モーツアルト     ベートーヴェン
 
 

2013年6月1日(土) 「名曲のたのしみ」

 

 「名曲のたのしみ」と鍵括弧でくくったのは、1971年から2012年まで続いたNHK-FMの長寿番組の題名を表したいからです。40年以上続いたこの番組の解説を担当したのは、音楽評論家で文化勲章も受章した故・吉田秀和でした。この番組は巨星・吉田秀和の、著作と並ぶもうひとつのライフワークとも言えるものでした。

 氏が2012年5月に亡くなった後も、遺された原稿を元に同年末まで放送が続けられました。その最終回で、NHKが「1990年以前は録音が残っていない。お持ちのリスナーはいないか?」と呼びかけたところ、全国から次々に録音テープが届けられ、吉田氏がかかわった放送のうち、実に9割以上を揃えることができたそうです。
 こうして集まった吉田氏の放送テープを、この番組の製作者だったNHKの西川彰一氏による編集で、活字で読める形にまとめたのが、単行本「名曲のたのしみ、吉田秀和」〜第1巻 ピアニストききくらべ〜 (学研パブリッシング 税抜き3200円) です。

 この第1巻は、吉田翁が最も得意としたピアニスト論を集めています。取り上げているピアニストは、ホロヴィッツ、ルービンシュタイン、ギーゼキング、フィッシャー、ゼルキン、アラウ、ケンプ、リヒテル、ギレリス、ミケランジェリ、グルダ、グールドといった過去の偉大なピアニスト達、そしてアルゲリッチ、ポリーニ、ペライア、ツィメルマン、ピリス、シフ、フレイレ、内田光子など今が盛りの名ピアニスト達、さらにユジャ・ワン、アリス・紗良・オット、ロマノフスキーら20歳代の若手までとても幅広い!
 今後の発刊予定は、第2巻「指揮者を語る」(6/25発刊予定)、第3巻「珠玉のソリストたち」(8月末)、第4巻「室内楽との対話」(9月末)、第5巻「モーツァルト」(11月末) とのことです。

 吉田氏の評論が、核心をついた言葉で音楽と演奏を語り、余人の追随を許さないのは、皆様ご存知のとおりですが、この本の元になっているのが話し言葉であるだけに、書いた文章よりさらに平易で、かつ短い言葉にエッセンスが凝縮されているのです。そのため、これからクラシックに親しもうとする初心者にも、様々な演奏を聴き比べてきたベテランにも、読み応え満点の内容になっています。現役の演奏家が興味の中心の私ですら、氏の書いた(話した)ルービンシュタインのショパンやアラウのベートーヴェンを読むと、そのCDを無性に買いたくなってくるのです。
 加えて、もともとの言い回しをなるべく生かし、該当演奏のCD番号や録音年も付記した編集は、たいへん配慮の行き届いたものです。どうぞお手に取ってみてください。

 

 

2013年6月8日(土) 初めて聴いた指揮者&オーケストラの思い出

 

 初めて生で聴いたオーケストラは、1975年のエリアフ・インバル指揮日本フィルでした。旧日本フィルが1972年に分裂して3年後、九州各県の巡回公演の一環として、当時私が住んでいた大分市に来てくれました。プログラムは今でも記憶にあります。エグモント序曲、「火の鳥」組曲、チャイコフスキー5番でした。親切にゲネプロも公開してくれたので、中学校の帰りに自転車で会場に行き、クラシック好きだった同級生とともに見学しました。インバルが一言二言注意すると演奏が一変する様は、まるで魔法を見ているようでした。
 当時ステレオが買えず、ラジカセでクラシックを聴いていた私は、初めてのオーケストラに大感動でした。終演後、燕尾服姿の団員さん達がロビーに出て来たので、一人の中年男性団員に感動とお礼を伝えました。するとその方は「今から会場内で軽食付きのレセプションがあるのでおいでよ。誰でも参加できるから。」と誘ってくれました。せっかくの機会だから行ってみたところ、インバルもいるではありませんか。勇気を出して近づき、たどたどしい英語で感動を伝え、サインをもらいました。うれしくて天にも昇る気持ちだったことを今も覚えています。
 あの日演奏会に行かなければ、あの団員さんが誘ってくれなければ、詰襟スポーツ刈りの少年にインバルがやさしくしてくれなかったら・・・クラシック音楽を人生の友にしていなかったかもしれません。

 1936年生まれのインバルは当時まだ中堅。極東の地方公演に2週間つきあえるだけの時間がありましたが、数年後には手兵フランクフルト放送響とのマーラー交響曲全集が評判になり、世界中から引っ張りだこ、多忙指揮者の仲間入りを果たしました。
 彼は70台半ばになった現在も世界中で活躍しており、日本では東京都響の首席指揮者として、得意のマーラー、ブルックナー、ショスタコーヴィチの名演で首都圏のファンを魅了しています。またEXTONレーベルから多数のライヴCD&SACDが発売中です。
 ところで彼の趣味が「オーディオ」だったことをご存知ですか?? ちょうどフランクフルトとのマーラーが出始めた頃、レコード芸術誌のオーディオ欄に登場したことがあったと記憶しています。その際は、(オルトフォンMC-20が5万円位の時に) 10万円もする「光悦」なる日本ブランドのカートリッジを絶賛していました。来日の度に秋葉原通いをしていたそうです。調べてみると、「光悦」は今もあるのですね。インバル絶賛の頃から35年近く経っていますので、経営者や開発者は代替わりしているかもしれませんが・・・・。
 一方日本フィルは、リーマンショック後、経営が悪化しましたが、幸いにも今春、公益財団法人の認可がおり、現音楽監督のラザレフとのコンビも好調を伝えられます。久しぶりに日本フィルの生を聴くチャンスがあればと思っているところです。

