モーツアルト     ベートーヴェン
 
 

2012年5月6日(日) GWをこんなふうに過ごしました

 
 キット屋倶楽部の皆様、ゴールデンウィークはいかがお過ごしだったでしょうか? 私はキット屋さんと同じ4/28(土)から5/6(日)までの9連休をこんなふうに過ごしました。

(1) 運動 9日間の休みのうち5日間は、近所の標高300mほどの低山の林道を1時間ほど歩いていました。新緑が目にまぶしく爽快な気分でした。残り3日間はアスレチック・ジム通い。
(2) オペラ NHK-BSとWOWOWで録り溜めたオペラのブルーレイ・ディスクを「このGWに集中して観ます」とキット屋倶楽部のオペラ大家「千葉のF高」様に申し上げていたのですが、結果的に1枚も観ることができませんでした。トホホ(泣)。
(3) 映画 それでは何をしていたかというと、我が家の総理大臣兼財務大臣の希望で、いっしょにWOWOWで映画を観ていました。海軍士官候補生の成長を描いた1982年のアメリカ映画「愛と青春の旅立ち」、田舎町に住む平凡な主婦と中年カメラマンの4日間の恋を描いた1995年作「マディソン郡の橋」、質素倹約に励み家を再興する下級武士の一生を描いた2010年の森田芳光監督作「武士の家計簿」、大阪人が400年守り続けてきたヒミツとは・・・万城目学氏のベストセラー小説の映画化「プリンセス・トヨトミ」(2011年)などなど。
(4) 美術 総理大臣兼財務大臣とともに、地元岡崎市美術博物館で開催されている「巨匠たちの英国水彩画展」を観てきました。ターナーなどの風景画を楽しみました。美術関係の本も3冊読みました。気鋭の美術史家・池上英洋氏の「西洋美術史入門」(ちくまプリマー新書)、視覚デザイン研究所編「巨匠に教わる絵画の見方」、イギリスで出版されたガイドブック「1001 Painting You Must See before You Die」。

私の趣味はクラシック音楽と、かつては山登り。妻の趣味はガーデニングとペン習字。お互いの接点がない(苦笑)。老後に共通の趣味を持ちたいと考え始め、その候補が映画鑑賞と美術館巡りなのです。

(5) 読書 面白くて650ページを一気読みしたのが直木賞作家・池井戸潤氏の「鉄の骨」(2009年 講談社文庫)。連休前会社の昼休みに同僚たちと「面白いビジネス小説は?」という話題をした時に、優秀な後輩K君が推薦してくれたのが本書でした。それ以外では、新興国の経済的台頭を各種データで示してくれる「世界経済図説第三版」(宮崎勇&田崎禎三著・岩波新書)、超円高・ユーロ危機・ドル下落の行方を読み解く人気エコノミストの最新作「通貨はこれからどうなるのか」(浜矩子著・PHPビジネス新書)、「負け犬の遠吠え」で有名なエッセイストの週刊誌連載をまとめた「女も不況?」(酒井順子著・講談社文庫)。
(6) ポリーニに開眼? 最後にクラシック音楽の話題をひとつ。連休中に現代を代表するピアニストであるポリーニの弾くショパンのバラード&スケルツォ集のCDを聴きました。これまで私は頑固なポリーニ嫌いだったのですが、このCDの演奏は凄いですね。コーリアンボードを取り去って、演奏の本領がやっとわかった感じです。今秋名古屋でのリサイタルに行こうかなあ。⇒ その後の情報では来日中止になったとか。

 

2012年5月12日(土) 女性JAZZヴォーカルに首ったけ(その3)

 
 相変わらず女性JAZZヴォーカルに取り憑かれています。先月はCDを8枚も買ってしまいました。(苦笑)

