キット屋倶楽部
タイトル写真
真智子さんのVP-mini88MKII製作記
「キット屋倶楽部」のお仲間、兵庫県のK様の奥様がキット製作に挑戦。
初めて半田ごてを振るって大奮闘! 果たしてその成果はいかに?
VP-mini88MK II製作のヒントもいっぱいなので、参考にしてください。

11:00 キットデビュー

このアンプは今年(2006年)春に行われましたキット屋さん初の関西イベント でありました「大阪試聴会」の懇親会にて、何と!景品として当たった! 「VP-mini88 MarkII」なのです(安部さんありがとう!)
この時は、何と何と!「ALTEC CF204-8A」のユニットも当たってしまい、夫婦 でアンプ&スピーカーをゲットしてしまったのです(はずれた方ごめんなさい)

その時です。大橋さんから『このアンプは奥様に作っていただいたら?』 と勧められました。このお話しに当初の妻は『とんでもない』と拒絶していま したが、『横で教えるから』とか説得してやっとこの日を迎えることができま した。

元々、音の出る工具や何でも切ってしまうニッパ等が一番の苦手で、私が電動 ドリルを使い出すとすぐに逃げ出すくらいですから、自分で熱いハンダごてを 握るなんて妻にしてみれば苦痛以外ではないのでしょう。

一応アンプの箱を抱いて笑っておりますが、さてどうなることやら...
「mini」の名前には不相応な重量に思わず『おもっ!』と叫んでおりました。

開梱

キットを広げてみました。
細かい部品まで整理・表示されており初心者には大変親切なキットです。

メイン配線は基板となっており、線材は非常に少なくなっています。

配線済

開けてみてビックリだったのは、ボリューム部のシールド線や、細かい作業の多いインプットセレクタ部も配線済みなのです。これだけでも相当の時間短縮と配線ミスを防ぐことができます。

一番気を遣うところでもあり、妻へのアドバイスも『どうしようか?』と悩んでいたところです。すごく安心しました。

真空管

これがキットに含まれている真空管です。
増幅管の12AX7は「Electro-Harmonix」、出力管のKT88は「Valve Art」のトライオードオリジナルです。

KT88系と12AX7系は現行球ということもあり、人気もあるので数も多く出回っていて、ブランドに拘らなければ比較的簡単に安価で良い物を手に入れることが出来ます。私も大阪日本橋やオークションでこれまでに色々と集めた物がある ので、差換えによるブランドの違いを楽しむこともできそうです。

また、今回はカップリングコンデンサを東一のオイルタイプの「Vitamin-Q」に換えることにしました。

必要工具

今回準備した工具類です。
写し忘れましたが、ドライバと5.5m/mのボックスレンチが必要です。

妻は「ヘルピングハンズ」というクリップを重宝に使用していました。

ハンダ

今回は30Wのハンダごてと、銀入りですが線径の細いタイプの物を使用しました。
銀入りでも細い分溶けやすくてとても扱い易い感じです。

11:15 作業開始

まず、一通り説明書に目をとおしてもらいましたが、やはり用語が解らない部分も多く『シャーシ?』『シルクプリント?』『電解コンデンサー?』と いう状態で、前もってある程度の準備段階は必要だと思いました。

簡単に説明して実践に移ります。いきなりのハンダ付けです!
まずは基板への抵抗からですが、初めてにしてはなかなか上手にやってます。

上出来

こんな感じです。

上出来というか出来過ぎです。
ひいき目ではなく、客観的に見ても十分だとビックリしました。

12:50 抵抗完了

開始から約1時間半くらいかかりましたが、セメント以外の抵抗は付け終わりました。
部品の方向にも気を遣う様に言っておりましたので結構綺麗に出来上がりました。

(実はここで重大なミスを犯していたのですが気付きませんでした)

13:00 休憩

少し慣れてきた時点で小休止することにしました。
満足そうな表情で、笑顔の余裕も出て来た様です。
(これからが大変なのに...)

14:30 基板完成

CR類の取り付けが終わり、基板が完成しました。
少々大きくて、基板から離さなければならない東一のカップリングコンデンサも、エンパイアチューブを被せた足でキレイに立てることが出来た様です。

また、ヒーター用に少しだけ線材を使用しますが、コードストリッパーにもすごく感動したみたいで、『これって恐竜みたいだけど、とっても便利!  でもこんなに便利な工具なのに、日本橋で買うときに何であんなに悩んでたの?』って
ごめんなさい、貧乏性なんです...

