キット屋倶楽部
   
   

静岡のA倍さんのSV-19D製作記

 

 これまでエレキット製品を始めとするシングルアンプを4機種ほど組立てましたが、プッシュプルアンプを作ってみたかったこと、本格的な手配線のアンプ製作に挑戦したかったことが購入の動機で、店主日記での製品紹介や6月の東京試聴会で初めて実物の音を聴いた時から気になっており、価格的にも手頃であったことで食指が伸びました。8月にPARCウッドコーン(DCU-F121W)の自作ダブルバスレフを苅谷の試聴室に持ち込んで、組合せて聴かせて頂いた時にすっかり惚れ込んでしまい、そのまま車に積んで帰りました。

 早速開梱して中身を確認。見事なまでにバラバラで部品点数も多く本当に組立てられるか少々不安になりました。

こんな感じでパーツが丁寧にビニー ル袋に
小分けにされていました。

 はやる気持ちを抑えてマニュアルを熟読、しっかりイメージングしてから組立て開始です。組立て開始前には忘れずにパーツの内容確認をしましょう。一部のパーツは入手性の都合からか、上位互換のパーツがセットされている場合があるようです。

 手始めにCRパーツのリードのクリーニングを実施しました。それ程汚れているわけではありませんが、気分の問題でいつも実施しています。キットは組立て効率を考えずに、手を掛けたいだけ掛けられるのが良いところで、自分の拘りの作品に仕上げることができるのが大きな魅力です。

クリーニングはサンハヤトの接点 クリーナを
ペーパータオルに染込ま せてリードを拭き
ます。このクリー ナは油分をしっかり除去し、
使用後 は完全に蒸散しますので機器の端子
のクリーニングにも好適な優れもの です。

 最初は基板(2L15P,2L8P)の組立てです。背の低い部品から取りつけて行きますが、裏面のジャンパー経路を事前に把握しておきます。ジャンパーはリードの余長部をうまく活用し、不足する部分は切断したリードを再利用します。基板はクリップスタンドなどに固定すると作業がし易いです。クリップスタンドはパーツの仮固定や、配線コネクタの端末仕上げなど、色々と重宝しますので持っていると良いと思います。(この程度の物なら1000円前後で購入できます)

2L15P基板表面 2L15P基板裏面

 赤丸部分の端子は使用しないのでジャンパーが接触していても問題有りませんが、気分でワニスチューブを掛けてみました。

2L8P基板表面 2L8P基板裏面

 電解コンデンサの取付け向きが異なりますので注意が必要です。(赤矢印が−側) 裏面の斜めのジャンパーにもあまり意味は無いですが、ワニスチューブを掛けてみました。

 基板が完成したら次はシャーシへの部品の取付けです。インレット,ヒューズボックス,電源インジケータ,スナップスイッチ,RCA端子,SP端子など小物から取付けて行きます。次に真空管のソケット,ラグ板を取付けます。重いトランス類は最後に取付けます。(リード保護のグロメットを忘れずに)

 なんとなくアンプらしくなってきました。

 VRアッセンブリーはシャーシ組付け前に事前に組立てておきます。この時、VRの回り止め側の皿ビスはVR取付け後には挿入できないので先に入れておきます。また、バイアス用とバランス用では容量が違うので取付け位置に注意します。

 赤丸部のラグ端子はアースポイントになりますので、ラグ足とシャーシの間に菊座金を忘れずに挿入し、シャーシに確実に接地させます。

 出力トランスの間隔は非常に狭いので取付け穴の余裕の範囲でお互いが接触しない位置にしっかりと固定します。私はトランスカバーを取付けないで作業を進めましたが、ビニールテープなどを用いて塗装保護,養生をしておけば、カバーがあった方が裏返しに置いた際、安定して作業し易いかもしれません。

 いよいよ配線作業開始です。まず最初は電源供給,ヒータ電源系とアースラインの結線です。配線は比較的細く、可撓性も良いので作業は容易です。但し、入門キットのように配線の長さは指定されていませんので実体配線図を良く見ながら経路を確認し、適当な長さにカットします。(端末はハンダメッキを忘れずに)

 マニュアルにはどちらでも良いと記載されていますが、配線はラグ板の鳩目穴を利用し、端子上部にはCRパーツを組みつけられるようにします。私はあまり気にせずに作業したためCRパーツ取付け時に、数ヵ所ハンダ付けし直しました。

 シャーシアースポイントのラグ板(4端子)の両端の端子は入力ボリューム間のコンデンサを取付けますが、それ以外のパーツは無いのでしっかりと確実にアース配線を実施します。

 次は高圧・トランス周りの配線です。出力トランスの16Ω(青)リードはNFBに使用、SP端子には4Ωもしくは8Ωのどちらかのリードを選択して結線します。使用しないリードは端末を熱収縮チューブで覆ってインシュロックで束ねておきます。

