|
正月の初めは、年始などで人が集まり、賑やかに飲み食いして過ごす。おせち料理にすき焼きとか、刺身、牡蠣のバター焼き、焼肉など、魚類や肉類を普段より多く食べてしまう。さすがに5日目くらいになると、胃のほうが何かさっぱりしたものを要求するようになる。
今日の夕食は妻と二人して準備をしたのだが、食卓に並んだものを見てみると、ほうれん草とベーコンのバター炒め以外は、白菜キムチ、ニラキムチ、ヤマゴボウの味噌漬け、菊芋の味噌漬け、柚子大根、カブの千枚漬けといったものが並んでいて、漬物のオンパレードとなった。しかもすべての漬物が自家製である。
キムチは、昨年の秋にプロの方から手ほどきを受けて、2回ほど自分でつけてみた。出来た物を知人に恐る恐る配ってみたら、皆から美味しいと言われ気をよくして、白菜のみでなく、大根とかカブ、ニラなどのキムチを作って見た。但し家人には、幾ら美味しくても毎日では鼻につくといわれ、最もと思っている。
ヤマゴボウは農ライフの研修生が作ったもののおすそ分けをいただき、味噌漬けと醤油漬けにしたものである。菊芋も知人から分けていただいた。
柚子大根もプロの方から手ほどきを受けて、比較的簡単にできるので、大根や応用としてカブなどを使って作ってみた。
あっさりしたものが食べたいときや、お茶請けなどにはなかなか良いと、自画自賛しているのである。この中で比較的手軽にできる柚子大根の作り方のレシピを紹介します。
ゆず大根の作り方(家庭用)
材料
・大根(皮をむいたもの)・・・5kg
・塩 ・・・・・・・・・・・・170g
・酢 ・・・・・・・・・・・・270cc
・砂糖 ・・・・・・・・・・・800g
・ゆず ・・・・・・・・・・・・・1個
●大根の皮をむく
●むき終わったら横に15~20cmに切る。次に縦に4~6片に切る。(食べる時に食べやすい大きさに切る)
●上記分量の塩・砂糖を切った大根に入れる。
●ゆずはりんごの皮をむくようにし、皮は3~4cmの長さで千切りにする。
●皮をむいたゆずは横に切り「ざる」で受けながら手で搾り、大根の中に入れる。
●重石はしない。
●一日一度は袋をゆすり攪拌する
3~7日くらいが食べ頃
*大根の代わりにカブを使っても美味しい。千枚漬けに似た味になります。
*お好みで昆布を入れても良い。

今年最初のグッドベイト訪問をした。マスターが何か真剣に考え事をしていた。除いてみると、ジャズ批評よりの原稿の依頼が来ているのだ。例年のごとく2010年の心に残る新譜を5枚挙げよという事らしい。ぼくにとってもマスターが何を選ぶかは興味のあるところである。
鎌田竜也さんが書かれた「ジャズ喫茶マスターこだわりの名盤」講談社α文庫と言う本がある。この中でグッドベイトのマスターが挙げたベスト10枚が載っている。
①ゴースト/アルバート・アイラー (Debut)
②ファー・クライ/エリック・ドルフィ (Prestige)
③シックス・デュエット1982/アンソニー・ブラックストン (Cecma)
④ユー・マスト・ビリーブ・イン・スプリング/ビル・エバンス (Warner Bros.)
⑤ラサーン、ラサーン/ローランド・カーク (Atlantic)
⑥プログレス・リポート/ディジー・リース (Jasmine)
⑦モダン・ミュージック・フロム・シカゴ/レッド・ロドニー (Fantasy)
⑧ザ・ビジット/パット・マルティーノ (Cobblestone)
⑨イン・ザ・ワールド/クリフォード・ジョーダン (Strata East)
⑩ポートレート・オブ・シェイラ/シェイラ・ジョーダン (Blue Note)
ぼくがこの本を読んだのは15年位前で、まだビーバップやハードバップ、モードジャズなどに夢中であった。と言うより、色々なジャズを聞いていたが、アバンギャルド系のジャズだけは避けていたのである。そこに上記のようなジャズが好きなマスターがいるジャズ喫茶グッドベイトは近寄りがたい場所であった。とは言っても、地元にあるジャズ喫茶はいつも気になる場所ではあった。
何がきっかけであったかは定かに覚えていないが、グッドベイトに顔を出すようになり、お互いにどんなジャズが好みかも分かるようになって、少しずつマスターから、これ良いよ!などといわれて、今ではアイラーもドルフィーもブラックストンも、と、マスターが挙げたベスト10枚をぼくも好きになってしまった。
そんなことを思いながら、ぼくの今年聞いたベスト5枚は何だろうなと思ってみた。新譜にこだわらず、マスターに良さを教えてもらった、ぼくにとって新しい発見をしたアルバムを挙げてみた。

