モーツアルト     ベートーヴェン
 
 

2011年4月2日(土)  音楽之友社刊「新編名曲名盤300」に思う

 
 音楽之友社から「新編名曲名盤300 ベスト・ディスクはこれだ!」というムック本が発売されました。題名のとおり300曲に関して、各曲10人の評者がベスト盤を選出、それを集計したものです。数年ぶりの改定版です。
 有名な曲を網羅している点、数多くの評者からの選出により公平を期している(ように見える)点、CD番号など購入に便利なデータをきちんと記載している点などで、いくつかある日本のベスト・ディスク本の中では、最も信頼できるものと言ってよいかと思います。

 ただベスト盤にあげられた盤の多くは、1950から1970年代に発売されたアルバムで、以降時代が新しくなるにつれ、選ばれるディスクが少なくなるという傾向があるように思われます。例えば、ヴァイオリン協奏曲だと、ベートーヴェンがオイストラフ盤(1958年録音)、メンデルスゾーンがハイフェッツ盤(1959年)、ブラームスもハイフェッツ盤(1955年)となっています。

 こういう特徴が出る理由は、往年の巨匠の演奏にくらべ最近の演奏家の演奏が劣るから、というわけではなく、単に評者が最近の演奏を聴いていない、どんな新譜が出ているかを知らない、ということが最大の理由と思うのです。
 かつて国内盤がレコード会社から自動的に回ってきて、ライナーノートや批評を書くことになれた評論家たちは、自分で新しい演奏家のCDを買うことをしなくなったので、最近のように、海外盤は空前の活況を呈しているのに、国内盤はごくわずかしか発売されないといった状況下では、近年の演奏の傾向や演奏家など知らない、聴いていないという傾向が顕著なのです。
 上記の本では、わずかに矢澤孝樹、相場ひろ両氏のコメントに、新しいものを聴き逃すまいとする気迫が伝わってくるのが救いです。

 モノラル&アナログステレオ録音時代のディスクと現代の最新版を等しく俎上に乗せて、名盤を紹介する本となると、どうしても、かつてこの日記で紹介したような海外本になってしまいます。
 「本を買うのは面倒。もっと気軽に得られる情報はないの?」という向きには、次のふたつのラジオ番組のホームページはいかがでしょうか?
@イギリスBBC放送のクラシック&&ジャス専門ラジオ局RADIO3の番組「CD Review」の中のコーナー「Building a Library」のHP
もう20年近く続いている名物コーナー。毎週1曲を1人の批評家が、たくさんの同曲異演盤の中からベスト・オブ・ベストを選ぶというもの。過去の選出記録が一覧できます。
Aフランスのラジオ局france musiqueの日曜の番組「La tribune des critiques de disques 」のHP
毎週1曲をとりあげ、数名の批評家の話し合いでベスト盤2〜3種を選び出す趣向の番組。2008年から始まっています。元になる6〜8枚の候補ディスクも紹介されているので重宝します。

ちなみにブラームスのヴァイオリン協奏曲でベストにあげられているのは、BBCでは2000年録音のシャハム盤(これは私も持っています)。France musiqueの方は2008年録音のレーピン盤。ずいぶん違うものですね。

 