 まずはJacinthaが歌うアルバム「autumn leaves」。まったり系の歌い口でゆったりとした気分にさせてくれるアルバムです。シンガポール出身の歌手ということを知ってから、何か空気感がじっとり湿気を帯びているような気がしますね。
 2枚目はRoberta Gambariniの最新作「so in love」。なかなか上手いヴォーカルを聴かせてくれて満足。デビュー3作目とのことですが、前作・前々作も聴いてみたいです。
 3枚目はイギリス在住のStacy Kentの10年ほど前のアルバム「love is the tender trap」。ソプラノ系の細身の歌声が特徴ですね。彼女は今も第一線で活躍中とか。次は最新作を聴いてみたいと思っているところ。夫君のテナーサックスがまたいい味を出しています。
 4枚目はCheryl Bentyneの「talk of the town」。元マンハッタン・トランスファーのメンバーとのこと。めちゃくちゃ上手な歌です。3月のこの日記でも彼女の別のアルバムに触れましたが、今回のもののほうがオーソドックスなJAZZになっています。特に好きになった歌手です。コール・ポーター作品集やガーシュイン作品集といったアルバムもあるそうなので、次はこれかな。

 5枚目は、みとこ先生に教えていただいたHalie Lorenの最新作「青い影」。国内盤も出た人気急上昇中の歌手ですね。高域でファルセットになる独特のヴォーカルがセクシーです。こちらも好きな歌手。買った日本盤CDにはたくさんのボーナストラックがついていて、得した気分(笑)。
 6枚目はELIANE ELIASの「dreamer」。ブラジル・ボサノバの香りがするヴォーカル・アルバムでした。正直歌の力量はそれほどと思わなかったのですが、バックの演奏と編曲が素晴らしい! この歌手はもともとピアニストで後に歌も歌うようになったとのこと。納得。
 7枚目はSophie Milmanのデビュー作「take love easy」。彼女も新人にしては上手ですね。そしてただ上手いだけでなく、どことなく歌唱に影があって、それが魅力になっています。長続きしそうな気がします。ジャケ写がいまひとつ垢抜けないのがタマにキズ。
 最後8枚目はMelody Gardotの「worrisome heart」。うーん、これだけは好みからずれました。私の場合、今のところはオーソドックスなJAZZヴォーカルが好みです。彼女はJAZZ風の"ポピュラー歌手"なのでは? ノラ・ジョーンズに似たものを感じました。(ファンの皆様ごめんなさい)

 この数ヶ月、現役白人女性ヴォーカルを集中的に聴いてきましたが、今後もこの路線を続けようか、黒人女性系を聴いてみようか、物故した有名歌手に遡ろうか、はたまた男性歌手に行こうか、思案中デス。いずれにしてもCDを買うペースを少し落とさなくっちゃ(苦笑)。

 

2012年5月19日(土) バッハの長調・短調

 
 キット屋倶楽部の皆様は、家庭のオーディオでBGMをかけることがあると思います。例えば読書をする時に小さな音で音楽をかけるとか・・・そんな時どんな音楽をかけますか?私の場合は、バッハかモーツァルトをかけることが多いです(ロマン派の音楽は感情を揺さぶってきますのでBGMには向いていないように感じます)。モーツァルトの場合は、一部を除いて長調でできていることがBGMに向いている理由のひとつと思います。一方バッハの場合は、長調と短調が拮抗しているので曲の選択が難しいです。CDをかけ始めて1曲目はよかったのに、2曲目になると急に悲しみの色に包まれて、「こりゃBGMに向かんな」となることも・・・。
 
