モノローグ(277) Intermission IV   

2016年2月24日にシェークスピアの「リチャード2世」を、妻と彩の国さいたま芸術劇場で観ましたので、その公演を記します。

 

「リチャード2世」 ネクスト・シアター、ゴールド・シアター Feb.24,2016   

既にヘンリー4世、ヘンリー5世、ヘンリー6世、リチャード3世を観劇し、これで英国王朝シリーズの山場を超えました。ヘンリー6世のように3つの小公演に分割されたものを、何とか2日間で観たものもあります。あと「ジョン王」、「ヘンリー8世」を加え、さらに「マクベス」を追加すればシェークスピアによる歴史シリーズはほぼ完結することになります。そうなればひたすら観たいのは「リア王」ですね。今回はネクスト・シアターとゴールド・シアターの両者が合同公演ということでしたが、合同とは、要するに場所を共有したことか、と思いました。開幕早々に全員によるダンスが披露され、そのダンスは車椅子に乗って踊ったり、車椅子でなくキッと立って見せたりしますので、退屈することはありません。その音楽は何とタンゴの「ラ・クンパルシータ」でした。公演記録によりますと、ゴールド・シアターの人達は、今年90歳の人を最高に、平均が70〜80歳でした。過去に様々な役柄で舞台に出た経験のある人達ですから、ダンスを踊るときは手足をキッとさせることは当然だったのでしょう。大多数の衣装は紋付袴と黒留袖でした。

ふと思い出すと、全体に光を加減させる演出が少なかったような気もします。そのかわり、客席の中の階段を駆け下りたり、走り去ったりして、そのスケールを大きく見せていました。全体の流れを左右するネクスト・シアターの平均は30歳代でした。客席は四角い舞台をとり囲むように設置され、3つのブロックを客で埋める配置を取っていました。収容数は350名程度。この配置は昔のバイロイト音楽祭におけるマイスタージンガーや、タンホイザーの配置みたいです。舞台に当たるのは正方形の床面ですが、そこに演技で叩き付けられ、まき散らされる鏡のカケラ等が飛び散ります(あの後始末をいつ、だれが掃除するのか興味深く見たところ、結局それは暗黒で視覚を遮って処分していました。そうしないと危険です)。またアイルランドから帰った海を示すのに、床面に布を波のように動かしていましたが、あれが唯一の床面装飾です。またそこで演技する俳優達を見ていると、其々に美しいし、眼光が鋭い。ただ唯一の問題は、3名の若者が交代でリチャードと一緒にタンゴを踊るのですが、何故あんなにまで肌を見せたのか、という疑問があります。一人は下帯まで見えました。言葉を選んで互いに台詞を飛ばすのですが、やはりリチャードは性格と表情が暗目で、このまま行ったら、いずれ王冠を投げ出すだろう、と思わせました。他方ヘンリーはやはりこの人が天下をとったか、と言うところ。台詞回しでは、シェークスピアだから全てを喋らなければならない、というのがかえってトラウマになっているかも知れない、と思いました。特に若い人々の喋る部分で、早過ぎて良くわからないという、小さな不満あり。。

この時期ポリングブルックが勝利したことが英国王室の流れを決めたと言っても構わないのです。つまりリチャード2世以降、しばらくは薔薇戦争のゴタゴタが起きるものの、コレ以来、英国では例え王様があることをしたい、と思っても、議会の承認が無いとまずい、という事が社会的に承認されました(王権神授説から、議会承認説へ)。そして薔薇戦争の終わりに、ヘンリー7世をプランタジェネット系の正当な子孫としたのです。しかし、どう見てもヘンリーはチューダー家の子孫だと思います。それは王統に女系を認めるか否かに関わっています。全体としてはなかなか良い舞台でした。

リチャード2世の配役
リチャード2世:内田健司
ヘンリー・ボリングブルック(ヘンリー3世):竪山隼太
ヨーク公爵ラングレー:松田慎也
ランカスター公爵ジョン・オブ・ゴーント:葛西弘
ヨーク公爵夫人:百元夏繪
オーマール公爵:竹田和哲
トマス・モーブレー:鈴木彰紀
ネクスト・シアター(30代が中心)メンバー
ゴールド・シアター(70代が中心)メンバー
演出:蜷川幸雄、翻訳:松岡和子

 

千葉のF高












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