ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
テラークの輸入盤15枚(2009.10.19)

 今日は中古レコードで、テラークの輸入盤LPが大量に見つかり、価格も流通価格より安かったので、思い切って沢山買いました。おかげで財布も軽くなりました。しかし満足しています。以下に紹介します。コメントは「帯」に書かれていたものです。


1.ヘンデル/王宮の花火の音楽他 フェンネル指揮、クリーブランド管弦楽団 DG10038
2.マゼールの展覧会の絵他 ロリン・マゼール指揮、クリーブランド管弦楽団 DG10042
マゼールがオーケストレーションの綾を、なんて見事に聴かせてくれるのだろう。
3.華麗なるマーチ集 フレデリック・フェネル指揮、クリーブランド管弦楽団管楽セクション DG10043
マーチの正調とは、このように品があり格調高いものだと、この名コンビは教えてくれる。
4.メル・ルイス・プレイズ・サド・ジョーンズ メル・ルイス・ジャズ・オーケストラ DG10044
これがサド・メル。圧倒的ソロ・プレイをフィーチャーしたごきげんなオーケストラ・ジャズ。
5.ボイト/メフィストフェレ他 ロバート・ショウ指揮、アトランタ交響楽団&合唱団 DG10045
20世紀イタリア音楽の輝かしい1ページ、メフィストフェレ。その壮麗さに心を奪われる。
6.ショーソン/ヴァイオリン弦楽四重奏のための協奏曲 クリーブランド管弦楽団四重奏団 DG10046
ショーソンのもつ匂いたつような香気が、じつに鮮やかにとらえられている。
7.イギリス民謡組曲リンカンシャーの花束 フレデリック・フェネル指揮、クリーブランド管弦楽団管楽セクション DG10050
吹奏楽ファン、待望の一枚。必聴の名曲集。胸を熱くせずにはおかないフェネル円熟の棒。
8.ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界」 レオナード・スラットキン指揮、セントルイス交響楽団 DG10053

9.リムスキー・コルサコフ/スペイン奇想曲他 エドゥアルド・マータ指揮、ダラス交響楽団 DG10055
メキシコ期待のマータ、さすがリズムの冴えが抜群。
10.フォーレ/パヴァーヌ他 レオナード・スラットキン指揮、セントルイス交響楽団DG10058
青年詩人スラットキンによって「叙情」は香り高く漂う。
11.ベートーヴェン/交響曲第5番「運命」他 小澤征爾指揮、ボストン交響楽団 DG10060
12.マーラー/交響曲第1番「巨人」 レオナード・スラットキン指揮、セントルイス交響楽団 DG10066
青年マーラーの心を、かくもみずみずしくすくいとった、スラットキン。
13.チャイコフスキー/くるみ割り人形他 ロリン・マゼール指揮、クリーブランド管弦楽団 DG10068
マゼールらしい洗練された美感に彩られた、魅力的なチャイコススキー
14.ロシア・オーケストラ名曲集 レオナード・スラットキン指揮、セントルイス交響楽団 DG10072
若手指揮界のリーダー、スラットキンによる、壮麗なロシア音楽の祭典
15.プーランク/グローリア ロバート・ショウ指揮、アトランタ交響楽団、合唱団 DG10077
窓をゆるがす、16ヘルツの重低音、これぞテラークの面目躍如。

 テラークのLPといえば肝心なものが1枚ありません。そう、エリック・クンツェル指揮、シンシナティ交響楽団のチャイコフスキー/大序曲「1812年」です。残念ながら見つかりませんでした。しかし日本フォノグラムが製作・発売したものがあったので、これを買ってきました。ついでに目に付いた大序曲「1812年」を2枚買ってきました。


