キット屋倶楽部
私のオーディオ人生
Y下
by Y下
第41回 懐かしのスピーカー

 第41回は予定していましたElectro−VoiceのSP12のコラ ムを掲載する予定でしたが珍しいユニットを手に入れましたので先にこちらのユニットをご紹介させていただきます。


EAS−20PW55を実装してのテスト

西方より二人の強者来る!

  7月の23日私のコラムをお読みになった方が一度お会いして音を聴かせてほしいと連絡がありました。倉敷にお住まいのK原氏と兵庫県はたつの市のM田氏のお二人が新幹線に乗らず外来線を乗り継いでわざわざ電車でお越しになりました、
 K原氏、M田氏とも百戦錬磨のオーディオ歴をお持ちでK原氏の現在はアメリカのボザークを使いクラシックがメインで聴いておられます。
昔は五味氏と同じタンノイのオートグラフのモニターレッド、マッキントッシュC−22とMC275を使ってこられたオーディオに関しての西方の強者である。
 もう一人の強者は兵庫県たつの市にお住まいのM田氏でK原氏とは大変仲が良くお互いオーディオ理論をお持ちでこの方もオーディオに関しては恐ろしいほどの感性とスキルがありスピーカーはアルテック、JBLのダブルウーファ―と蜂の巣ホーン、アメリカタンノイを使っている歴戦の強者でリスニングルームは50畳の部屋とのこと、
 私のシステムはお二人の方に比較して大変お粗末なシステムでお聴かせするには恥ずかしいですがわざわざ遠方より来られる以上がっかりされないように大切なお客様用に再度システムの変更をしました、
PCオーディオは昇圧トランスWE−618Cを使いアンプは最近製作したウェスタンのパーツを使ったアンプと前回紹介したWEの真空管でVT52刻印武蔵アンプ、
 スピーカーは来客用のヴァイタボックス、DU−120コアキシャルをゲンコツから外してユニット交換した、(DU−120はお客様用)
早速、自宅に招いてシステムのラインナップを説明した後に音出し開始である。こちらとしては遠路遥々来ていただいて聴いて頂く以上戦々恐々だがCDをトレーに入れてPCオーディオの開始である。
 最初にバイオリンとチェロをお聴かせすると百戦錬磨の耳で一言「こんな音」は聴いた事がない、CDが奥行を伴って空気感のあるサウンド、その後バッハのピアノでG線上のアリア、バッハのチェロを聴いて頂いた、
音を聴いている間はお二人の方は終始無言であったが曲が終わると一言「参った!奥行を伴った空気感のあるサウンド」は初めて聴いた、このような音なら生の演奏会に行かなくても自宅で味わえる素晴らしいとお褒めの言葉を頂いた、
 最後にキースジャレットのケルンコンサートのPCオーディオとアナログレコードの比較試聴はキースジャレットではアナログに軍配が上がったが私が聴いてほしかったのは一般的なCDPで聴くデジタルとは違いWE−618Cを介したPCオーディオはアナログに負けない素晴らしさを納得して頂けたと思う、
 帰りがけにK原氏が今まで有名なマニア宅を沢山聴いてきたがこの音は日本でもトップクラスと絶賛して頂いたのとこの音を聴いていたら演奏会にお金を払って足を運ぶ必要がないとも言って頂いたが社交辞令かも?遠方からわざわざ名古屋まで来ていただき有難うございました。私も秋になったらご訪問させて頂く予定です。  

 

前回紹介しましたプロ用ヤマハフォノモーターを集成材を使いプレーヤーケースを製作、縞黒檀の突板を貼りました、アームはグレースのG−565と米国の放送局で使われていたマイクロトラックのウッドアーム、このアームは管球王国の評論家で篠田先生が使用しているものと同じです。
ナショナル EAS−20PW55

