キット屋倶楽部
LEGO SPEAKER 第49報
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LEGOスピーカーの製作 第49報

 
     

写真1 マルチネットワークLEGOスピーカー 59号機

 
  1. はじめに

 私の造るLEGOスピーカーには大別して2種類が存在する。ひとつは実験的、研究的要素の強い作品で、主にコンパクトスピーカーシステムにおける低音再生がテーマである。 したがって8cmフルレンジスピーカーなどで造るミニシステムが多い。しかし、こういったシステムは失敗作が多く、結局解体されたり、倉庫で埃をかぶっている。

新方式の実践がテーマであることも多いが、先鋭的なシステムで音が良いものは少ないと感じる。やはり、オーソドックスな実績のある方式が成功するのだ。

 もう一種のモデルは、実用的に音楽を楽しむために造る作品で、実際にリスニングルームで活躍している。この用途で製作した最も古いモデルが24号機(LEGOスピーカーの製作第16報、写真2)で、LEGOスピーカー初の2ウェイシステムである。2010年夏の製作なので、もう7年も前の作品だ。

 倉庫に保管されていた本機に最新の製作技術で高音質化を図ることが今回のテーマである。本来なら24号機改であるが、新たな試みを採用するので59号機のエンブレムを与える。このボクシーなデザインも気に入っているので外観は変えないつもりだ。

写真2 2ウェイLEGOスピーカー 24号機
 
  2.設計思想

 ベースモデルの24号機の特徴は優秀なスピーカーユニットを使用した2ウェイシステムで、ウーハーユニットはデバイディングネットワークを介さずにパワーアンプ直結でダイレクトな音調を狙ったものである。ウーハー側に入れるコイルの影響で音の鮮度が失われる事を懸念したのだ。そのため、トゥイーターは1.0uFという小容量と-6dBアッテネーターで軽く乗せている。スーパートゥイーター的利用である(図1)。

 製作リポートを読み返すと、当時の技術で製作されていることがわかる。

エンクロージャには補強柱を前後左右に渡し強度を向上とあるが、現実にはウーハーの背圧の圧力は強大で、こんなものでは制振できない。振動モードが変化するだけである。 吸音材には当時の個人的流行、活性炭を詰め込んでいる。活性炭は内部容積が極めて少ない場合には効くが、正攻法では内容積の減少とソリッドな音質影響が気になるところだ。 そして最大の問題はメンテナンス性に配慮したために容易に開けられるリアパネルである。 バスレフ方式における密閉性の重要度が当時は解っていなかったので、スケスケのハコを造っていたのだ・・・これは改善の価値が大きいだろう。

 24号機の周波数特性を測定してみた。製作した当時はまったくわからなかった特性を今は簡単に測定することができる。進歩したものである(図2)。

この周波数特性は正面軸上50cmのものなので、低音域はリスニングポイントよりは低下するが、それにしても強力な10cmウーハーを搭載しているモデルの割には200Hz以下のレスポンス低下が多い。500Hz付近の中音域の凸凹も多い。これはなぜだろう? 3kHz付近の落ち込みも気になるところだ。

 インピーダンス特性を測定してみたところ(図3)、予測どおりにfo共振点が1ピークとなり、バスレフの効率が大きく低下していることがわかる。エア漏れの多いエンクロージャの影響である。

図1 24号機ネットワーク 図2 24号機周波数特性
図3 24号機インピーダンス特性

 このオリジナル24号機のデバイディングネットワークは先に述べたようにウーハーがダイレクト接続である。そこでウーハーユニット単体の特性も測定してみた。

周波数特性(図4)からは10cmの小口径ウーハーということで、10kHz程度まではレスポンスがある。ただし、7kHz付近のピークは振動板の分割振動によるものと考えられ、歪みも多いだろう。ただ、あまり大きなピークで無いことは幸いである。結構高音域まで使えると判断できる。

 インピーダンス特性(図5)からは高音域でボイスコイルインダクタンスによるインピーダンス上昇が観察される。実はこの値が知りたかったのである。正しいデバイディングネットワークの設計には、ウーハーの公証インピーダンス8Ωではなく、デバイディングネットワークのクロス付近でのインピーダンス(9kHzでは20Ω以上!)を使用して計算する必要があるのだ。