・INGLEWOOD JAM / Charlie Parker
これはパーカーのイングルウッドでのライブ演奏であるが、共演しているチェット・ベイカーがガレスビーをなぞるような、少したどたどしいバップをやっているのが懐かしい。またソニー・クリスが注意して聞かないと分からないほど、パーカーと良く似た演奏をしている。よき時代のアルバムである。

・VOODOO / The Sonny Clark Memorial Quartet
ジョン・ゾーンがリーダーのカルテットで、ソニーク・ラークの作品をバップで演奏している。とは言ってもジョン・ゾーンのきらっと光る演奏である。

・Close Up / David Sanborn
ぼくは8ビートのジャズは苦手であるが、情熱的なデビット・サンボーンのアルトは断然8ビートが合う。何を聞いても胸が締め付けられる。

・Open Strings / Jean-Luc Ponty
グッドベイトのマスターからA面1曲目のフリッピング・パート1の出だしを聞いてみてよ。まるでポンティのヴァイオリンがサックスのように歌っているだろうと言われて聞き出したアルバム。確かにジャズ・ヴァイオリンも素晴らしい。

・Seven Standards 1985 / Anthony Braxton
アンソニー・ブラックストンの代表的アルバムは何かと言えば、Anthony Braxton Live(1975)やDortmund(1976)、Charlie Parker Project 1993などを挙げなければいけないのではないか。こういったアルバムで聞ける彼のアバンギャルドな演奏も、聞き込めば心地よい。但し体調が良くないと疲れるが。
しかしここでは少し毛色の変わったアルバムを採りあげる。パーカーやマイルス、モンク等が作曲したスタンダードをバップで演奏したものである。共演しているハンク・ジョーンズに影響されて穏やかな演奏となっている。
以上、ちょっと前では、こんなアルバムをぼくが持っているなんて、信じられないことであるが。マスターがぼくの食べず嫌いを直してくれたのである。
それではマスターが選んだ5枚は何かって?
それは発売されるであろうジャズ批評を読んでください!

本格的な冬の寒さがやってきたような今日この頃である。さし当って急ぐ畑仕事もないので、わずかばかりの用事で外出する以外は、昼間から部屋で音楽でも流しながら小説を読んでいる。こういうときにはミュージックバードの12チャンネルが良い。静かなクラシックを流しながら、昨年末に組み立てた、サンバレーのSV-2300という2A3のプッシュプルアンプで、アルテックの6041をドライブさせて聞いていると、本当に心が和む。この6041はモニタースピーカーではあるが、大きな音を出さずとも大変バランスの良い音で鳴る。SV-2300の芯のある低音に支えられた、暖かい中高音のドライブに6041は見事に反応する。
何かのきっかけで本を読み出すと、その分野を集中して読みたくなる。そうすると、あちらこちらの古本屋を廻って本を集め、それから読み始めるのである。今はまた藤沢周平の時代小説である。彼の小説を読もうと思ったことは過去に何回もあり、用心棒シリーズや蝉しぐれ、三屋清左衛門残日禄、密謀、等の長編小説や多くの短編小説を読んだが、すべてを読んだわけではないのである。今回読んだ本を以下に挙げる。

・闇の傀儡師(上・下)
御家人くずれで、剣の腕が立つ鶴見玄次郎が事件に絡んで活躍する。
・風の果て(上・下)
小藩の下級武士から家老までになった桑山又左衛門の活躍。
・出合茶屋(神谷玄次郎捕物控)
肉親を殺されたはぐれ同心が、市井の事件を解決する。
・消えた女(彫師伊之助捕物覚え)
・漆黒の霧の中で(彫師伊之助捕物覚え)
・ささやく河(彫師伊之助捕物覚え)
もと岡引の伊之助が事件に巻き込まれ、今風に言えばハードボイルド風の私立探偵の活躍。
・隠し剣孤影抄
・隠し剣秋風抄
藤沢時代小説の剣の腕の立つ主人公は、必ず何かの秘剣を心得ていて、最後にはそれがものを言うのである。この2巻はそういった秘剣を扱った短編集。
若い頃は同じ時代小説でも、信長や秀吉、家康などを主人公にした、吉川英治、山岡宗八、司馬遼太郎といった人たちの、歴史大河小説を好んで読んだものであるが、年を経るにしたがって好みも変わり、池波正太郎の剣客商売シリーズや平岩弓枝の御宿かわせみシリーズ、とりわけ藤沢周平物が気に入っている。主人公は下級武士や市井の人々であり、日常的な出来事を積み重ねて物語が出来上がっており、本人が言うように「時代や状況を超えて、人間が人間である限り不変なものが存在する」「小説を書くということはこういう人間の根底にあるものに問いかけ、人間というものはこういうものかと、仮に答えを出す作業であろう」(時代小説の可能性)という姿勢で描き出す、主人公の人間性に共感するところが大である。
と言う理屈もあるが、要は読んでいて面白いと思うから読むだけのことであるが。

