キット屋倶楽部
私のオーディオ人生
Y下
by Y下
第28回 オーディオのパラレルワールド
 今回はオーディオのパラレルワールドになります。テレビで大人気であったドラマ「仁」の中で南方医師が江戸にタイムスリップして現代に戻って来た時にパラレルワールドと云うセリフが出てきました、パラレルワールドとは今の世界と平行したもう一つの世界をパラレルワールドと云います。オーディオで云うならば皆さんが使っているアルテック、タンノイ、JBLや現代の代表的なスピーカーは一般的な(A)の世界の音ですが(B)の世界はこのようなスピーカーとは隔絶したもう一つの世界の音である。
 私が聴いた限り上手く鳴らされていたウェスタンエレクトリックのカールホーンを使ったホーンシステム、オイロダインやロンドンウェスタン及び直系の音こそ現代のサウンドとは異なる次元の違う(B)の世界と云えよう、では私が体験したもう一つのパラレルワールドの音の世界をご紹介します。今回は三上先生の御好意により先生のホームページから写真をお借りして掲載しました、
 
 
ウェスタン13B 隣りにあるのはウェスタンの25Aホーンシステム
 
ウェスタン15Bシステムと25Aホーンシステム
 
正面に設置してあるのが有名なシーメンスオイロダインシステム、このサウンドもWEやロンドンウェスタンとは少し系統が違うが見事なサウンドを聴かせて頂いた、
三上先生宅のウェスタン15Bサウンド
 今迄沢山のウェスタンシステムを拝聴させて頂きましたがすべてウェスタンだから良い音とは云えない酷い音も沢山ありますが三上先生宅で聴くウェスタンのシステムは石川県小松市にお住まいの中さんと双璧のお見事としか云いようの無いパラレルワールドの音がしている。勿論スピーカーだけでこのようなサウンドが出るのではない、15Bを鳴らすアンプはWE−300BPPウェスタンの86Bのオリジナルと昇圧トランスは618Bがこの音作りに寄与しているのは云うまでも無い、
 私は人様のシステムの音を褒めるタイプではないが三上先生宅で聴かせて頂いたチェロの響きと音色は実態感を伴った電気臭くなく木の香りが漂う素晴らしいの一言に尽きる、このサウンドをじっくり聴くと低域がどうだとか高域がどうだとか講釈を垂れる音ではない、また大型のホーンシステムなのに音像は大きくならずホーン臭さも無い、最近のテカテカした派手な喧しいサウンドとは違いこれぞ大人のサウンドと云える。多分低域用のユニットがエルタスの4181を使用しているからこそこのようなバランスの取れたサウンドになるのではないか、
 ウェスタンを上手く鳴らすにはやはり4181を使わないとその良さが出てこないのではないだろうか、このウェスタンを試聴すると現代のサウンドは電気臭い音が蔓延していて何となく人工サウンドに聞こえてくる。
 三上先生宅へは沢山のオーディオ評論家が訪れたり雑誌の取材で紹介されたりもしているがこの音作りこそ三上先生のご自身の「自分の音」と思うがただ高価な機器を接続しただけではこのような音にはならない、暗中模索で大変苦労をされたのではないだろうか、
 
 
正面に鎮座しているWE−15Bホーンで聴くチェロは現代のサウンドとは全く異なるこれこそパラレルワールドのサウンドであった、
ウェスタン25Aホーン+4181スピーカー
 二つ目のウェスタンは25Aホーンシステムで低域用は4181になります。先程の15Bとは多少音が異なるのがわかる。音は勿論ウェスタンサウンドであるが音の抜けを比較すると好みとしては15Bのが好きかも、このホーンシステムは福井県の万月氏や石川県小松市の中さん宅でいつも聴いていますからそれ程ビックリしないがパラレルワールドのAの世界の音しか知らないマニアが聴けばおそらく言葉が出なく度肝を抜かれびっくりするだろう、25Aホーンを聴くと大変浸透力のある心地よいサウンドだ、
 特に素晴らしかったのは女性ボーカルの歌声が目の前で歌っているような錯覚に捉われた、この25Aの音は小松の中さんと良い音での双璧であるがこのシステムも低域用の4181が寄与している、
 贅沢な注文であるが私の好みからすると後ほど聴かせて頂いたロンドンウェスタンが好みに合うのとこのようなシステムは一般家庭では置けないのが残念だがこの25Aのサウンドもパラレルワールドの音である。
 
タンノイブラック
 今迄沢山のタンノイシステムを聴いてきましたがこのモニターブラックこそ本来のタンノイサウンドと痛切に感じた、三上先生がおっしゃるにはタンノイはブラックとシルバーがタンノイの音であると云っていましたが私も同感です。シルバーは他で聴くことがありましたがブラックになるとまず聴くことも見ることもできない超が付くレアなユニットになる。
 最近のタンノイのサウンドはこのモニターブラックと比較するとドンシャリ傾向の音になっているのが多い、タンノイのブラック、シルバーのユニットは低域も高域も欲張らず中域から音作りをしているのではないだろうか、特にあの中域の厚みのある心地よい響きと特徴のある音色は最近のタンノイでは聴いたことがない特筆すべき音であった、タンノイブラックを試聴すると現代のタンノイは低域も高域も伸ばしたため中域の薄い(中抜け)不自然な音に感じるがこの音が好みだと云われれば返す言葉も無いが一度でもよいからブラックやシルバーを聴いてみれば私の云っていることが理解できると思う、
 又このモニターブラックも私が愛用しているロンドンウェスタン直系の音と非常に似通った音色が印象に残った、ボックスは多分オリジナルボックスのランカスターを流用されたと思うがユニットとボックスが大変マッチしているからこそ本来のタンノイの響きが出ているのではないだろうか、
 
