キット屋倶楽部
LEGO SPEAKER 第19報
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LEGOスピーカーの製作 第19報

 
     


写真1 マイクロタンデムドライブ LEGOスピーカー27号機

 
  1. とてもエキサイティングな日

 4月某日、大橋さんが私の部屋に来た。最新のLEGOスピーカーの音を聴いていただくためである。思えば3年前に7号機(第1報参照、8cmフルレンジバスレフ型システム)をザ・キット屋さんの試聴室に持ち込み、聴いていただいてから専門家の方には一度も聴いてもらっていない。最新のシステムの進化を見て欲しいのだ。
 当日までにデモンストレーションの段取りを考えた。最新の26号機までで現存する機種は18台あるが、2時間程度の中でその全てを紹介するわけにはいかない。初期の失敗作を見てもらっても時間の無駄だろう。ここは音に自信のある最近の大型モデルを聴いていただこう。用意する音楽も重要だ。いつも聴いているボーカル曲から音の良さそうなものを選んで常用のハードディスクレコーダーに仕込んだ。CDを取り替える手間が無いのでこういった時も重宝する。なんとなく試聴会の準備をする苦労がわかった気がする。
 当日はとてもよい天気で時間ぴったりに無事到着された。まさか、あんなに恥ずかしいことになるとは思っていなかったが・・・。
 
 まずは出来たての26号機である。初めて製作したタンデムドライブ方式のシステムで、私としては大型のモデルだ(前報参照)。独特の低音再現を見て欲しかったのだが、どうも正攻法でないモデルはプロには評価が低いようで(もちろん褒めてはくれたのだが・・・)確かに純粋に正しい音かと言えば?である。
 では、次は25号機だ。第17報で報告したがNS-10Mを手本としたLEGOスピーカー最大のモデルである。これには期待してくれているようであったのだが・・・このサイズではLEGOの弱点である強度の弱さが音に影響してくる。本来の期待の音とは異なる方向のようで感動はしてもらえない様子。うーん、やはりプロの評価はきびしいなあ。
 次のデモはちょっと考えがあった。LEGOスピーカーの最大の特長は改造性である。完成品だけ見てもらったら仕上げの素晴らしい先人達の木製スピーカーにかなうはずが無い。私が提案したのは24号機の調整指導であった。
 24号機(写真2)は、LEGOスピーカーはじめての本格2ウェイシステムで、コンセプトはシンプルなデバイディングネットワークで高性能ユニットの魅力を引き出そうというものである。このコンパクトサイズ(約4リットル)では強度も十分であるし、メーカー製に無い自作ならではの音を狙った意欲作なのだが、調整が完了していなかった。
 製作当初はトゥイーターにはアッテネータは不要と主張して、バカみたいなハイ上りのモデルにしてしまったのだが、とても高能率なトゥイーターFT48D(2.8cmソフトドーム)の高音域は鮮烈で、強力ウーハーFW108N(10cmペーパーコーン)でも、とてもつながる物ではなかった。結局-6dBのアッテネータを入れたが、まだ低音不足であった。このウーハーはもっと低音が出るはずといろいろと考えたところ、写真3は製作中の内部だが、吸音材の活性炭を詰め込みすぎていて問題であることが解った。ウーハー背部とバスレフダクトの周辺に入れた2袋の活性炭が音道のじゃまをしてバスレフが正確に機能していなかったのである。活性炭は砂袋のようなものであるから音の浸透性が低い。こんなもの詰め込んだらじゃまするに決まっているが、製作中には気が付かなかった。下側の2袋を外して再度調整を試みたが、このモデルはバスレフダクトの増減を行うたびに裏側のメンテナンスパネルを外さなければならず、LEGOスピーカーとしては調整が厄介で、そのうち次作品の25号機の製作作業が本格化してしまい、調整半ばで中断していたのだ。
まあ、正直に言うと上手く調整できないで放置していたのであるが、これはプロの調整方法を教えてもらう絶好のチャンスとお願いしたのである。
 大橋さんは快く引き受けていただき、持参のパソコンを取り出して私のSV-192SにUSBケーブルで接続して周波数スイープの信号音を聴き始めた。
・・・「トゥイーターの接続位相が逆ですね」ガーン!なんという初歩的ミス。確かにコンデンサをトゥイーターに1本入れただけのデバイディングネットワークであるから位相回りは90度で、接続は正相か逆相かどちらが正しいのか解らずに、逆相でつないだのだが間違いであった。よく考えたらウーハーと重なる帯域では位相は回っていないのだから正相が正しいのだが、そんなことも気が付かずにいたとはトホホである。
 「音量を3dB上げてください」・・・プリアンプのボリュームを手にして固まってしまった。3dBとは2倍である。あなたは測定器も使わずに再生音量を2倍に設定できるだろうか?プロとはそんなことができるのか?・・・と言うか私はそんなこともできないのか・・・急に恥ずかしくなってきた。正確に2倍を指示したのではないのだろうが、そういう観念が無かったのが恥ずかしい。

