モーツアルトの音楽        2011.1.18
新年を迎え、新しい気分で音楽に浸りたいと思います。まずはモーツアルトに集中しましょう。モーツアルトは常に安らぎを与えてくれますし、新しいことを開始する元気をもたらして呉れます。しかし、どんなにやさしそうなピアノ・ソナタだって、モーツアルトの曲を弾く時は決しておろそかにしてはいけない、と言うことはどこかで耳にされた言葉だと思います。そういう天才肌の音楽ってどういうものでしょうか。








(164)モーツアルトを取り上げることについて

私はモーツアルトを避けていたわけではありません。事実は逆で、モーツアルトを尊敬するからこそ、万全を期したいと思って来た次第です。彼の音楽に含まれる各瞬間の美しさ、はかなさ、次の瞬間にむけて変貌する巧みさ、これらは他に求められません。いつ聴いてもほっとし、顔がほころぶ種類の音楽です。ベートーベン(私は彼も大好きです)ともまた違い、決して吠えたり、泣きわめいたりせずに、それでしっかりと伝えたいことを、ほとんど無意識のうちに行なっております。それにしてもモーツアルトは僅か35歳の短命だったことをもう一度考えてみると、恐ろしいことです。今日の我々が、一生懸命にモーツアルトを理解しようとし、専門家もまたモーツアルト学派とでも言える程、強烈な影響を与えた男。それが僅か35歳以下の若造だったとは!
千葉のF高








(165)モノローグ 音楽の種類と好きずき

音楽家という時、バッハを最も崇拝するヒトもいますし、ベートーベンこそ、モーツアルトこそ、というヒトだっています。その好みは千差万別ですが、これは他人の入る余地はありません。それぞれが「自分はこの音楽、この作曲家が好きだ」と主張するのは当然ですし、それで良いと思います。ここでは私自身の話をしましょう。




(1)モーツアルトとその音楽

モーツアルトを忘れてはいけません。真の天才です。これ以上どんな言葉が要るでしょうか。私はかつてニューヨークの旧友Cから「Kはワーグナーしか聴かない人だから」とよく言われましたが、Cは、ワーグナーは音符が多過ぎるというのです。もっと純粋な音と響きが欲しいなあ、と言っていました。Cはモーツアルトの音楽こそが最高であり、特にピアノ協奏曲に惹かれるそうです。その時私はにこやかに笑って場を保ちましたが、「この野郎、何も知らないくせに!」と内心穏やかではありませんでした。それが今、私は彼の言葉の意味する所を噛み締めています。実際モーツアルトの音楽を聴いていると何と幸せなんだろう、とか何と美しい響きだろう、と感じます。考えてみればワーグナーに商売気があったこと明白ですが、モーツアルトにはそれがありません。真実、音楽そのものだけです。音楽の色々なジャンルを徘徊して、最後に戻るところ、それがモーツアルトではないでしょうか。




(2)地上ディジタル騒動

実は、私の居住地は「地の果て」という表現がピッタリのところで、色々な文明の恩恵から遠ざかっています。ここで申し上げたいのは、地上ディジタル波のテレビの話。我が市は、天下の難視聴地域に分類されています!どうしてなのか分かりませんが、実際見えなかったし、聴こえなかった。昨年末、公費負担で市全体で3本の共用アンテナを建ててくれるだろう、というニュースが流されました。よほど電波事情が悪いのですね。2010年夏の始め、近所の量販店にテレビを買いたいと言ったところ、どこにお住まいですか?と尋ねられ、OY地区だと答えた途端、あそこはだめですよ、映りませんから、とつれないお答え。それから3ヶ月間、ご近所のアンテナ事情を調べてきましたが、結局地上ディジタル波を受信している家は無し。めげずに御近所の写真をとったり、地図を調べたり、ここは開けているから大丈夫だろう、等々の理論武装。そして再度量販店に行き(偶然にも前に家の地区はダメだと言った店員が対応)、やはりテレビ本体はディジタル波対応のものを買っておきたい、そして地上ディジタル波を受信できる時まで待ちます、と言ってようやく32インチ画面のTVを買いました。

