モーツアルト     ベートーヴェン
 
 

2010年6月5日(土) 宮城様、大橋様をお迎えして

 
 5月30日(日)自宅にチェリスト宮城様とキット屋大橋店主をお迎えいたしました。その時の様子はすでにお二人のブログ&日記に詳しく書いていただきました。ワタシのこの日記は1か月遅れですので、おふたりが書かれなかったことをいくつか落ち葉拾い的に書かせていただきます。
 
(1) タンノイVLZとパワーアンプの相性
 
 宮城様がわざわざ持ってこられたVLZ(HD295)というスピーカーを初めて聴かせていただきました。タンノイにしては小柄なスピーカーでしたが、正真正銘のタンノイトーンでした。意外だったのは91B、501SEとの相性。91Bでももちろんいいのですがベタぼれとまではいきませんでした。SPの真価がまだ発揮できていないイメージ。それに対して501SEは同じ300Bシングルとは思えない違いがあり、見事にドライブしきっていました。誰が聴いても501SEの方を採ると思いました。ちなみに真空管は前段がデフォルト、300BはプライムチューブVer.4だったと思います。後者とのマッチングが効いたのでしょうか?
 いずれにせよ、やっぱりアンプを選ぶ時は実際に聴いてみるべきと改めて思いました。キット屋さんの試聴室から遠いところにお住まいのかたはなかなか難しいのでしょうが、ご自分のSPを持ち込んでのアンプ比較試聴をしてみる、というのが結局は近道だと痛感いたしました。
 
(2)拙宅の再生音
 
 大橋店主は「昔の音のバランスに戻った」と書いてくださいました。確かに音の重心という点では私も同感です。ただし昔と一番違うのは音のクリアさ。演奏の特徴・ニュアンスがよく聴き取れるクリアさです。この4年間のワタシのメインテーマでした。
 以前はコンサートホールの天上桟敷で聴くような間接音・雰囲気満点の音、そのかわりクリアさはなしという音でしたが、今は間接音をあまり付加せずに、
 ・演奏に集中して聴き入る(脳みそを刺激します)
 ・リラックスして演奏を楽しむ(脳みそが弛緩します)
 のバランスをとる音を目指しています。
 そしてこの半年ほどでその両立ができたかなと思えるところまで来ました。さらに今春宮城様のアドバイスでmodel2の球をteslaに替えたことにより、音の実体感を得ることができたと感じています。このことはまた日を改めて書いてみたいと思っています。
 
(3) suono
 
 Suonoをつけると演奏の気配やホールトーンを見事に描き出し、音が満ちる空間が高く広くなるのを実感し、多くのキット屋倶楽部の皆様が愛用されているのも納得です。
 あとは小遣いを貯めるだけ(笑)ではあるのですが、チョットだけひっかかるものもあります。本当に一生使うのかと。最近厳選した一生モノだけ持ちたいという欲望が強くなっていまして・・・じっくり考えて決めたいと思います。
 
(4)宮城様ミニコンサート
 
 実は宮城様と真空管の交換をしました。ブツブツコウカンです(笑)。そのお礼にとおっしゃって下さり、実現いたしました。ハレルヤ!!
 バッハをたくさん弾いてくださったのは大橋店主の日記にあるとおりです。でも実はそのあともう一曲弾いてくださいました。20世紀の無伴奏チェロ作品の金字塔、コダーイのソナタの第1楽章です。実は初めて聴いたのですが、いい曲ですねえ。さっそくCD買います!
 当たり前かもしれませんが、どんなにいいオーディオで聴くよりナマははるかに素晴らしいです。妻ともども感動で涙が出そうでした。本当です。宮城様、なんとお礼を申し上げたらよいか…心から感謝しております。
 その後も夜11時まで、音楽の奥深さ、真空管オーディオの素晴らしさ、キット屋製品と大橋店主の凄さを教えていただき、また語り合い、至福の時間を過ごしました。こんなに楽しかったのはいつ以来だったでしょうか。夢のように1日でした。
 
 

2010年6月12日(土) 根津様からの4年越しの宿題

 
 2005年の秋、私は幸運にもN響ヴァイオリニスト根津様のご自宅の音を聴かせていただく機会に恵まれました。それはそれは素晴らしい音で、あの時の1階のデボンの音は今もって私が聴いた中ではダントツに最高の音です。
 その半年後、今度は根津様が拙宅にお越しくださり、私の音を聴いていただく機会がありました。当時はまったくのオーディオ初心者で、今思い返すとよくもあの程度の音を臆面もなく聴いてもらう気になったものだと、赤面の至りです。そういうオーディオ若葉マークの私に根津様は、後日アドバイスを下さいました。その中で今に至るのでずっと心に留めているのが、「音をもっとクリアに」と「自分(根津様)と大橋店主の中間の音を狙ってみては」というふたつのアドバイスでした。この2つは、この4年間根津様という先生から私という生徒に出された宿題だと思い、ずっとその実現を心がけてきたつもりです。
 