このゲンコツスピーカーは昔からのクラフトマニアなら知らない方はいないと云われているナショナルのEAS−20PW55の試聴を兼ねてご報告します。ゲンコツは私も使った経験もあり日本の名器の一つに挙げられています。
ゲンコツの初期モデルは8PW1で1954年に発売されたユニットでインチからセンチに型番がEAS−20PW09に変わった、
その後ゲンコツシリーズはアルニコからフェライトタイプに変わり1980年代に生産中止になりました。
ゲンコツの中で一番人気は大型のアルニコマグネットを採用したEAS−20PW55が最上位機種でこのユニットは状態が良ければ7万〜8万ぐらいで取引されている。
EAS−20PW55はGOODMANSのAXIOM80やAXIOM22などのユニットとよく似た真っ赤なアルニコマグネットが印象的です。
果たして本当にこのユニットは日本の名器なのか以前にGOODMANSのAXIOM80やワーフェデールのスーパー8RS/DDなど試聴した経験もありますが多少自分の好みからは外れていた、今回は記憶をもとに比較検証してみますがこれが絶対評価ではないことをご了承して頂きたい、

松下電器のEAS−20PW55(ゲンコツ)の正面と真っ赤なアルニコマグネットが魅力的なユニットで重量は結構あります。  

 

 


当時の思い出

このユニットを使ったのはかれこれ52年前になります。当時はまだステレオに関して超が付く初心者ですから本当に良い音がしていたのかは覚えていない、 当時のマニアは高いスピーカーシステムなど買えずもっぱらユニットのみ購入して楽しんだものですがユニットを買ったのはよいがこれを入れるボックスがなくみかん箱やリンゴ箱に丸い穴を開けて鳴らしていたと思う、
当時人気のあるユニットはパイオニアのPAX−20F、コーラルの8CX−50がありましたがこのユニットは確か1本5千円ぐらいした記憶があります。私の様な貧乏人にはとても手が出なかったがこの2機種はツィーターにホーンタイプが採用されて大変カッコよかった、
買えてもコーラルの6CX−50ぐらいですが16cmでは物足りなくもないがやはり20cmクラスだと低域も出てくるような気がした、
今では38cmクラスが当たり前だが当時は部屋の事情や金銭面の問題で買えなかった、
スピーカーユニットをなけなしのお金で買ったのはよいがこれを入れるボックスを作らなくてはなりません。
当時のボックスはユニットを買ったときに付いていた段ボールに穴を開けて聴いていたがこの時の音は感動ものであった、
5球スーパーや電蓄の音しか知らないので段ボール箱でもHi−Fiサウンドが楽しめたがその後ラワンの単板で指定箱を作り楽しんだ、その時の音は低音がずっしり来てメリハリの利いた音だった、
当時ナショナルの8PW1の価格は1本3200円でぺアだと6400円私は貧乏人ですからこれでも上等だと思った、

オーディオは感性とノウハウと叩き上げのスキルだ!

 今まで沢山のユニットを使ってきました、フルレンジで特に印象が残るのはGOODMANSのAxiom80、ヴァイタボックスDU−120、パイオニアPAX−30B、ワーフェデールのスーパー8RS/DD、コーラルのべーター10と大変個性のあるユニットばかりだがその中でAxiom80は超が付く名器ですが私の好みとは多少違っていた記憶が残っている、
オーディオで一番難しいのはスピーカーです。これが上手く鳴らなければいくらWE−300Bアンプを繋いでも良い音は望めない、
今までスピーカー遊びをしてきてわかったのはスピーカーこそボックスとボックスに使われる木の材質が決め手と痛切に感じた、
スピーカーボックスはユニット以上にコストがかかるから安く済ませるには平面バッフルが一般的、私も色々やってきたが平面バッフルの場合は16〜20cmクラスのユニットだと効果があるが30cm以上を平面バッフルで使う場合は相当大きな板が必要になる。最低でも2m×2mぐらいのバッフル板を使わないとユニットの裏側から音が前に回り込んで低域が減少して中高域が喧しくなる。低音が出ているように聞こえるだけで本当に出ているならピラミッドバランスになるはずだが残念ながら本当の低音は出ていない、平面バッフルで聴くのなら16〜20cmクラスだと大きなバッフル板も必要なく楽しめるはずだ、勿論バッフルも振動していますから良い素材の板を使いたいものだ、
ネットのユーチューブでスピーカーを検索してみると色んな方が見える。例えばユニットをボックスに入れずに単体で鳴らしているがこんなのまったくもって意味を持たない、裸で鳴らして何を聴かせたいのかこんな鳴らし方なら5球スーパーのスピーカーのが良い音で鳴る。
日本の名器ゲンコツを上手く鳴らすには「感性とノウハウと叩き上げのスキル」ドクターXのセリフで「私失敗しないので」こんなセリフが自作オーディオで言えたらなぁ