写真2 24号機 写真3 製作の様子

 「このトゥイーター12kHzがいいなあ」・・・12kHz?スペクトラムアナライザーも使わずにつぶやいている。「トゥイーターがまだきついのでコンデンサの容量を減らしましょう」「現在の1.5μFを1.0μFにしてください」「バスレフの周波数が合っていませんね」「1cmだと変化が少ないので2cm伸ばしましょう」ズバズバと指摘してくる。スイープ信号音を聴いただけで全て解ってしまうのか?やはりプロはすごい。経験が違うのだろうが、私だと測定器を使っても部屋の影響で何を測定しているのかわからなくなって、お手上げなのに・・・まだまだ修行が足りないなあ。
 作業はお手の物である。10分で指示どおりの改良をしたが、ここは感心してもらえた。LEGOスピーカーの素晴らしさである。写真も撮っているようで、「気にしないで作業を続けて」と言われた。調整の結果は図1に示す様にウーハーとトゥイーターの接続を正相にしてトゥイーターには-6dBのアッテネータと1.0μFのコンデンサで、-3dBのカットオフ周波数(fc)は計算では10kHzくらいになる。かなり高いfcだが、ウーハーが直結なので高音域で被ってしまい、トゥイーターをダラ下りでつなぐ方式である。その差+7dBと高能率なトゥイーターなので効果は十分だ。小口径ウーハーをフルレンジのようにダイレクトにつないでファンダメンタル帯域を鮮度高く再生したいという、正攻法のこのスピーカーのコンセプトが活かされている。バスレフダクト長は12cmとなり、吸音材の体積の影響があるので正確にはわからないが60Hzくらいのチューニングだろう。
 調整の完了した24号機で次々とパソコンの音源から持参された試聴用の音楽を聴いている。クラシック、ジャズ、ポップス・・・いろいろなジャンルであるが共通しているのは、その音の良さ。録音が重要であることは承知だが、私のシステムで、この部屋でこんなにすごい音が出るとは、かたわらで聴いていた私もオドロキである。
 音を確認しているというよりは素直に楽しんでいるようである。交響曲ではタクトまで振っている。私は大橋さんが小声でつぶやくのを聞き逃さなかった。
「ウチの試聴室でもなかなかこの音は出ない・・・このスピーカー買いたいなあ・・・」
最高に栄誉ある言葉であった。

 あっという間に2時間が過ぎた。貴重な実践の勉強をさせていただいた。また、私の未熟さも痛感した。もっと経験を積まなければ・・・。
 24号機は私のリファレンスシステムとなった。本当に今日はありがとうございました。

