ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
素晴らしい出会い(2008.12.1)

 11月29日に「第2回 教会のレコードコンサート」というのが、安城市大東町にある日本キリスト教団安城教会で行われたので、初めて行って来ました。このコンサートはジャズを通して知り合ったT田さんという方がボランティアで主催され(無料)、LPレコードにこだわって、クラシック、ポピュラー、歌謡曲の3部門に分けて選曲され、開催しているものである。コンサートはとてもアットホームな感じで、使用される音源はオリジナル盤とか初回プレス盤とかいった貴重なLPで、普段なかなか聞くことの出来ない貴重盤である。オーディオ的にも、今回はスピーカーにJBLのL101を使用されるなど素晴らしかったが、まだ始められて2回ということもあって、さらにチューニングすればもっと良くなると感じたが、皆さんとても熱心なので、回を重ねるごとに音も素晴らしくなると思います。
 そんな中でぼくにとってはもう一つ素晴らしい方とお会いしました。この教会の主任担当教師であり、名古屋大学農学部の名誉教授である、武岡洋治先生とのお話しすることが出来ました。武岡先生は、名古屋大学農学部教授であった1992年、「砂漠化」の学術調査でスーダンに行ったとき、マラリヤ予防薬の副作用で生死の境をさまよい、視力もほとんど失うという凄絶な体験をされました。やがて立ち直り、定年退官後、同志社大学神学部であらためて神学を学んで母教会の牧師になられた方です。
 先生は自らのこういった体験を著書にされておられるが、農業の方でも素晴らしい研究成果を本にまとめておられる。
「環境ストレスと生殖戦略」武岡洋治著 農山漁村文化協会 (2000/03)
 内容(「BOOK」データベースより)

種子作物はしばしば、花芽形成から減数分裂・開花・受精を経て胚・胚乳形成に至る一連の生殖生長過程において、生殖にきわめて不利な環境変動に遭遇し、収量に著しい減少を来すことが少なくない。イネもその例外ではない。イネの生殖器官(小穂)はわずか数ミリという小さなものであるが、不良環境に対応して形態を変化させたり、種子繁殖のシステムそのものを変えたりする。そこでは、穎の変形、雌ずいの増生と雄ずいの減生といった小穂の形態変化とともに、雄ずいと雌ずいという、植物が長い進化の過程で発達させてきた性の分化と受精による生殖、つまり有性生殖を転換して性によらない繁殖すなわち無性繁殖へと切り替えていく姿を見ることができる。そこには、厳しい環境が襲来してもその場所から逃げることなくそれに真向かう中で生き延びようとする闘いの姿と同時に、したたかな生命といったものを見ることができる。
 多くの作物がある中で、イネ科の植物(イネ、ムギ、トウモロコシなど)をとりあげ、その生殖作用が環境の変化でどうなるか、それだけでもこんなに奥が深い内容がある。また一つ勉強することが増えたような気がする。先生からはコシヒカリについての興味深いお話を聞くことも出来ました。

次回の「教会のレコードコンサート」は12月20日のPM7:00からの予定だそうです。
(まだ今の段階では決定ではありません)


レコードの分類方法(2008.12.3)

