キット屋倶楽部
新潟県のU様から、SV-91BIIの製作記をご寄稿いただきました。
ご購入・組み立ての参考にしてください。スピーカー(WCW-F200A)との相性結果も記載!
SV-91BIIについて
世の所謂「91B型」300Bシングルは何故オリジナルとこんなに音が違うのだろう、という疑問からSV-91Bの開発はスタートしました。その為にはまずオリジナルと同じ3段増幅回路を用い、通常は送信管アンプに使う大型出力トランスを300B用にアレンジ。また300Bをフルスイングする為に通常では考えられない利得を電圧増幅段で稼ぎ、「マルチループフィードバック」回路で強力に音を締めています。並みのプッシュプルアンプを寄せ付けないドライブ力。大型SPを楽々と制動する私どものパワーアンプの最上級モデルの一つです。
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SV-91BII についての詳しい情報は⇒こちら

 

購入の動機

 メインシステムのスピーカーとして長谷弘工業のWCW-F200Aを導入することに決め、それに相応しいアンプとして2006年第12回真空管オーディオフェアで聴いたアンプの中で最も気に入ったSV-91Bを購入しようと考えました。
 スピーカーとの相性が不明でしたのでキット屋さんに問い合わせたところ、大橋店長より

>「音力」,「彫りの深さ」という点においてはまさに最強の
>組合せだと思います。ホーンの直線性の高さと300Bの
>倍音感と滑らかさが絶妙に組み合わせてオーディオ
>的にも音楽的にもとても魅力あるパートナーと言える
>と思います。

>別案としてはVP-3000SEも良いと思います。このアンプでは
>もっと「響きの良さ」が出て参ります。彫りの深さでは
>91Bに分がありますが、広がり感や包まれる感じは3000SE
>の最大の特徴です。

とのこと。

 SV-91Bに問題がないことが判ったので、即発注です(Aタイプ)。VP-3000SEもいつかは作ってみたいですね。

普通シングルに較べてプッシュプルは価格が高く、且つ作るのが大変なのですが、この2機種については逆ですね。

 

 

到着!

2007年4月4日の夜、いつものようにインターネットバンキングで振り込みました。

代金が振り込まれた4月5日の14:15に元刈谷の宅配業者の集配センター着、4月6日07:18新潟着、配達指定日の4月7日無事我が家に到着!

相変わらず迅速な対応ですね。

あの少ないスタッフでよくやっています。

 

ドキドキの開梱

段ボールを開けると納品書?みたいなものが入っていました。

購入者、配送先、支払方法、受付番号、数量/商品名、備考が記載されていました。

 

説明書とシャーシ

納品書?下の段ボールを外すと全20ページの説明書とシャーシが出てきました。

説明書は何度も良〜〜く読んでおきましょう!

写真は豊富にありますが、手順が分かり難い部分があります。

この後書かれている私のミスも参考にして下さい(^_^;)

 

トランス類と真空管

シャーシの下はトランスとチョークコイルと真空管でした。

樽アンプ用に買った7581Aも一緒に入っていました。

樽アンプで7581Aの音を聴きながら91Bの製作なんて至福のひと時ですね(^_^)v

 

真空管の箱

真空管の箱です。

Golden Dragonの図柄がカッコいいですね。

 

真空管整列!

左から電圧増幅管のロシア製310A「10Ж12C」×4本、整流管GD/274B×1本、電力増幅管Prime300B×2本です。

整流管はGD/5U4Gである場合もあるようです。

 

シャーシ

取り出したシャーシです。

照明に使った電球型蛍光灯のせいで青み掛かって見えますが、こんな色でも素敵ですね。

 

シャーシの中身

底板を外すとパーツがぎっしり詰まっていました。

オール手配線のアンプなんて三栄無線の6C33C-Bプッシュプルを組み立てた時以来で緊張します。

 

シャーシの内側

入っていたパーツを全部出すとこんな感じです。

色むらがあるのは外面をスプレーで塗装する時の飛沫が掛かったためと思われます。

 

シャーシの外側

シャーシの外側はこんな感じです。

樽アンプに較べると塗装が傷付き易い気がします。

黒っぽいせいだけではないと思います。

傷付けないように気を付けましょう。

 

パーツ一覧

シャーシから出したパーツを並べてみました。

配線の色は指定されておらず、製作者が選ぶようになっています。

なるべく説明書の写真に合うように使用した結果、使わない色のコードが余りました。

写真に拘らず、もっと色分けしても良かったかも?

