モーツアルト     ベートーヴェン
 
 

2010年4月3日(土) 62の楽章に62の喜びあり

 
今年1月から始めたベートーヴェンのピアノソナタ全曲聴きまくりプロジェクト(笑)、32曲のうち第1番から第20番までを、少ない曲で10回ほど、多い曲で30回ほど聴きました。HMFのポール・ルイス盤とEMIのスディーヴン・コワセヴィチ盤の2つの全曲盤で聴き込みました。
ここらで中間まとめをしておきたいと思います。録音、演奏、曲の3つに分けて、聴きながら感じたことを走り書きいたします。

(1) 録音について
 HMFのルイス盤が断然良いです。録音派の皆様は迷わずこちらをとるべき。現代スタインウェイの素晴らしい音が聴けます。録音場所はベルリンのテルデクス・スタジオ。ここは良いピアノ録音がとれることで知られています。2月27日の大橋店主日記で紹介されていたあのディスクの録音もここです。
 よいスタジオ、よい楽器、よい調律師、よいトーンマイスター、よい録音機材が揃い、どの位置にピアノやマイクを置いたら、どんな音で採れるのか、すべてお見通し、というスタジオと思います。

(2) 演奏について
 両者引き分け。ただし正反対といってもよい特徴があります。コワセヴィチ盤は颯爽としていて、疾走するアレグロと強音(とくにスフォルツァンド)に妙味があるピアニズム。こんな風にベートーヴェンを弾けたら、さぞかし楽しいだろうと思うことしきりでした。
 対するルイス盤は、じっくり落ち着いた慎重なテンポと弱音に力点をおいた演奏。
 初めての方なら前者、何度も踏破されたベテランの方なら後者、というのがワタクシのサジェスチョンです。

(3) 曲について
 とりわけ有名な8番「悲愴」、14番「月光」、17番「テンペスト」を除くと、やはり後の作品ほど優れていると思いました。特に好きになったのは、12,13,16,18番の4曲。もし私がピアニストなら、この4曲でリサイタルをやりたいデス(笑)。1曲だけというなら18番変ホ長調。ベートーヴェンのEs-durはやっぱり好きです。(第九の4楽章でも、Adagio ma non troppo, ma divotoから転調を繰り返して、643小節のフォルティッシモでEs-durになるところは、とりわけ感動的ですもん。)

登山家でエッセイストの深田久弥氏は、山にはそれぞれの良さがあるということを、「100の頂きに100の喜びあり」という言葉であらわしました。ベートーヴェンのピアノソナタ第1番から20番までで62の楽章があります。「62の楽章に62の喜びあり」と感じた3
か月でした。
 ここでいったん下山して、21番「ワルトシュタイン」以降は、今秋以降に持ち越したいと思っています。

 

2010年4月10日(土) 禁煙&読書日記ほか

 
 音楽やオーディオのこと、それ以外のこと、最近身の回りで起こった諸々のご報告です。

 先月の日記の終わりは、体調不良でティーレマン指揮ミュンヘン・フィル、独奏ヴァイオリン: レーピンの演奏会に行けなかったことで終わっておりました。その後日談です。あのチケットは演奏会当日の午前中、娘のピアノの先生のところに行き、その後数人の方の手を経て、最終的には、今春から東京芸大でヴァイオリンを習うという若い男性の手元に行き、実際にコンサートに行かれたそうです。ヴァイオリンを弾かれる方ですので、レーピンは参考になったことでしょう。そういう方に代わりに聴いていただき、ワタシもうれしいです。
 数日後、その若きヴァイオリニストから、チケットとは逆のルートを通って、当日のプログラム冊子を届けていただきました。ありがとうございます。

 続いて以前触れた禁煙ですが、幸い今も続いています。3か月を超えました。最近は吸いたいと思うことも少なくなり、この分で行くと断煙できそうです。禁煙し始めた頃は、"いいにおい"だったタバコのにおいも次第に"いやなにおい"に変わってきました。体重が2〜3kg増えたことが唯一の問題でしょうか。でも一番肝心な、健康診断の成人病リスクを表す様々な数値は、ほとんどよくなっていません。がっくり(笑)。まあタバコ代=月1万円をCDやコンサート代に回せるだけでもいいと思わなくちゃね。