 バッハの主だった器楽曲の調はこんなふうになっています。
・ 管弦楽組曲: ハ調⇒ロ短⇒ニ⇒ニ
・ ブランデンブルグ協奏曲: ヘ⇒ヘ⇒ト⇒ト⇒ニ⇒変ロ
・ 無伴奏Vnのためのソナタ&パルティータ: ト短⇒ロ短⇒イ短⇒ニ短⇒ハ⇒ホ
・ 無伴奏チェロ組曲: ト⇒ニ短⇒ハ⇒変ホ⇒ハ短⇒ニ
・ Vnとcembのためのソナタ: ロ短⇒イ⇒ホ⇒ハ短⇒ヘ短⇒ト
・ イギリス組曲: イ⇒イ短⇒ト短⇒ヘ⇒ホ短⇒ニ短
・ フランス組曲: ニ短⇒ハ短⇒ロ短⇒変ホ⇒ト⇒ホ
・ パルティータ: 変ロ⇒ハ短⇒ハ短⇒ニ⇒ト⇒ホ短

 ここで少し話しがわき道に逸れますが、バッハはこのように大曲を6つの曲から構成するということをしばしばやっていますね。「バッハと数」については昔からたくさんの論説がありますので、この「6」についてもきっと学説があるのだと推測します。そしてバッハは6つをひとくくりで作曲する際どういう順番の調にするか、綿密に考えて作ったのだと思います。
 話をBGMに戻しますが、上記の中でブランデンブルグ協奏曲だけが6曲すべて長調なのですね。ですからよくBGMに使います。またフランス組曲の後半3曲もCD1枚分長調が続くので、こちらもよくCDに手が伸びます。上記以外ではゴルトベルク変奏曲もほとんど長調でできているのでBGM御用達。もともと睡眠用の曲なのですから当然といえば当然ですね。それにチェンバロは音量がほぼ一定ですので、その点もBGM向きと感じています。無伴奏チェロ組曲1,3,4&6番という順で聴くこともしばしばあります。
 皆様はどんな曲をBGMにお使いですか?

 

2012年5月27日(日) 電気文化会館での期待の若手のリサイタルふたつ

 
 CDデビューするクラシックの若手ヴァイオリニストは、メジャーレーベルとマイナーレーベル合わせると、毎年数人はいると思います。しかしせっかくデビューしても2枚目が出せるのはそのうち半分以下、さらに3枚目以降も続けられるのは2〜3年に一人というところでしょうか。デビューするヴァイオリニストの大半は有名なコンクールの優勝者なのに、です。とても厳しい世界ですね。
 甲子園で優勝した投手でもプロに入って芽が出るのは一部、まして松坂・ダルビッシュ・マー君クラスになるのは数年に一人出るか出ないかという、野球の世界に例えればわかりやすいでしょうか?