1.大序曲「1812年」 エリック・カンゼル指揮、シンシナティ交響楽団 テラーク1978年録音
大砲;ヴァージニアの古典兵器保存団体所有の3本の大砲
テラーク・デジタルの威力を一躍世界に知らしめた圧倒的な録音・演奏。
2.大序曲「1812年」 A面:ベルナルト・ハイテンク指揮、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1972年録音、 B面:アンタル・ドラティ指揮、ミネアポリス交響楽団 1958年録音 フィリップス
大砲;A面・バス・ドラム、B面・ニューヨーク士官学校によるブロンズ・カノン
号砲鳴りわたる大序曲、まさに勇壮。
3.大序曲「1812年」 アンタル・ドラティ指揮、デトロイト交響楽団 ロンドン1978年
大砲;南北戦争に使用されたキャノン砲
炸裂するカノン砲、高鳴るカリヨン。巨匠ドラティが描く音の一大絵巻。

 テラークの輸入レコードといえば、昭和50年代でも1枚4000円と高価で、何枚も手が出せるものではなかった。それが今回、今までに所有しているものよりも多くの枚数を手に入れることが出来た。音楽的にも、オーディオ的にも、また新しい発見が出来そうである。
 大砲はウーファーを壊さないように気をつけなくては!!


テラークの国内盤とソニーのマスターサウンド盤(2009.10.20)

 今日は、昨日の話の続きです。昨日テラークのレコードを買ってきた折に、おやっと思ったものがあり、今日も中古レコードを見に行きました。そして、昨日は買わなかったテラークの日本盤を買うことにしました。それとソニーのマスターサウンド盤も買いました。
 まずはテラークの6枚の日本盤です。
1.ゼルキン&小沢の「皇帝」 ボストン交響楽団 20PC2003
ヒューマンで高貴なぬくもり、「皇帝」の代表的名演。
2.ゼルキン&小沢のベートーヴェンピアノ協奏曲第4番 ボストン交響楽団 20PC2004
芳醇な音楽の香り、気品と風格あふれる巨匠ゼルキンの名演。
3.マゼールの幻想交響曲 クリーブランド管弦楽団 20PC2006
テラークの名録音できく、圧倒的な「幻想」。
4.マゼールのチャイコフスキー交響曲第4番 クリーブランド管弦楽団 20PC2007
洗練された感性が捉えた流動感豊かなチャイコフスキー。
5.オーマンディのサン・サーンスオルガン交響曲 フィラデルフィア管弦楽団 20PC2008
華麗にして勇壮、殿堂に響きわたるフィラデルフィア・サウンド。
6.グリーグ/ペール・ギュント他 レオナード・スラットキン指揮、セントルイス交響楽団 20PC-2013
今やアメリカ楽団を代表するスラットキン&セントルイス饗、生彩あふれる瑞々しい音楽。

続いてソニーの5枚のマスターサウンド盤です。
1.ストラヴィンスキー/ペトルーシュカ ズービン・メータ指揮、ニューヨーク・フィル
驚くばかりの鮮明さと多彩さ、立ち上がりと切れ味の鋭さ。
2.モツツァルト/交響曲第40番&41番 ラファエル・クーベリック指揮、バイエルン放送交響楽団
ヘラクレスザールのホール・トーンを完璧に再現するマスター・サウンド盤で登場。
3.チャイコフスキー/1812年他 ロリン・マゼール指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン・フィルのパワーが、ムジークフェラインに炸裂。マゼールの実力を思い知らされる壮大な戦争スペクタクル。
4.ストラヴィンスキー/ペトルーシュカ マイケル・ティルソン・トーマス指揮、フィルハーモニア管弦楽団
いきいきと弾むリズム、若々しいエネルギーの爆発。いま実感。トーマスの時代到来。
5.プロコフィエフ/交響曲第5番 レナード・バーンスタイン指揮、イスラエル・フィルハーモニック
デジタル録音でとらえた白熱のライブ。情熱たぎるバーンスタインの本領発揮、まさに会心のプロコフィエフ。

