モーツアルト     ベートーヴェン
 
 

2011年10月1日(土) 20世紀の名ヴァイオリン協奏曲を現役ヴァイオリニストの名演で聴く

 
 先月は19世紀に作曲されたヴァイオリン協奏曲をアナログ時代の名ヴァイオリニストのディスクで揃えるというのを書きました。今月はその続編です。20世紀前半に作られた傑作ヴァイオリン協奏曲を現役バリバリのヴァイオリニストのCDで集めてみようというわけです。
 私の独断で17曲を選び出しました。そして海外で出版されているベストCDガイドブック数種に載っているディスクや海外の様々な賞を受賞したディスクを挙げるとこんな風になります。
・グラズノフ(1904) ヴェンゲーロフシャハムグルズマンフィッシャー★、ズナイダー
・シベリウス(1905) ハチャトリアンサラ・チャンバティアシヴィリハーン
・エルガー(1910) ケネディシャハムエーネス
・シマノフスキ1番(1916) ツェートマイアーカラーツィマーマン◆、シュタインバッハー
・プロコフィエフ1番(1917) フィッシャー★、ヴェンゲーロフ
・ストラヴィンスキー(1931) ムターハーン
・シマノフスキ2番(1933)  ツェートマイアーカラーツィマーマン
・ベルク(1935) ホープムターツェートマイアー
・プロコフィエフ2番(1935) ヴェンゲーロフズナイダー
・シェーンベルク(1936) ハーン
・バルトーク2番(1938) シャハムムターエーネスケレメン
・ブリテン(1939) ホープヴェンゲーロフヤンセンツィマーマン
・ウォルトン(1939) エーネス●、ケネディ
・バーバー(1940) エーネス●、ハーンシャハム
・ハチャトゥリャン(1940) フィッシャー★、ハチャトリアン
・コルンゴルド(1945) シャハムエーネス●、ムターズナイダー 
・ショスタコーヴィチ1番(1948) ヴェンゲーロフハチャトリアンホープバティアシヴィリ

 今回申し上げたいことはふたつ。ひとつは20世紀の音楽だからといって尻込みせず積極的にお聴きいただきたいということ。上記17曲の中で音楽語法に慣れが必要なのはシェーンベルクとバルトークの2つ。また例外的に深い内容が音楽に込められているのはベルクとショスタコーヴィチ、ついでブリテンの3曲。(だからこそ聴き甲斐があるとも言えるのですが) でもこれらを除けば親しみやすい曲が多いのです。そもそも協奏曲というジャンルはソリストの妙技を楽しむための音楽なんですから。
 具体的にはシベリウスとグラズノフはロマン派そのものですし、エルガー、バーバー、コルンゴルドもロマンティック、ハチャトゥリャンは民族色豊か、シマノフスキの2曲はオーケストレーションが極彩色。プロコフィエフの乾いた抒情とシニカルさも面白いです。
 ふたつめに申し上げたいのは、これらの曲は19世紀の名ヴァイオリン協奏曲に劣らない名曲揃いであるということ。クラシックの曲は作曲されてすぐ名曲と認知されることは稀なんです。誕生後何十年もかけて何度も演奏され録音されていくうちに、世界中の人々の耳によって次第に淘汰され、残ったものがだんだん名曲と呼ばれるようになるんですね。今回ご紹介の曲は今まさに名曲になりつつあるのです。

 まず手始めに何枚か買ってみようという方には、★、●、◆マークのついた3枚をお勧めします。どれも1枚のCDに3曲入っているので3枚で9曲聴けてお得ですし、比較的親しみやすい曲が中心です。そして録音もいい。
 どうぞ自分だけのお気に入りヴァイオリン協奏曲を見つけてください!  

 

2011年10月8日(土)  最近購入した新譜から

 
 最近めっきり涼しくなって、いよいよ音楽の秋本番ですね。 恒例の「真空管オーディオフェア」も今週末ですし・・・さて、今回は新譜4枚のご紹介です。

◆曲目 : モーツァルト ホルン協奏曲第1番〜第4番(全曲)
◆演奏 : アレグリーニ(Hrn) アバド指揮オーケストラ・モーツァルト(2005〜7年録音)
◆CD : DG4778083=輸入盤 ユニバーサルUCCG1544=国内盤
モーツァルトのホルン協奏曲の名盤といえば、未だにモノラルのデニス・ブレイン盤がまず第一にあがりますよね。1980年代、デジタル録音になって何枚かの新録音が出たものの、その後20年以上名盤に恵まれないこの協奏曲に久々の新譜登場! ローマ聖チェチーリア管の首席で、かつスーパー臨時編成オケとして名高いルツェルン祝祭管の首席も務めるアレグリーニは、実に達者な演奏で聴く人を魅了します。同曲の待望の新録音と言ってよいかと思います。やや遠めから音場と空気感豊かに捉えるという最近のオケ録音の傾向に反し、オケもソロも極く近いマイクで直接音中心にとらえた録音は珍しいです。お試しあれ。