 何か音楽を聞きたいと思った時に、ジャズを聞こうとする時は誰の演奏を聞こうかとまず考える。レスター・ヤングのさわやかなテナーを聞きたいな、アルバムは何が良いか、そうだ「プレス&テディ」に入っているルイーズが好いな、こんな風に考える。しかし時には「サマータイム」という曲をいろんな人が演奏しているのを聞きたくなる。またピアノトリオの演奏の聞き比べもしたくなる。ビックバンドの演奏も良いなと思うときもある。
 ではクラシックではどうか。バッハを聞きたい、モーツァルトを聞きたいと思うときと、セルやミュンシュの指揮する交響曲を聴きたい、バッハの無伴奏バイオリンソナタを色んなひとの演奏を聞き比べたい、弦楽四重奏を聞きたい、などと思うだろう。
 こんな風に思ったときに、聞きたいレコードが苦労して捜さなくても、簡単に見つかるように分類する必要がある。しかしあんまり凝った分類をすると、なかなか維持できない。面倒になるからである。
 ジャズでは手持ちのLPの半分、クラシックでは管弦楽のLPをすべてパソコンのデータベース化したことがあったが、利用価値とメンテナンスの煩わしさを天秤にかけて止めてしまった。CDをデータベース化したことはない。
 ではどういう分類をしているか、ジャズはすべて演奏者のアルファベット順である。但しビッグバンドとジャズヴォーカルは別のグループになっている。問題もある。CDはパーソナルネーム順であるが、LPはファミリーネーム順になっている。分類としては大変シンプルなので、分かりやすい。そんな中で録音の良いLPにはポストイットを貼り付けて目立つようにしている。以前にはブルーノート・レーベルは別枠で整理していたが今は1本化している。
 クラシックは少しややこしい分類となっている。まずは分野別にしてある、交響曲、管弦楽、協奏曲・・・などである。その中で作曲家別となっている。例外がある、バッハ、モーツァルトのLPはひとまとめにしてある。CDではグレン・グールド、ジョージ・セルなどは一まとめとなっている。またLPで名画シリーズというのがあり、これは別分類となっている。要するに基本的な分類の例外が多いのである。
 レコードの整理は、30枚くらい入る箱に入れている。箱はお茶のペットボトルが入っていたものを、スーパーでもらってきて活用している。
 こういってものの分類をどうするか、レコード店の分類を見ていると、色々なやり方があり参考になる。CDのガイドブックも参考になる。しかし最終的には、自分がどんな音楽の聞き方をして、それを取り出すにはどういう分類が便利かによって変わるだろう。それと次々と追加があったときに、メンテナンスがやり易くなければならない。たかが分類一つであるが、良い分類をするにはなかなか固有技術が必要なようである。
 長いあいだに、あれこれやっているうちにこんな分類になったが、これも固定的なものでなく、今後も使用目的に合わせて少しずつ変化していくであろう。時々オフ会に参加させてもらうが、色んな方がどんな分類をされているか、そういうことも今後は参考にさせてもらいたいと思っている。


アナログプレーヤーの調整(2008.12.5)

 YAMAHAのGT-750というアナログプレーヤーを通常の中古価格(3~4万)の半額以下で売っている店があったので、思わず買ってしまいました。家に帰って確認してみるとカートリッジにDENONのDL-301が付属しており、どちらも大変程度が良く、今までのユーザーが丁寧に使用されていた様子が伺えます。もちろん取扱説明書とアーム調整用の工具も付属していた。こういうものにめぐり合えるとは、大変ラッキーである。
 まず、最初にすることは掃除である。汚れや埃のふき取りはもちろんであるが、一番わくわくしてやるのは、アルミ製ターンテーブルの磨きである。酸化皮膜でくすんだ表面を金属磨き剤で磨き、さらに細かいコンパウンドで磨く。その後モーターオイルを薄く塗り仕上げる。見違えるようにピカピカになった。
 いよいよプレーヤーの調整である。
★まず水準器でプレーヤーが台の上で水平になっていることを確認する。次にカートリッジの針圧を仮に調整しておく。アームのゼロバランスをとり、指定の針圧を印加する。確認は針圧計で行う。
★次にオーバーハングの調整をする。このプレーヤーには取説があり、ヘッドシェルのコネクター部から針先までの長さが50㎜になるように調整する。これがわからない時にはSMEのやり方を使う。

