象に残っています。
 後で判ったのですがこのカートリッジは京都のサテン音響が作っていたと知りましたがこのカートリッジも後世に残る名カートリッジの一つですね、
 話は変わって今回ご紹介しますMM型のVS−600はNEAT音響の初期型のカートリッジと思われます。当時はモノラルからステレオの変革期でありステレオレコードは45−45方式になりこれに合わせて登場したのではないかと推測されます。
 外観を見て下さい。一般的なプラスチックのモールドケースではなく金属のケースに収容されている非常にレトロな印象のあるカートリッジでヴィンテージと呼ぶよりアンティーク(骨董品)と呼ぶのがふさわしい、多分1960年代の初め頃の製品ではないでしょうか、詳しいことは資料が無いのでわかりません。
 早速このカートリッジを実装して試聴しました、音は一言で言うと中域の厚みのある押し出しの強い多少ナローレンジですが素晴らしい音です。現代のカートリッジはどちらかと言うと上も下も伸ばした繊細感のあるタイプが多いのですがこのVS−600を聴きますと当時のステレオカートリッジへの取り組み方が真剣であったように感じました、また私が愛用している英国ヴィンテージスピーカーとの相性はバッチリでこのカートリッジは私にとっては宝物になりそうだ、

 非常に珍しいカートリッジですが音を聴くと1960年代にタイムスリップしたような感じの渋い音でオルトフォンに共通したような中低域に厚みのある芳醇な鳴り方です。

ピックアップの名門(GRACE)
 GRACE(品川無線)と言えば朝倉昭氏、トンアームからカートリッジまで販売していた専業メーカー、私の記憶ではMMカートリッジでF−6,F−7,F−8があった、特にカートリッジの傑作はNHKと共同開発したF−8シリーズがあります。当時も非常に高価で買えなかったのを覚えています。MMカートリッジの中ではGRACEのF−8が一番売れたのではないか、
 その後にF−9シリーズが出ましたがこれも一般のマニアでも当時は高くて中々買えないカートリッジの一つであったが最近ヤオフクのオークションでよく見かける。
 今回お見せするのはGRACEのF−8Lになります。このカートリッジを手に入れた理由はMCカートリッジと遜色のないMMカートリッジの傑作と言われていましたがそれを実証したくて購入しましたが答えは????
 早速このF−8Lを実装して音出ししてみました、大変爽やかな歪感の少ない音でさすがグレースと感じさせます。このカートリッジの不満点は音質、音色は何処かの放送局と同じで個性のない優等生ではっきり言ってつまらんのだがここの放送局の大河ドラマ「坂本竜馬」だけは面白い!
 もう一度アナログマニアのためにGRACEブランドから画期的なMMカートリッジを開発してほしいもので能書きばかりで十年一日のような最近の海外のカートリッジが法外な価格で販売されている見ると「腹が立つが」これを怒涛するような常識のある価格帯で出してほしい、私からの切なる願いでもある。

 MMカートリッジの代表格でもあるGRACEのF−8Lでこのカートリッジも後世に残しても良い一つではないでしょうか

 次回の予告は「彗星のごとく登場したまぼろしの第一号カートリッジ」「伝説のカートリッジメーカー」「アナログレコードかデジタルCDか」「私が使用したトンアーム」を予定しています。
 
 乞うご期待を!

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