 図2に示した24号機の周波数特性における中高音域の凸凹は、きちんとしたデバイディングネットワークを使用しないことによる弊害と考え、本59号機ではここも改良したい。

図4 ウーハー周波数特性 図5 ウーハーインピーダンス特性

 デバイディングネットワークの設計であるが、ここで悩んでしまった。

本機は良質な10cmウーハーユニットを搭載しているのでフルレンジユニットのように広帯域で使いたい。これは、LPFのコイルを小さくできるので挿入損失を抑えられる効果がある。オリジナルの24号機はこの設計思想でLPFレスであった。パワーアンプ直結のメリットを活かした考え方である。するとトゥイーターはスーパートゥイーター的な使い方になり、軽く上に乗せることになる。

 図6のデバイディングネットワークはこの設計でクロス周波数fcを高く9kHzに設定したものだ。トゥイーターのアッテネーターは-7dBとして10Ω抵抗器シリーズ接続である。また、ウーハーのインピーダンスは実測から20Ωで計算した。コイルは0.33mHであり、挿入損失も比較的少ないだろう。

だがしかし、本機は900Hzから使える優秀なトゥイーターも搭載している。これを活かした使い方もしてみたい。

図7はfcを2.8kHzに下げたもので、重要な帯域にクロス周波数が来ることは気になるが、ウーハーの分割振動による歪んだ高音を抑制して、トゥイーターの澄んだ高音を重視した設計である。

この回路もすてがたい。この選択に悩んでしまったのだ。・・・うーん、どうしよう。

 参考までに使用するコイル素子PARC AUDIOの0.33mH L001-033と0.80mH L001-080の直流抵抗値を確認すると 0.33mH 直流抵抗:0.12Ω、0.80mH 直流抵抗:0.19Ω であった、僅かな差ではあるが、これがパワーアンプとの間に挿入されることでダイナミックな表現に差が出ると考えているのだ。

 

結局、2種類のデバイディングネットワークを切り替えて使用できるマルチデバイディングネットワークを搭載することにした。聴く音楽によって音調を調整できる面白い方法であると思うのだ。具体的には図8のように+側ターミナルを2個付けて、それぞれにコイルを接続している。できればコンデンサーも内蔵して、このターミナル接続のみで切り替えたかったが、変な共振回路ができてもいやなので、少し手間だがコンデンサーは背面で付け換える方式とした。まあ、この方がコンデンサー容量を容易に調整できるメリットもある。

 トゥイーター側のアッテネーター量を調整できるスピーカーシステムは多く存在するが、クロス周波数まで変更できるシステムは大型の高級スピーカーシステムか、チャンネルデバイダーを使用したマルチアンプシステムくらいだろう。本機のようなコンパクト2ウェイシステムでは見られない方式である。

 この59号機はシンプルな実用的バスレフシステムであるが、デバイディングネットワーク切り替えによる音調の調整機能というオリジナルコンセプトを特徴とするのだ。

図6 9kHzクロスネットワーク 図7 2.8kHzクロスネットワーク
図8 マルチデバイディングネットワーク
 
  3.構造設計

 本機の構造図を図9に示す。

59号機においてベースの24号機から改良するポイントは以下である。

・ エンクロージャを50mm後方に延長して実効内容積を約3.2から4.4リットルに拡大する

・ バスレフ効率を高めるためにダクトサイズを48×16mmの1.5倍にする

・ フレーム内面にマスキング処理を行うことで密閉性を高める

・ 吸音材にはスポンジボール4個を用いる(エアサス・バスレフ方式)

・ 内部の補強構造は無くしてシンプルな構造とする

・ リアパネルの補強は背面の補強リブとしてターミナル部分のシールはマスキングテープを用いる

・ ターミナルを2組設けてマルチデバイディングネットワークの切り替え方式とする

 エンクロージャの構造的にはシンプルなバスレフ方式であり、底面を利用したコの字型ダクトの長さは12cmでバスレフ周波数を約60Hzに設定している。

リアパネルにコイル素子が2個搭載されるのが特徴だ。

図9 59号機構造図

 24号機から流用するスピーカーユニットはウーハーがFOSTEXの10cmペーパーコーンウーハー FW108N、トゥイーターもFOSTEXの28mmソフトドームトゥイーター  FT48Dである。スピーカーユニットの仕様と59号機の主な仕様を示す。

