キット屋倶楽部
私のオーディオ人生
Y下
by Y下
第38回Westem Electric 618Bは凄いのか!

 MCカートリッジの昇圧トランスと云えばWestem Electricの WE−618BがMCトランスの中では最高峰に挙げられています。最近のeBayで出品されている価格を見ますと2個で何と!7800ドルもしますが今後百万円を超えるようになるはず、こんなトランスにどこに魅力を感じるのだろうか、
 このトランスはほとんどのオーディオマニアは試聴された経験は少なくほんの一部のコレクターの方だけがお持ちですから我々庶民のマニアにはこのトランスを聴くと云うことは皆無に近い、
 キット屋さんに載せているシルバーオーディオの「いだてんさん」のブログを読みますとこの618Bを聴いた後自分のトランスが聴けなくなりますと注意書きが書いてありました、では現代のトランスで有名なカートリッジメーカーや国産のコアを使ったMCトランスが販売されている高価なトランスならどうだ!と云いたいですが残念ながらこの618Bに近づくことも追い越すことも出来ない、このように書きますと国産の高価なトランスに満足されて楽しんでいる方はショップや評論家のお墨付きでこのトランスは最高と思って購入はずなのに・・・・・・

完全シールドを施した618B、黒色の塗装にステンレスパネルを取り付けてのドレスアップ

本物と偽物

 オーディオに限らず高価でよく売れる商品には必ず偽物があります。目利きのある方なら簡単に見破れるのですが素人ですとどっちが本物なのか見分けが付きません。
 オーディオの場合に限って時々偽物を見ることがあります。私も以前安く購入したウェスタンの274Bプリントを買ったのですが良く見ますとウェスタンのロゴマークが不自然で球のトップマイカがおむすび型ではなく普通のマイカでしかも管壁に5U4Gと薄く入っていました、多分どこかのショップか海外でシルバニアの5U4Gをプリントしたものと思われますが非常に悪質に思います。知らない方が買ったらその時は満足ですが偽物とわかれば頭に血が昇るほど腹が立ちますよね、
特にWestem Electricの製品は高値で取引きされていますから悪徳な業者はシールやプリントを変えてあたかもこれがウェスタンだと偽物を売りつける業者もいるみたい、
 Westem ElctricのWE−618BやノイマンのBV−33も偽物が出回っているらしい
例えばノイマンのカッティングマシンに使われていたトランスはドイツのハーフェ社のトランスで型番はBV−33、ノイマンのカッティングマシンは当時沢山作られたとは思えないのにトランスだけが沢山出ているのは不自然ではないだろうか、またカッティングマシンをバラしてトランスだけ売るのはおかしい、WEの618BもWEのアンプにしか使われなかったのにトランスだけ沢山あるのはどう見てもおかしい、40〜50年前はこのようなトランスを知らないのと人気もないので偽物が出回っていなかったのに最近このようなトランスを見かけるのは本物なのか疑いたくなる。
 悪質な方法として手の込んだやり方は618Bのケースだけを使い中のトランスを抜き取り安物のトランスを入れてあたかもオリジナルトランスと称して平然として売っている、また抜き取ったオリジナルトランスは別で売れば大変高価で取引される一石二鳥のぼろ儲けになる。また同じようなケースを作り汚れたウェスタンのシールを貼ればオリジナル618Bの出来上がりだ、
 オリジナルの618Bの音を知らないから簡単に騙せる。またヤフオクやeBayなどのオークションに出品されている物は特に注意が必要です。トランスの中身を入れ換えれば立派なウェスタン618Bに変身しますが目利き耳利きがないと見破れません。
 仮に偽物の618Bを買ってもオリジナルの音はわかりませんから本物かどうかはオリジナルと比較試聴しないとわかりません。
 これから購入されるのであればWestem Elctricの真空管、トランス類に詳しいマニアか信頼できるショップで聞いてからでないと手を出してはいけませんがひょっとして本物も混じっているかも知れませんからここは自己責任で購入してほしい、
 

トランスカバーを外した状態は大変汚くこんなトランスに価値があるのだろか

Western Electricのシールも汚れているのと取付け金具も錆びている

トランス上部に618Bのスタンプが押してある

大橋氏の万華鏡のブログに登場

 
 昨年の4月のショールーム開放日にWE−618B持ち込んで「道場破り」当日は沢山の熱心なマニアがお見えでこの618BとAWAのトランスを持ち込んで皆さんに評価して頂いたがどちらのトランスも甲乙付けがたく意見が分かれましたがAWAに比べると618Bはゲインが低いのが気になったがさすがに618Bは絹ずれした良い音で女性ボーカルを聴くとウェスタンは素晴らしいサウンドを聴かせてくれたが無名のAWAのトランスとは互角ではどうも納得できないのが気残りであったが618Bで聴くMIDのスピーカーがウェスタンの香りがしていたのが印象に残る。
 入り口がウェスタンだとスピーカーの音色もウェスタンサウンドになるのは当然である。618Bを使用してタンノイのオートグラフ、GRFを鳴らしたらどんなサウンドになるのだろう、私の想像ではタンノイの原点はロンドンウェスタンになりますからタンノイもきっとウェスタンサウンドに似た音になるはず勿論上質のアンプを使った場合の話である。
 私はAWAのトランスを高く評価していましたから618Bはこの程度のトランスで大騒ぎすることはないと私個人は評価した、世の中探せば618B以上のトランスが存在するはずですから618Bに拘らなくてもAWAのトランスで十分楽しめると思ったのだが・・・・・・
 また価格も40倍以上の開きがありますから618Bはオーディオ庶民派には縁が無いトランスだ、
 

俺もアホだ!