 テラークの日本盤も、やはりテラークらしい音がしています。スケールの大きいホール・トーンを含んだ、それでいて音に輪郭のはっきりした、コンサートホールのS席で聞いているような素晴らしい録音です。もちろん輸入盤の方がより鮮明な音ですが。
 一方ソニーのマスターサウンド盤は、テラーク盤とは対照的な音作りです。歯切れの良い、クリアーな音で、音も近くから聞こえ、直接音の多い現代的な音です。
 どちらも好録音でありながら、主張が違います。中古のLPというのは、一期一会の出会いであり、これらのLPとはまたいつ出会えるか判らないと思い、可能な限り購入してしまいました。このような素晴らしいLPがCDに取って代わられるのは本当に残念です。
 この度SUNVALLEY AUDIOよりアナログプレーヤーの発売が計画されていますが、CDと併せて、多くの方々がアナログの良さを再認識し、楽しまれると良いと思います。確かにクラシックLPの新譜の発売はスズメの涙ほどしかありませんが、過去の素晴らしい遺産が世界には、まだまだ沢山あり、廉価に入手できます。
 最もぼくが言うまでもなく、ジャズの好きな人はアナログの好きな人も多く、ジャズのLPは程度が良ければ定価と同等以上の価格で売られています。したがって流通も活発です。


「音楽の聴き方」を読んで(2009.10.21)

 ぼくは、音楽が好きだし、ジャズとクラシックに限れば、平均的な人よりは沢山音楽を聞いていると思う。しかし、自分が音楽をどう感じたかについて言葉で表現するということについては大変苦労する。そんな時には、吉田秀和、志鳥栄八郎、宇野功芳などの諸氏が書かれた音楽についての評論などを読んで、自分の気分にあった言葉を捜し、それらを租借して意思表現している。
 しかしこれらの諸先生は、時として音符を取り上げてその構造がどうとか、表現方法がどうとか、演奏法がどうとか言われると、そういう理論には理解のないぼくとしては手も足も出ない。それでも音楽は聞いて楽しめると思っている。
 一方、NHKのテレビで「名曲探偵アマデウス」では、クラシックの名曲の秘密に迫るということで、専門家の方々が曲の構成とか、作曲家が腕を振るった箇所とか、演奏上のポイントとかを易しく解説してくれる。こういう解説があれば、音楽理論の素人でもかなり音楽に入っていき易い。しかし視聴者の数からすればマイナーな番組だろう。以下NHKの時間ファイルの一部抜粋。
 フィンランドの大作曲家シベリウスの交響詩、「フィンランディア」
 北欧フィンランドが生んだ偉大な作曲家シベリウスの初期の傑作。このわずか8分あまりのシンフォニックな曲には、祖国を愛してやまなかったシベリウスの大胆かつ繊細なテクニックがちりばめられている。フィンランドは六百年にわたりスウェーデン、ロシアに支配された。シベリウスが生きた時代は、帝政ロシアの圧制に苦しめられた。果たして名曲探偵は、交響詩「フィンランディア」に秘められた、どんなメッセージを解き明かすのか?

 と、まぁ、音楽の表現を苦手にしているぼくにとって、第9のIさんが紹介してくれた、岡田暁生著「音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉」中公新書、は渡りに船だと思い、早速購入し読んでみた。
 第1章 音楽と共鳴するとき・・・「内なる図書館」を作る
 第2章 音楽を語る言葉を探す・・・神学修辞から「わざ言語」へ
 第3章 音楽を読む・・・言語としての音楽
 第4章 音楽はポータブル化?・・・複文化の中で音楽を聞く
 第5章 アマチュアの権利・・・してみなければ分からない
 という章だてで構成されている。第1章までは素直に頭に入ったが、2章以降になると、著者の豊富な知識に基づき、色々な引用がなされて解説されているが、難しくて余り頭に入っていかなかった。ぼくのレベルで理解しようと思うと、もう1冊解説書が必要なようだ。
 ぼくの全体的な受け取りとしては、「音楽を本当に理解しようと思うと、その音楽が生まれてきた文化的な背景や、その国の社会的背景などを理解する必要がある。音楽について語ろうとすれば、音楽についての基礎的な知識と、指揮者などのプロが語る音楽の語り口などを理解する必要がある」ということだろうか。でもこの受け取りでよいのか自信がない。ぼくには「名曲探偵アマデウス」のほうがあっているようだ。
 でも懲りずに、同じ著者が書いた「西洋音楽史」の方も読むことにします。