 

<ウーハーユニット仕様>

・形式:10cmペーパーコーンウーハー

・インピーダンス:8Ω

・最低共振周波数:55Hz

・再生周波数帯域fo〜10kHz

・出力音圧レベル:86dB/W(1m)

・入力:50W

・mo:6.9g

・Qo:0.26

・マグネット質量:500g

・総質量:1.695kg

・推奨クロスオーバー周波数:8kHz以下

 

<トゥイーターユニット仕様>

・形式:28mmソフトドームトゥイーター

・インピーダンス:8Ω

・再生周波数帯域:800Hz〜30kHz

・出力音圧レベル:93dB/W(1m)

・入力:50W

・マグネット重量:330g

・総重量:978g

・推奨クロスオーバー周波数:900Hz以上

 

<59号機 基本仕様>

・方式:2ウェイエアサス・バスレフ

・組み立て方法:ホリゾンタルタイプ(水平組み立て)

・エンクロージャ方式:前面ポートバスレフ(リニアフェイズ)

・使用ユニット:ウーハー FW108N(10cmペーパーコーン)
          トゥイーター FT48D(2.8cmソフトドーム)

・外形寸法:W144mm H304mm D220.8mm

・実効内容積:約4.4リットル

・ダクト長:12cm

・ダクト開口:48mm×16mm

・バスレフ周波数:約60Hz

・デバイディングネットワーク:マルチモード切り替え方式
          2.8kHz 6dB/oct -3dBクロスネットワーク
          9kHz 6dB/oct -3dBクロスネットワーク

・内蔵ボール:PS-2289 4個(7cmφスポンジ)

・システムインピーダンス:8Ω

 
  4.製作過程

 いったん24号機をバラバラにして部品を造り直した(写真3)。完璧に再利用できることがLEGOスピーカーの良さである。今回はコンパクトモデルなので2台分が作業テーブルに収まっている。

 写真4はウーハーモジュールである。24号機からの流用部品のため組み立て済み。 このウーハーユニットFW108N は10cm径だけあってかなり高い周波数まで使える。この特性は先に示したが、中高音域の分割振動によるピークもうまく抑えられていて、まさにフルレンジ的な使用が可能な良質なウーハーユニットである。しっかりとしたアルミダイキャストのフレームと10cm径の巨大マグネットも頼もしい。本来は8本のボルトで固定するフレームデザインだが、穴位置の関係で4本固定にしている。開いた穴にはカバーを付けて処理した。

写真3 59号機全部品 写真4 ウーハーモジュール

 写真5はトゥイーターモジュールである。使用しているトゥイーターユニットFT48Dはトゥイーターとしは低い周波数まで使える良質な製品だ。ウーハーユニットと同種のアルミダイキャストフレームがデザイン上の選択ポイントである。前面にフェルトが貼ってあり、反射対策も施されている。マグネットもこれまた大きい。

 フレーム(写真6)はトゥイーターユニット固定部を20mm引っ込めたリニアフェイズデザインである。55号機の製作時(第45報)にオプショントゥイーターによる配置実験で、トゥイーターの前後位置で周波数特性のクロス部分に驚くほど影響が出ることを経験した。ウーハーのコーン振動板が引っ込んでいる分、ボイスコイル位置が後ろにあるのでトゥイーターは若干後退して配置することが正しいという考え方なのである。

 内面にはしっかりとマスキングテープを貼っている。強度のある構造体だが、さらに補強される効果もある。

写真5 トゥイーターモジュール 写真6 フレーム

 リアパネルのターミナル穴には裏面にマスキングテープを貼る(写真7)。貫通してターミナルを止めることで密閉性が保たれる方法で、見栄えが悪いが性能優先である。

本機はデバイディングネットワーク用のパーツが多いのも特徴なので、取り付け穴も8箇所と多いのである。

 写真8はフロントベゼルである。バスレフポートと59号機のエンブレムが付いている。

写真7 リアパネル 写真8 フロントベゼル

 写真9はバスレフダクト。コの字型のパーツで長さは10cmで、フロントベゼルと共に12cmのダクト長になる。マスキングテープで補強も行った。

 写真10はその他の部品で、ターミナル、インシュレーター、スポンジボール、ネジ類、配線ワイヤーである。

本機ではデバイディングネットワーク素子も多い。コイルは0.33mHと0.80mHの2種、アッテネーター抵抗器は10Ω、コンデンサーは3.3uF、1.0uFの他に調整用に2.2uFも用意した(写真11)。

