モーツアルト     ベートーヴェン
 
 

2010年1月2日(土) 昨年のマイ・オーディオ総括

 
 新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 さて、昨年の皆様のオーディオライフはいかがでしたでしょうか? ご自慢のオーディオに新しい機器を加えられましたか? 再生音に進歩はありましたでしょうか? 今日は昨年のマイ・オーディオの変化を、防備録を兼ねて記してみたいと思います。オーディオ初心者の使いこなしの話など面白くないかもしれませんが、お付き合いいただければ幸いです。
 
 一昨年(2008年)は、スピーカーをSpendorの3/5からHarbethのcompact7に変えたという"大変化"があった年でしたが、昨年(2009年)はそういうこともなく、いわば使いこなしをメインにした1年でした。使いこなしといってもオーソドックスなものばかりでして、主なものを記しますと、
@model2のインシュレーター(小)を凸だけ使い、コーリアンボードに直接置くようにした
Amodel2とSV722の真空管をMullardからデフォルトに戻した
Bパワーアンプとして使っているVP3000の初段をデフォルトからTung-Solに替えた
Cフローリング床とSP台の間にコーリアンボードを敷いた
DSP台とSPの間に真鍮&ステンのインシュレーターを挟んだ(正方向)
ESPと後ろの壁の距離を広くとるようにした
これだけです。でも音は素晴らしくなったと、満足しています。
 
********以下オーディオ若葉マーク者の自画自賛ですので、読み飛ばしてください(笑)********
 
 以上の使いこなしをしたことで、最もうれしかったのは、クリアな音が得られて、演奏の特徴がよく聞き取れるようになったことです。例えばピアノ演奏で、どこからどこまで弱音ペダルを踏んでいるかなど、しっかり聞き取れるようになりました。まずはこれが一番大きい。この願望は、数年前N響ヴァイオリニストの根津様、横山様、鶴我様が拙宅にお見えになった際にアドバイスいただいた時からでして、それ以来この課題に取り組んできましたが、どうしてもうまくいかず、スピーカーを買い換えた一因でもありました。でもこれでやっと満足いくレベルになったと感じています。数年越しの胸のつかえが降りた感じです。
 
 またスピーカーを買い換えたこととCDにより、弦楽器、管楽器、ピアノのいずれも、以前より"楽器の音"がするようになったのも、大きな収穫でした。たぶんクリアにしたから楽器の音が聞こえるようになった、ということと思います。このことは、私にとっては、ダイナミックレンジが広いとか広帯域とかよりも、ずっと大事なことです。
 さらに、Eで、ffの時に音圧の違和感がとれたのも、うれしかったことのひとつでした。
 
 VP3000とHarbeth Compact7の組み合わせは、太く滑らかで、鉛筆に例えれば2B、あるいは太めの万年筆という感じがします。それをSV722とTung-Solで引き締め、かつシャープさを加味して、補正していると推測しています。
 今後は、弱音での音楽の緊張感が保てるようにすることと、音像中心から音場感を少し加味することの2点が課題かと感じていますが、いずれも調味料の範囲です。この2点を除けば、どなたかかの家ですごい音を聞くか、ナマを聴いた時に啓示があるか、どちらかがないかぎり、もう大きくは変わらない、という予感がしています。(昨年11月3日のカザルスSQの演奏会から帰宅後、同じ曲目でCD再生してみましたが、替えるべき点はなしと判断しました。10月24日付けで書いたバイアス調整もこの時点でデフォルトに戻しました。)
 
 という訳で、新しい機器や真空管を買う必要性を感じなくなってしまい、この日記、ますますオーディオネタが枯渇することだけが、問題デス(笑)。
 
 

2010年1月9日(土) 「ベスト盤CD紹介本」のご紹介

 
 以前の日記を書かせていただいていた時、「世界が選んだベスト盤はこれだ!!」という名で、国内外のベストCD紹介本のトップに挙げられたものを一覧にしたことがありました。「好評です」という大橋店主の口車に乗せられて、増補したりもしました。
 
 そもそも時代を代表する演奏家が心血を注いだ録音に対して、これが1番、あれが2番などと順位がつけられるはずはないのですが、一方購入する側からしますと、かけるお金も時間も限られている中で、作曲家AのピアノソナタX番と、作曲家Bの弦楽四重奏Y番は、どちらがより名曲であるか、あるいは100種類以上出ているベートーヴェンの第五の録音から何を選べばいいのか、ミシュランのレストランガイドよろしく、購入ガイドがほしいという気持ちを抱くのも、もっともな話しです。
 もう一度一覧を作れば、キット屋倶楽部の皆様の何かの足しになるのかもしれませんが、今はそれだけの時間がとれませんので、"暫定対策"として、「ベストCD紹介本」のご紹介をして、とりあえずお茶を濁そうというコンタンです。
 
