ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
モーツァルトのピアノ協奏曲(2009.6.16)

 最近入手した中古LPの中より、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番を、ピアニストにポリーニ、カール・ベーム指揮のウィーン・フィルの演奏で聞いた。これは1976年・ウィーンでの録音で、ポリーニ34歳、ベームは81歳での演奏である。ポリーニは感情表現のない、テクニックの完璧なマシーンのように言われているが、この演奏はカール・ベームとの相性の良さもあってぼくは十分楽しめた。確かにポリーニのピアノはメカニカルな感じもするが、それよりも1音1音粒立ちの良いクリスタルな音が、ウィーン・フィルの柔らかな弦の中よりキラキラと浮き立つように響き、聞いていて気持ちの良い演奏である。こんな感じは今までのモーツァルトのピアノ協奏曲で味わったことのないものである。

「ぼくの手持ちのLPでの、モーツァルト・ピアノ協奏曲一覧表」
ピアニスト 20番 21番 22番 23番 24番 25番 26番 27番
A. Brendel        
C. Haskil          
D. Barenboim            
D. Lipatti              
F. Gulda            
I. Haebler              
L. Kraus            
M. Perahia            
M. Pollini              
M.J. Pires        
R. Casadesuus            
V. Ashkenazy          
W. Backhaus              
W. Gieseking              
W. Kempff              

 ぼくのモーツァルトのピアノ協奏曲の体験は、ソニーのLPでリリー・クラウスやロベルト・カザドジュといった世代の演奏を聴くことから始まった。そして鮮やかに蘇えってくるのは、マリア・ジョアン・ピリスがエラートに録音した20番の演奏を聴いた時である。なんと瑞々しくて清楚な演奏であるかと思ったのである。この1枚のLPがきっかけで、ピリスの演奏会に出かけたり、他の演奏のLPを買い込んで、彼女のファンになったのである。その次の強い印象は、アシュケナージが指揮をしながら演奏した27番である。アシュケナージのピアノは響きの乗った美音過ぎて、と思っていたが、このモーツァルトはそこが素晴らしいと思った。そして名演といわれる物を色々と聞いたが、最近ではCDでペライアのものを聴いていたが、今回、また違ったタイプのポリーニを体験したのである。


農業の雑記帳(2009.6.17)

 ぼくがSUNVALLEY AUDIOの大橋店主や第9のIさんに背中を押されて、「ジャズ・オーディオの雑記帳」を書き始めたのが、2007年の10月でした。タイトルは「ジャズ・オーディオの雑記帳」と名づけましたが、当初からジャズとオーディオにこだわらずに、ぼくが興味とか関心を持った事柄について、まさに雑記帳として好きなことを書かして頂きました。ぼくとしては会社を退職して、次の生き方を模索しながら、たまたま趣味として音楽とオーディオが好きな人間として、何を考えているか、そういったことを感じ取っていただければ良いかなと思って、自由に書いてきました。
 SUNVALLEY AUDIOさんの貴重なホームページの一画をお借りしているので、書く以上は自分の納得するものを書きたいと思い、タイトルにこだわるよりも自分が強く引かれるものとか、感動したことを書こうとしてきました。しかし、たまたま今年はぼくが研修している農業の総仕上げの年となり、必要に迫られてということも有りますが、考えるのが楽しいということもあり、雑記帳の半分近くが、研修にまつわる農業の雑記帳となってしまっています。大橋さんは黙って好きなようにさせてくれていますが、SUNVALLEY AUDIOさんのブログとしては異質なものではあると思っています。・・・悩ましく思っています。・・・でも今は、あえて書くことにします。

ジャガイモの収穫

 農ライフの実践畑での研修を3月にスタートさせて、最初の本格的な収穫が出来たのがジャガイモです。1株あたりの収穫量は平均600gと少な目(1株あたり1kg以上がねらい)ですが、個々の芋の出来は満足の行くものになりました。25株植えたので全部で15kgとなりました。収穫までの栽培の記録を整理します。

3月17日

(1) 元肥と畝立て

      Kg/100㎡


ヨウリン    6
組合化成8号  18

通常は堆肥とか苦土石灰を使用するが、ジャガイモには使用しない。

(2) 植え付け 品種:男爵(株間40cm)
植え付けは、元肥を入れてから1週間くらい後が望ましいが、遅れたので同時に実施。

4月22日

(1) ジャガイモの芽欠き
基本的には1株当たり3本を残して芽欠きをする。

4月28日

(1) ジャガイモのアブラムシ(スミチオン)と疫病防止(ジマンダイセン)の消毒(この時期になるとアブラムシが大量に発生する)

4月29日

(1) ジャガイモ追肥と土寄せ(野菜いきいき)
追肥のタイミングは草丈が15~20cmを目安に実施。

5月9日

(1) ジャガイモの消毒(疫病防止:Zボルドー)