◆曲目 : ハイドン 弦楽四重奏曲作品64全曲(第63〜68番)
◆演奏 : アウリン弦楽四重奏団(2009年録音)
◆CD : Tacet TACET189=輸入盤 
最近の弦楽四重奏団は1000人入る大きな演奏会場を前提とした"遠くまで飛ばす強い音"で弾いているのが録音からもわかることが多いのですが、ドイツのこのベテラン団体は、100〜150人の聴衆を相手に、文字通りの"室内楽"をムジツィーレンしている感じが伝わってきて好感を持ちました。私は気持ちの均衡・バランスが崩れているなと感じた時、ハイドンをよく聴きます。均整の取れたハイドンの音楽はまさに私の精神安定剤なのです。TACETレーベルは元クラシックの音楽家が理想の録音を目指して興した独立系レーベル。当盤も直接音と間接音のバランスに優れた好録音と感じました。弦楽四重奏の良い録音ってなかなかないんですよね。

◆曲目 : フォーレ 室内楽全集(5枚組)
◆演奏 : R・キャプソン(Vn)、G・コセ(Va)、G・キャプソン(Vc)、N・アンゲリッチ(p)、M・デルベルト(p)、エベーヌSQ(2008〜10年録音)
◆CD : Virgin Classics 5099907087523=輸入盤
ベルリオーズ、サン・サーンス、ドビュッシー、ラヴェルなどフランスの作曲家はあまたあれど、最もフランスらしい作曲家と言えば・・・フォーレではないか、というのがワタシの独断。そしてそのフォーレの作品群のうちとりわけ傑作揃いなのが室内楽の分野、というのもワタシの独断? 各2曲あるヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタ、ピアノ四重奏曲、ピアノ五重奏曲などを、現在のフランスを代表する演奏家達が録れたこの全集、40年前に録音され未だファンの多いERATOとEMIの2つの全集に取って代わり、今後代表盤になること間違いなしと思われます。加えて期間限定とはいえ5枚組1684円とはまさに価格破壊的&超良心的価格!! 室内楽ファン、フランス音楽ファンはお見逃しなく。

◆曲目 : シベリウス 劇音楽「テンペスト」、交響詩「タピオラ」ほか
◆演奏 : オッコ・カム指揮ラハティ響(2010年録音)
◆CD : BIS SACD1945=輸入盤
スウェーデンのレーベルBISと言えば、1980年代はネーメ・ヤルヴィ指揮エーテボリ響の、1990年代はヴァンスカ指揮ラハティ響のシベリウス交響曲&管弦楽曲集を通して、ファンに愛されてきました。そのBISが2010年代に入り満を持して3度めのシベリウス集録音に選んだのがオッコ・カム指揮ラハティ響です。このディスクはその第一弾。大好きなヴァンスカ盤は小編成オケを生かした引き締まったテンポでの切り込み鋭く若々しい演奏で、新しいシベリウス像を打ちたて、世界中から賞賛を得ましたが、今回のカム盤は同じオケでありながら、腰の据わったテンポでのよく歌うロマンティックな傾向が見えます。2弾、3弾を心待ちにしているところです。ただし残念ながら録音が・・・

 最近みとこ先生が日記で紹介されているクラシックの新譜は見逃せないものばかりですね。チョイスが以前に比べて一段と冴えているといいますか・・・先を越される場合が多いです。こっちもがんばらなくっちゃ(笑)。

 

2011年10月22日(土)  第二試聴室のオートグラフを聴いて

 
 過日の真空管オーディオフェアは例年以上の大盛況だったようですね。お出かけになったキット屋倶楽部の皆様も多かったのではと拝察いたします。またkennoy-miniさん、score1204さん、soundbox1960夫妻、dodonkoさん、みとこ先生によるキット屋倶楽部"東京サミット"の様子も楽しませていただきました。
 それらの興奮も冷め遣らぬ10/14(金)の夜、第二試聴室(大橋さんのご自宅)にいつものメンバーが集まりました。6041のSさん、タケさん、ダカチョーさん、I瀬さん、I原さんとワタシの6人です。7月の安城でのNHK響の演奏会以来の再会でした。大橋さんのオートグラフのお嫁入りの時期が延びたので、もう一度のご対面がかないました。
 大橋さんから真空管オーディオフェアの苦労話を伺ったり、6041のSさんが持って来られたJAZZやCLASSICの10インチLPを聴いたり、I瀬さん(オートグラフの持ち主)やI原さん(GRFメモリーがメインSP)のお二人が、この夏はコンパクトSPを聴いていた! という話を伺ったり、タケさんのお気に入りCDをみんなで聴いたりして楽しく過ごしました。