 

 

2013年6月17日(月) 購入したCD、聴いた演奏会、見た美術展

 

 まずは買ったCD(クラシック4枚、ジャズ1枚)。今月の気に入ったのは、ブーランジェ&パスクアルというフランス女性コンビによるバッハのヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ集(Alpha)。Kennoy-mini様がお好きな2番を含む全3曲。演奏・録音共に優秀。★★★★☆。またM・ゲルネのシューベルト歌曲集vol7(harmonia mundi)は、歌と声の持つ根源的な力が感じられた1枚。★★★★☆。ヤノフスキ指揮スイス・ロマンド管によるブルックナー交響曲第8(pentatone)は、ディスク1枚に収まるので買いましたが、出来がまだら。★★★☆。ニケ指揮コンセール・スピリチュエルのヘンデル「水上の音楽&王宮の花火の音楽」(glossa)は、大編成管楽器が裏目に出て、音色の変化に乏しい。★★☆。
 女性ジャズ・ヴォーカルはダイアナ・クラール「the very best。女王ここにあり!

 続いて聴いた演奏会。1日(土)愛知県芸術劇場コンサートホールで、名古屋オペラ協会創立30周年記念公演、オペラ「不思議の国のアリス」(合唱好きに絶大な人気の木下牧子さん作曲) 。日本オペラは暗く悲しい話という先入観を吹き飛ばす、親しみ易く大人も子供も楽しめるオペラでした!  “女王” “猫” “ジャック”などお馴染みの登場人物の歌・演技・衣装が愉快!!? ★★★★☆。終演後は音楽仲間の男女で夕食&おしゃべり、楽しかった!
 11日(火)電気文化会館で、日本期待の河村尚子ピアノリサイタル。ベートーヴェン、ブラームス、シューベルトとドイツ物を並べたプログラム。太く厚みのある音で、力強くも歌心豊かな正統的解釈を聴かせてくれました。日本人離れしたレベルです。今のところ今年最高かな。★★★★☆。新しい才能に出会えてとてもうれしかった一夜。
 15日(土)午後は403回名フィル定期。メインプログラムは、1934年初演のフランツ・シュミットの交響曲第4番という珍しい曲。指揮者T・フィッシャーが熱望したとのこと。初めて聴きましたが、マーラー交響曲第10番やベルクのヴァイオリン協奏曲を連想させる、隠れた名曲と感じました。CD買おうかなあ。★★★★。
 翌16日(日)も愛知県芸術劇場コンサートホールで、ハーディング指揮マーラー室内管。シューマン「ライン」とドヴォルザーク「新世界より」。今年前半聴いた海外オーケストラのベスト。腕っこきの音楽家達が、最終プルトまで全員、全力投球で演奏に情熱を傾ける10-8-6-5-3編成のオケ。すべてのフレーズに明確な意思がこもり、生命力の輝きを放つ演奏は掛け値なしに感動的で、聴衆もおおいに沸きました。ハーディングも20代の頃の”尖がった”解釈から、オーソドックスで説得力豊かな解釈へ変貌中と見受けました。★★★★☆。

 美術展は2つ。まずは中部地区で今年最大の話題、プーシキン美術館展。フランス絵画300年の歴史を一望する展覧会。プッサン、ブーシェ、ダヴィッド、アングル、ドラクロワ、ミレー、モネ、セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホ、ルソー、ピカソ、マティス等々。午後遅い時間帯で人も少なく、じっくり鑑賞でき、至福のひと時でした!

   もうひとつは名古屋・新栄に近年オープンしたヤマザキマザック美術館の企画展「フランスの美しい風景〜ロココからバルビゾン派・印象派へ」。展示室の雰囲気の良い美術館でした。


 

2013年6月22 日(土) デカチョーさん宅オーディオルーム再訪

 

 昨年10月14日の完成お披露目会以来8か月ぶりに、本日デカチョーさん宅オーディオルームへの再訪が叶いました。お邪魔したのはキット屋店主・大橋さん、タケさん、I瀬さん、I原さんと私の5人でした。
 デカチョーさんのメインシステムはマイクロのLPプレーヤー&オールWEの310+91B。今では入手するのがほとんど不可能な製品ですよね。うらやましい限りです。そしてスピーカーは「知る人ぞ知る」(大橋さん談)名ユニット「ステントリアン」を入れたお手製。果たしてその再生音は、8か月前より遥かに馴染んだ自然な音に変化していました。またこの日大橋さんが次の改善のヒントを出してみえましたので、努力家のデカチョーさんのこと、近い将来さらなる高みを実現されることと思います。その折再訪させていただければと願っています。3時間半お付き合いいただいたデカチョーさん、大橋さんはじめ皆さん、今日は本当にありがとうございました。

 最後に別件の近況報告をふたつ。ゴールデンウィークから始めた万歩計ウォーキングの楽しさにハマっています(笑)。5月は336,217歩(1日平均10,846歩)。6月もほぼ同じペースで歩いています。社内で同好の仲間も見つかり、お互い励まし競い合いながら毎日歩いています。7〜8月の真夏のシーズンをどう乗り切るかが今後の課題ですね。
 続いてチケット確保のご報告。ウィーン・フィルに続いてベルリン・フィル名古屋公演のチケットも入手できました。先行発売日に電話し続けること1時間半、S席ゲットできてうれしい! 東京・大阪では即日完売だったそうですね。しかし、そのあおりで今年のヘッドフォン購入はあきらめざるを得ない”懐具合”になってしまいました・・・
 そこで一句。入梅や うれしさ半分 さみしさ半分 (字余り)

 







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