モーツアルト     ベートーヴェン
 
 

2011年6月4日(土)  遠藤真理チェロ・リサイタル

 
 5月28日(土)のお昼、季節はずれの台風が近づく荒れた天気の中、名古屋・伏見の電気文化会館へ行きました。日本期待の若手チェリスト遠藤真理さんのリサイタルを聴くためでした。
 当日の曲目は次のとおり。
●ソッリマ アローン
●カサド 無伴奏チェロ組曲
●藤倉 大 エターナル・エスケープ
●リゲティ 無伴奏チェロ・ソナタ
●黛 敏郎 無伴奏チェロのための「文楽」
    〜〜〜〜 休憩 〜〜〜〜
●ウェーベルン チェロとピアノのための2つの小品
●R・シュトラウス チェロ・ソナタヘ長調op6
前半の5曲はいずれも無伴奏の作品で、非常に意欲的なプログラムでした。この前半5曲はカサド作品を除いて初めて聴くものでしたが、いずれもいいですね。とても気に入りました。特にリケディと黛敏郎にぞっこん。リゲティのほのかにメロディのある思索に満ち満ちた響きは「ぜひもう一度聴きたい」と思わせてくれましたし、黛作品は、まさに日本人の手による日本人演奏家のための良品、と感じました。私がチェロ好きということも関係しているのかもしれませんが(笑)。
 休憩時間に上記作品のCDが売っていないか、ロビーに見に行ってみたのですが、残念ながら遠藤さんのCDではありませんでした。ぜひ今度録音してくださいな! とりあえず他の演奏家のCDを探してみようと思っているところです。
 後半は、遠藤さんに劣らぬ才色兼備のピアニスト三浦友理枝さんの伴奏が加わっての2曲。ウェーベルン最初期のとてもロマンティックな作品が新鮮な発見でした。そしてアンコールはラフマニノフのヴォカリース。
 今年後半もこれはというチェリストのリサイタルを見逃さないようにしたいと思っています!

 

2011年6月11日(土) 無伴奏ヴァイオリン&チェロ名曲選

 
 ヴァイオリンとチェロの無伴奏の名曲と言えば、バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータBWV1001〜1006」と「無伴奏チェロ組曲BWV1007〜1012」がずば抜けて有名ですね。クラシック・ファンでなくてもCDをお持ちの方もみえるでしょうし、オーディオ・チェックにこれらの曲をお使いの方も多いと思います。
 今日はこれらの曲以外の無伴奏ヴァイオリンとチェロの名曲をご紹介したいと思います。

 この無伴奏という形態、ヴァイオリンの方はバロック時代には類似作がいくつかあるようです。まず第一に推薦したいのが、バッハ(1685〜1750)と同時代のドイツの作曲家・テレマン(1681〜1767)が作曲した「無伴奏ヴァイオリンのための12のファンダジア(幻想曲)」。バッハよりも平明で気軽に聴けると思います。特に後半6曲が楽しいです。日本が世界に誇るバロック・ヴァイオリン奏者、寺神戸亮さんのハイブリッドSACD新譜でお聴きになってみてはいかが?
もうひとつ、これもドイツの作曲家ビーバー(1644〜1704)作の「ロザリオのソナタ」の第16曲(終曲)「パッサカリア」も有名です。名盤の誉れ高いマンゼ盤がいいと思います。

 時代が下って19世紀の作品では、パガニーニの「24のカプリース」。一流ヴァイオリニストの多くが録音しています。古くはリッチ、アッカルド、パールマンなど。私が特に気に入っているのは、エーネスの新盤。現代ヴァイオリン演奏のひとつの到達点と思います。
 続いて20世紀の作品からはイザイの無伴奏ヴァイオリンソナタ集。昔は秘曲扱いでしたが、ヴァイオリニストの技量の向上、全6曲でちょうどCD1枚分の長さ、という点などから近年録音が増えています。私の愛聴盤はツェートマイアー盤。ECMレーベル独特の録音は好き嫌いが分かれますが私は好きです。