たかが20cmされど20cm

JBLやアルテック、タンノイが今のスピーカーの主流でメインに使っている方が沢山いるがアルテック党やJBL党は国産のスピーカーには見向きもしない、スピーカーは海外製に限ると自負しているマニアは日本製のスピーカーと聞いただけで見下げて相手にもされない、
私は20cmクラスのユニットで聴いていると云うと頭からバカにした態度と上から目線で相手にもしない、
国産のユニットを真剣に聴いた事もないくせにスピーカーに関しては師匠や博士になったつもりだろうが私に言わせるなら有名な外国スピーカーすらまともに鳴らせないくせにと声を大にして言いたい、
このような連中に国産の20cmクラスのフルレンジを真剣に試聴したことがあるのだろうか、海外製ユニットでもこのクラスはコンパクトで大変人気がある。アルテックの755EパンケーキやJBLのLE8T、ラウザのPM−6辺りは人気の的だがこのレベルに匹敵するのが「マネシタデンキ」の8PW1である。このユニットもアメリカへ沢山輸出され好評だったらしい、アメリカには755EやLE8Tなど有名なユニットがあるのにゲンコツスピーカーが沢山売れたとはひょっとしてアメリカのユニットよりゲンコツのが音が良かったのかも知れない、
果たしてゲンコツスピーカーの実力はどの程度なのか大変興味が出てくるのだがゲンコツクラスだとボックスは適当、アンプは何でもよい考えで聴いているはず、例えは悪いが美人にボロボロの服を着せるのと同じでゲンコツは哀れだ、 アルテック、JBL、タンノイ、ハーベスなら拘りを持って楽しんでいるがましてや国産の20cmのゲンコツスピーカーなどメインスピーカーにはなれずサブシステムのスピーカーでしかないから多分出番は回ってこないのではなかろうか、
今回テスト的に現在使用している300リッターのボックスに入れたらどんな音の変化が出てくるのだろうか、ネットで検索するとゲンコツスピーカーを沢山の方が評価をしていますがほとんど50〜60リッターのボックスが多いが評価としてはどれも正しいと思う、大型ボックスに入れたゲンコツスピーカーは面白くなりそうだ、
たかが20cmされど20cmを300リッターのボックスに入れ材質はフィンランドバーチと真空管アンプで奏でた音、これは楽しみだ、

   ゲンコツスピーカーを鳴らすシステム
デジタル PCオーディオでの試聴
  ノートパソコン
  音楽ソフト Foobar 2000
  昇圧トランス ウェスタンエレクトリック 618C
 

DAC ラステーム UDAC32R

   

アナログ

 
プレーヤー

フォノモーターはプロ用ヤマハアイドラータイプ

トーンアーム マイクロトラック303ウッドアームとGraceのG−565ロングアーム
カートリッジ

オルトフォン SL−15E、GraceのF7M

昇圧トランス ウェスタンの618C
   
プリアンプ マランツ#7
メインアンプ ウェスタン VT52刻印シングルアンプ、整流管はWE−274B刻印
 

最新作の英国直熱三極管アンプ

 

ウエスタンの618C昇圧トランス、

 