 そんな厳しい世界で、26歳にして早くも3枚目のアルバムをメジャーレーベルEMIから出したノルウェー出身の女性ヴァイオリニスト、ヴィルデ・ウラング(Virde Flang)の来日公演が5月14日名古屋・伏見の電気文化会館でありましたので、楽しみに聴きに行きました。曲目は前半がモーツァルトのK.377のソナタとフォーレの1番、後半がハンガリー舞曲3曲とプロコフィエフの2番でした。
 実際に聴いてとても好感を持ちました。ロココの音楽、ロマン派、民族楽的な音楽、そして20世紀近代の音楽と、どれをとっても高い水準の表現で、穴がないのです。ヒラリー・ハーンほどの求心力こそないものの、モーツァルトの2楽章での思い切った悲しみの表現、フォーレの1楽章での恋人を想う燃え立つような高揚、会場を沸かせたプロコフィエフでの鮮やかで切れ味鋭い技巧など、アナ・チュマチェンコ門下で女王ムターも応援しているというのが十分頷ける演奏でした。パンフレットには「ヴィヨーム」という製作者の楽器を使用と書いてありましたが、もう一段ランクの高い楽器を持たせてあげたいと感じました。
 実はこのリサイタルの3日前の東京でのコンチェルトを体調不良でキャンセルしたので心配していましたが、この日は体調も戻ったらしくアンコールを2曲弾いてくれました。なおピアノは昨年DECCAレーベルと契約したばかりの30歳のウズベキスタン出身、ミハイル・リフィッツという人。ソリストとぴったり息が合い、かつとても闊達な伴奏でした。
 続いて5月27日には同じ電気文化会館で、こちらも今メキメキ頭角を現し、10年に一人の逸材と言われているフォルテピアノ奏者、クリスティアン・ベザイデンホウト(Kristian Bezuidenhout)のリサイタルを聴きました。演奏曲目はオール・モーツァルトで、ソナタ第5番K.283、前奏曲とフーガK.394、メヌエットK.355、小さなジーグK.574、幻想曲K.397、「私はランドール」による変奏曲K.354とソナタ第9番K.311というもの。かなり地味で凝ったプログラムといってよいでしょう。
 使用楽器はWALTERモデルによる2002年チェコ製作のものとのこと。音を実際に聴いても、楽器見ても、チェンバロを改良してピアノフォルテができたばかりの極く初期の楽器という感じでした。音量はかろうじて強弱がつく程度ですし、現代ピアノについているようなペダルはなし(正確には膝頭で操作するペダルが2つあるとのこと)。鍵盤も軽いようで、現代スタンウェイを弾くのに必要な力強さなどまったく要らない感じに見えました。実際の音もすばやく軽く発音されます。減衰も早い。聴いていて、「この楽器の音を上手に再生するには、高能率で小口径のSPがいいかも」などと考えたのは、私もオーディオ・ファンになりつつある証拠かなあ(笑)。
 それはさておき、実際の演奏ですが、演奏家の機知にとんだ楽しい性格を反映したものと聴き取りました。私はモーツァルトのピアノ・ソナタは現代ピアノのものより、この日のようなフォルテピアノによる演奏の方が好きです。持っているCDはフォルテピアノ演奏の第一人者アンドレアス・シュタイアーによるものです。彼の演奏が時に威圧感を覚えるほどの有無を言わせぬ説得力で迫ってくるのに対して、ベザイデンホウトのはずっと親しみやすく若々しいです。楽譜にない装飾音の付加など実にチャーミング。またアレグロやプレストなどはまるで小鹿が跳ねるのを見るかのようでした。クラシック音楽界が彼に期待しているのがよくわかった気がしました。
 最後に話題が変わります・・・2人の巨星墜つ。
 5月18日(金)、世紀の大歌手ディートリッヒ・フィッシャー・ディースカウの訃報が伝えられました。享年86歳。25日(金)の「第九」の練習後、クラシック好きが集まった飲み会の場で何人かがDFDの思い出を語っていました。ある者はワーグナーの楽劇「パルジファル」でアンフォルタスを歌ったDFDに痺れ大ファンになったとのこと。またある者はデムス伴奏のシューベルトの歌曲集「冬の旅」が数十年来の愛聴盤とのこと。またいつも指導していただいている合唱指揮者の先生は、音大受験の実技指定曲シューベルトの歌曲「シルヴィアに」を、DFD&ムーア伴奏盤で繰り返し聴いて覚えたとのこと。逆にある者はモーツァルトのオペラのセッコ(←しゃべるように歌うところのこと)を、楽譜から大きく変えてしまうDFDに反発を抱いたとのこと。大いに傾聴するか、激しい反発を覚えるかのどちらかで、まずまずなどという中途半端な感想を許さないのが、大歌手たる所以ではないかと感じました。私も尊敬と反発が半々です。でもDGとEMIからDFD全集CDが出たら・・・多分買うと思います。
 5月22日(火)には、日本に音楽批評を定着させた評論家・吉田秀和さんが亡くなりました。享年98歳。クラシック音楽が好きになった中学・高校の頃、私はレコード芸術誌や朝日新聞夕刊の「音楽展望」で氏の文章をむさぼるように読みました。いつか氏のように音楽が聴けるようになりたい、氏のように音楽について雄弁に語りたいと思いながら。クラシック音楽を聴く喜び、語る楽しみを氏から教えてもらいました。感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。どうぞ天国でバルバラさんと仲睦ましくお暮らしください。合掌。






  <<トップへ戻る