 当時の私はmodel2にもSV722にもmullardを使い、パワーアンプは響きの多いプッシュプル(VP3000)を使い、300Bはプライム2でした。当然響きは過多になっていました。それでいてアンプの足はステン&真鍮のインシュレーターをはかせ、実に矛盾したことをしていました。またSPのセッティングもクリアさを求めるには程遠いやり方をしていました。
 
 ところで「根津様と大橋店主の中間の音」とはどんな意味なのでしょうか? 私は当時それが全くわかりませんでした。今は次のように考えています。
 
 根津様の(当時の)デボンの音 = 演奏家の音 = 根津様が演奏家として勉強のため、あるいはインスピレーションを得るために聴く音。そしてそれはこんなような言葉で表すのが適当と思っています。・・・近めの音、ひとつの音・ワンフレーズに込めた演奏家の工夫がよく聴き取れる音、直接音くっきり、脳みそを刺激する音、聴く集中力を要求する音、音楽の躍動感・生命力横溢、音の鮮度感、リアリズム、長く聴くと疲れる、見える低域、音像くっきり
 
 大橋様のご自宅の音 = 聴衆の音 = 楽しみとして音楽を聴くための音 = 遠めの音、オーケストラの多彩な響きをマスとしてとらえて聴く、豊富な残響、脳みそを弛緩させ疲れをとるための音、聴き流すことのできるリラックス感、レガート重視、長く聴いても耳が疲れない、響く低域、全体の雰囲気重視、天井桟敷
 
 半ば強引に分けるとこういうふうになると考えています。根津様は私が演奏の特徴やニュアンスを一生懸命聴きとろうとしているのをご存じで、「中間の音」と仰ったのだと思います。
 でも当時の私はまったく五里霧中でした。転機は2006年6月のコンサートで訪れました。室内オケの演奏会を3階の天井桟敷で聴いていた私は、木管の音型が全体のマスの響きにマスクされて聴き取れないのにストレスを感じました。響きをあまり付加せずに音をクリアにするということが、私の好みにあっているとこの時わかりました。
 またこのころ第九の練習を通じて、演奏家がたったひとつの音、ひとつのフレーズにいかに多彩なニュアンスを込めて演奏しなければならないかを理解するようになり、そうした細部を聴きとりたいとの思いが強くなっていた頃でもあります。
 
 その後mullardが響きを付加する方向の真空管と気付き、これを外しました。SPをうんと手前に引き出し後ろの壁との距離をかせぐと、低音は少なくなるものの響きはすっきりとして、それとともに個々の楽器の音がするようになることも学びました。
 SPをスペンドールからハーベスに替えたこと、オフ会のメンバー宅の音を色々聴かせていただいたことも、大きな意味がありました。そして昨年秋、SP台と床の間にコーリアンの敷物を敷いたこと、SP台とSPの間を真鍮&スタンで4点支持したことにより、「クリア」という点についてはほぼ満足の行くレベルになりました。「クリア」をクリアすると(笑)、そこには"聴衆の音"でありながら、"演奏家の音"的要素が加味されたような音が現れたように思います。
 
 この間自分の好きな音探しをしていたように思います。次第に自分の好きな音がわかってきた4年間でした。そして最後にこの春、チェリスト宮城様のアドバイスでmodel2の球をteslaに替えたところ、見事に楽器の音がするようになり、今に至っています。
 根津様とは、N響をご卒業になられて以来お目にかかっておりませんが、もしお会いする機会があれば、こう申し上げたいです。「アドバイスありがとうございました。4年越しの宿題がやっと解けました」と。
 

 

2010年6月19日(土) 今後の展望

 
 今、自宅の音がひとつのレベルに到達したという達成感があります。(笑) もちろんベテランのキット屋倶楽部の皆様に比べるべくもないことはわかっているのですが、色々な方の助けを借りて、やっとここまでたどり着いたという気持ちです。
 これからしばらくは、次なる音の目標探しを時間をかけてやりたいと感じています。あまり急いで歩き始めるよりも、次の登頂目標が自然と定まってくるのを待とうと思います。でも、自分の音を変えてみないと次が見えてこないのも事実。そこでこんなことを試してみようかなと考えています。スピーカー回りで4つ、真空管交換が2つです。
 
①スピーカーのスラント
 若干低音がかぶっているのかもしれません。フローリングの床の影響を少なくするために、SPを少し上向きにスラントしてみます。宮城様からのアドバイスです。
 これまで床の影響を少なくするための方法としては、大橋店主から「厚手のカーペットを敷く」と教えていただいていましたが、これに加えて、スラントを試してみようと思います。
 
