キット屋倶楽部
「VP-3488 の製作記」

注文〜到着
 今年(2004年)の1月始め、私にとって初めての管球キットアンプ SV-501SEを完 成させ、その喜びと共に、次の日には大橋さんにメールして『VP-3488』を注文し ていました。キットアンプの魔力に取り憑かれた様に...
注文後4日で『VP-3488』はやって来ました。とてもスピーディーな対応ですね。

キット全貌
 キット全部を広げてみました。かなりの物量で、一つ一つを見ても厳選された 部品構成は低価格でありながら一切妥協を許さない設計者の意気込みが伝わって きます。美しく輝くシャーシと、高級感溢れるヘアラインが施された無垢のアル ミのフロントパネル、全て金メッキされた入出力端子、見た目以上に重いトラン ス類、これで7万円を切る価格には思わず脱帽です。

部品たち
 部品の種類毎に袋が熔着されており、部品名または配線図上の番号が貼られて います。とても分かりやすいですし、バラバラになってしまうことも回避できま すよね。

予感
 写真は撮っていませんが、この状態でEL34を1本立ててみました。シャーシに 映る真空管の美しさにしばらく見とれてしまいました。

真空管
 標準で付属されるトライオードオリジナルのEL34と、オプション購入のサンバ レーオリジナルのKT88です。このアンプは、34と88を無変更で差し換えできるこ とからVP-3488と命名されたそうです。ユニークで覚えやすいですね。

ビタミンQ
 今回は、初期からカップリングコンデンサを東一のオイルペーパービタミンQ シリーズに変更して製作しようと別発注しておきました。比較の写真はありませ んが、標準のコンデンサとは大きさが二まわり以上違うので、設置には工夫が必 要です。

基盤
 R基盤とL基盤です。ここに部品をハンダ付けしていきます。

シルク印刷
 基盤上には配線図と同様の部品番号やコンデンサの極性も印刷されており、電 気的知識がなく配線図が理解できない私でも作ることができる様になっています。

管立て
 真空管のホルダーは、予めハンダ付けされています。

R基盤
 やはりコンデンサの取付けには苦労しましたが、何とか出来ました。

L基盤
 R基盤とL基盤では向きが違うので部品の配置も微妙に違います。コンデンサ もR基盤と同様にはいきません。

バイアス回路基盤
 バイアス回路基盤も完成しました。

ひたすら
 と思いきや、ハトメ部分のハンダメッキを全基盤で施さなければならず、あま り楽しくない作業を黙々と続けました。

完成?
 やっと基盤完成です。

ヒーター配線
 しかし、ヒーター線の配線が残っていました。基盤の部品付けは慣れると上手 にできる様になりますが、配線は難しくてイヤですね。ハンダとハンダゴテで両 手が塞がってしまえば誰がリード線を固定しておくの?って感じですよね。皆さ んはどうされてますか?私はホームセンターで、太い針金を数メートルの巻きで 買ってきて、そのまま針金の先にワニ口クリップをハンダ付けし、第三の手とし てリード線の固定に使用しておりますが、これがなかなか便利ですよ。

金メッキ
 入出力のターミナルを付けました。

入力端子アース
 入力側のアース端子を、線材を利用して一つにハンダ付けします。この工程は 組立説明書では最後の方に出てくる作業ですが、何もない状態で行う方が楽だと 判断してこの状態で行いました。この後の配線にしても同様で、一度組立説明書 全てに目を通して頭の中でシミュレーションしておくと、作業順序の判断がしや すくなりますね。

出力端子アース
 出力端子のアース側も同様にハンダ付けしておきます。

基盤取付け
 各トランスのワイヤープロテクタをハメ込みます。シャーシにスクリューナッ トを立て、各基盤を固定します。

浮上
 真空管ホルダーがシャーシ上部に顔を出します。

メーター
 バイアス切換ロータリースイッチとバイアス調整用メーターを取付けます。

ロータリースイッチ
 メーターの裏側の固定部分です。

電気
 シャーシ裏側にチョークトランスを取付けます。

変圧器
 シャーシ表側の真ん中に電源トランス、左右にアウトプットトランスをナット で取付けます。

高重心
 重心がかなり上になりますので、組上がったアンプを不用意に持ち上げると、 後ろに倒れそうになります。

配線完了
 スミマセン、完成後の写真のみです。
何とか綺麗に出来たのでは...と自己満足しております。
配線処理中は写真を撮ることさえ忘れてしまい、配線図と睨みっこしながら完 成後のことばかり考えてしまいます。「この位置に置いて、電源はあそこからと って、一番初めはやっぱりあの曲から...」とか、ワクワクしてきますね。物 を作ることは、人間にとって、特に男にとって、大事なことなんだと実感します。