@The Penguin Guide to Recorded Classical Music 2010 -The Key Classical Recordings on CD,DVD and SACD- 50年以上の歴史を持つベスト盤紹介本の最古参。古いモノラル盤から最新SACDまで幅広く紹介。名を聞いたこともない作曲家まで取り上げています。★4つが最高評価。ただし選者が3人だけなので、聴きこぼしディスクがでるのはいたしかたないところ。また短評はいかにもの紋切り型。
AThe Gramophone Classical Music Guide 2010 -The Most Authoritative Guide to the Best Classical CDs,DVDs & Downloads- 英Gramophone誌が毎年改定版を出しているガイド本。雑誌に評が載ったもののうち良いものを掲載しているので、最近のディスクがほとんど。ただし有名曲については、別枠で古いものから新しいものまで俎上に乗せています。5段階評価。以上2種はどちらかといいますと、ベテラン向け。
B1001 Classical Recordings You must Hear before You Die 3年前に出版。原則として1曲1ディスク主義。「手っとり早くベスト盤を教えろ」という方には便利かも。ジャケ写だけでなく、貴重なアーティストの写真も満載で、眺めるだけでも楽しめます。独訳版、仏訳版も出ました。
CThe Rough Guide to Classical Music -An A-Z of Composers, Key Works and Top Recordings- あらゆるジャンルのイロハをまとめたRough Guideシリーズの中の1冊。作曲家のバイオグラフィー、主要作品解説、推薦盤1〜3枚という構成になっていて、推薦ディスクもメジャーレーベルの有名どころをあげたオーソドックスなもの。英語も平易で、これからクラシックの森に分け入りたい方向け。今年5月に新版が出る予定。姉妹編にOperaもあります。
DThe New York Times Essential Library Classical Music -A Critic's Guide to The 100 Most Important Recordings- ニューヨークタイムズに寄稿している評論家カズンズ氏が、古今の名曲100とそれを聴くためのディスク(1曲1枚)を挙げた本。作品は中世の音楽からアメリカの現代作曲家まで幅広いチョイス。文章もハイブロウで、私には十分理解できないところも多々。巻末には次の100曲とその推薦ディスクリストも掲載。
 
 さらに英国BBC放送の番組CD Reviewの中の"Building a Library"というコーナーのご紹介です。同放送Radio3の土曜日午前の名物番組の中の1コーナーで、毎週1曲を取り上げ、数枚の候補ディスクをかけながら解説し、ベスト盤を選び出すというもの。人気があり、十数年続いています。過去のセレクト結果はこちらでご覧になれます。また最新放送はインターネットラジオで数日間聴くことができます。
 
 最後に、一番ご関心のおありであろう事項について・・・優秀録音ディスク紹介本は、不勉強で知りませぬ、あしからず(笑)。
 
 

2010年1月16日(土) 全32曲の"踏破"に挑む!!

 
 昨年から音楽の聴き方を、"新譜漁り主義"から"名曲じっくり聴き込み型"に180度替えたワタクシ、まずはシューベルトの歌曲を愛(め)で、続いてヘンデルのアリアを周遊しました。その後実はバッハの平均律クラヴィーア曲集に挑みましたが、全編プレリュードとフーガという超絶対音楽が私に合わなかったのか、あるいは私の耳が拙いからなのか、うまく入り込めず、2合目あたりで引き返してしまいました。再チャレンジを誓いつつ、気を取り直して挑むのは、クラシックのヒマラヤ山脈、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全32曲です!
 