 前所有者から譲り受けた618Bの配線接続を同じように結線して楽しんでいたのだが・・・・
ところがである。大阪の今田氏からWE−618Bの資料がメールで届いた、この資料は英文ですがインピーダンスはプライマリー30Ωと600Ωでセカンダリー25KΩと記載されている。しかも結線の線色と特性表まで載っていた、
 再度トランスケースを開けて確認すると「あれっ」この接続を見るとプライマリー600Ωで入力Pinに配線してあるではないか!
これでは618Bの本領が発揮できない、インピーダンスのミスマッチングでゲインも低いのと分解能も悪いため並みのMCトランスとは変わらない、前所有者も知らずに50年以上使っていたのだがこれを鵜呑みにして使っていた俺もアホだ!
 こんなインピーダンスのミスマッチングの状態でショールーム開放日に持ち込んでこれが618Bだと云っていたのが恥ずかしい、再度プライマリー30Ωに変更して音出し、DENONの103を使って聴きなおしたらゲインも上がり今まで聴いていた103とはすべてに違っていた、
 一般のトランスで聴く103は無機質なつまらない音とよく言われるが(私もそう思う)この618Bを繋ぐと今までの103のイメージが崩れ去ったぐらい変化したのは驚いた、618Bの秘められたポテンシャルは凄い、
 またMCカートリッジと云えばオルトフォンのSPUだがこのトランスを使えば相性はピッタリでSPUの良さが前面に出て素晴らしいサウンドを奏でてくれる。MCトランスはカートリッジより音の変化があり重要だと思う、たかがトランスされどトランス、
 今月のキット屋さんのショールーム開放日に持ち込んでリベンジとしようと思う、前回の持ち込んだ時はインピーダンスの間違いで実力が発揮しなかったのと本当の音でなかったから今度こそ
Westem Elctricの618Bと私好みのAWAのトランスのサウンドの比較を私も含め皆さんのご自身の耳で評価して頂きたい、面白くなりそうだ!

トランスの聴き比べ

さていよいよ本題に入る。「618Bは凄いのか」他のトランスとの比較試聴になる。トランスは6個用意しての比較だがメーカー現行品の場合は名前を出すわけにはいきませんからその点をご了承ください。また618Bをリファレンスに使いそれより上か下か優劣と偏見で一刀両断で評価します。
使用トランス
Westem Elctric WE−618B
AWAオーストラリア     型番不明
スタンコア          EIコアを使った鉄コア
UTC            C−2080軍用マイクトランス

A社  国内の有名カートリッジメーカーのトランス
B社  昔から有名なカートリッジの知名度のある現行品トランスの最高級品以上の6個 試聴になります。
使用カートリッジはDENON DL−103
使用アンプはマランツ#7
VT52武蔵アンプ
スピーカー ヴァイタボックス 30cmコアキシャル
使用音源はブレンデルのバッハとヨーヨーマのバッハ無伴奏チェロソナタ、ビルエバンスの名盤

MCトランスの比較

トップバッターはA社の昔から出ていた有名なトランスで皆さんも一度は使われたと思う評判の良いMCトランスから試聴になります。
A社のトランスのPinを接続後早速音出し開始になりますが618Bの音は知っていますから一聴してすぐにわかりました、出てきた音はつまらん音でシステムがグレードダウンした感じになった、一言で云えば折角の良いカートリッジなのに良さが出てこない、103との組み合わせはベストと云われているが中に使ってあるトランスが悪いと思いネジを外してケースの中を見るとやっぱりこのメーカーのトランスは良くないどうしてこんなつまらん音になるのか、レコードに針を下して1分後にやめた、

2番手は現在でも発売されている現行品の最高機種になる。コア材も有名な金属会社のコアを使いコストと手間がかかっている。見た目に高級感があり音もよさそうだ、現在ここのメーカーのMCトランスが一番売れているみたいだ、 早速Pin接続を変更してブレンデルのバッハを聴く、出てきたサウンドは大変透明感に優れ音の粒立ち立ち上がりの良さと非常に歪み感のない優等生なトランス、音の広がりも文句なしで現代的な鳴り方だが何か物足らない、上も下も伸ばしたため中域が痩せて聴こえてくる。一言で云うと最近の整形美人的な鳴り方だがこのようなサウンドなら必ず飽きが来てしまう、
このサウンドを聴いた後早速618Bに接続して音出し開始、レコードに針を下して鳴りだした瞬間、音の系統と音楽の空気感が違う、WE−618Bの音は絹ずれした品位品格が前面に出て上流社会の貴婦人的な鳴り方でいつまでも聴いていたい音で音色音質とも文句なし特にこの品位はウェスタンでしか味わえない、
当時のウェスタンエレクトリックは現代で云うNASAのようなものでこの程度のトランスでWE−618Bと同じ土俵で比較するのが間違いかも・・・・・・ それだけ618Bは素晴らしかった!
国産の2種類のトランスの比較でしたが空気感を伴った618Bのようなサウンドは今後もう作れないのと618Bは価格がとんでもない価格になっているがそれだけの価値はあると思う、

次回予定

 次回はアメリカのトランス対618Bの対決になります。

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