ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
JAZZ喫茶マスターの絶対定盤200(2010.11.7)

 ジャズ喫茶「グッド・ベイト」に行ったら、マスターが「JAZZ喫茶マスターの絶対定盤200 (静山社文庫)鎌田 竜也著」という本を見せてくれた。この本はまもなく発売されるもので、著者の鎌田さんが、マスターにもインタビューされて、それに基づいた内容の記事が掲載され、それでいち早く鎌田さんより送られてきたものである。
 【鎌田竜也】 1960年、札幌市に生まれる。ジャズ喫茶と映画館にしか通わず、大学を中退。上京後、レコード店のジャズ専門フロアに勤務し、ライター業に転身、週刊誌を中心に活動を始める。映画、ボクシング、音楽ではジャズ、沖縄民謡、ワールド・ミュージックに明るい。実家は札幌市内でジャズ喫茶「Rondo」を経営。
 本の内容の主要な構成は、鎌田さんが全国の主要ジャズ喫茶の店主にインタビューし、それに基づくアルバムの紹介と、各喫茶店主のジャズ喫茶を始めたきっかけとかが紹介されている。
 鎌田さんには以前「ジャズ喫茶マスター、こだわりの名盤(講談社)」という著作が有り、この本の中で、ジャズ喫茶のマスターにアンケートを取り、彼らが選んだベスト・アルバム200枚を紹介している。という意味では、今回の本はその第2段ということになる。
 グッド・ベイトのマスターがジャズ喫茶を開店したのは、今から30年以上前のことであり、日本でのジャズブームの真っ只中であった。当時はジャズ喫茶の常連といえば、昼、夕方、食事をしてからの夜と、一日3回通ってくる人の事を言い、毎日1回見える客は、普通のお客さんというくらいの時代であった。しかし今は、毎日見えるお客さんもいない状況であり、多くのジャズ喫茶が店をたたんでしまった。今まで店をやって来れた私は幸せである。といったような趣旨のことを回想している。
 確かに、1960年代・70年代というのは、ハードバップ、ファンキー、モード、フリー、フュージョンと、次から次へと新しいジャズの表現がなされ活気にあふれていた。その後は4ビートのジャズから、8ビートのロックへと音楽の中心が移ってしまい、今ではジャズはアメリカではクラシックのカテゴリーでとらえられている。
 一時は蕎麦屋の出前でもモーニンを口ずさんでいる、と言われたジャズのブームはとっくに過ぎ去ってしまったが、言い方を変えれば、今ジャズを聞いている人は、本当にジャズが好きな人たちであると言える。
 かつてのような活気は無くなったとは言え、ジャズを演奏する若いミュージシャンも多数おり、そのスタイルも色々である。聞く側は間口を広く開いて、自分の好みの演奏を探せばよいだろう。ぼく個人にとっては、よくスイングする少しアップテンポの曲が楽しいと思うが、それにこだわらずに、中間派のスイングからフリーまでを聞いている。
 JAZZ喫茶のマスターが推薦する絶対定盤200の中には、きっと僕の知らない演奏もたくさんあると思うので、まだまだ楽しい出会いがあると思う。


豊橋発のコミュニティー誌「fratto」(2010.11.8)

 「fratto」は愛知県豊橋市発のコミュニティー&ライフスタイルマガジンで、4名からなる編集部を中心に、小誌を企画・編集・製作している。伝えたいのは、東三河と西三河、そして浜松をはじめとした静岡県西部エリアの魅力。
 自分だけの特等席が見つかるカフェ、おいしいスウィーツを食べられるお店、ドライブがてら遊びに行きたい街、etc.……ここで暮らすわたしたちの視点から生まれる企画をもとに、日々に彩りと豊かさをプラスする情報を集め、ぎゅっと詰めこんでいる。
 以上がfrattoを発行しているプライズメント社の雑誌発行のねらいでした。
 ぼくは今までfratto(年2回発行)という雑誌はまったく知らなかったのであるが、2010年の秋・冬号(Vol.12)の特集が「音楽が生まれる街」というテーマで、ぼくの良く行くジャズ喫茶「グッド・ベイト」が掲載されており、マスターより雑誌を見せてもらって興味を持ったのである。
 今回の特集では、まず浜松市内で行われているユニークな野外コンサートについての紹介があり、それからヤマハのピアノ製作についてレポートされている。ライブハウスでは、吉良町のインテルサット、浜松市のアナログ、豊橋市のバークリー、同じくアコーディアナなどが取り上げられている。ジャズ喫茶では、豊橋のグロッタ、知立のグッド・ベイト、浜松のトゥルネラパージュ、同じくエスケリータ68などが取り上げられている。そのほかにも岡崎のジャズに関する内田コレクションとか浜松の蓄音機コレクターや音楽に関するエッセイなどが掲載されている。
 この雑誌を見て、使われている写真の質が大変素晴らしいと思います。右の写真は、ぼくがよく行くジャズ喫茶グッド・ベイトのものですが、右手に入り口のドア、左手にマスターが所有している2万枚以上のジャズのLPのインデックスを整理したバインダーの入ったボックスを映したものです。マスターの手作りのアットホームな感じが大変良く出ています。

 ぼくが正確に確認したわけでは有りませんが、たぶんLPそのものの整理もこのバインダーのようになっていると思います。ジャズをヴォーカル、テナーサックス、アルトサックス、トランペット、ビッグバンドなどの大きなカテゴリーで分類し、カテゴリーの中はアーチストのABC順での分類を基本としながら、特にマスターが力を入れて集めたアーチストは別分類としているのではないかと思います。グッド・ベイトに行かれた時は、このバインダーを覗いて見ると面白い事が発見できるかもしれません。このほかにもグッド・ベイトの写真がさりげなく、数枚使われています。
 このfrattoという雑誌が今後どの様な企画のものを発行するか、大変興味のあるところです。




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