モーツアルト     ベートーヴェン
 
 

2009年10月3日(土) 50歳になったら聴きたいと思っていた曲

 

 かねてから50歳になったら、じっくり聴き込みたいと考えていた曲がいくつもあります。これまでは、いわゆる同曲異演盤を聴きくらべて、どちらの演奏が好きとか、この曲なら誰の演奏がいいだとか、そんな聴き方を長年続けてきましたが、人生もすでに3分の2を過ぎ (笑) 、残りの期間は、西洋音楽の傑作中の傑作をじっくり聴き込み、その魅力をとことん味わう、そんな聴き方をしようと考えています。

 齢50には、まだ1年早かったのですが、今年の春から、こうした思いを持って、ディスクを聴き始めたところです。音楽を聴く感受性が衰えないうちに、これぞ! という傑作を漏れなく味わっておきたいという気持ちもありますし、逆に歳を重ねたからこそ、味わえるものもあるのでは、という気持ちも持っております。

 そうした思いで、傑作と知りながら、これまでじっくり聴き込むのを意識的に避けてきた曲には、次のようなものがあります。バッハの平均律クラヴィーア曲集、ゴルトベルク変奏曲、パルティータ全曲、ハイドンの作品番号33以降の弦楽四重奏曲、ベートーヴェンの後期の諸作品(ミサ・ソレムニス、ピアノソナタ、ディアベリ変奏曲、弦楽四重奏曲)、シューベルト、シューマン、ヴォルフ、R・シュトラウスの歌曲、ブラームスの室内楽、ドビュッシーのピアノ曲、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲などです。また個人的嗜好をさらに掘り下げてみたいのは、ルネサンス中期から後期にかけての声楽ポリフォニー、フランスバロックの声楽をともなった宗教曲、ヘンデルのオペラとオラトリオ、20世紀終わりに旧ソビエト・東欧圏で生まれた、調性のある現代音楽など。
またオペラの傑作群(モーツァルトからプッチーニまでだけではなく、バロックオペラと20世紀のオペラを含みます) も、DVDで楽しみたいと考えているところ。

 その新しい聴き方”事始め”として、今春集中的に聴いたのが、シューベルトの歌曲、それも「美しき水車小屋の娘」「冬の旅」「白鳥の歌」という三大歌曲以外の歌でした。
 一説には、シューベルトの歌曲は約600曲あるそうです。とても全部は聴けませんでしたが、CDで15枚、曲にして120〜130曲を繰り返し聴き、18曲からなる”私的ベストCD-R”を作成しました。
 このCD-Rを作るにあたっては、@世評は気にせず、あくまで自分が気に入った曲を一番気に入った歌手の歌唱で、好きな順番に並べる、 A女声をできるだけ多く採用する(三大歌曲集はどうしても男声になるので) という原則を決めて、曲選びをしました。結果は次のようになりました。

 

2009年10月10日(土) シューベルトの名歌曲たち

 
1. 音楽に寄せて D.547 エリー・アメリンク(s)
シューベルトの歌曲を好きになるきっかけになった曲です。題名もこのCD-Rの冒頭にふさわしいと思い選びました。ゆったりしたテンポが印象的なアメリンクで。
2. 糸を紡ぐグレートヒェン D.118 バーバラ・ボニー(s)
ここからは作曲年代順。シューベルト最初の傑作を清純なボニーの歌唱で。
3. ミニヨンに D.161 ウェルナー・ギューラ(t)
4. 月に寄せて D.259 ウェルナー・ギューラ(t)
この2曲は青春期の疾風怒濤の内面を表現してます。テノールの若々しい声で。
5. ガニュメート D.544 バーバラ・ボニー
中期の作品中では、冒頭の曲とこの曲が大好きです。
6. ズライカ第一 D.720 キャスリーン・バトル(s)
とろけるような魅惑的歌唱のバトルは一度聴くとやみつきになりました。
7. ミューズの子 D.764 クリスティアン・ゲルハーエル(Br)
大好きになった曲。数ある歌唱の中でもゲルハーエルのものがバツグンでした。
8. 水の上で歌う D.774 バーバラ・ボニー(s)
とりわけ気に入った曲のひとつ。女声で聴くのがいいです。
9. 君はわが憩い D.776 クリスティアン・ゲルハーエル(Br)
この叙情的な歌は男声で歌うのが合っていると感じました。名唱です。
10. 「ロザムンデ」より ロマンス D.797 エリー・アメリンク(s)
11. アヴェ・マリア(エレンの歌第三) D.839 バーバラ・ボニー(s)
いずれも、曲名はご存じなくても、メロディを聴けばおわかりの名曲。
12. 春に D.882 ベルナルド・フィンク(Ms)
本当は「春の想い」D.686 を入れたかったのですが、良い歌唱が見つからず、かわりにこの曲を採りました。どちらも民謡風の親しみやすい佳品。
13. シルヴィアに D.891 エリー・アメリンク(s)
14. リュートに寄せて D.905 キャスリーン・バトル(s)
ともに女声で聴きたい小品ですね。愛らしくて大好きです。
15. 緑野の歌 D.917 エリー・アメリンク(s)
16. 星 D.939 エリー・アメリンク(s)
両方ともあまり有名ではありませんが、かつて山登りが好きだったワタクシの琴線に触れた曲です。
17. 夕映えの中で D.799 クリスティアン・ゲルハーエル(Br)
18. 夜と夢 D.827 キャスリーン・バトル(s)
最も好きな2曲で締めくくります。夕映え、夜、夢・・・