図1 24号機の調整結果
 
  2.タンデムドライブ再び

 前報の26号機は私的には大成功なのだが、疑問もある。こんなにでかくて宇宙船的異彩のデザインでは使わないときにはじゃまで始末が悪い。そもそも、内容積が7リットル以上もあるのでタンデムドライブにする必要があったのか?もちろん、サブユニットをON/OFFしてその効果は確かめたのであるが、もともと純粋な密閉型で設計しても、それなりのものにはなったのではないだろうか。技術の無駄遣い?技術とは実現困難なことに挑戦するためにあるのだと思う。もっとコンパクトなシステムに適用してこそ価値があるのではないか? ということで、今回の27号機は超コンパクトなマイクロタンデムドライブに挑戦である。
 スピーカーシステムのサイズは何で決まるのか?・・・希望の低音域再生能力であろう。低音域をあきらめればいくらでも小型化できる。携帯の発音素子でも音楽は聞ける。でもこれでは意味が無い。ではどのくらいのサイズが必要なのだろう。フォステクスのスピーカーカタログを見ると有名な10cmフルレンジユニットFE103Enでは標準のバスレフ型エンクロージャで推奨内容積は6リットルと記されている。24号機でも4リットル程度だから結構大きいのだ。
 バスレフダクトの共振周波数は理論的にはいくらでも自由にできる。たとえば内容積わずか1リットルでも、ダクトの開口半径を5mmにしてダクトの長さを10cmにすれば50Hz以下で共振する。でもこんなの動作するのか?ダクトが細すぎて気流抵抗が大きく、効率は低いだろう。だが、それよりも問題なのはユニットのfo(最低共振周波数)上昇である。
 密閉型はもちろん、バスレフ型でも開口部があるのに低い周波数域ではダクトの抵抗(気流抵抗とバスレフ動作のための損失)でエンクロージャ内圧が上り、ユニットのコーン動作に空気バネとしてのしかかり、この力は想像以上に大きい。いつもお世話になっているBachagi,hさんの自作スピーカー設計プログラムで計算してみると、FE103Enのユニット単体のfoは83Hzだが、内容積1リットルの密閉箱ではfoは約200Hzとなり、システムの低域周波数特性もこのあたりからダラ下り。2リットルで約150Hz、4リットルでも100Hz以上で確かに6リットルぐらい欲しくなる。この程度の容積がないと内部の空気の圧力によるスピーカー動作への影響がひどいのだ。バスレフ方式にすれば特性は改善するが、本来のfoである80Hz程度にダクトを調整したとしても内容積1リットルでは駆動ができない。バスレフの効果が見えるのは4リットルぐらいが必要か。
 内容積1リットルのワンリッターコンパクトスピーカーなんてバスレフの駆動ができないのだから絶望的である。メーカー製品ではパワーアンプ内蔵のアクティブスピーカーとして実現例はあり、ヤマハやBOSEなどから製品があるが、アクティブスピーカーではユニットの特性がわかっているのでアンプの力でfoを強制的につぶして、より低い周波数の駆動が可能なのである。しかし、こうした方式を自作に適用することは難しいだろう。
 そう・・・そこでタンデムドライブの登場なのだ。エンクロージャ内部に仕込んだサブユニットが内圧を低減してくれるので超小型化に有利なはずである。これはコンパクトスピーカーシステムにとっては密閉型、バスレフ型に続く第3の方式なのではないだろうか。
さらに、前回の26号機で経験したことであるが、タンデムドライブの内圧低減効果は低音域ばかりではなく、中高音域にも効果がある。ユニットの動きを阻害する要素が減ることは、より自然に駆動できるということで高調波歪の低減につながり、クリアな音質が期待できる。

 
  3.マイクロタンデムドライブ構想

 LEGOスピーカー製作の歴史の中でコンパクトモデルと言えば写真4に示す14号機である。詳細は第7報をご覧いただきたいが、8cmフルレンジを配した内容積1リットル以下の超小型モデルで、方式は当時の最先端技術であったスパイラルドバスレフ型である。まあ、一種のダンプドバスレフだが、先ほど述べたように十分な低音域再生に期待ができるわけも無く、大きさの割には楽しめるという程度のシステムだ。そして、もう一つの超コンパクトモデルが第8報で報告した15号機(写真5)である。こちらは5cmフルレンジユニット搭載で、音が出るという程度の造る事に意義があるというモデルであった。当然、常用にはならなかったが2機種あった15号機のうち、タイプAは後に21号機として復活する事になった。バイブレーションウーハーと称して振動器を内蔵して低音感の創出に成功したのである(詳細は第13報)。この21号機は先日までBGM用としてサブシステムで使用されていた。ただ、残念ながら本物の低音ではなかった。
 この原稿を書いているときもBGMでサブシステムが鳴っている。圧倒的にリスニングルームで気合を入れて音楽を聴く時間よりもBGMのサブシステムで聴いている時間のほうが長い。BGMも良い音で聴きたいのだが机上のごく僅かのスペースではマトモなシステムを置く事なんてできない。コンパクトでワイドレンジ再生のできるシステムは永遠のテーマなのである。