 

パーツチェック

早速パーツチェックをします。

同じ100μFでも「16Vまたは25V」と「25V」が特に紛らわしいです。

最初間違えてチェックしてしまいました。

100μFの「350V」と「350Vまたは450V」は、結局両方350Vでしたが形が違います。

他にも紛らわしい抵抗があるので気を付けましょう。

 

カップリングコン

カップリングコンデンサーは3種類同梱されていました。

黄色いマロリーが標準で、銅色の東一にすると陰翳感が高くなり、橙色のスプラグにするとコントラストが高くなるとのこと。

NFB抵抗も15kΩ(標準で高陰翳感)、47kΩ、無帰還(高コントラスト)が選べます。

 

パーツの小分け

部位毎にパーツが分けられていました。

判りやすいように工夫されていますね。

 

インシュレーター

最後でもいいのですが、底板に足(インシュレーター)を付けました。

ビス孔と回転防止ストッパーの孔が同じ径なので間違えないように。

 

塗装剥離

シャーシにパーツを付ける前にアースラグ取り付け部2箇所の塗装を剥がします。

 

LED配線

LEDはコードを予め半田付けしておきます。

コードは接続先のラグに届く長さで切ります。

ラグまでの長さが分からないので、シャーシにLEDを付け、ラグを仮置きしてコードを切りました。

 

LED配線完成

熱収縮チューブを被せて出来上がりです。

 

スイッチ取り付け

LEDの上にスイッチを取り付けます。

写真の右をスタンバイスイッチ、左をパワースイッチと呼んでいます。

何故LEDにコードを付けておく必要があるかこれを見れば分かりますよね。

 

サブシャーシAの表

サブシャーシAに真空管ソケットとラグを取り付けます。

真空管ソケットの向きは間違え易いので気を付けましょう。

良く見るとソケットの孔径に違いがあります。

 

サブシャーシAの裏

サブシャーシAの裏はこんな感じです。

 

 

ラグの固定(改)

整流管用のソケットはサブシャーシの孔に入らずしっかりと固定出来ないので、ソケットのシャーシ側にナットを追加しました。

これによりラグの取り付け方が説明書とは違っています。

5.5mmの薄型スパナが役に立ちました。

 

サブシャーシBの表

サブシャーシBには真空管ソケット、ピンジャック、ラグを取り付けます。

この真空管ソケットも向きを間違え易いですね。

 

サブシャーシBの裏

サブシャーシBの裏はこんな感じです。

 

 

ラグの固定(正規)

これが正規のラグの固定方法です。

緩み止めのダブルナットのようですね。

真空管ソケットをしっかり固定してからラグをナットで固定する訳です。

 

放熱用アングル

放熱用アングルにブリッジダイオードと三端子レギュレターを取り付けます。

 

マイカ板

三端子レギュレターの下には絶縁用のマイカ板(透明)を敷きます。

これはマイカ板ではなく、絶縁シートである場合があるようです。

 

絶縁カラー

三端子レギュレターの固定ビスには絶縁用のφ3のカラー(collar)をお忘れなく。

 

トランス類取り付け

シャーシにトランスとチョークコイルを取り付けました。

トランスの一次側と二次側を間違えないようにしましょう。

出力トランスは強力で定格120mA/50Wの特注品とのこと。

尚、出力トランスは必ずしも大きければ良いと言うものではありません。

 

ネジ付きスペーサー

トランスを付ける前に放熱用アングル固定用のネジ付きスペーサーの取り付けをお忘れなく。

これを忘れると一旦トランスを外す羽目になります。

 