 右の写真は最近読んだ本です。「こころの時代」は、NHKラジオの深夜放送から、特に好評だったものを上下2冊にまとめたものです。どの話も珠玉の言葉の数々で、時に涙し、時に心洗われながら読みました。今後も長く手元に置いておきたい本です。
 一方文芸春秋別冊「結婚という旅」は愚妻とともに大いに笑い、共感しながら読んだ一冊。
 新書「菜根譚」は人生訓を記した同名書の解説本ですが、残念ながら私の琴線とは少しずれた内容でした。でも本物の「菜根譚」はワタシの座右の書のひとつです。30歳代から40代半ばあたりまでは「論語」と「言志録」がそれでしたが、最近はこの2冊に加え、「菜根譚」が、もっとも頻繁にひも解く一冊になっています。今井宇三郎訳の岩波文庫版が一番気に入っています。

 続いての話題です。右の写真のように手持ちの音楽CDをファイルに収納してオーディオラックに置きました。拙宅ではオーディオは1階、CDは2階にありました。わざわざ2階までCDを取りに行くのがめんどうでしたので、こういう形にしてみました。やってみると確かにCDを聴く時間が増えました。アンプのスイッチを入れるのと同時にCDもプレーヤーにセットできますからね。
 それと手持ちのCDが約400枚ということが判明。どのCDを持っているか暗記できるのは、ワタシの場合はこのくらいの枚数が限度。ちょうどいい枚数のようです。

 最後に、遅ればせながら地上波デジタル対応の薄型TVを買いました。ついでにBS放送も映るようにしました。これでNHK衛星放送でクラシックを観ることができます。オペラが楽しみです。録画ができるようにブルーレイ録再機能付きTVにしました。これからは真空管アンプで「ブルーレイで録画したオペラ」の音出しもやります! 楽しみ!!

 

2010年4月17日(土)  今までで最高の音

 
一か月半ぶりにプリを復活させました。こんなラインアップです。

CEC-TL51X - model2(真空管はTESLA) - SV722(マランツタイプ、ジェンセンコンデンサ、真空管はデフォルト)-VP3000(Tung-Sol 6SN7 - デフォルト6SN7 - 300B ver.4)

オフ会メンバーに来ていただいた2月と異なるのは、
@model2の真空管をデフォルトからTESLAに変更
Amodel2を樽ボードの上に置く (以前はコーリアンの上に置いていた)
の2点だけなのですが、今までで最高の音になりびっくりしています。オフ会の時とはまるで別物の音です。ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、管楽器、オケ、どれをとっても秀逸。真空管の組み合わせがドンピシャ、壷にはまった感じです。これだけの実在感、楽器の音がする真空管の組み合わせは初めてです。またプリを使うメリットを何のリザーブもなく納得できる音です。
 加えてヴォリュームを抑え気味にして聴いても、音楽が充実して聴こえ、すごくハッピーです。

 TESLAの厚みとケバ立ち、SV722の引き締め、ジェンセン化による質感向上、VP3000の響き、Tung−Solの現代性、300Bver.4の描写力・・・色んなファクターが本当にうまくかみ合った音のように思えます。キット屋クラブの皆様が真空管に凝るのが、改めてわかる気がしました。それとプリを導入しようとする気持ちもすごくよくわかりました。(話はそれますが、先日のNOS管のオープン・ザ・カーテンはすごかったですね。私はTESLAを予備に2本と思い、20:03頃カゴに入れようと思ったら、もう売り切れ。びっくりするやら、あきれるやら。皆様の気合に圧倒されてしまいました。)

 話を元に戻しまして(笑)、今回の"音の進化"で、model2現役続行を決めました。それまでは192Sに替えようかと思っていましたが、TESLA化したmodel2に惚れ直しましたので・・・そしてプリSV722も押入れ行きを免れて、晴れてオーディテオラックに再度収まりました。