大序曲「1812年」の7連発(2009.10.28)

 チャイコフスキーの大序曲「1812年」を7枚連続して聴くというのは、通常では考えられないことである。しかし、最近になってまとめてLPを入手したとか、発売当時話題となったテラーク盤を入手したとかの事情が重なり、やってみようかということになったのである。
 この曲の作曲の経過は、1880年の春に、ニコライ・ルービンシュタインからモスクワの博覧会で演奏するための祝典曲を依頼され、1812年にナポレオンが60万の大軍でロシアに攻め入ったが、飢えと寒さのために完全に撤退するまでを描写音楽として描いたものである。演奏に当たっては効果音として大砲が用いられている。
 1. アンタル・ドラティ指揮、ミネアポリス交響楽団 フィリップス1958年録音
 このLPは、実際の大砲が効果音として使用された最初のもので、発売と共にオーディオチェック用として大変話題になった歴史的録音である。録音にはマーキュリーの映画のサウンドトラック用の磁気テープが用いられた。使用した大砲は、ニューヨーク士官学校によるブロンズ・カノンで、メリハリのきいたドラティらしい演奏である。以降大砲を使った録音のLPが製作されるようになった。
 2. ストコフスキー指揮、ロイヤル・フィル 1966年録音
 音の魔術師、ストコフスキーらしい意外性のある演奏である。特にフィナーレ近くの祝砲が鳴り響く予定の場面では、突然オーケストラの演奏が鳴り止み、合唱が聞こえてきたり、最終場面では、オーケストラが感情を込めて音を引き伸ばし、終了した後も鐘の音だけがいつまでもなり続けている。
 3. ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリン・フィル DG1966年録音
 カラヤンがベルリン・フィルとの、カラヤンサウンドあふれた演奏である。冒頭にコサック合唱団による合唱を入れたり、大砲の音は余り大きな大砲ではないが、残饗感をたっぷり盛り込んで、しかも演奏とバランスの取れた演出をしている。
 4. ベルナルト・ハイテンク指揮、アムステルダム・コンセルトヘボウ フィリップス1972年録音、
 唯一大砲の代わりにバスドラを使用した演奏であるが、そのスケールは大砲にも劣らす素晴らしい。演奏はコンセルトヘボウの奥行きのあるホールトーンを意識させるような、素晴らしい演奏で、録音も素晴らしくぼくの好きな演奏の一つである。
 5. エリック・カンゼル指揮、シンシナティ交響楽団 テラーク1978年録音
 大砲にヴァージニアの古典兵器保存団体所有の3本の大砲を使用し、しかも録音レベルが非常に高く、再生が困難といわれた演奏。多くのオーディオマニアが再生に血道をあげ、テラーク・デジタルの威力を一躍世界に知らしめた録音・演奏。
 6. アンタル・ドラティ指揮、デトロイト交響楽団 ロンドン1978年
 大砲に南北戦争に使用されたキャノン砲を使用し、炸裂するカノン砲、高鳴るカリヨン。
 7. ロリン・マゼール指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ソニー1981年録音
 ウィーン・フィルの美しい音色と、歌劇場合唱団の合唱と、大砲の音とマゼール指揮をソニーのマスターサウンドでとらえた1枚。
 CDになってからも、著名な指揮者が次々と録音しているが、ぼくの「1812年」はここで一休み。




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