ソケット

真空管のソケットは裏側に取付けますが、ハンダが多量にいるので戸惑っていました。
球の抜き差しで力がかかる部分でもありますから、しっかりと盛ります。
一時取り外し
メイン基板をシャーシに取り付けるには、セレクタのシャフトが邪魔になるために一時取り外します。
ACインレットやスイッチも配線のため外しておきます。
17:00 基板取り付け
買い物、夕食を早々に済ませ作業再開です。

メイン基板にスペーサーを取り付け、シャーシにネジ止めします。ここで、5.5m/mの柄の長いボックスレンチがあれば大変便利です。

また、写真に写っていますがトランスカバーの頭部分を丈夫な紙等で覆っておき、これからの配線時でのキズ防止を施します。
手配線
これからは、電源トランス・チョーク・出力トランスからのコードをメイン基板に手配線していきます。

『やっぱり私がやるの?』と弱気になっているところを無視して説明を続けます。
工房?
段々と基板上のハンダ位置がたて込んできて手暗がりになるので、スタンドの 要望があり、設置してみたところ何だか○○○工房の感じもしてきました。

横で見ている限りでは、難しくても楽しんでいる様子が感じ取られます。
第3の手
手配線をやっていると本当に「体が柔らかくて足の指が器用だったら」なんて 思いますね。(爆)

そこで、右下に写っているのが「ヘルピングハンズ」というクリップ付自在 アームです。線材をこれに挟んで固定するのですが、「どうしても」という 場合には重宝しますね。
20:20 ハンダの煙
なかなか手つきも様になってきましたね。

妻の性格から最後までひとりでやってしまうのは分かっていましたが、『もう明日にする?』と声をかけても『もう少し』とアンプに向かう姿に思わずニヤけてしまいます。
エージング
その頃、出力管の「KT88」は、いつもの様にSDサウンドの「SV-2」によるヒーターエージングを実行中で、いつでも準備OKの状態にあがってます。

これによって真空管の寿命が変わるそうなのですが、見とどけられるまで長生きしたいものです。
エージング
ハンダ完了
21:50 ハンダ完了!
『やったぁ!』
歓喜の声があがります。

食事等の時間を省いた実質作業時間は8時間強でしょうか。
とにかく一日でやってしまうとはビックリです。
メイン基板部
セレクターのシャフトを取り付けた時点で、ボリュームからの入力線を忘れていることに気付き、4ヶ所ほどハンダ付けします。
メイン基板部
スピーカー端子部
スピーカー端子部
スピーカー端子も金メッキされた質の良い物が付いています。
配線纏め
配線のライン取りは要所で指示しましたが、長さも良く揃っています。

インシュロックで纏めると綺麗に実体図通りに仕上がるではないですか。

うっ、上手い。 偶然か? ビギナーズラックか?
配線纏め
真空管セット
真空管セット
9ピンの「12AX7」をセットします。

結構力を入れないといけないので、怖がってなかなか差せません。
KT88も
この「KT88」もグッと力をかけなければならず、ガラスということとミシミシという音から、力を入れようにも入らないみたいです。

それでも何とか落ち着いた様です。
KT88も
電源オン
電源オン
電源コードを繋ぎ、いよいよ電源オンです。記念の一瞬を迎えます。

プチッ! シーン...

あれっ? LEDが点灯しない。
しばらくそのままにしておくが状況変わらず、変なニオイもせず。何だ、何だ? 配線図と実体を見直すが、特にミスは無いように見える。
まぁ、一発目からそんなに上手くいっては面白くない。

妻は『ちゃんと見ながら作ったのに』と相当ショックな様子。
今日は相当疲れたらしく、明日もう一度チェックしようということになり、「91B」でヨーヨー・マでも聴きながらゆっくりすることにしました。
配線忘れ
次の日の朝です。
もう一度、取扱説明書を最初から見直します。すると一番始めに書かれていた「基板の一部を抵抗の切りはしでジャンパー配線する」とあるではないですか。

これは私も見過ごしてました。基板の写真の下に書かれていたのですが、そのすぐ下に別の「重要」と書かれた部分があり、ついついそれに目を奪われてしまった様です。反省。

何とかリカバリして電源を入れてみるが、昨日同様にLEDは点灯しません。反対になっている真空管を見ると「KT88」のヒーター部は赤くなっています。「12AX7」は片方だけヒーターの導通があるみたいです。
配線忘れ
ハンダ不足
ハンダ不足
テスターで調べていくと、「KT88」のF印部分に接続するヒーター線のハンダが少なかった様で、そこから「12AX7」のヒーターを介してLEDまでのラインに流れなかったのが原因でした。