 一方チェロは、カザルス(1876〜1973)の出現によってチェロという楽器の持つ表現力の多様性が初めて認識されたわけですから、無伴奏チェロの優れた作品というのも、当然20世紀以降に作られています。
 まずはコダーイの無伴奏チェロ・ソナタ(1915)と、カサドの無伴奏チェロ組曲(1926)の2曲を挙げたいと思います。前者はハンガリー風、後者はスペイン情緒満載でとても親しみやすい曲です。これら2曲が1枚に入っているCDの中では、フランスの女流チェリスト、ベルトランが最近だした新譜が、録音演奏ともに素晴らしい出来なのですが、日本での発売がまだのようなので、ここでは既発売のワシリエワ盤を挙げておきます。
 さて20世紀前半最大のチェリストがカザルスだったとすれば、後半最大のチェリストはロストロポーヴィチですね。そのロストロの演奏と友情に触発して書かれたのが、ブリテンの無伴奏チェロ組曲(全3曲)」(1964,67,71)です。実は残念なことにロストロは全曲録音を残していないのですね。しかし最近はこの組曲もちょうどCD1枚分の長さに収まるので、全曲録音が増えています。競合盤多数。21世紀の名曲といってよいかと思います。私の愛聴盤はウィスペルウェイの2度めの録音です。

以上バッハの両作品に続いてもう1〜2枚CDを持ちたいなというなら、こんなセレクトはいかがでしょうかという、第九のIからのサジェスチョンでした。

 

2011年6月18日(土)  どこでCDを買いますか?

 
 東京の渋谷、池袋、秋葉原のような副都心にあるCDショップの閉店や営業縮小の話を最近よく聞きますね。昨年の渋谷HMVの閉店のニュースは大きくとりあげられましたし、ことクラシック音楽のCDに話を限ると、秋葉原の石丸電器や池袋のタワーレコードなどは、クラシックCD売り場が大幅縮小され昔日の面影なし、ということなのだそうです。
 東京の中心部ですらそうなのですから、地方の状況は推して知るべしなのでしょう。私の住む人口三十数万人の地方都市でも、ひとつだけあるタワーレコードのリアルショップでは、年々クラシックCD売り場が縮小されていて、ここで買わなくなって数年になります。

 キット屋倶楽部の皆様はどこでCDをお買いなのでしょうか? アマゾンかタワーかHMVのサイトでインターネット注文ということでしょうか? 私はイギリスのクラシックCD専門の通販ショップ「MDT」で買うのを常としてきました。大震災後「せめてCDぐらいは国内で買おう。国内でお金を回そう」と思い、初めてHMVジャパンのサイトで10種類ほどのCDを注文してみました。ここ数年のうちに発売になったCD10種を注文して、入手できたのは6種のみ。残り4種は画面表示では数日のうちに発送するという表示が出たにもかかわらず、その期日が過ぎると「入手困難」の連絡が・・・なぜ最初から入手困難=品切れOR廃盤という表示をしてくれないのでしょうか? 最初から入手できないとわかれば同曲異演盤を注文するのに。
 納期はMDTとほぼ同じでした。国内ならもう少し早いかと思いましたが・・・

 続いて価格。イギリスのMDTの場合、フルプライス盤はVAT(付加価値税)を除き、1枚1ポンドの送料を加味して概ね10ポンド=1400円程度。基本的に常時この価格です。一方HMVジャパンの場合、1枚のフルプライス盤は2000〜3000円の場合が多いようです。「マルチバイ」や「ポイント*倍」の期間だと双方の実質価格差は縮まるのですが、それでもMDTを下回ることはまれでした。HMVが安いのはバーゲン品のようです。
 私のように新譜を主に買う場合、この価格差は大きく、今後どちらで買うか、正直悩んでいます。

 話を元に戻しますと、リアルCDショップのクラシックCD売り場は、遅かれ早かれ日本からなくなり、インターネット通販のみになるのではと予想しています。本の場合ですと、目次をみたり斜め読みしたりしながら買いたいお客さんもいるので、リアルショップがなくなることはないように思うのですが、CDの場合は中身が見られるわけでも聴けるわけでもないですし、ポピュラー音楽に比べて売り場単位面積あたりの売り上げが少ないクラシックにスペースを取りたくないというお店の論理もあることでしょう。
 願わくば日本語で情報提供してくれる国内資本のインターネットCDショップが、価格・納期・サービスの点で海外ショップに負けないことを望んでいます。
 なお、クラシックCDが全面的にダウンロードに置き換わるという事態は、今のところ想像しにくいと思っています。

 

2011年6月27日(月) 三重県K藤様宅のデラ工房1/1の尊顔を拝すの巻

 
 昨日、6041のSさん、タケさん、デカチョーさんとともに、三重県のK藤様宅にお邪魔して、デラ工房1/1を中心に、K藤様宅のオーディオを堪能してまいりました!