 
手前に見えるのがタンノイのモニターブラックで後方のシステムは珍しい
テレフンケンの085aモニタースピーカーでこのシステムは私も始めて見るシステムで音質、音色はカチッと締まった大変心地よいサウンドであった、
 
 
タンノイブラックのボックス内部の写真でユニット自体も大変状態の良いもので強力なアルニコマグネットを採用した初代ディアルコンセットリックスピーカーになる。タンノイファンなら一度は聴く価値はある。

 
家庭用のシステムに収めたロンドンウェスタン2080A、2090Aの2Wayシステムでこの音を聴くと米国ウェスタンとはベクトルが若干異なるが貴賓と渋さがプラスされた品位の高い音である。音質は一言で云うならば巷でよく耳にする枯れたサウンドとはこの音である。
 
 
ロンドンウェスタンの2080A、2090Aボックス内部の写真でスピーカーは強力なアルニコマグネットが使われている。ボックス内部と可愛いワンちゃんのツーショット写真

ロンドンウェスタン2080A、2090A
 最後に拝聴させて頂いたのは幻のスピーカーシステムでロンドンウェスタンだ、私が持参したいつもリファレンスで聴いているビバルディのヴァイオリンソナタのレコードが果たして私のシステムの音とどう違うのか本家の音とはどのような音なのだろうか、不安と期待が入り混じっていたのは間違いない、
 自分のシステムと比較した場合まったく異質な音であれば私のユニットはニセモノになってしまうか上手く鳴らせない力量不足になってしまう、
 早速聴かせて頂くと先程聴いたウェスタンの音とは多少音色も異なるのとスケール感も違う、目を瞑ってビバルディのヴァイオリンソナタをじっくりと聴くと音質、音色が同じイメージに重なり自分の家で聴いているような錯覚を覚えた、このロンドンウェスタンの音は言葉では云えない一種独特のサウンドで現代の一般的なHiFiサウンドとは異なりこれこそパラレルワールドの音だ、
 ヴァイオリンの響きは電気臭くない木の香りすら漂ってくるのがわかる。オーディオを追求していくと最後はこの音に魅了されるのは私だけではないはず、    このロンドンウェスタンのサウンドを聴くと現代のHiFiサウンドは申し訳ないが長く聴いていると時間の経過と共につまらなくなり飽きが来てしまうがロンドンウェスタン系はオーディオマニア、音楽マニアを引き付ける魅力たっぷりのスピーカーと云えよう、ただこのような音を出すには相当レベルの高いアンプと高度なテクニックと肥えた耳を持っていないと上手く鳴らないのではないか、
 
三上先生に想う
 今回はオーディオのパラレルワールドをご紹介しましたが現代のシステムは駄目とは云わないが(B)の世界の音を聴くとオーディオ観も音楽観も変わるような気がする。私もヴィンテージ愛好家ですから先生とは大変意気投合出来たのではと思う、
 三上先生はもうお亡くなりになりました伊藤喜多男先生や池田圭先生と長年交流があったと云われています。またステレオサウンド誌、管球王国などに先生のシステムが紹介されオーディオ評論家も先生宅へ訪問されている。
 三上先生は私より三つ年が上ですが大変(懐の深い)方で私はこの方こそオーディオの師匠、先生、教授と云える「器」を兼ね添えている方だと思う、
 よくネットなどを拝見すると達人とか師匠、教授、先生と呼び名がついているコラム、ブログを時々見ますがこの方たちは本当に音がわかってそのような呼び名でやり取りしているのだろうか疑問に思うこともある。オーディオに関してはレベルの高い方が沢山いますからそのような方が読まれたら馬鹿にされるか笑い者になるだけですからその辺を弁えないと恥ずかしい思いをするのではないだろうか、
 また真空管アンプ等は自由自在に設計製作が出来てオーディオのすべてを知り尽くしてその呼び名が付いているのなら納得する。
 私は小さな「器」しか持ち合わせていないマニアです。先生、師匠、達人、教授と云われている方達がどれ程の「器」なのか見せて頂きたいものである。
 
あとがき
 三上先生宅で特に良かったのは可愛い3匹のワンちゃんが私になつき傍で音楽を聴きながら居眠りをしていたのが音よりも印象に残りました、ワンちゃんも良い音はわかるんですね、
 今回はオーディオのパラレルワールドを題材にしましたが皆さんも是非このパラレルワールドのサウンドを体験されると面白い、
 ヴィンテージショップなどでウェスタンやその他ヴィンテージスピーカーを鳴らして店主は能書きばかりでまともに良い音で鳴っていないのが多いのとすべてヴィンテージスピーカーだからパラレルワールドのサウンドと思ったら大間違いである。やはりマニア宅で上手く鳴らされているのを聴くのがベスト、「百聞は一聴にしかず!」
 確かにオーディオは進歩しているが最終的に判断するのは聴く人の感性と鳴らし方ではなかろうか、またパラレルワールドのサウンドは装置を忘れてじっくりと音楽が聴ける。
 最後に今回のコラムの写真などご提供頂きました三上先生には厚く御礼申し上げます。
 
次回予定
 次回はマニアの間で見事に鳴らしきっていると噂されている大阪の笹本氏のパラレルワールドのロンドンウェスタンパルメコスピーカーとウェスタンの13Aのシステムを写真付きでご紹介したいのと埼玉県の和光市にお住まいの名器マランツ#7を中心としてまとめ上げた片岡氏のお二方に登場して頂きます。
 
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