 ベートーヴェンは、とりわけ好きな、たぶん一番好きな作曲家です。何かクラシック音楽を聴こうというときには、ベートーヴェンを選ぶことが一番多いです。以前はいわゆる中期の傑作の森がご多分にもれず好きでしたが、最近は若い頃の作品を好んで聴いています。彼の音楽のピーンと張り詰めた精神のありようが、ぼうっとしている私に、シャキっとせい、というエールを送ってくれるからなのでしょうか(笑)。
 今回は、全32曲を作曲順に聴き込み、この一大山脈の全貌を掴むと同時に、どの曲のどの楽章が好きか、なぜ好きか、はっきり自分の意見が言えるところまで持っていこう、というのが、本プロジェクトの目標でありまする(きっぱり)
 
 まずはディスク選び。結論から申しますと、コワセヴィチのEMI盤ポール・ルイスのHMF盤の2種で聴き込むことにいたしました。なに? 2人とも知らないピアニストですって(笑)。やっぱり私もオーディオ好きのはしくれ、演奏だけでなく録音も良さそうなのを選んだのです。
 デジタル録音以降、全曲盤で海外で高い評価を受けているのは4種類。ブレンデルとグードとこの2つです。その中でできるだけ録音が新しく演奏の個性よりも曲そのものの魅力を聴けそうなものを選びました。(バックハウス、ケンプ、ギレリス、アラウは昔何曲か聴きました。ブレンデルは嫌いです。)
 
 楽譜は図書館で借りることにしました。たぶん好きになった何曲かを、楽譜を見ながらじっくり聴いてみることにするつもりです。(もっとも私が楽譜から読み取れるのは、極わずかな情報に過ぎませんが・・・)また、チェリスト宮城様のブログにあったように、調性や転調にも留意してみるつもりです。
 この試み、何カ月かかるか、無事踏破できるかどうか、仕事の都合などで途中下山するかもしれませんが、とにかく、今登り始めたところです。
 
 

2010年1月23日(土) 私の好きな曲2 -シベリウス

 
 2か月前のモーツァルトに引き続き、好きな作曲家と好きな曲について、勝手なこと(笑)を書き連ねることにいたします。
 
 まだ学生だった頃から親近感を抱き続けている作曲家の一人がシベリウスです。好きな曲には変遷がありました。最初は皆様ご存じの交響詩「フィンランディア」で"入門"し、カレリア組曲やトゥオネラの白鳥など、比較的初期の平明で分かりやすい、ストーリー性のある曲を愛聴していた時期がありました。
 その後は、交響曲1番、2番、ヴァイオリン協奏曲など、いわゆる北欧の自然を感じさせてくれる曲が好きになりました。これらの曲は、普段は寡黙で忍耐強い北国生まれの人が、時に情熱を爆発させるのを連想させるところもあり、そういう点にも魅力を感じておりました。
 
 そして近年好きになり、繰り返し聴いているのが、作品番号100番以降の後期のオーケストラ曲です。交響曲5,6,7番と最後の交響詩「タピオラ」の4曲の中から3曲を選んで、レコードコンサートをすることも時々あります。この中での一番のお気に入りは交響曲第6番です。BISレーベルのヴァンスカ指揮ラハティ響のCDでよく聴きます。
 若い頃の作品、例えば交響曲で言えば1番、2番が北欧の冷気を、5番が昇る朝日を連想させるのに対して、6番はもっと大きな自然、例えば天空を感じさせてくれるところが好きなのです。作曲家・吉松隆氏はこの6番について、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の連想から、「天空に向かう汽車の旅を夢想させる」「ハープが軽やかな列車のリズムを刻み始め・・・」「弦楽のスピカートはやがてトレモロに変貌し、銀河鉄道の疾駆から、天空へ飛翔するようなクライマックスに連なる」などと書いておられます。
 私も全く同感で、シベリウスはこの曲で、究極の自然である天空とそれに連なる宇宙そのものを感じていると思います。(7番はもっと直截に宇宙の鳴動そのものを感じます)
 
 自然や宇宙を感じる音楽といいますと、例えばR・シュトラウスのアルプス交響曲やホルストの惑星がありますね。これらの曲とシベリウスの音楽に違いはあるのでしょうか??
 Very personalな意見ですけれど、西洋音楽のほとんどの作曲家は、自分を主体、自然を客体として音楽を書いていますが、シベリウスだけは、自分も自然の一部として、音楽を書いているように感じられます。西洋の風景画と東洋の山水画の違いのようなものを感じます。「善の研究」の鈴木大拙風に言えば、主客非分離といえばいいのでしょうか。
 シベリウスはフィンランド人。フィン人は西洋系ではなく東洋系の民族なんですよね。そのDNAがシベリウスの曲に影響を与えている、というのは珍説でしょうか(笑)。「自分は主体、自然は客体」ではなく、「自分も自然の一部」と感じさせてくれる音楽家はもうひとり、武満徹さんがいましたが・・・これも私だけの珍説(笑)??
 次回は2か月後、今年が生誕200年のシューマンの予定です。




 
<<トップへ戻る