②SP台の下の敷物をコーリアンから御影石+防振ゴムに
 御影石+防振ゴムの評判がいいですね。一度やってみようと思います。大橋店主によると「コーリアンは音を吸収し、御影石は音をはじくイメージ」とのこと。
 
③左SPの位置調整
 シンメトリーでない配置ですので、厳密には左右の音に少し差が出ているようです。定位も若干不安定です。左SPの側面(アップライトピアノの側面です)との距離、内振り角度の再調整をやってみます。
 
④suono
 さて購入すべきか否か。「ツライチを厳密に合わせる」という"儀式"がどうも気になるのです(笑)。めんどくさい。機器の電源を入れ、SPを引き出してきて、位置合わせ、角度合わせをしなければならないワタシとしては、これ以上"儀式"が増えるのはご免蒙りたいというのが偽らざるところ。オーディオ機器はシンプルイズベストで行きたいですし・・・当分悩むと思います。
 
⑤SV722の真空管(12AX7=ECC83)の交換
 球の交換で一番音が変わるのがパワーアンプ、次がDAC、最後がプリ、というのがワタシの推測。前二者はすでに交換して、これならというものが見つかった気がするので、最後に12AX7の交換にトライ。手元にはmullardECC83、お借りしているteslaE83CC、デフォルトのsovtek12AX7LPSの3種類があります。ドンピシャのものが、model2の時のように見つかるといいなあ。
 この12AX7=ECC83という種類の球にはいろんなメーカーのものがあるんですね。ヴィンテージ管だと、philips、siemens、brimer、telefunken・・・
 
⑥nas300B
 とても評判がいいですね。聴いたことがないので一度聴いてみたいです。でも今使っているPrime Tube ver.4も気に入っています。それにver.2も持ってます。300Bばかりたくさん集めるのもねえ・・さてどうしましょうか?
 
 

2010年6月24日(木) 12AX7(=ECC83)比較試聴のつもりが・・

 
 プリアンプSV722(マランツタイプ)の真空管12AC7をデフォルトのsovtek 12AX7LPSから、tesla軍用ECC83に替えてみました。プリ以外のDACとパワーアンプの球はすでに変えてあり、「これで決まり」というレベルまで来ているように思うので、残されたプリの球でも、これで決まり!と言える球を見つけたい、さらなる音の高みに到達したいとの思いからでした。
 
 結論から書きますと、teslaECC83はとてもいいです。これで決まり!にします。(笑) 音が濃くなり、輪郭も明瞭になり、実体感が増します。これまで音の美しさがやや表面的だったのですが、奥深さも出てきました。そして中域の張り出しも素晴らしいです。余韻・残響はやや多めになりますが、空間に音が広がりゆく様もよく表してくれます。
 Model2の球をteslaに替えた時ほどの変わりようではありませんが、それに準じる好ましい変化がありました。実はmullardのECC83も持っているので、比較試聴しようと考えていましたが、やめました。Teslaで決まりにします。このteslaECC83は、チェリスト宮城様からいただいたものです。ありがとうございます。その後予備球を自分で購入しました。
 
 こういうヴィンテージ球は、現行球には出せない音を持っていて素晴らしいということを如実に感じたこの3か月でした。一方私の装置ではmullardがどうもわざとらしい音になることも経験し、ヴィンテージならなんでもいいという訳ではなく、合う球をどう見つけるかが難しいものだということも感じました。
 
 死蔵することになったmullardのECC83と88をどうしたものか悩んでいます。こういうヴィンテージ球は古い弦楽器と同じで、いわば真空管オーディオファンの共有財産でもあるように思いますので、譲るなり売るなりして、上手に使っていただける方の手元に行くのがいいのかもしれません。
 でも将来PCオーディオになってしまった時のことを考えると、teslaよりmullardのほうが合うかもしれないなどと考えたりして、決断できずにいます。(決して値上がりを待っているわけではないのですけどね)
 
 ちょっと自信がないのですが、これ以上ヴィンテージ球漁りをするのをやめようかと思っています。ワタシはクラシックファンのはず。オーディオはあくまで音楽を聴くための手段と考えて、これまで真空管アンプと付き合ってきました。なのに、最近真空管ショップのホームページを定期的にチェックしている自分を発見して、これはマズイと感じています。(笑)  telefunken, RCA, mallard, tesla, Siemens, Philips, brimer, amperexなどという固有名詞 (だけでなく"つづり"まで) を覚えてしまっている自分が怖いです。(笑) 「gold pinならもっと音がいいかも」などと考えている状況は、実にマズイです。(苦笑)
 




 
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