写真4 14号機 写真5 15号機タイプB

 14号機と15号機タイプBを紹介したのは、今回はこの2機種を合体してマイクロタンデムドライブとして、よみがえらせようという計画なのである。何よりもすばらしいのは素材のLEGOを買い足さなくて良いということだ(ケチなのではない、エコなのだ)。
 早速、図2の構造図を描いた。外形寸法は14号機を踏襲する。エンジニアの意地である。総内容積でも1リットルに満たない超コンパクトサイズ。パソコン用のアクティブスピーカーくらいの、この内部に15号機タイプBのユニット部を詰め込んでしまう。15号機はバーティカルタイプ(垂直組立)であり、横幅は64mmで14号機の内部にピタリと納まる。まるでこうなることを予期したかのような造りである。
 内部を2分割されたうち、メインキャビティは若干大きいが、2つのユニットのマグネット部分が納まるので実質的な内容積は0.3リットル程度しかない。サブキャビティも同じく0.3リットル程度で、活性炭の吸音材一袋でいっぱいになってしまう容積だ。
 0.3リットル!?・・・この構造図を見ていてだんだん不安になってきた。こんなもので本当にマトモな低音域再生ができるのだろうか?・・・いいや、だからこそLEGOスピーカーなのだ。実験こそが真骨頂ではないか、ということでやってみよう。失敗したら本稿がボツになるだけだ。
 2つのユニットの接続は図3のようになる。14号機に使用していたメインユニットはTangBand のW3-1364SAで8cmのフルレンジユニットだが、竹繊維混入パルプコーンが特徴で、振動板の共振分散効果で大変しなやかな音の良いユニットである。刺激的な音のない、このユニットが気に入ってしまって後に22号機ではこの10cmバージョンを採用したほどである。サブユニットは15号機タイプBのTangBand W2-800SLだが、5cmフルレンジとはいえ強力な逆ドーム状アルミコーンを持ち、ネオジウムマグネットを搭載した、侮れないユニットだ。ただし、インピーダンスが4Ωなので、このままでは並列接続できない。4Ω(部品は3.9Ω)の抵抗を挿入してシステムインピーダンスを4Ωにまとめた。この抵抗の挿入でサブユニットのアッテネーションが-6dBとなるが、能率はメインユニットが86dB/W、サブユニットが87dB/Wなのでまあ良いだろう。また、このアッテネータは最大の懸案であるサブユニットの大入力時のバタつき防止にも効果があるだろう。5cmだからしかたがないのだが15号機では音量を上げるとユニットがバタつき出し、悲鳴をあげたものだ。さらに、ユニットのエンクロージャ内蔵は小容積の密閉構造のために過振幅抑制に効くはずである。前報でも述べたことだが抵抗の挿入はサブユニットのメインユニットとの電気的干渉防止にも効果がある。なお、図にあるようにサブユニットは逆相に接続する。対向したユニット装着なのでこの接続で正しく動作する。
 ところで、メインユニットの単体foは105Hz、サブユニットは160Hzである。ホントにこのシステム成功するのだろうか?またまた不安になってきた・・・。

図2 27号機構造図 図3 27号機接続図

<27号機 基本仕様> 
・形式:タンデムドライブ方式フルレンジ密閉型
・組立方法:ホリゾンタルタイプ(水平組立)
・エンクロージャ方式:複合密閉型
・メインユニット:TangBand W3-1364SA(8cmフルレンジ 竹繊維混入パルプコーン)
・サブユニット:TangBand W2-800SL(5cmフルレンジ アルミコーン) 
・外形寸法:W96×H160×D130mm(ターミナル除く)
・内容積:メインキャビティ約0.3リットル、サブキャビティ約0.3リットル
・サブユニットアッテネータ:-6dB(3.9Ωシリーズ接続)
・システムインピーダンス:4Ω

 
  4.製作過程

 今回の製作は容易である。ほとんどの部品が14号機と15号機の流用で完成済みなのだ。写真6に全構成部品を示す。スピーカーユニット部が2セットあるのが特徴である。
 写真7はメインユニット部。このサイズのエンクロージャに8cmユニットを装着するためには外壁の一部が1ポッチ分の8mm厚さになってしまうが、もともと小型のエンクロージャは強度が高いので問題は無いだろう。ユニットは4本のM4ボルト&ナットで強固に取り付けられている。
 写真8はサブユニット部であるが、この部分がインナーバッフルを構成する。15号機とは若干形状を変えてあるが、本当に小さい。ユニットはタッピングネジによる固定である。バッフルに厚さ(部分的に32mm)があるのは強度を確保するためだ。
 メインフレーム(写真9)はシンプルな枠構造。厚さは11段で110mmであるが、メインユニット部の装着位置は1段落としてある。

写真6 全構成部品 写真7 メインユニット部
写真8 サブユニット部 写真9 メインフレーム

 写真10のリアパネルはバスレフポートがなくなったのでシンプルな形状で、この方が強度的にも有利である。
 フロントベゼル(写真11)はカラーデザインを取り入れて14号機と差別化した。14号機ではメンテナンスパネルの意味もあったのだが、今回はサブキャビティにしかアクセスできないのでメンテナンスはリアパネル側になり、これは組立手順にも影響する。
 その他の部品として吸音材(計4個)、抵抗2本(3.9Ω)、底面に貼るウレタンシールを用意した(写真12)。