 

 

2009年10月17日(土) シューベルトの名歌曲たち(続)

 

 この18曲はあくまでワタクシが気に入った曲ですので、有名な曲だけど、はずしてしまった曲もたくさんあります。例えば、野ばらD.257 魔王D.328 幸福D.433 さすらい人D.489 死と乙女D.531 ますD.550 わたくしの挨拶をD.741 きけきけ雲雀D.889 などがそれにあたります。
 ワタクシの好みは作品番号(ドイツュ番号)の700〜800番台の曲にあるようです。若い頃の作品はその親しみやすい旋律で人気がありますが、700番台以降の曲には深みが感じられますから。ちなみに最も好きな5曲は、夜と夢D.827、夕映えの中でD.799、ミューズの子D.764、君はわが憩いD.776、シルヴィアにD.891 と、すべて700〜800番台になりました。

 これらの18曲の歌唱には、いわゆる往年の名歌手たちのものが全く含まれていないことに、お気づきの方も見えると思います。もちろん聴いてみたんです。シュワルツコプフ、ルードヴィヒ、ヴンダーリヒ、シュライアーなどはしっかり聴きました。でもこれらの1950〜60年代の歌唱はいずれも、”たるく” 聞こえたのです。特にここ10〜20年の録音と較べて聴くと、その傾向は明らかでした。何故なのかいぶかしく思ったのですが、ひょっとすると当時と今とのピッチの違いが原因かもしれないと、推測しています。1970年代の前半あたりを境に、歌うピッチが少し高くなっているのではないかと・・・もちろん絶対音感は持っていないのであくまで推測ですが。
それからフィッシャー・ディースカウ(Br)とフォン・オッター(Ms)のふたりの歌は、知が勝ちすぎている感じで好きになれませんでした。もう少し情がほしい。
皆様もご存じの名歌手の歌唱がひとつもないのは、そんな訳なんです。

 いずれにしても、うれしい時悲しい時に、ともに歩んでくれるであろう、かけがえのない、宝物のようなCD-Rができました。そしてドイツリートがこれまで以上に近しい存在になった気がしています。
 次は三大歌曲集に行こうか、シューマンあたりのリートに行こうか、はたまた歌はいったんお休みにして、器楽あたりに行こうか、今思案中です。考えている時が楽しいですから。キット屋倶楽部の皆様が「次はどのアンプをつくろうか」と考えている時が楽しい、というのと同じですね。

 

2009年10月24日(土) Ting-Sol 6SN7とバイアス調整

 

 今日は、9月12日のオーディオ調整のその後のご報告です。この日の日記の最後で書きましたように、真空管を

 @ Model2=デフォルト、SV722=Mullard、VP3000初段=デフォルト

にしたところ、SPスタンドやmodel2の下にコーリアンを敷いたことなどの効果もあいまってか、非常にクリアな、演奏の細かいニュアンスがよくわかる音になり、この点では大いに満足したのですが、音にもう少し”こく”がほしいという気持ちがしていました。そこで

 A Model2=デフォルト、SV722=Mullard、VP3000初段=Ting-Sol6SN7

にしてみました。でもこれは私の好みからすると、響きが付き過ぎて、せっかく得たクリアさが減じてしまった感じでしたので、

 B Model2=デフォルト、SV722=デフォルト、VP3000初段=Ting-Sol6SN7

にしてみました。これはいいです。演奏の細かな特徴をクリアに出してくれるのは、ほぼ@のままで、写真にたとえると、遠景から近景までびしっとピントが合った感じです。それでいて、音の質感が素晴らしい。しかも弦も管も声もピアノもいいです。一言でいえば、明快だけど暖かい音と感じました。さすが、大橋店主がHPで、「Tung-Solは6SN7の中では最高」と仰っているだけのことはあります。

 数日Bの状態で聴いているうちに、音楽の躍動感、軽快な感じはよく出るものの、出音が軽すぎること、どちらかというと高域にスポットライトが当たるようで、音がサラサラ流れてしまう傾向があると感じるようになりました。そこで、VP3000のバイアスをレッドゾーンに近づけてみたところ、じっくりと落ち着いた演奏、タメのある出音になり、あわせて中域がぐっとクローズアップされ、目の詰まった暗めの音が出てきました。そのかわり、躍動感や軽みは減じてしまいます。
 両者の中間あたりに目指す音があると感じ、バイアス調整を行いましたが、少し針を動かすだけで、かなり音の傾向が変わりますね。オーディオ若葉マークがいまだ取れない私には、正直難しかったです。生に最も近いのはどのあたりかと、実際にコンサートで聴いたことのあるムターやハーンのヴァイオリン、ツィメルマンのピアノ、鈴木秀美さんのバロックチェロ、ゲルハーエルのバリトンなどのCDをかけながら調整したのですが、生の音の記憶そのものがすでに茫洋としていて、調整は難航、とりあえずこのあたり、というところで、しばらく聴き込むことにいたしました。
 今後、生とCDで、同じ演奏家、同じ曲目で、比較するチャンスをねらって、再調整にトライしてみるつもりです。

 いずれにしても、ここ数年欲しかったクリアさという点では満足できるレベルになりましたし、バイアスの微調整で音の違いがはっきりわかるということは、それだけセッティングやチューニングがうまく追い込めている証拠と、ひとり悦に入っております(笑)。娘から「お父さん、何ニヤニヤしてるの?」と言われちゃいました。




 
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