写真9 バスレフダクト 写真10 その他の部品
写真11 デバイディングネットワーク素子

 組み立ては、まずはトゥイーターモジュールをフレームに固定する(写真12、13)。

シンプルな構造なので固定は簡単である。フレームの背面がフラットなので力を入れやすいのだ。

写真12、13 トゥイーターモジュール取り付け

次にウーハーモジュールを配線して取り付ける(写真14、15)。

写真14、15 ウーハーモジュール取り付け

フロントベゼルを下部に取り付ける(写真16、17)。インシュレーターもここで貼り付ける。

写真16、17 フロントベゼル取り付け

 リアパネルの組み立てを行う(写真18、19)。パネル内面にはデバイディングネットワーク素子のコイル2個と抵抗器を取り付ける。コイルの固定ボルトを利用した配線方法である。よく見るとわかるように4個あるターミナルのうち、1箇所のみアンプへの接続が無いのでキャップを被せている。この2個のターミナル間にコンデンサーを背面で接続するのだ。

写真18、19 リアパネル組み立て

 フレーム内部にスポンジボール4個とバスレフダクトを入れる(写真20、21)。

ボールが中で踊ってしまわないか? と思うかも知れないが、2個ずつ爪楊枝で串刺しにしてあるのでその心配はない。

写真20、21 ダクト、吸音材挿入

リアパネルに配線してフタをすれば組み立て作業は完了である(写真22)。

写真22 リアパネル取り付け

 組み立ての完了した59号機を写真23、24に示す。ベースの24号機と同様な精悍なマスク。直線を基調としたボクシーなデザインが特徴である。

スピーカーユニットの意匠がゴージャスなのでこのくらいシンプルなデザインのほうが好ましい。24号機よりも奥行きが増したので、バランスが良くなった。

写真23 59号機外観 写真24 59号機背面
 
  5.評価と調整

 本機のポイント、デバイディングネットワークの切り替えは接続ターミナルとコンデンサーを交換することで行う。

 写真25のように下側のターミナルに接続して、コンデンサーに1.0uFをつなげばクロス周波数fcが9kHzとなり、ウーハーをフルレンジ的に使った中音域重視仕様。以降このモードをWモードと記す。

 写真26のように上側のターミナルに接続して、コンデンサーを3.3uFにするとfc:2.8kHzのトゥイーターをワイドレンジで使用する高音域重視仕様のTモードとなる。

写真25 fc:9kHz Wモード 写真26 fc:2.8kHz Tモード

 まずはインピーダンス特性を測定した。

図10のWモードのインピーダンス特性は残念ながら、まだ密閉性は不完全で共振点のダンプ効果は見えるが、バスレフ方式特有の2山特性には至っていない。それでも、図3に示した24号機のインピーダンス特性と比べてマスキング対策の効果は見ることができる。

 ウーハーユニットのfoは70Hz付近で単体仕様の55Hzより上昇しているが、これはエンクロージャ内の空気バネが付加された影響である。バスレフ共振周波数はピーク形状の変形から設計上の60Hz程度に見える。foからすれば適切であると判断できる。

 次にTモード(図11)を見ると低音域の特性には差は無い。クロス周波数が低い周波数に変化し、中音域のインピーダンスピークが2kHz付近に移動することがわかる。

図10 Wモードインピーダンス特性 図11 Tモードインピーダンス特性

 周波数特性の測定結果を図12に示す。

Wモード(青線)とTモード(水色線)、さらにTモードにおいてコンデンサーを3.3uFから2.2uFに変えたもの(緑線)である。

青線のWモードではウーハーの単体特性に影響された3kHz付近の中高音域にへこみが観察される。水色線のTモードでは2kHz以上の中高音域がフラットに近くなっており、トゥイーターが積極的に効いている事がわかる。しかし、コンデンサーが3.3uFではトゥイーターが強すぎるようである。緑線の2.2uFの方がバランスは良さそうだ。