図は瀬川冬樹さん書かれた「オーディオの楽しみ」より引用したものであるが、上図のようなゲージを葉書やケント紙を用いて作り、レコードの内周にカートリッジが来た時に、レコードの中心とカートリッジの軸方向を針先で結んだ時に、直角となるようにオーバーハングを調整すれば、トラッキングエラーを最小に出来る。(Aの状態がOK)
★次にカートリッジをレコード面に置いた時にトーンアームが、ターンテーブルに対して水平になるようにアームの上下を調整する。確認のやり方は、ターンテーブルに平行となる線を何本か引いたブロック状のものをおいて、ヘッドシェルがそれと平行になっていることを確認する。
★次にカートリッジの左右の傾きが同じかどうか確認する。例えばDENONのカートリッジのように針先を示す上下の線がある場合は、レコードと同じくらいの厚さの鏡をターンテーブルに置いて、そこにカートリッジを下ろした時に、実線と鏡に写った線がまっすぐであるかを観れば簡単に分かる。
★そしてもう一度、針圧を確認しそれに見合ったインサイドフォースキャンセラーを設定する。この一連の調整が終了したらアンプと結線し、ハウリングマージンがどのくらい取れているか把握する。ボリュームをどこまで上げたらハウリングを生じるかは、ボリュームを下げた状態で、指で軽くターンテーブルをトントンと叩きながらゆっくりとボリュームを上げて行き、ハウリングの始まる位置をつかむ。念のために針先が汚れていないか、20倍のルーペで確認し、必要ならばスタイラスクリーナーを用いて清掃する。
★これ以外にぼくが経験した事で重要なのは、アームとカートリッジの共振点がどこにあるかということである。レコードが1ヶ所反っていると0.55Hzの振動が発生する。そこに近い共振点があると、レコードのそり以上にカートリッジが大きく揺れトレースが困難となる。カートリッジがハイコンプライアンスタイプかローコンプライアンスタイプ化によって大きく変わる。(カンチレバーが柔らかく軽針圧か、硬く重針圧か)
 とりあえず、これだけの調整をして、ヤマハのGT750でLPを聞いている。DL301はDL103に較べると、レンジの広い現代的な音であるが、このプレーヤーでは神経質にならずゆったりと鳴っている。
 アナログプレーヤーを使用するときには、レコードをかけた時に、音が歪んだり、左右のバランスが悪かったり、もやもや感があったときに、何が原因かを診断できるようになることが大切である。面倒といえば面倒であるが、楽しみでもある。


「The High and Mighty Hawk」の聞き較べ(2008.12.6)

 コールマン・ホーキンスはジャズにおけるテナーサックスの父といわれている。それはジャズ界においてテナーという楽器を主役の座に追い上げた人であるからである。彼の演奏はいつもオンビートで演奏するのでモダンテナーというには、スタイルとしては古さを感じるが、その太く、力強い音色とバラード奏法における独特のビブラートは大変魅力的である。
 そんな彼の最後の傑作といわれているのが、1958年、彼が54歳の時に録音された「The High and Mighty Hawk」というアルバムである。彼は64歳で亡くなっているので、亡くなる10年前のアルバムである。それが最後の傑作といわれるほど、その後の老化が激しかったようである。




 このアルバムのメンバーは、コールマン・ホーキンス(ts)、バック・クレイトン(tp)、ハンク・ジョーンズ(p)、レイ・ブラウン(b)、ミッキー・シーン(ds)である。収録曲は、A面にBIRD OF PREY BLUES、MY ONE AND ONLY LOVE、VIGNETTEの3曲。B面にOHH-WEE, MISS G.P. 、YOU7VE CHANGED、GET SETの3曲である。この中で演奏として素晴らしいと思うのは①BIRD OF PREY BLUES、②MY ONE AND ONLY LOVE、③YOU7VE CHANGEDの3曲である。
 このアルバムは英国ロンドンレコードの子会社でアメリカにあるFelstedレーベルが録音しているので、オリジナル盤は米国と思うが、ぼくが持っているのは2種類の国内盤である。1枚目は1976年にキングレコードから発売されたモノラル盤で、LPのレーベルはLONDONとなっている。もう一枚は1984年にポリドールレコードから発売されたステレオ盤でLPのレーベルはFelstedとなっている。音源は両方共に同じで、1958年2月18日、19日にニューヨークで録音されたものである。しかし聞き比べてみると音が大きく異なる。
 まず①BIRD OF PREY BLUES、これはミディアムテンポのブルースナンバーで、この盤一番の力演である。ステレオ盤では、聴いているほうから向かって左にホーキンスのテナー、右にリズム楽器という配置で、右からは特にドラムとベースが前に飛び出してくる。その音色は低音も高音も良く伸びた、いわゆるハイファイな音である。しかしピアノが後ろに引っ込んでいる。これに対してモノラル盤は、テナーが一番前にいて、次にピアノがいて、リズム楽器は後ろでしっかりとバッキングをしている。中音が厚いので演奏者が身近に聞こえる。②MY ONE AND ONLY LOVE、これは圧倒的にモノラル盤が良い。バラードを吹くテナーの音色がぜんぜん違う。ステレオ盤は音がやせている。モノラル盤でこのようなジャズらしい音作りをしたキングは素晴らしい。この頃はBNレーベルもキングが出していたが、ジャズらしい音(RVG音)であった。