 私も最近よく聴いているCDを3枚持って伺いました。3枚ともかけていただいたのですが・・・うちでの再生音とのあまりの違いにびっくり!!! 何が違うかと言うと、それは「響きの付加量」なのです。オートグラフは特に中域から低域にかけて、響きがたっぷりと付加されています。アンプでの付加量とSPでの付加量の割合は不肖私にはよくわからないのですが、我が家での出音との違いにびっくりしたというのが正直なところ。
 我が家の再生音は、数年前キット屋さんで一揃い購入したての頃は、たっぷりした響きの再生音でしたが、その後いろいろな方の再生音を聴かせていただいたり、演奏会を重ねたりしながら、少しずつ響きの付加を少なくしたいと思うようになっています。昨年末から今年にかけて購入したSV-192SやTL3N+MC-3はいずれも、model2やTL-51Xより響きの付加が少ない点が私好みです。
 またプリのSV722(マッキンタイプ、ジェンセンコンデンサに変更済み)をはずして、SV-192Sの可変VOLからVP3000に直結すると、さらに付加量が少なくなり、出音が軽くなり、鮮度の高い音が聞こえるので、この半年ほどはこのやり方で楽しんでいます。
 なぜ響きの付加を少なくしたいのか? そのほうが楽器の持つ固有の音をストレートにナマナマしく、リアルに再生してくれるから、というのが私の意見です。弦楽器にしても管楽器にしてもピアノにしても声楽にしても、アンプなりSPなりで響きを付加すると、聞きやすく、安らげ、くつろげる音にはなるのですが、"真空管色"に染められてしまい、楽器の本当の音色がマスクされてしまうと感じています。逆に響きの付加を少なくしていくと、楽器固有の音色が現れ、演奏の微妙なニュアンスも聴き取れるようになり、録音場所の音響特性や、録音のよしあしもよくわかるようになります。こういう意見を持つのは、ワタシが最新録音ばかり聴いているからかもしれませんが・・・

 いずれにしろ、自分では「響きを付加してくつろげる音」と、「楽器固有の音が聞こえる音」の中間やや後者より、を目指していると思い込んでいました。しかし大橋さんのオートグラフを聴いて、ひょっとすると自分は極端に後者寄りの音を求めているのかな、という思いが頭をよぎりました。求めている音がちょっと極端すぎるのかなあ? あまり響きを削ぐと真空管アンプ、ppアンプのよさを殺すことになるのでしょうか?
 11月は演奏会に何度か行くのでナマの音と比較してみたいと思っているところです。それと根津様の「オーディオの小道」とkennoy-mini様のブログをじっくり読み返してヒントをいただこうとも思っています。またひさしぶりに刈谷の(第一)試聴室の音も聴いてみたい・・。

 

2011年10月26日(水) 響きの削り過ぎ?

 
 前回書いたマイ・オーディオの音の迷いの続きです。
 大橋さんのご自宅のオートグラフの"中低域の響きの付加の多い音"にとまどい、自分の音はその正反対、つまり響きのそぎ落とし過ぎなのかな、と迷いが生じたのでした。
 この1週間自宅のオーディオで様々な編成のクラシック音楽をもう一度虚心に聴いてみました。結論的に言いますと、弦楽器、特にヴァイオリンのときに、響きをそぎ落とし過ぎと感じる場合がありました。弦楽四重奏のときに感じるケースがほとんどでした。一方弦楽器以外は概ねOK。トータルとしては、少しだけ響きを復活してみるのがいいのかなと結論づけました。

 話は前後するのですが、実は2年前にも「響き削り過ぎ症候群」に罹ったことがありまして(苦笑)、その時は6041のSさんに「こんな音がほしいのなら、真空管アンプなんかやめちまえ!」と一喝されて目が覚めました。
 なぜ響きを削ろうとするのか? そのほうが楽器固有の音がするから、演奏の細かなニュアンスがきちんと聞こえるから、なのです。ただし過ぎたるは及ばざるがごとし。削り過ぎてはいけませんね。

 さて話を元に戻しますが、どうやって少しだけ響きを復活させればいいのか? このあたりが真空管オーディオ若葉マークの悲しさ、なかなか具体案が出てこなかったのですが、VP3000の300Bをプライムのver.4からver.2に戻してみました・・・音のエッジが多少丸くなり、球面的張り出しと密度感が多少穏やかになり、聴きやすくはなりました。しかし響きが付加されるわけではなかったです。当たらずとも遠からず的効果に留まりました。「さて次の一手をどうするべきか」と、会社のつまらない大切な(笑)会議の時に、考えるともなく考えていた時、「!」とひらめいたものがありました! これはいい案かも! と思えるアイデアが浮かびました。うまくいったら次回の日記で種明かしいたします。

 そんなこんなの10月25日(火)の夜、名古屋の愛知県芸術劇場コンサートホールに演奏会を聴きに出かけました。内田光子さんとハーゲン弦楽四重奏団による、シューマンとブラームスのピアノ五重奏曲2曲という名曲プログラムでした。
 演奏を味わいつつ、特に弦楽器の音を自宅のオーディオの音と比べながら聴きました。席は前から7列め。会場の豊かな残響を割り引いても「やっぱり少し響きを足したほうがいいな」というのが当夜の結論。

 思いついたアイデアを試してみる週末が待ち遠しいです。






 
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