今回完成したアンプでゲンコツを鳴らしました、

世界の名器に対抗できるのだろうか
以前のコラムでご紹介したワーフェデールのスーパー8RS/DDも20cmユニット、コーラルのベーター10、GOODMANSのAXIOM80は25cmどちらもフルレンジユニットだったが国産の名器と謳われるナショナルゲンコツスピーカーはこれらの名器に対抗できるのだろうか、
ゲンコツスピーカーは過去に鳴らした記憶しかないからほとんど未知数な音、皆さんもゲンコツスピーカーは知ってはいるが聴かれた方は少ないはず、
今回使用するのは真っ赤なアルニコマグネットを使ったEAS−20PW55である。
このユニットに関して詳しくはオーディオの足跡に詳しく紹介されていますから参考にしてください。
試聴開始
いくら日本の名器と云えども所詮20cmのフルレンジだが300リッターのボックスだと今までの評価を覆す音が出るのか、早速バッフルを外して予めサブバッフルに取り付けたゲンコツを実装したが大変な作業でもあった、
最初にCDを使いPCオーディオでの試聴になる。リファレンスCDは一番のお気に入りの豊田裕子が弾く癒し系の「スローバッハ」ピアノとバイオリン、小鳥のさえずり、川のせせらぎが入っている癒し系のCDだ、
聴く曲目はバッハのG線上のアリア、CDをトレーに入れて出てきた音はピアノの響きが素晴らしいサウンドだ、ピアノの音には余分な付帯音もなく切れ込みの良い響きでどちらかと云えばGOODMASのAXIOM80に近い鳴り方でしっとり感と押し出しの良さが何とも心地よく聞こえる。特にピアノは絶品だ
CDをPCオーディオで鳴らすと今までのCDPで聴いてきた音とは全く異りマスターテープに近い鳴り方には驚いたがDACの後に付けたWE−618Cの実力は大変素晴らしくアナログを超えたようなサウンドになり何時までも聴いていたい癒し系のサウンド、耳障りのない上手く纏めた鳴り方である。
バイオリンに関しては多少音痩せしたように聞こえるがこれが20cmとは思えない量感とスケール感のあるサウンドには参った!
AXIOM80の時は低音不足であったがゲンコツは20cmなのに十分出ているのには凄い、1960年代の時に使ったゲンコツとはまったく違うサウンド、やはり300リッターのボックスと材質はフィンランドバーチが威力を発揮しているように思える。
またゲンコツスピーカーをマランツ#7、ウェスタンのVT52で鳴らされている方は多分いないと思うのでこのような評価になった、
ゲンコツスピーカーをトランジスターアンプで鳴らすと5球スーパーや並4ラジオのスピーカーの音になってしまう、ここは是非良質な真空管アンプで聴かないとゲンコツが可哀想だ、
このサウンドを聴くとゲンコツスピーカーは十分世界に通用できる名ユニットの一つに加えてもおかしくないがゲンコツに限らずフルレンジはどうしても高域がやや不足する部分があるがそこはフルレンジの良さで音楽を聴かせるのが魅力だ、
次に聴いたのは流行歌で春日八郎の別れの一本杉、春日八郎は以前千葉県に所要で行ったときブログで有名なこばさん宅に寄って聴かされた名曲中の名曲だ、GOODMANSのAXIOM22とWE−101アンプも素晴らしかったが、ゲンコツの場合は違った意味での良さもある。ゲンコツで昭和の歌謡曲を聴くと時代の雰囲気が良く出てレトロなサウンドになるが最近雑誌に載っている名ばかりの海外スピーカーではHi−Fi調になってこの哀愁に満ちた春日八郎の歌声はなかなか出てこない、
ゲンコツスピーカーを使っている方は多分50〜60リッターのボックスでサブスピーカーやセカンドスピーカーとして聴いていると思うがマランツ#7やWEのVT52、WE−618Cを使って300リッターで聴くゲンコツは一般的なゲンコツとは違う評価になる。

2017年08月2日

試聴開始
毎日鳴らして3週間経つと「あれっ」と思う部分が見え隠れしてきた、これはオーディオの音に対しての人間の欲望なのか自分が出したい欲望なのか次回にパートUで書かせて頂く、
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