 さて今回の変更、実はこの拙い日記を読んで下さっている、ある方からのアドバイスによるものなのです。この方、拙宅の音を実際には一度もお聴きになっていないのですが、拙文をお読みになっただけで、ワタシの今の音の傾向、好みの音、そしてどうしたらそれを実現できるかを当ててしまう・・・
うーん凄い人です、ハイ。

 

2010年4月22日(木) 今月のお気に入り新譜

 
 アイスランドの火山噴火にともなう国際便の飛行停止により、楽しみにしていたアンジェラ・ヒューイットのピアノ・リサイタルが中止になってしまいました。また英gramophone誌を出している出版社haymart社から、「飛行機が飛ばないと雑誌が届けられない」旨のメールも届きました。地球の裏側の一火山の噴火が、ワタシの実生活に影響するとは・・・びっくりするやらあきれるやら。さて今月は4枚の新譜ご紹介です。

今月ではなく今年の私的ベストディスクになりそうなくらい、猛烈に気に入っている1枚。パヴェル・ハース弦楽四重奏団によるプロコフィエフの弦楽四重奏曲1&2番ほか(Spraphon SU3957-2)。演奏は疾走するスポーツカーに例えるべきか、はたまた精密機械に例えるべきか、今最も注目されている若手SQの名に恥じない演奏です。また曲もカッコいいんです。1番1楽章の冒頭や2楽章の2分36秒からの音楽はエヴァンゲリオンにでも使われると大ヒットしそう。この頃のプロコフィエフは作曲家としても成功していて、きっと肩で風切って歩いていたのでしょう。そんな感じが曲からよく伝わってきます。録音も上の部類。<
 
筋の良い若手チェリストを見つけました。といっても英gramophone誌、仏Diapason誌、仏Classica誌いずれも特選盤なのですから、ヨーロッパでは有名な人なのでしょう。クリスティアン・ポルテラ(Vc)、キャスリン・ストット(p)のサン・サーンスのチェロ・ソナタ1&2番他を入れたディスク(chandos CHAN10552)。やわらかく細やかな音のチェリストですね。曲は2番の3楽章と2つの小品(Priere,Op158とRomance,Op36)が特に気に入り、それらばかり聴いています。ジャケ写でご想像がつく通り、有名な小品「白鳥」も収録。録音はまずまずといったところでしょうか。
 
ドイツの実力派中堅チェリスト、ダニエル・ミュラー=ショットの最新録音盤(Orfeo C781091A)。実は手持ちのシューマン・チェロ協奏曲の演奏がイマイチなので、そのかわりにと考えて購入した1枚だったのですが、気に入ったのは、R・シュトラウスの「チェロとオーケストラのためのロマンス・へ長調」AV75と、ロベルト・フォルクマン(1815〜1883)という作曲家のチェロ協奏曲イ短調Op33の2曲。いずれも秘曲というには惜しいいい作品です。どうしてもっと有名にならないのでしょうか? チェロ好きの方はどうぞお見逃しなく。あと一曲、ブルッフの「コル・ニドライ」も収録されて全4曲。エッシェンバッハ指揮北ドイツ放送響の伴奏。録音はオケがイマイチ、ソロは良し。
 
2月27日の大橋店主の日記で紹介されましたので、すでにご購入された方も多いことでしょう。アリス・サラ・オットのショパン・ワルツ集(DG4778095)。ワタシが付け加えたいのは以下2点。第一に、この録音、ピアノの良い録音ができることで有名なベルリン・テルデクススタジオで、DGの名トーンマイスターであるライナー・マイヤールが録音しているということ。この場所でのこの人による録音の続編がDGから出るか出ないか、しばらく要注目ですね。第二にピアニストのオット、日本では美人ピアニスト風ジャケットで売り出されましたが、彼女は間違いなく実力派です。見た目でなく演奏にどうぞご注目を。(ジャケット写真は日本盤のもの。国際盤=輸入盤のジャケットは2/27大橋店主日記ご参照)

それではキット屋倶楽部の皆様、素晴らしいゴールデンウィークをお過ごしください!





 
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