2011年4月9日(土)  THE 20 GREATEST CONDUCTORS OF ALL TIME

 
 イギリスのBBC MUSIC MAGAZINE誌に載った「ピアニスト100人が選んだ名ピアニスト」を、昨年8月のこの日記でご紹介しましたが、覚えておいでですか? ワタシ自身納得感のある選出結果でしたので、CD購入や演奏会のチケット購入に役立てています。
 おそらく続編の企画がそのうち載るだろうと思っていたところ、同誌の4月号に出ました!! 今度は指揮者編! 指揮者(選者)100人がおのおの名指揮者と思う人を3人ずつ挙げています。題して THE 20 GREATEST CONDUCTORS OF ALL TIME 。結果を書く前に、主だった選者(指揮者)を書いておきます。アルファベット順。マリン・オールソップ、アシュケナージ、ビシュコフ、シャイー、ダウスゴー、コリン・デイヴィス、ドゥダメル、デュトワ、イヴァン・フィッシャー、ダニエレ・ガッティ、ゲルギエフ、ヤンソンス、ヤルヴィ(父&2息子)、ユロフスキ、クライツベルク、リットン、マリナー、マズア、メータ、ネルソンズ、ネゼ=セガン、ノット、尾高忠明さん、パッパーノ、ペトレンコ、ロジェストヴェンスキー、ラニクルズ、セーゲルスタム、シュテンツ、カミルカーノフ、M.T.トーマス、ヴァンスカ、ジンマン・・・凄い顔ぶれです。もちろん古楽器系の指揮者も投票しています。例えばアレッサンドリーニ、クリスティ、ガーディナー、アーノンクール、ヘレヴェッヘ、マンゼ、鈴木雅明さん、ミンコフスキ、ノリントン・・・

 それでは20位から1位まで順に発表します。
20位   サー・チャールズ・マッケラス(1925〜2010)
19位   サー・トーマス・ビーチャム(1879〜1961)
18位   サー・コリン・デイヴィス(1927〜)
17位   エフゲニー・ムラヴィンスキー(1903〜1988)
16位   ピエール・モントゥー(1875〜1964)
15位   ベルナルト・ハイティンク(1929〜)
14位   ジョージ・セル(1897〜1970)
13位   フェレンツ・フリッチャイ(1914〜1963)
12位   サー・ジョン・バルビローリ(1899〜1970)
11位   サー・ジョン・エリオット・ガーディナー(1943〜)
10位   カルロ・マリア・ジュリーニ(1914〜2005)
9位   ピエール・ブーレーズ(1925〜)
8位   アルトゥール・トスカニーニ(1867〜1957)
7位   ウィルヘルム・フルトヴェングラー(1896〜1954)
6位   サー・サイモン・ラトル(1955〜)
5位   ニコラウス・アーノンクール(1929〜)
4位   ベルベルト・フォン・カラヤン(1908〜1989)
3位   クラウディオ・アバド(1933〜)
2位   レナード・バーンスタイン(1918〜1990)
1位   カルロス・クライバー(1930〜2004)

 いかがですか? お好きな指揮者はベスト20に入っていましたか? 「フルヴェンよりアバドが上とはけしからん」などと本気で怒らないでくださいね(笑)。ナマとディスクじゃ感動の質も量も違いますから・・・
 20位のマッケラスには3票入っていました。同じく3票入っていた指揮者(物故者のみ。以下同じ)には、ドラティ、ミトロプーロス、ミュンシュ、クレンペラー、ベームがいました。
 また2票入っていたのは、ストコフスキー、テンシュテット、ムーシン、ボールト、マデルナ、クーベリック、ケンペ、シェルヘン、チェリビダッケ、ワルター、サーバダでした。
 1票入っていたのは、セラフィン、C・クラウス、ラインスドルフ、ブリテン、アンセルメ、グッドール、E・クライバー、クナーパッツブッシュ、P・バレー、コンドラシン、クリップス、シューリヒト、カイルベルト、マタチッチ、ライトナー、ショルティ、アンチェル、クーセヴィツキー、K・リヒター、メンゲルベルク、ヴァント、スヴェトラーノフ。

 来週は現役の指揮者に焦点を絞ってご紹介を続けます。

 