内部配線1
 インプット・セレクタとバイアス・ボリューム周辺です。

内部配線2
 電源ソケット、ヒューズ、バイアス回路基盤周辺です。1つの接点に4本のリ ード線をハンダしなければならない部分が2ヶ所もあって、経験の浅い私にとっ て苦労するところです。

内部配線3
 L基盤周辺です。中央上部付近にインプット・セレクタのシャフトが通ります。

内部配線4
 電源スイッチ、ボリューム、R基盤周辺です。パイロット・ランプはリード線 でツッパッている様な感じです。

完成
 完成です。
イイですねェ。実に美しい。

EL34
 とりあえずはEL34を装着してみました。

横顔
 こうして眺めてるだけで、良い音しそうな雰囲気いっぱいです。

後ろ姿
 見えない背面もオシャレですね。

インプット・セレクタ
 上手く鳴ってくれるでしょうか? 後ろに写っているハセヒロさんのバックロ ードSP達も心配そうです。

電源ON
バイアス・ボリュームを右いっぱいに回しておき、いよいよ電源を入れます。
この瞬間が一番緊張しますが、製作の楽しみも最高潮に達します。
「プチッ」...「シーン」.....ボゥ...「成功です!!!」
何と、SV-501SEに引き続き1発OKでした。思わず嬉しくてトランス付近をナデ ナデしながら周囲を一周して眺めてしまいました。1分以上経過後、異臭や異音、 異常発光などもなく、説明書に従ってバイアス調整に進みます。バイアス切換ロ ータリースイッチでターゲットの真空管を切換えながら、サイドにあるバイアス ・ヴォリュームを時計逆方向に回し、メーターの針が「Set」の位置に来るよう に調整します。1-->2-->3-->4を2回以上繰返し、安定すればOKです。 いよいよCDプレイヤーとスピーカーを接続して音出しです。
「プチッ」...「シーン」.....チカッ...「鳴りました!!!」
少しずつヴォリームを上げていく、フッ っとケニーGがうかび上がる。
大成功です!

『 SONY XA50ES 』−『 VP-3488(EL34) 』−『 MM-191T + FOSTEX F200A 』
 綺麗な音色です。低域から高域にかけて何のストレスもなくメリハリを付けながら立ち上が っていく。直接入力によるクリアな音質に加えて真空管の温度感も感じることができます。

『 SONY XA50ES 』−『 SV-722 』−『 VP-3488(EL34) 』−『 MM-191T + FOSTEX F200A 』
下位のパワーアンプやスピーカーは、何であれSV-722のしもべと化し、コントロールの名の ままに制御下に置いてしまうことになる。かと言って、決してパワーアンプの色を塗り替え ることはせず、確実にそのアンプの性格を引き出す。VP-3488(EL34)の場合、スピーカーから は1音1音に意味があるかの様に押し出され、正確に、しかも美しく表現する。定位もキッ チリと安定し、緊張するほどの音場が目の前に広がります。

『 SONY XA50ES 』−『 SV-722 』−『 VP-3488(EL34) 』−『 MM-151S + DIYAUDIO SA/SF80AMG 』
8cmだとはとうてい思えない驚異的なユニットを駆動してみました。このスピーカーの長所で ある切れの良い低域が更に締まった感じで鳴ります。さすがに大音量だと限界がありますが、 ボリュームを絞るとFOSTEX F200Aよりバランスが良く、高域も非常に澄んでおり、聴いていて 気持ち良い音を奏でてくれます。

KT88に交換
 KT88に差換えてみました。こちらも素晴らしいですね。眺めているだけで飽き ないのは私だけでしょうか?

PRIME TUBES KT88
 「SUN VALLEY」のロゴも気に入ってます。

勇者の如く
 いかにも重心の低さがその容姿にも表れている様です。

通電!
 さぁ、火を入れてみましょうか?