サブシャーシ類取り付け

シャーシにサブシャーシと放熱用アングルを取り付けました。

サブシャーシはシャーシに取り付ける前に済ませておかなければならない配線があったのですが、この時全く気付いていませんでした(^_^;)

パーツも説明書の写真に倣って半田付けしてからシャーシに取り付けるのが良さそうです。

 

スペーサーへの工夫

放熱用アングルがほんの少し斜めに固定されているのに気が付きました。

写真の一番右のネジ付きスペーサーには平ワッシャーを2枚入れる必要があるため、どうしてもその分背が高くなってしまいます。

そこで左2つのネジ付きスペーサーに手持ちのスプリングワッシャーを入れました。

 

ショートに注意!

三端子レギュレターのすぐ脇に放熱用アングルの固定ビスがあります。

ショートしないように注意しましょう。

 

入力端子周り

入力端子周りのパーツ取り付け状態です。

余り綺麗な取り付け方ではないですね(^_^;)

ラグの固定部はM4のネジが入るように孔を拡げておく必要があります。

シールド線は後で取り付けます。

 

ACインレット周り

ACインレット周りの配線です。

 

スイッチ周り

スタンバイスイッチ(右)とパワースイッチ(左)周りの配線です(途中)。

使用する時は、最初スタンバイスイッチをONにして真空管を暖め、その後パワースイッチをONにします。

エージングをする時はスタンバイスイッチのみONにします。

 

ブリッジD.の交流側

ブリッジダイオードの交流側配線をしたところです。

直流側と交流側のどちらを先に配線するか迷ったのですが、交流側を先にしてみました。

交流配線ですのでコードを撚っておきます。

 

ブリッジD.の工夫

説明書にはありませんが、ブリッジダイオードの直流側リードを丸く加工して輪にしてみました。

コードが外れ難くするための工夫です。

 

レギュレターとケミコン

三端子レギュレターのリードを少し上に曲げ、電解コンデンサーを半田付けします。

 

ブリッジD.とレギュレター

ブリッジダイオードの直流側リードと三端子レギュレターをコードで繋ぎます。

 

ブリッジD.とケミコン

ブリッジダイオードに電解コンデンサーを半田付けします。

コードをしっかりリードに巻き付けてあるので、半田が熔けても外れません。

ブリッジダイオードのリード加工作戦は有効でした。

 

配線漏れ!

ここまで来たところでサブシャーシAの裏にコードを通しておかなければならなかったことに気付きました。

でも何とかコードを通すことが出来ました(^_^;)

 

又も配線漏れ!?

300Bのヒーター配線もパーツ取り付け前に配線しておかなければならなかったのです!!

指定位置にコードを通せないので止むを得ずサブシャーシの裏に通しました。

 

B電源配線

B電源の配線はこんな感じでごちゃごちゃしています。

ラグの孔にコード3本とパーツのリード2本も入り切れません。

リードを2本孔に入れ、コード3本を撚り合わせてから半田付けするなどの工夫が必要です。

 

チョークコイルのリード

チョークコイルのリード線の長さが足りなかったので同じ色のコードで延長しました。

 

ヒーター用抵抗

300Bヒーター用抵抗(青)を取り付けました。

ジャングルジムのような立体交叉状態です。

抵抗の下に見えるコードの配線を済ませてから抵抗の半田付けをしました。

 

 

カップリングとNFB抵抗

カップリングコンデンサーは取り敢えず標準とされる黄色いマロリーを付けました。

NFB抵抗も標準とされる15kΩ(写真の矢印部)にしました。

後でチェックし易いように抵抗の向きを揃えたつもりでしたが、良く見ると揃っていませんね(^_^;)

極性はないので問題はないですが・・・

 

シールド線の端末処理

説明書には書かれていませんが、シールド線の網線に黒のコードを半田付けして、半田付け部に熱収縮チューブを被せました。

こうすると網線側の配線が楽ですよ。

 

OFHCケーブル

300Bグリッド配線にベルデンOFHCケーブルを使用します。

細かいところにも気を使った設計ですね。

 

グリッドコード

電圧増幅管用のグリッドコードを作ります。

 

出力トランスのリード

出力トランス二次側の使用しないリード線の末端は本来熱収縮チューブを被せるのですが、使い果たしてしまったのでビニールテープで処理しました。

熱収縮チューブをもう少し余分に付けていただくと嬉しいですね。

配線完了

4月17日完成しました。

土日メインでしたが、11日間掛かりました。

誤配線はないようです。

高電圧注意!