ところがその後、台風が来て我が地区は強風に晒されました。あちこちでアンテナが倒れましたが、うちのアンテナも同様。いま修理してもあと3ヶ月間の使用予定しかないのでムダだと思いますが、ヤムをえず修理を依頼しました。アンテナ修理にやってくるまでの間、ひたすら画像をDVDやビデオ・テープで楽しみました。実はプロジェクターを持ってはいたので、通常のTV番組も大きく写せます。ただ、やはり不便さをカバーできず、殆どは見ずじまいの状態でした。それは、プロジェクター以外にも、スクリーンにお金を掛けないといい結果が得られないことが分かったため。白い壁に写していましたが、それは表面にあるデコボコが邪魔して、焦点が甘くなるからです。小さいスクリーンは持っていましたが、それは私の仕事(講演)の練習にパソコンと繋いで写すもので、其の意味では役立ちましたが、DVD等を楽しむには役に立たず。

結局、我が家は映る領域のギリギリの境界に位置していることが判明し、これなら地デジも映るわいと電器屋に依頼。始め普通のアンテナを付けてくれたのですが、電界強度60dB以下に過ぎず、これでは映りませんと言われました。それなら大きいアンテナにして呉れと頼み、その結果(恐らくブースター効果込み)何と電界強度90dBという良い結果になりました。これは凄い!と言われたのが、地デジ騒動の結末です。結果的にテレビ本体と同程度の額をアンテナに投資しました。やはり入り口にお金をかけないと無理が生じるのですね。貴重な教訓。




(3)映画「アマデウス」とモーツアルトの家

ある晩、古い映画「アマデウス」を見ようと思いたちました。その中の「ドン・ジョヴァンニ」の場面を見るためですが、ここの地獄墜ちの演出は実に素晴らしい!映画では「フィガロの結婚」や「魔笛」などの音楽も次々に引用しています。その「魔笛」。ドイツ語でやるオペラ、それを庶民の前でやり、庶民はそれを楽しんでまるで歌声喫茶の雰囲気。ジング・シュピール(歌劇でなく歌芝居)では、それが正解です。歌手の技巧がどう、とか言うことではないのです。それで良いではありませんか?音楽とはそういうものでしょう?TV不調の偶然とは言え、映画「アマデウス」に再会したのは良かった。

ウイーンには何度か行ってモーツアルトの住んだ家というのも確かめました。もちろんザルツブルクにもあり、妻と一緒に出掛けたこともあります。ウイーンでは「フィガロ・ハウス」が有名で、場所はシュテファン教会の裏ですが、意外に少し分かり難いのではないでしょうか。この近くにズバリ「アマデウス」という名前のホテルがあって、定宿としてお勧め。このフィガロ・ハウスは結構大きく、古い階段を昇って行くのはしんどい。装飾も古びていますが、当時はもっと立派だっただろうと思います。そういう家を借りて住んでいたモーツアルトという人物はそれほど、毎日の食事にも困るほど、貧困に喘いでいなかったのではないか、とも思います(日本の多くのスタンダードと比較すれば)。「苦労する」と言っても内容は千差万別。その人の苦労する材料も違います。