着火?
 真空管交換時は、始めて電源を入れた時と同様にバイアス・ボリュームを右い っぱいに回しておき、電源オン後、バイアス・ヴォリュームとメーターにてバイ アス調整をおこなう必要があります。
雰囲気&音 ともに抜群です。

真空灯
 惚れ惚れする美しさですね。

『 SONY XA50ES 』−『 VP-3488(KT88) 』−『 MM-191T + FOSTEX F200A 』
EL34から差し換えてみると、中低域の重心がグッと下がって厚みが増すのが解ります。 コルトレーンのサックスが太くなった様なイメージを受けます。逆にEL34に比べると幾分か 高域の伸びやかさが弱くなった様に感じますが、エージングによって良くなるのではと思い ます。

『 SONY XA50ES 』−『 SV-722 』−『 VP-3488(KT88) 』−『 MM-191T + FOSTEX F200A 』
やはりSV-722の圧倒的な制御は、ここでも遺憾なく発揮され、「ところ変われど主ひとり」 的な性格で、真空管の種類が何であろうがその操縦力はスゴイと言わざるを得ません。 VP-3488の視聴感想というよりSV-722の素晴らしさが目立つ内容となっていますね(笑)
数曲聴いたのですが「 KT88 = Jazz 」という先入観が間違っていたことに気付きました。 クラシックの室内楽の方がよく似合うように思いました。

『 SONY XA50ES 』−『 SV-722 』−『 VP-3488(KT88) 』−『 MM-151S + DIYAUDIO SA/SF80AMG 』
この組合せで『SA/SF80AMG』が一番動いていました。エッジが延びてしまうのではないかと 心配なくらい前後します。音質は非常にナチュラルで、聴き疲れしないサウンドです。

視聴CD
 今回、視聴に使った4枚です。
  THE MOMENT / KENNY G
  Ballads / John Coltrane
  LOVE / 中島 美嘉
  月の舟 / 歌枕 直美

『月の舟』は特にお気に入りの一枚で、大阪で有名な産婦人科の医院長がプロデュースしたソプラノ集のCDです。

  「美しい言葉、美しい精神。
   いま、伝え継ぐべきものを音楽で綴っていく。
   母と子の深い絆を記憶する慈しみのメッセージ。」

透き通った音場に広がるソプラノの美しさ、時には強靭で力強く、時には繊細で 優しく、歌枕さんの声が心に響きます。特筆すべきは、その中に納められている 曲のほとんどが、万葉集の歌をソプラノで歌いあげられていることでしょう。和 の心とソプラノが融合した美しい世界へと誘ってくれます。他にも大阪の子守歌 など全13曲納められています。CD自体も非常にレベルの高い優秀な録音で、 『タイタニック』と共にシステムチェックには必ず使用しています。

システム全景
 システム全景です。かなりマニアックな感じでエキゾチックですね。

システム機器
 左上が一番最初に製作したSV-501SEです。真ん中のSV-722はサンバレーさんに 作っていただきました。SV-722の存在感は凄いですね、その実力は価格の3倍以 上と言っても過言ではないでしょう。右上はLUXKIT KMQ60で「50CA10」のPP構成 で、これもなかなか素晴らしい艶のある音を表現してくれます。今回のVP-3488 が出来上がるまではメインとして使用しておりました。CDプレイヤーはSONY XA 50ESですが、そのうちModel2とCEC CD-3300BKを導入しようかと目論んでおりま す。そして新入りVP-3488です。
こうして眺めていると嬉しくなりますね。アンプの設計や部品構成をしたわけで はなく、ただキットを説明書通りに組んだだけですが、何日もかかって自分の手 を使って完成させた充実感は、パッと買ってきて設置した物とは明らかに想いが 違います。
ちなみに最上段はアナログ『YAMAHA GT-2000』です。

スピーカー
 スピーカーはHasehiroAudioさんの自作バックロードホーンです。
『 MM-191T + FOSTEX F200A 』と『 MM-151S + DIYAUDIO SA/SF80AMG 』です。
少し前までは『JBL 4343B』を使用しておりましたが、このスピーカーに入れ替え てからはフルレンジの良さを実感し、その音の生々しさに惚れてしまいました。

最後に
VP-3488の組立てには、1日に30分〜1時間位の作業で、2週間で完成できました。
「組立説明書」も非常に完成度が高く、分からない箇所はありませんでした。 ただ一つ、「ワッシャーを適量使用して...」という曖昧な説明があり、素人 の私は出来るだけ必要と思われる箇所全部に使用しておりますと、最後に足りな くなって買いに走ったことがありました(汗)

今回は、自分なりに手配線の部分で気を使ったりして楽しみながら製作すること ができ、大変有意義な時間を過ごすことができました。でも、一番はやはりその 音を聴いて「音楽の再生」から「楽器の演奏」にしてしまう真空管アンプの素晴 らしさを実感できたことです。
パワーアンプの「信号を増幅する」という本来の目的を遙かに越え、楽器の持つ 微妙な響きや、人の声の中の繊細な感覚までも再現し得る魅力的なアンプだと思 います。プッシュプルは「難しい、面倒だ」のイメージを破った素晴らしいキッ トだと思います。

大橋さん、トライオードさん、ありがとうございました。
これからも感動を供給し続けて下さい。


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