LPレコードを集めて聞く楽しみ(2008.12.7)

 おそらく音楽を聞くというと、大部分の人はCDを買って聞くでしょう。いまどきアナログのLPレコードを買って聞く人は少数でしょう。LPは一部を除いてほとんど新しく製作されていません。したがってレコード店に言っても売っておらず、中古を売っている店を捜して、しかも全部のLPをチェックして掘り出し物を見つけるしかありません。ぼくが聞くジャズについてはLPの愛好者が多いのか、めったに安くてよい演奏の掘り出し物には当たりませんが、クラシックは時々素晴らしい買い物をすることが出来ます。
 ジャズのLPについては価格が高いのは困りますが、1950年代、60年代のアメリカは、ジャズの盛り上がった時代であり、演奏と同時に録音の素晴らしいLPが沢山あります。しかもその当時に販売されたLPのほうが日本で後から再発されて物より、多くの場合圧倒的に音が良いのです。いわゆるオリジナル盤というやつです。このようなこともあって、ジャズのLPについては、あちらこちらに大変詳しい人がいて、LPに関する情報がいっぱいあります。ぼくは安いオリジナル盤があれば買うといった程度ですので、オリジナル盤の愛好者とはいえませんが、少しずつそういった知識も増えてきました。
 でも世の中にはこんなものもあるというものを紹介します。それは、The Record Label Guide For Domestic LPsという本です。アメリカで1986年に初版が出版され、ぼくが見ているのは1995年の第4版で、アメリカ国内の277種類のレーベルについて、その変遷を解説したものです。ブルーノートレーべルを例にとって内容を紹介すると、ブルーノートには5種類のレーベルが使用されており、その歴史的順番は以下のようである。
 LABEL: #1
 DESCRIPTION: Blue and white label with"…Lexington Ave., NYC…" address.
 FROM: 1954.
 LP#: #1500 series.
 'TIL: Late 1957/early 1958.
 LP#: Approx. #1560 to #1570s.

 LABEL: #1a
 DESCRIPTION: Blue and white label with"…47W. 63rd,NYC…" address on label.
 FROM: Approx. early 1958.
 LP#: Approx. #1570s.
 'TIL: Late 1962/early 1963.
 LP#: #1599, and #4000 to #4099.

 LABEL: #1b
 DESCRIPTION: Blue and white label with only "Blue Note Records Inc. New York, USA" on label.
 NOTE: In use from late 1962/early '63(LP#4100)to 1966.

 LABEL: #1c
 DESCRIPTION: Blue and white label with only "…a division of Liberty…" printed on label.
 NOTE: As used, circa late 1966 until 1970

 LABEL: #1d
 DESCRIPTION: Blue and white label with only "…a division of United Artists…" printed on label.
 NOTE: Circa early 1970s.

 LABEL: #2
 DESCRITION: Dark blue at right and light blue left portion of label, logo at left in box.
 NOTE: A few titles appeared on this briefly used label in 1970.

 LABEL: #3
 DESCRITION: Blue label with black logos in upper right area.
 NOTE: As used, circa 1973 to 1976.
 NOTE: No picture is available of this label. The black logos are positioned and styled the same as on #3a.

 LABEL: #3a
 DESCRITION: Blue label with white logos in upper right area.
 NOTE: As used, circa 1977・'78

 LABEL: #4
 DESCRITION: Blue label with "re-issue series" and log at left in black and white.
 NOTE: Circa mid-1970s

 LABEL: #5
 DESCRITION: Blue and white label with "finest in jazz since 1939" on label.
 NOTE: Re-issue label of 1985 by Capitol Records.
 このような情報を基にして、レコードのレーベルを見てこの盤がいつの時代に製作されたものかを判断する。これ以外にスタンパーの刻印とか、レコード内面の溝の有り無しなどをチェックして、オリジナル盤かセカンド盤かなどを知るのである。世の中には本当にすごい人がいる




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