この2.2uFではクロス周波数は3.5kHzくらいになるが、つながりは良い感じだ。

 注目点は水色の3.3uF特性で、600Hz付近にふくらみが生じていることだ。クロス周波数よりも低いこの帯域ではトゥイーターが働くとは考えにくいので疑問に思ったが、この600Hz付近はトゥイーターユニットのfoなのである。-6dB/octの緩やかなHPFではトゥイーターユニットのfoの影響が見えるようである。これは好ましくないのでクロス周波数を高めた2.2uFを選択すべきであろう。

図12 59号機周波数特性 図13 24号機との比較特性

 本機の改良効果を確認するために24号機の周波数特性(赤線)と59号機(青線)を重ねてみた(図13)。この結果から明らかな改良が認められる。低音域では100Hzで6dB程度の上昇になっている。この59号機の特性はWモードであるが、内容積増加と密閉性の改善によるバスレフ効率の向上は顕著である。バスレフダクトからの放射も70Hz付近に観察される。なお、50Hz付近の測定値は55dB程度のレベルであり、闇騒音の影響だ。

 500〜1kHz付近に24号機にあったアバレが改善しているのは筐体の強度向上によるものと考えている。

 2kHz以上の中高音域の特性も顕著に改善している。これは予測したように24号機ではコンデンサーのみの簡易デバイディングネットワークであったために、クロス周波数付近でのウーハーとトゥイーターの位相が合っておらず、きちんとつながっていなかったのではないかと推測される。

 インパルス応答(図14)の測定結果においてもクロス周波数の9kHz付近がきれいにつながっていることがわかる。

本機の改良により低音域の充実と周波数特性の改善を確認することができた。

図14 59号機インパルス応答
 
  6.試聴

 早速試聴してみよう。

59号機の音は低音の充実がすばらしい。本来のバスレフ方式の実力を発揮したと言える。今回の24号機からの改良で最も効果のあった点である。最新の製作技術で倉庫に眠っていた旧モデルが実用機としてよみがえったのである。

 

 マルチデバイディングネットワークの効果を確認する。

まず、Tモード(L:0.8mH、C:2.2uF)ではトゥイーターが効いてきらびやかなサウンドである。明るい音調で明確なエッジが気持ちよい。

ところが、Wモード(L:0.33mH、C:1.0uF)に切り替えて驚いた。ボーカル曲でチェックしていたのであるが、小口径ウーハーのフルレンジ的使用となるこのモードではダイナミックな表現が抜群に良い。挿入コイルの影響が減ってダイレクトなサウンドとなったようで、これほど違うものかと感動した。クロス周波数がファンダメンタル帯域から離れるのも良いのかもしれない。ボーカルの実在感と鮮度が明らかに向上するのだ。

では、このWモードで決まりなのか? 続いてヴァイオリンソロを聴いてみた。

・・・なんだか高音の輝きが乏しいのだ。Tモードに戻したところ、断然こちらが良い。部屋中にヴァイオリンの澄んだ高音が満たされる感じ。バロックや室内楽もなんとも心地良い。トゥイーターをしっかりと聴かせるこのTモードの本領発揮である。

 

 結論は聴く音楽によって使い分けを楽しむということである。

ジャズやボーカル曲には中音域重視のダイナミックなフルレンジ的Wモード。

ソロ楽曲、室内楽などには高音が美しいトゥイーター重視のTモードという具合である。オーケストラ曲もこちらだ。

本来はこの両立が望ましいのではあるが、自作スピーカーシステムの特権として切り替えの手間を楽しみたいと思う。

 
  7.おわりに

 59号機の製作でデバイディングネットワークの設計思想の重要性を認識した。

同じエンクロージャ、スピーカーユニットでもクロス周波数の味付けで音調をコントロールできるのである。

 またひとつテクニックをマスターすることができたのだ。

(2017.8.20)

     


写真27 59号機リスニングの様子

 
 
 
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