2011年4月16日(土) 現役の名指揮者たち

 
今週は現役の指揮者に的を絞っての話題です。上述のBBC誌の投票では、現役の指揮者ではこんな風になりました。
・クラウディオ・アバド 16票
・ニコラウス・アーノンクール 12票
・サー・サイモン・ラトル 12票
・サー・エリオット・ガーディナー 8票
・ピエール・ブーレーズ 7票
以上がベスト5。古楽系が2人入っているというのが、いかにも"今"を表しているように思います。続いては
・ベルナルト・ハイティンク 4票
・マリス・ヤンソンス 3票
・パーヴォ・ベルグルンド 3票
・小澤征爾さん 3票
・サー・コリン・デイヴィス 3票
・サー・ロジャー・ノリントン 3票
・ロリン・マゼール 2票
・ネーメ・ヤルヴィ 2票 (ただし投票したのはパーヴォとクリスチャンの息子2人)
・ジェームズ・レヴァイン 2票
以下1票入った指揮者は次のとおりでした。
スクロヴァチェフスキ、ヴァンスカ、バレンボイム、マズア、ムーティ、ビエロフラーヴェク、ロジェストヴェンスキー、ゲルギエフ、マータ、サロネン、ドゥダメル、プレヴィン、ジンマン、ブリュッヘン。東京のオーケストラを指揮しに来てくれている人も何人もいますよね。一度そういった人のナマを聴きに行ってみるのもいかがかと思います。

 

2011年4月25日(月) さよならオートグラフの会

 
 昨日(4月24日)は、キット屋さん第二試聴室に8名のメンバーが集まり、「さよならオートグラフの会」が開催されました。そこでの出来事は大橋さんの日記に詳しく出ていますので、私は特に印象深かったことをふたつ記したいと思います。

 まず第一に印象深かったのは、大橋さんのオートグラフの音の大変化。これまで3〜4回聴かせていただいておりましたが、いずれの時もたっぷりとした中低域が特徴で、音楽を聴くというよりは音に浸る、という趣きの音だったという記憶があるのですが、昨日の音は全帯域で実に明晰で、演奏の特徴をクリアに聴かせてくれる音になっていました。オートグラフからはこういう音も出るのだと初めて知りました。素晴らしい音を聴かせてもらえて、とても感激でした。
 大橋さんにしてみると「デラ工房1/1ならこれ以上の音が出せる、出してみせる」ということで、譲渡を決められたと推測いたします。1/1で調整した音を聴かせていただく日が来るのをじっくりとお待ちしたいと思います。

 続いて忘れられなかったのがTL3N/SV-192S/MC-3完全同期の音!! 特にデカチョーさんが持ってこられたエリー・アメリンクの歌の再生音は、同日の白眉だったと思います。同じ音源のLPとの比較でしたが、完全同期のCDの音のほうが、私にとってははるかに素晴らしかった! オーディオ的に良いだけでなく、ナマのアメリンクをここまで彷彿とさせてくれる再生ができたことにびっくり。彼女のドイツ語の発音の良いところも悪いところも白日の下に明らかになっていました。あのリアル感はたまりませんね。
 他にも色々な盤でアナログとの比較をしたり、TL51Xとの比較をしたりしましたが、個人的にはあのアメリンクの声を聴いただけで、もうTL3Nポチるしかないと決めました。まだMC-3の月賦が残っているので、それが終わり次第ポチります(笑)。(写真はちょっとボケ気味ですがその会のひとコマです。)

 「さよならオートグラフの会」が終わった後は、日野市のF原さん(ブログ名ではscore1204さん)と、デラ工房1/1をお持ちのというより1/1に合わせてご自宅を新築された四日市のK藤さんにおふたりに我が家までお越しいただき、Harbethの音を聴いていただきました。「大橋さんのオートグラフやK藤さんの1/1と比べられると分が悪すぎるなあ」と内心思っていたのですが、さすがベテランのオーディオの使い手かつ音楽愛好家のおふたり、私のレベルに合った解説や"ドメスティックオーディオ"向きのアドバイスをたくさんいただき、本当にありがたく思っております。
 わざわざ遠方から拙宅までお越しいただきありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 とにかく収穫いっぱいのこの上なく楽しい1日でした。皆様どうもありがとうございました!!






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