キット屋倶楽部
「SV−9T(6BM8バージョン)の製作記」

はじめに

SV−9T(6BM8バージョン)作成にあたり
 9月の末に、サンバレーのSV−9T(6GW8)を組み立てし、その大きさ(非常に小さいボディー)からは創造も出来なくらいの音のスケールと、6GW8真空管のもつエレガントな音質について非常に感銘をうけ、もし6GW8の代わりに同じ3極5極複合管の6BM8を使用すればどのように音の違いが出るのか興味をいだき、また6BM8を使ったアンプを所有していないことから今回、サンバレーの大橋様に無理を承知で、SV−9Tの6BM8バージョンのキット部品を集めてほしいとお願いしたところ、非常に快く引き受けていただき、先般待望のSV−9T(6BM8バージョン)のキットを手にし、製作することができましたので、その製作記、音の違いについてレポートしてみました。
 はたして本家6GW8と隠れた実力者6BM8のSV−9T対決やいかに?


1.キット造りのご紹介

 10月中旬、待望のSV−9T(6BM8)のキットが到着、早速部品チェックを実施しました。(一部ネジ関係が不足していましたが、メールで連絡、即対応いただけました。さすが、キット屋・・・アフターケアーはバッチリです。)
こうしてみると6GW8バージョンと部品点数はまったく同じでした。
 (同属の真空管ですので、回路構成などは同じです)
2.到着した真空管(6BM8)のチェックを実施
 出荷前に特性のチェックなど実施していただいていますが、運搬中の不具合で真空管にダメージが無いか念とため真空管試験機でチェックしました。・・・問題なし
 今回入っていた6BM8はSOVTEK(ロシア)、6GW8はタングスラム(ユーゴ)でした。6BM8は現在でもロシアで製造されており、入手は容易ですが6GW8はもう製造されておらず、流通ストックのみとのこと。非常に残念ですが6GW8は非常にこった(複雑)真空管で、製造できるところも無く、また作っても儲からないためにどこの国でも製造されていないそうです。

3.電源周りの組み立て

 各パーツをシャーシーに実装(軽いものからはじめる)し、配線関係を実施、CRパーツの取り付けを行います。このあたりは6GW8バージョンと大差なし。(細かなパーツのスペックと配線位置は6BM8の仕様に合わせて変更されています。)
 ここでAC配線はよくひねっておきましょう(誘導ハム防止のため)

4.電源コードの組み立て

 コネクターに電源ケーブルをはんだ付け実施。小さな万力でコネクターを挟みはんだ付けを実施しました。
 ここで今回組み立てに使用しているはんだは和光テクニカルの銀入りはんだです。

5.パーツの実装、配線関係完了

 今回メイン配線はテフロン線(1mm単線銀メッキ)を使用しました。これを使用すると真空管ソケットの受け金具がしっかりと固定され、真空管のがたつきが減少します。
 写真で見てのとおりですが,スピーカーへつながるケーブル(出力トランスから伸びたリード線)が短いため、きつい状態の配線となりました。(後日中継のラグ版を取り付け、配線に余裕を持たせるように変更しました。)
6.CR関係パーツの実装
 カップリングコンデンサはビタミンQオイルペーパーコンデンサです。これは6GW8バージョンも同じでした。
 見た感じも6GW8バージョンと殆ど同じです。
 このSV−9Tの特徴ですが、ボディーがかなり小さいので、部品点数が少ないとはいえ、この状態ですと殆どハンダコテの入る隙間がありません。くれぐれも部品装着の順番をきちっと整理し、取り付けなければあとから修正など非常に困難になります。
 十分におちついて組み立て説明書の順番にあわせていけば確実に組み立ては可能かと思います。

7.電源部分との合体、各部の電圧チェックを実施

 本体と電源部分の配線を接続、もうこれで一体結合となり、離れることは不可能です。
 各部の配線、接続状態を再確認し、真空管をささずに電源投入、・・・異常なし。
 各部の電圧を取説でチェック(真空管をさしていないので、各電圧は高めに出ます)