USオクタルソケットへの配線は下の穴(真空管側)を使用します。また、MT管ソケットは長穴が1個だけしか有りませんので、1,9番端子の結線はからげのみとしておいて、抵抗を取付ける時に一緒にハンダ付けした方が良いです。(私はたっぷりハンダを盛ったためやり直しせざるを得ませんでした)

  マニュアルは作業ステップ毎に実体配線図が記載されていますが、それだけを頼らずに回路図や最終ページの配線用確認用大図面と見比べながら最終仕上がり状態をイメージして進めることをお奨めします。

入力系の配線完了です。手ブレ写真で
見難いと思いますが、RCA端子〜入力
ボリューム間の配線(赤丸部)は作業性
を考慮してCRパーツ取付け後に実施し
ます。

 いよいよCRパーツの取付けですが、これらの作業完了後に、配線ミスや漏れの修正作業は困難と成りますので、ステップ毎のチェックはもちろんですが、ここでしっかり気分転換してチェックしておくことをお奨めします。

 CRパーツは取付け位置を確認してリードをイメージ通りに成形して端子にからげてハンダ付けします。(この作業も手配線の醍醐味ですので、楽しみながら作業を進めます)

 入力ボリューム部は混合っていますので、オイルコンのリードにはワニスチューブを掛けました。私は実施しませんでしたが、オイルコンのリードは細く腰が弱いので、その他の部分のリードにもチューブで絶縁をしておいた方が良いかもしれません。

 以上でハンダ付けの作業は完了です。最後にもう一度、配線,CRパーツの取付けミスがないか確認し配線をインシュロックで束ねます。ハンダ不良(虫眼鏡は必需品)や切断したリードの端材などが残っていないかもしっかりチェックします。

 インシュロックで配線を束ね、CRパーツのリードの成形状態を整える時はなんともいえない充実感で満たされます。お見せするのは恥ずかしい出来栄えですが、こんな感じでまとまりました。

 いよいよ真空管を装着し待望の灯入れです。(ヒューズの付け忘れのないように)ヒータが赤熱しほのかにグローが確認できます。マニュアルに従ってバイアス,バランス調整を実施し、指定ポイントの電圧を測定します。本機は球無しキットでデフォルト固定していませんが、マニュアルには6L6GC装着にてアイドリング電流40mAとした時の設計値が参考として記載されています。

  私は手持ちのGD 350Bで測定を実施しました。バランスVRの電圧とMT間のプレート電圧は規定値を外れていましたが、無事一発で音出し成功となりました。多少心配でしたので、測定結果について問合せたところ、迅速なメール対応で「管種や管特性のバラツキによっても違いが生ずるので正常範囲である」とのコメントを頂き一安心しました。(いつもながらキット屋さんのサポート体制は本当に心強く感謝感謝です)

 完成したアンプの外観です。マッキントッシュMC275を彷彿させる佇まいはチョー格好良いです!

 肝心な音ですが、やはり鳴り始めですので硬質な感じはあるものの、レスポンスの良いスピード感のある明晰な音です。(初段:JJ 12AX7出力段:GD 350B)音出しは根津理恵子さんのパデレフスキ,ショパンで実施しましたが、音場感が良く出ているようです。これから先エージングが進めば、本領を発揮し、試聴室の音を再現してくれるものと思います。楽しみはまだまだこれからです。

こんな環境で楽しんでいます!

 
   

 キット製作に関する感想ですが、プッシュプルアンプで部品点数,配線ヵ所が多く複雑なキットですが、作業ステップ毎に構成された親切で解り易いマニュアルのおかげで、電気的な知識が殆ど無い私でも大きな問題も無く完成させることができました。

 パーツレイアウトも適度な密度で、シャーシ構造もあいまって、多少不慣れでも困難な部分も無く、組立て易いキットだと思います。全くの初心者では少し厳しいかも知れませんが、SV−16K,17Kなどで手配線要領の基本を一度経験していれば問題ないと思います。本格的な手配線アンプキットとしては造る過程も、造った後も楽しめる、超ハイCPのお奨めのキットだと思います!  尚、このアンプは半固定バイアスを採用していることから出力管はクウォッドでなくても使用可能で、手持ちのペア管にもう1ペアを買い増しして使うことも可能とのことです。

 私自身、エレキットのTU−879Rで真空管アンプの虜となり、差し替えによる音色の違いを楽しんだ経験を持っているので、6L6属の管種の異なる出力管を3ペアほど所有しています。これらの手持ちの死蔵しかかっている出力管を有効活用してこの遊べるパワーアンプで、もう一度楽しんでみようと思っています。

 正直、最初はアンプキットに手を出すのを躊躇しましたが、製品には無い、キットならではの能動的な楽しみがあることを知り、今では完全に後戻りができなくなってしまいました。大橋様をはじめとするキット屋スタッフメンバーの皆さんのサポート体制も心強い見方であり、これからもアンプ,スピーカなどクラフトオーディオ道を邁進して、本来の目的である音楽鑑賞を存分に楽しんで行きたいと思っています。



2008年8月吉日     

 
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