キット屋倶楽部
私のオーディオ人生
Y下
by Y下
第32回亡き友のオーディオの遺品
 9月の中旬に他界されたオーディオマニアの友人が使っていたオーディオ関係の真空管とパーツ一式を奥様から譲り受けました、またレコード盤も数百枚集められていてその中にコラムでご紹介した「小池レコード」も含まれていた、今回ご紹介するのは日本中のオーディオマニアや評論家は勿論のことオーディオショップのオーナーですら見たことがなくカートリッジコレクターでも知らない超が付く品々のカートリッジがありましたので写真で説明しながらご報告させていただきます。  
ロシア製のカートリッジ
 ロシアのカートリッジ?皆さんは現物を見たり聞いたりしたことがありますか?ロシアの国ではオーディオがあるのかないのかさっぱりわかりませんよね、ロシアは真空管が有名ですから真空管アンプビルダーはいるのだろうか、情報がほとんど入って来ないしすべてが謎に包まれている。
 カートリッジと云えばアメリカ、日本、デンマーク、ドイツ、イギリスが有名ですが共産圏のカートリッジなんて存在すら知らないし興味も沸かないのではないだろうか、
 以前は共産圏諸国にはココムと云う厳しい規制があり西側諸国のエレクトロニクス、工業製品など沢山の規制で輸出は難しかった、またロシアからのオーディオ機器も簡単には輸入ができませんでした。
 最近なってからはロシア製や東欧の真空管などが日本に沢山入ってきているがカートリッジだけはほとんど入ってこない、今回亡くなった友人は厳しい時代に6回もロシアに渡航されコネを使って手に入れたらしい、
 このようなカートリッジは一般的に流通していませんから簡単に手に入れることは不可能だと思う、そのように考えると超が付く貴重なカートリッジになる。また保証書なるものが付いていましたがロシア語はさっぱりわからないのが残念、
 本邦初公開!まずは写真をご覧下さい。これらがロシア製のカートリッジです。タイプはMM型と思われるが、どこのメーカーなのか型番もわかりませんがロシア製だから赤い音がするのだろうか試聴するしかないが共産圏では競争原理でレベルアップする資本主義の西側とは違って酷い音なのだろうか、今回は英国のGoldring、アメリカのShure TYPE−Vの第一級のカートリッジとの比較ならこれは面白いのではないだろうか、



   早速写真をご覧下さい。これがロシアのカートリッジだ!


メーカー名、形式は不明ですがこのタイプは出力電圧が10mmVぐらいあるので普通のカートリッジからこのタイプに交換しますととんでもない音量にびっくりします。音は中域を中心にしたコクのある音が特徴です。針交換は昔のカートリッジとよく似た金色の部分を引っ張って交換します。

このタイプの針交換は今までの西側のカートリッジとは発想が異なります。交換針はプラスチックのモール部分を引っ張って交換します。針先とダンパーを見ますとMI型かも?音は非常に透明感のあり説得力を持った鳴り方をします。

ロシアのカートリッジの中では一番のお気に入りでこのタイプも針の部分の金具を引っ張って交換します。


ヘッド部分に型番が見えますが下側のロゴマークはメーカーのマーク?

3番目の写真のカートリッジのヘッド部分になりますが訳のわからない文字です。縄文時代の文字みたいですね、また丸二つのマークは多分メーカーのロゴマークと思われます。しかし変わった文字とマークだ!


この二つはクリスタルタイプかMMタイプかわかりませんがSTEROと思われる。またレバーを爪で倒すと針先が90度に回転して針を保護しています。不思議なのはカートリッジを固定するビス穴がありません。まだ試聴していませんがどんな音がするのだろうか?????



今回もスピーカーはロンドンウェスタン直系
プリアンプ マランツ#7
メインアンプ PP5/400バージョンアップ
プレーヤーは自作のダブルアーム仕様
比較カートリッジは英国Goldring、1012X
米国製ShureのV−15、TYPE−V

ソースはジャズの名盤中の名盤キースジャレットのケルンコンサート、ヨー・ヨー・マのバッハ無伴奏チェロ、キャスリン・フェリアの声楽でヘンデルのオンブラマイフの合計3枚を使っての試聴になりますがもっと素晴らしいシステムで聴けば違った評価になる場合がありますからあくまで参考としていただきたい、