ベートーベンの家にも関心があって、彼方此方にでかけたことがありますが(ベートーベンは引越魔)、例えばウイーン大学の側にある家。郊外のハイリゲンシュタットの家も印象的。これはそこに関わるエピソードが余りに強烈だったからでしょう。毎日聴こえた教会の鐘が聴こえない!そこにあったGUEST BOOKに「万感の思いを込めて」と私は書いてきました(私がハイリゲンシュタットの家に行ったことは、その日の内に会議仲間に知られていました。誰がノートを見たのでしょう。よく言われる話「ウイーンで起きたことはその日の内に町中に知られる」という噂は本当です)。私はベートーベンは偉大だと思いますが、それは大秀才だったという意味で、モーツアルトのような生まれながらの天才とは違う。ただ、結果的にはどちらの印象も強い。モーツアルトとベートーベンとどっちがどっち、という問いがあったとしても答えられないだろうと思います。それでもワーグナーやヴェルディ達と比較するならば、モーツアルトとベートーベンの方が良いだろうと思い始めています。日頃そうではないか、いう疑いをウスウスと感じていました。なにせ、こちらは音楽が好き、というだけの素人です。ただし堅物ベートーベンのオペラ「フィデリオ」は、今の私には余りオペラ的な雰囲気を感じられません。モーツアルトだったらサラッと表す所ですが。

ウイーン中央墓地には楽聖達のコーナーがあってモーツアルト、ベートーベン、ブラームス等が並んでいます。ここにモーツアルトが実際に埋葬されたかどうかは問題でなく、彼等の記念碑として多くの人が訪れています。4回目にウイーンに行った時、初めてここを早朝に訪れました。観光地とは言え、人通りのすくない場所ですし、格好でした。少人数の団体が通り過ぎた後は、私だけでしたし、持参した花束を彼等に一つずつ捧げました(シューベルトを含む)。「音楽のすすめ」第3章 第7話ウイーン会議を参照のこと。




(4)モーツアルトを代表するオペラ

モーツアルトの代表曲として、何を選ぶ?「フィガロの結婚」?、それとも「ドン・ジョヴァンニ」?、それとも「魔笛」? これは昔からある問題。いつでもその時聴いている曲こそ最高、と言いたくなるのです。楽しさと美しさを備えた「フィガロの結婚」は明るく、おめでたく、そしてドキドキするオペラ。宇宙の原理を表すような「ドン・ジョヴァンニ」も素晴らしく、巨大。また「魔笛」は少々セリフが説教臭い点を除けば、真に美しい音楽。やはりこの3曲だと思います。「フィガロの結婚」を除いて、代わりに「コジ・ファン・トウッテ」を入れた人もいましたが、私の現在の感覚を総動員すると、どうしても上記の3曲です!そのあとが「コジ・ファン・トウッテ」であり、さらに「後宮からの逃走」が来ると思います。何しろ11歳からオペラを書き始め、全体で17曲のオペラとジングシュピールを作った人。26歳で「後宮からの逃走」、30歳で「フィガロの結婚」、31歳で「ドン・ジョヴァンニ」、34歳で「コジ・ファン・トウッテ」、35歳で「魔笛」が誕生しています。凄いなあ。
千葉のF高








(166)モノローグ モーツアルトを代表する音楽

モーツアルトの音楽は、どのジャンルで代表される?クラリネットやヴァイオリン協奏曲とか、ピアノ・ソナタ、交響曲と色々ありますが、とどのつまり、オペラとピアノ協奏曲で代表されると言うのが、今まで蓄積された諸先輩の結論の様です。そこで、ここではオペラに焦点を当て、「ドン・ジョヴァンニ」、「フィガロの結婚」、「魔笛」、「コジ・ファン・トウッテ」、「後宮からの逃走」の各々について、今まで録音されて私の持っているものを比較して行きたいと思います。特にはじめの3曲はベクトルも別々の方向を向いていますし、どれが最高と考えても良いと思いますが、私個人は「ドン・ジョヴァンニ」が好きなので、そこから始めましょう。次回は「ドン・ジョヴァンニ」の比較です。
千葉のF高


(注意)今回はモーツアルトの作品にどっぷりと浸かるため、過去の旅行記等はありません。良い「ドン・ジョヴァンニ」の上演に一度でも触れられることをお勧めします。天才モーツアルトを実感できます。そして「過去の雑記帳」はお休みです。
(続く)












<<Appendix 雑記帳トップへ戻る