8.組み立て完了後の写真
 SV−9T(6BM8)バージョンの勇姿

9.SV−9T(6GW8)バージョンとのツーショット
 右が6BM8バージョン、左が6GW8バージョン
 真空管の違い以外はすべて同じ(回路定数は当然違います)

10.今回の製作マニュアル

 左は以前製作した6GW8バージョンの正規の取説、右は今回作っていただいた6BM8バージョンのマニュアル。組み立てに際して、新旧のマニュアルを見ながら組み立てました。6BM8のマニュアルは大橋様手作りの手書きマニュアルです。6GW8のマニュアルと併せて使用したので、誤配線なく組み立て完了しました。

11.真空管のバーイング、エージングを実施中

  ひたすら音を出さず、電源を入れっぱなし(合計24時間実施)

12.取説に無い工夫

1)スピーカーケーブルの手直しについて
 今回付属していた出力トランスから出ているリード線ですが、以前のSV−9Tに付属していたトランスと同じものにもかかわらず、スピーカー端子へ行くリード線が若干短く、きつめの配線となっていました。ケースを合体させると電源トランスに圧迫され悪影響が出そうなので、今回はラグ板を1つ追加し、リード線を中継させることにしました。(写真左中央)

2)セメント抵抗と電解コンデンサーの取り付け位置変更

 取説にはセメント抵抗とパラ接続の電解コンデンサー(100μF)は写真とは逆に下側へ取り付けることになっていましたが、抵抗の熱を出来るだけ避ける必要から、通常アンプを使用するときは写真とは反対の状態になるため、取説どおりにしますと抵抗の上にコンデンサーがくるので、今回は反対(写真のとおり)に取り付け、抵抗からの熱の上昇による過熱を防ぐようにしました。(写真上部)

13.視聴中のSV−9T(6BM8)

 エージングも完了し、早速SV−9T(6BM8)を視聴しました。
 最初の音だしですが、まず無音状態でのノイズの出方は6GW8バージョンと比較してもまったく差が感じられず、スピーカーに耳を当てないと判らない状態です。
 音の違いの確認ですが、普段良く聞くセリーヌ・ディオンやダイナ・クラークなど女性のボーカルについては私の耳では殆ど区別がつきません。これは真空管のみの違いでその他の部品すべてが同じなため、違いが出にくいのだと思います。ただ、しいてあげればエレガントな音の出方と高音、低音の伸び方で、6GW8がやはり1つ抜き出ているようにも感じます。 これはやはり6GW8がオーディオ専用に開発された真空管であることも一つの要因かもしれません。ただどちらのアンプも本格的なエージング(初期バーイングとエージングは完了)が済んでいないので、これから音の変化、真空管の持ち味が出てきて変わっていくかもしれません。両方とも十分に使いこなして音の変化を楽しみたいと思います。


14.最後に
 今回は真空管のみ6GW8から6BM8に変更したSV−9Tを大橋様にお願いし、部品をそろえていただきました。本来ですと特注品として、大変手間(取説はハンドメイドなど)と労力のかかることだと思います。それをお願いしてから一月足らずでそろえていただきかつ価格的にも真空管の価格差分、安く提供していただきました。普通、特注品であればそれ相応の費用がかかるはずなのですが、まったくそのへんのコストアップを消費者へ転嫁せず、そのままの価格で売るなんて、普通のメーカー、お店では考えられないことをこのキット屋さんは成し遂げられています。改めて消費者第一主義の大橋様に、わがままな消費者(私)の夢をかなえていただけることに対して感謝とお礼を申し上げたいと思います。
 写真左は複合真空管の貴婦人である6GW8、右は今回健闘してくれた6BM8の勇姿です。(6GW8は真空管測定器の結果もすばらしくとても良い真空管でした。)
 この6GW8がもう製造されていないなんて、とても残念でなりません。今回はこのSV−9T(6GW8)アンプを手にすることが出来たことは非常にラッキーだったと思いますし、6BM8バージョンをとおして、あらためて6GW8のすばらしさが判りえたことは、両方を作ってみて良かったと思います。

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