5月12日

(1) ジャガイモ第2回土寄せ(花芽が出る時期)
4月29日の追肥が効いているので2回目の追肥は中止。

6月12日

(1) ジャガイモの収穫
肥料が切れて、葉から緑が抜けて、黄色味を帯びたタイミングで収穫。男爵はメイクイーンと異なり芋が株元に、塊りであるので掘りやすい。

 この間に随時雑草取りを実施。マルチをかけないので、雑草取りは必須。

 主な出来事を整理するとこういうことになるが、実際には日常の観察が大切である。雨が降れば排水は上手くいっているか、日照りが続けば水分補給は必要か(実際には3回実施)などといったことである。それから害虫については株を良く観察して発生の初期に手を打つ、病気については発生しやすい時期に予防的に手を打つ、という考えで実施した。
 初めて使用する畑というのは、土が肥えているのか、痩せているのか、過去にどんな病気が発生したかなどの特徴が分からないので、教科書に近い作り方をしたが、結果的にはもう少し元肥を入れれば、収量がアップしたかもしれない。また疫病対策の消毒は、2回は必要なかったかも知れない。と、言い訳をするが、本当は事前にもう少しそういうことに気を回して情報を調べれば状況は違っていただろう。(楽をしたことが、結果に出ているということか)
 自分の畑でもジャガイモを作りましたが、1株当たりの収量は、きたあかり(1.2kg)、メイクイーン(1.0kg)となり、目標を達成しました。


DONNA LEE(2009.6.29)

 ジャズ喫茶「グッド ベイト」で中古ジャズのLPを選んでいた時に、アンソニー・ブラックストンの「イン・ザ・トラディション Vol1、2」というタイトルの2枚の、スティープル・チェイスのデンマーク盤LPが目に留まった。アンソニー・ブラックストンは前衛的なプレーヤーという程度で良く知らないが、リズム隊はテテ・モントリュー(p)、ニールス・ペデルセン(b)、アルバート・ヒース(d)という欧州屈指のピアノ・トリオである。マスターにこのアルバムについて訊ねたところ、Vol.2のB面に録音されているドナ・リーを聞いてみなといわれた。何とアンソニー・ブラックストンがこの難曲を、テテのピアノ・トリオをバックにコントラバス・クラリネットというとんでもない楽器で演奏しているではないか。まるでガマ蛙がドナ・リーを歌っているようであるが、聴いていると気持ちの良い高揚感を感じるから不思議である。
 ドナ・リーという曲は、ディキシーの名曲インディアナのコードを基にチャーリー・パーカーが作曲し、1948年5月にサヴォイに初録音したものであるが、このときの若きメンバーであったマイルス・デイヴィスが自伝の中で、あれは俺が作曲してパーカーに渡したものを、サヴォイが勝手にパーカーの作曲と登録したのだと述べているが、本当かどうかは分からない。曲名はベーシストのカーリー・ラッセルの娘にちなんでつけられたとされている。曲そのものはアップ、ダウンの起伏の激しい早いテンポの曲で、コード・チェンジも多い、バップ・イディオムで書かれた演奏するには難曲である。マスターによれば、ドナ・リーをどのように演奏するかを聞けば、そのプレーヤーの実力がおおよそ判るという恐ろしい曲である。
 ぼくもチャーリー・パーカーのサヴォイ録音とか、ぼくの好きなアート・ペッパーのプラス・イレブンでのドナ・リーは聞いていたので、マスターの話にかろうじてついて行けた。するとマスターが、ドナ・リーについては以前色々と関心を持って収集していたのだ、といって3枚のCD-Rを持ってきた。10年以上をかけてLPを丹念に聞いて録音したCD-Rだと言うのだ。とんでもなく底の深い人である。その概要を紹介します。
 1枚目は、サヴォイのパーカーのtake1から4、エリック・ドルフィ、アート・ペッパー、リー・コニッツ、フィル・ウッヅ、渡辺貞夫などの演奏が15曲。
 2枚目は、アーチー・シェップ、スティーブ・レイシー、アンソニー・ブッラックストン、クラーク・テリー、クリフォード・ブラウン、ドン・パターソン、レッド・ロドニーなどの演奏が12曲。
 3枚目は、森剣冶、ニュウ・ハード、秋吉敏子、ジャッキー・テラソン、ケニー・ドリュー、マーシャル・ソラール、バリー・ハリス、ウォーン・マーシュ、ワーデル・グレイなどの演奏が14曲。と、合計41曲を収集していて、現在も進行中だそうです。
 こんな情報をもらったので、ぼくも少しは収集に貢献できないかと、ドナ・リーをチェックして見ました。そして集めたのが以下の演奏です。アート・ペッパー(Arthur's Bluesというアルバムより)、ジャコ・パストリアス、カーリン・アリソン、ビル・チャーラップ、バディ・リッチ、デビー・キャメロン、ロニー・スコット、オスカー・ピーターソンなど14曲。
 これだけ聴くと、ドナ・リーが耳たこ状態ですが、それでもいろいろな演奏を聞いていると確かに、演奏が上手いかどうかなんとなくわかってきます。チャーリー・パーカーのサヴォイ録音によるオリジナル演奏以外に代表的な演奏を次に挙げておきます。

プラス・イレブン+3(アート・ペッパー)

リー・コニッツ・ウィズ・ウォーン・マーシュ

セレナーデ・トゥ・ア・バス・シート(クラーク・テリー)

ジャコ・パストリアスの肖像+2(ジャコ・パストリアス)

皆さんもドナ・リーを楽しんでみてください。アンソニー・ブラックストンのLPから始まったドナ・リーでした。




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