この基板のハトメ部分のハンダは十分に行わなければならない様です。
再電源オン
電源オンと同時にLEDが美しく青色の光を放ってアンプが立ち上がりました。

とにかく万歳!です。
再電源オン
バイアス調整
バイアス調整
電源を入れてから3分後、この取扱説明書の最終作業のバイアス調整に進みます。
0.6V
テスターも生まれて初めて使うそうです。

『感電注意!』と脅かしながらのバイアス調整です。
「KT88」は0.6Vにします。
0.6V
自作サイドウッド
自作サイドウッド
今回のキット製作で、私が唯一仕事したサイドウッドです。

ホームセンターで買ってきた9mmのひのき材をカット・コーナー処理・穴開け・ 塗装しました。

完成

サイドウッドと底板をセットして完成です。

『わぁ!素敵っ!』
私もそう思います。
完成
接続
接続
「SV-353」に接続します。
インプット端子の間隔があまりなく、太いRCA端子だとRとLが干渉するので 注意です。 アウトプット端子はバナナプラグ対応なのですんなりでした。

アンプを立ち上げて、まずはテスト用のスピーカーで異常を確認します。 OKです。
音出し
いよいよキット屋さん育ちの「Early A7」からの音出しです。
いつもの様にヨーヨー・マの「バッハ無伴奏」からです。

中域から高域にかけてのキラキラとした透明感に特徴があります。 また低域も十分で、チェロの芳醇な響きが部屋いっぱいに広がります。
大橋さんの言葉を借りると、外向きで下方リニアリティに優れたアンプです。 「91B」とは対照的で、ふわっと浮かぶ空気感が何とも言えず心地よく、 音の消えゆく最後の瞬間まで気持ちよく聴けます。

『私は今、冷静な判断ができない』
そう言う妻の気持ちが大変良く解ります。何せ初めて自分の手でアンプを 完成させたのですから。一生懸命に、やったこともない作業に何時間も集中 し、一度はトラブルで電源が入らずにショックを受け、それが見事に出来上 がり、今は「A7」から素晴らしい音楽が流れているのです。
音出し
最後に

最後に


大橋さん、キット屋の皆さん、ありがとうございました。
真空管アンプを作るきっかけを与えてくださったことに感謝します。

子供の頃から「プラモデル」さえ作ったことの無い私が、半田ごてやペンチやニッパを手にするなんて考えてもみませんでした。だから、大橋さんや主人に勧められたときも、何を言われているのかさえ...という状態でした。

主人に説明されたときも、始めはすごく嫌だったのですが、『やれるところま でで良いから』と言われ、後は主人に任せようと思って始めました。
基板と同じ番号の部品を曲げ入れては切って、ハンダ付けしていったのですが、 ハンダが溶けて煙が出る度にドキドキしていました。でも、上手く三角の山ができた時は嬉しくなり、次へ次へと進むうちに、楽しいというか『やらなければ』 という気持ちになり、止められないで最後までやってしまいました。

せっかく作ったのに動かなくて落ち込んだこともありましたが、主人にも助 けてもらい、無事に完成させることができました。
自分で作った機械で音楽が聴けるなんて、想像もしなかった素晴らしいことが 実現したのです。何だか少し皆さんの気持ちが解った様な気がします。
『次は樽アンプが作りたいなぁ』なんて冗談を言ってると、主人に『もう置き場所が無いよ』と言われました。隣の土地に第二試聴室を建てないと...

今回は作ることに精一杯で、楽しむ余裕などありませんでしたが、次に機会が あれば楽しく作れる様にできればと思います。

色々と教えてくれた主人と、良い音楽を聴かせてくれるVP-mini88に感謝します。
VP-mini88MK IIについて
作りやすくお手ごろ価格、それでいて時に上級機を凌ぐほどのダイナミックな音質を生み出すという、コストパフォーマンスの高い製品です。マニアのサブ機として、またビギナーの方の入門機として、多くの管球ファンに愛されています。
※写真はサイドウッド・ボンネット(別売)付の“最強バージョン”です。
VP-mini88MKII 写真は最強バージョン
VP-mini88MKIIについての詳しい情報は⇒こちら

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