 K藤様宅の装置一覧やデラ工房1/1については大橋店主の日記に何度も載っているので、皆様すでにご存知のことでしょう。デラ工房1/1がいかなる音を奏でるのか、本家オートグラフとどう違い、どう似ているのか、加えて2F吹き抜けというリスニングルームの構造がどの程度音によい効果をもたらすのか、興味津々でうかがった次第です。
 結論から申しますと、K藤様宅のデラ工房1/1は、明晰ですっきりした音、トランジェンドの良い明るめの音、抜けの良い音、というのが基本的性格なのかなと感じました。聴く前は「オートグラフなのだから、湿度感のある内向きのしっとりした音」を想像していたので、最初やや戸惑ったのですが、K藤様から「大橋店主だけでなくウィンズの村瀬さんも入って目指す音の方向性をすり合わせて行った」とうかがい納得。それに、たくさんのLP&CDで一番多いのがJAZZとわかりさらに納得。
 もちろんクラシックもお聴きになります。上記の明るくスパンと出てくる音を基調としながらも、ひろがり感や雰囲気感はさがオートグラフ、よく出ていました。「多分吹き抜けが凄く効いている」というのが他の皆さんの見立てでした。実に上品にモーツアルトの室内楽を奏でていました。フル・オーケストラをマッスで聴かせる迫力のサウンドというより、器楽や室内楽をご自身の美意識に合うように、見事に調整して鳴らしておられました。私が想像するに、きっとお仕事の疲れを癒すのに好適な音に仕上げておられるのだと思いました。マルチでありながらそれを全く意識させない自然なバランスは本当に素晴らしい!

 こういう風にご自身の好みの音をしっかり持っておられるベテランの方の再生音を聴かせていただくと、自分の音の好みや傾向を客観的に振り返ることができて、とても参考になるものだと思いました。私の場合「楽器の音色のリアリズムへのこだわり」が強いのだと改めて意識しました。対してK藤様は、独自の意識でカラリと乾いた音ながら上品で雰囲気感のよく出たクラシック再生を目指してみえるのでしょう。一口にオーディオの音、よい音といっても、実に千差万別なのだと感じた次第です。

 続いて聴かせていただいたのは、アルテック604Eの平面バッフルスピーカー。こちらもデラ工房特注品とか。もちろんJAZZを聴きました。オリジナル盤も含めて何枚か聴かせていただきましたが、これはもう"ごきげんなサウンド"。上下はそれほど伸ばさず、中域中心の近めな音なのですが、どのディスクの音も本当にJAZZのよさ、素晴らしさを感じさせてくれる音で、ふだんはJAZZを聴かない私も、この再生音ならずっとJAZZを聴いていたいなあと思いました。こちらは「音楽に乗って楽しむ」ためのスピーカー。1/1との使い分けはお見事デス。ベテランの凄技!

 大橋店主日記に紹介されていないアイテムで、我々4人のドギモを抜いたのが、砂利200kgを詰め込み、家の基礎コンクリートと一体化して(たぶん)、ハウリングマージン無限大にしたアナログプレーヤー。写真を撮らせていただいたのですが、デジカメのバッテリーチャージャーがどこかに行ってしまい、ここに載せられないのがなんとも残念! オーディオマニアたるもの、こういうことを考える人は多いと思うのですが、実現してしまうのは凄いデスね。頭が下がりマス。

 K藤様と私は同年。お互い学生時代好きだったイエスやキングクリムゾンといったプログレのLPの懐かしいジャケットを見せていただいたりして、時のたつのを忘れて楽しい時間を過ごしました。本当にありがとうございました。
 あの部屋はオーディオと音楽とK藤様ご夫妻が主役のとても素敵な空間ですね。脇役のハイセンスな調度品もとても部屋によくマッチしていると思いました。
 今度はぜひ、音楽がお好きな奥様ともども我が家に遊びに来てくださいませ。お待ちしています!






 
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