比較試聴
  まずはShure V−15でキースジャレットのケルンコンサートを聴きます。さすがMMカートリッジのトップクラスだけあってピアノの切れ込みと低域から高域にかけて大変見事な音作りでアメリカンサウンドを強調するよう
な明るく爽やかなサウンドだ、ヨー・ヨー・マは少し痩せた響きだが欲を云えばシットリ感が出てくれば文句なし、キャスリン・フェリアは録音が大変古いが少しHiFi調になるがフェリアの声が少し細くなるけど違和感は感じない、
 Goldring,1012GXはV−15と違って伝統のあるサウンドで少し低域が軽目にはなるが英国サウンドらしいシットリ感が出ている。スピーカーがロンドンウェスタン系であるから相性はグッドだ、ヨー・ヨー・マのバッハを聴くとクラシックファンには1012Xはお薦めのカートリッジの一つです。キースジャレットのピアノは文句なしだが切れ込みが少し甘いがトップクラスのカートリッジではないだろうか、
 二つのカートリッジを聞き比べた後に早速ロシアのカートリッジの試聴になった、キースジャレットのピアノが鳴り出した途端今までの西側の世界のカートリッジとは異質なサウンドで例えを云えば西側諸国の「いかがわしいネオンサイン」の派手やかな世界と違って秘密主義と融通のきかない生真面目さを連想させる音作りで若干ではあるがナローな感じがしないでもない、
 ピアノは奥行き感を伴って中域の響きが独特なサウンドになる。今まで色んなカートリッジを聴いてきたがこのような中域の響きは始めてでレコードの録音を色づけせずに聴かせくれるのは参った、このカートリッジは音質追求した西側諸国のカートリッジとは違って音楽を追求したカートリッジだ、
ヨー・ヨー・マのチェロも文句なしでチェロの胴鳴りが包み込むように聞かせてくれる。
キャスリン・ファリアの声楽も古い録音のよさを余すところなく味わい深く聞かせてくれるのとこれがアナログサウンドだ!と心に浸透してくる。
 ロシアのカートリッジを少し馬鹿にしていたがこんな素晴らしい音楽を聴かせるとは思っても見なかった、このカートリッジを作ったエンジニアは音楽に相当精通しているように思う、
 今まで沢山のカートリッジを試聴してきたが西側の世界のカートリッジは一つの共通点を持っているのがわかった、このカートリッジでソヴィエトのメロディア盤をかけたらどんな音がするのだろうか、
 その後再度V−15と比較したがV−15は特性だけを追っかけた優等生のサウンドに聞こえて飽きがきてしまう、Goldringと比較するとロシアのカートリッジは音楽を楽しませてくれる味とコクを持ち合わせている。音質的にはシュアーやゴールドリングには劣るかも知れませんが音楽性と雰囲気感を考えたらロシア製のカートリッジは楽しめるような気がする。
たかがロシア製と見下げていたがうれしい誤算であった、
生前の彼が言っていたのを思い出した、「ロシアのカートリッジ」は最高と言ったのはまんざら嘘ではなかったようだ、


珍しい真空管
 6CA7/EL34と云えばTelefunken、Mullard、Siemensに松下と秋葉テレフンケン、その他色んなメーカーのEL34がありますね、今回紹介するのはドイツMAZDA,EL34/6CA7になります。EL−34に関しては私より皆さんのがよくご存知で今回お見せするEL34/6CA7は管壁には「MAZDA,VALVE,EL34/6CA7」とプリントされているがEL34ではこの名前は今まで見たことがありません。また「Made in E.Germany」と入っています。
 西ドイツの製造であれば「Made in westen Germany」になるはずだがMade in E.がプリントされている意味は東西分裂時代の東ドイツで製造されたEL34ではないだろうか、東ドイツのTelefunkenはRTFが製造していたと云われています。管壁にはTelefunkenと入ってなくてMAZDAのロゴマークが記載されています。
 私のいいかげんな憶測ではフランスMAZDAか英国MAZDAに納入していたと思う、英国にはMullardのEL34がありますから多分フランスMAZDAに納入されたのではないだろうか、大変珍しいプリントですから大切に保管したいと思っています。
この球に関して他界されたご主人の奥様に聞きましたら主人はカートリッジ以外にも真空管も買ってきたといっていましたからロシアで手に入れたのかも知れません。MAZDAマークの入ったEL34/6CA7は日本にはほとんど入って来なかったのでこれこそ超が付くレアな真空管ではないだろうか、

これがMAZDA,EL34になります。電極構造やマイカを見ますと
TelefunkenのEL34とよく似た構造をしています。

少しプリントが剥がれていますがはっきりと読み取れます。

このEL34/6CA7は4本セットでありましたから何時かPPで製作してみたいと考えています。
珍しい球を手に入れてもヒーター切れやエミ減などのトラブルがあれば正直ゴミである。不安を無くすため実装して音出しテストをしてみましたが問題なく良い音で動作しました、
次回はこのEL34/6CA7の試聴とまだまだ続く東欧の真空管とそれ以外の彼の遺産をご紹介しましょう、お楽しみに!
 
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