写真10 リアパネル 写真11 フロントベゼル
 
写真12 その他の部  

 組立は、まずメインフレームにメインユニット部を取り付ける(写真13)。普通、ユニットは破損防止の意味から最後に取り付けるのだが、先に述べたように今回の構造ではリアパネルが最後になる。
 次にフロントベゼルを取り付ける(写真14)。小さいのでエンクロージャの強度は極めて高い。
 サブユニット部を所定の位置に装着する(写真15)。この2つのユニットは互いに防磁型なので吸着せずに助かる。LEGOは精度が高いのでピタリと納まって気持ちが良い。
 サブユニット側のプラスケーブルに抵抗を接続する(写真16)。直接ハンダ付けしても良いが、改造(失敗?)に備えてネジ止めにしている。

写真13 メインユニット部取り付け 写真14 フロントベゼル取り付け
写真15 サブユニット部挿入 写真16 抵抗の接続

 内部で端子や抵抗が振動すると異音の原因になるのでスポンジシールで包む(写真17)。このような細やかな配慮が仕上がりに影響する。
 吸音材を挿入する(写真18)。メインキャビティ、サブキャビティにそれぞれ1個づつ入れた。

写真17 振動対策 写真18 吸音材の挿入

 ひっくり返してリアパネルのターミナルに接続する(写真19)。サブユニットのプラス側である抵抗のリードはマイナスターミナルに逆相に接続される。エンクロージャをひっくり返すとサブキャビティの吸音材がサブユニットの振動板に触れる可能性があるので、注意が必要である。このシステムはひっくり返しての使用はできない。
 注意深く抵抗をメインキャビティに納めながらリアパネルを取り付ける(写真20)。

写真19 ターミナル接続 写真20 リアパネル取り付け

 底面にウレタンシールを貼って完成である(写真21、22)。外観は14号機と変わらないが内蔵されたテクノロジーは全く異なる。こんなに小さいのに密閉型なので背面にはターミナルしかない。

写真21〜22 完成した27号機
 
  5.試聴と評価

 実は本稿は完成した27号機でBGMを聴きながら書いている。新たなBGM用システムとして数日前から君臨しているのだ。デスクトップのマイクロオーディオからこんなに豊かな音楽が聴けるようになるとは思わなかった。外観からは想像できないワイドレンジな再生音で、マイクロタンデムドライブは期待以上の成果であった。BGMに気をとられてしばしば手を止めて聴き入ってしまったほどだ。
 テスト用の音楽を再生しながらパフォーマンスを確認する。もちろん驚くような低音域再生は望めない。すごい低音は出ないのだが、これまでの超コンパクトスピーカーに感じられたような明らかな低音不足感が無いのだ。言わなければ隣に設置したレギュラーサイズのシステムが鳴っているように錯覚することだろう。
 タンデムドライブは、メインユニットとサブユニットがエンクロージャ内部の空気を介してつながり、協調して低音域の駆動力を向上するのだと思う。また、予想したように中高音域もコンパクトシステムにありがちな歪感が少なくクリアである。
 駆動力は重要でパワーアンプを選ぶ性格がある。もともと8cmフルレンジによるコンパクト密閉型は能率が低いのと、4Ωという低いインピーダンスで駆動にパワーが必要なのだ。内蔵したサブユニットの音圧は低音域にしか寄与しないので能率を落とすのである。
 ピアノのフォルテ(変な表現?)でビリついた。何かが振動しているのではないかな(ターミナルのネジが緩んでいてビリついたことがある)と思って調べたが良くわからない。左右を入れ替えても同じ。もしかして?と思って使用していたシングルアンプから300Bのプッシュプルにつなぎ変えたところ、きれいに解決した。本当に大飯食らいである。
 このサイズでこれほどのスケール感の出るスピーカーシステムは今まで経験が無い。テクニックに頼ってはいるが、こういったコンパクトでテクニカルなスピーカーこそ本当にLEGOスピーカーらしい。これはLEGOスピーカー研究4年の成果だと思う。
 そう。こういうスピーカーが作りたかったんだ。

 
  6.おわりに

 今回の27号機はあまり期待してはいなかったのだが、大成功であった。抵抗2本の追加だけで眠っていたLEGOスピーカーが見事によみがえったのである。テクニックに限りはない。ドラマチックが止まらない・・・。              (2011.8.13)

 
     
写真23 27号機試聴の様子

 
 
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