完成したら各部の電圧測定をします(説明書にはゴム手袋をするように書かれていました)。

整流管の2つのプレート間電圧は大変高く、パワースイッチOFFで960V、パワースイッチONで940Vでした(個体差があります)。

1,000Vが確実に測れるテスターでないと大変危険です!

指示されてもいませんので、ここだけは測らない方が安全です。

自己バイアスなので調整箇所はありません。

 

高温注意!

パワースイッチ回路に付ける10W15kΩは特に温度が高いので、火傷に注意しましょう。

高熱のため抵抗の印字が薄くなってしまいました(4月18日撮影)。

定格10Wに対して実測8Wですからまだ2割の余裕があります。

これ以外もセメント抵抗は温度が高くなるので、他のパーツや配線から離しましょう。

 

セメント抵抗のその後

4月30日再度撮影しました。

印字がより薄くなっていました(光って見えない訳ではありません!)。

尚、この抵抗はスタンバイの時にしか発熱しません。

しっかりエージングした証でしょうか(^_^;)

大橋店長からも問題ない旨のメールを頂戴しています。

 

ラックに設置

完成後ラックに入れました。

発熱量が結構多いので注意が必要です。

説明書には真空管頭頂部に200mmの空間が必要だと書かれていました。

実測消費電流2.13A、消費電力177Wでした。

因みにスタンバイ時は1.04A、81Wでした。

 

WCW入荷!

5月12日、注文していた長谷弘工業のWCW-F200Aが3箇月程掛かってやっと入荷しました。

ユニットはFostexのフルレンジF200Aです。

それに同社のスーパーツイーターT90Aを追加しています。

音道開口部は塗装してあるのでコンクリートっぽく見えないですね(塗装色は購入者の指定色です)。

試聴結果

ずばりSV-91BとWCWとの相性は最高です!

長谷弘工業の試聴室で聴いた時、僅かに不足を感じていた低域には何の不満も感じませんでした。高域も大幅に改善されツイーターのアッテネーターは絞り切る直前で十分でした。

音源、球の種類、ジャンル、好み等によっては、ツイーターの追加は不要だと言えます。

大変切れの良い力強い音です。大型のスピーカーで聴いているような錯覚を覚えます。又、すぐそこで歌手が歌っているかのようなリアルさがたまりません。大橋店長が仰った通り最強の組み合わせでした。

40cmの奥行きと片チャンネル34kgほどの重量が許容出来れば6畳間にも置けるサイズですので、お勧め出来るスピーカーと言えるでしょう。

このWCWは長谷弘工業の直販のみとなっておりますので、お問い合わせは直接同社までお願いします。尚、基本的に日曜日は休業となっております。

 

【製作を終えての感想】

矢張り上級者向けのキットですね。配線がテンコ盛りです。半田付けに自信がない人は別のキットで腕を上げてから挑戦した方が良いでしょう。

球を挿し替えても音が変わりますし、NFB抵抗やカップリングコンデンサーの交換でも音が変わりますので色々楽しめるアンプです。特に300Bは数多くのメーカーが生産販売していますし、自己バイアスですからパワー管の交換は簡単です!

永年求め続けてきた音を得ることが出来、毎日幸せな気分です。

このアンプとスピーカーの組み合わせで末永く使えそうです。

何故か私が購入したキットは製作記が少ない(又はない)ですね。この製作記が購入を検討されている方や、これから製作しようとされている方の参考になれば幸甚です。

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