ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
レイ・ブライアントについて (2011.6.6)

 今日の中日新聞夕刊にレイ・ブライアントの訃報が載っていました。「レイ・ブライアント氏(米ジャズピアニスト)米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると2日、ニューヨークの病院で死去、79歳。病気療養中だった。31年ペンシルベニア州生まれ。戦後のジャズブームの中で注目を集め、同州フィラデルフィアの「ブルーノート・クラブ」で兄のベーシスト、トミー氏と演奏。チャーリー・パーカーやマイルス・デイヴィスとも共演した。(ニューヨーク共同)」というものです。
 ぼくが最初にピアノトリオを好きになったのは、確かウイントン・ケリーだったと思います。彼の歌心あふれるブルージーな演奏に、一時はかなりのめりこみました。
 そんな時にもう一つノックアウトされたのが、「レイ・ブライアント・トリオ」というアルバムの冒頭のゴールデン・イヤリングの演奏でした。これがきっかけでレイ・ブライアントに興味を持ち、あれこれ聞くようになりました。ぼくが良く聞く彼のアルバムを紹介します。




1) Ray Bryant Trio / Prestige
Ray Bryant (p) Ike Isaacs (b) Specs Wright (ds)
Rudy Van Gelder Studio Hackensack NJ 、April 5, 1957

2) Jo Jones Trio / Everest
Ray Bryant (p) Tommy Bryant (b) Jo Jones (ds)
NYC March 1959

3) Ray Bryant - Con Alma / Columbia
Ray Bryant (p) Arthur Harper (b) Mickey Roker (ds)

4) Ray Bryant -Alone At Montreux / Atlantic
Ray Bryant (p)
"Montreux Jazz Festival" Switzerland June 23 1972

 1) はぼくが最初に飛びついた、Golden Earringsの入ったアルバム。ブルースフィーリンの溢れた、それでいてソフィスティケーテッドされた演奏は、やはり彼の代表作であろう。バンゲルダーの録音で音も厚い。
 2) はベイシー楽団のドラマー、ジョー・ジョーンズのアルバムであるが、ここでのブライアントの演奏も素晴らしい。(ベイトのマスターより推薦されたもの)
 3) はブライアントのアルバムの中で、ぼくの最も好きなアルバム。クバノチャントやコンアルマといったラテン調のアップテンポの演奏が素晴らしい。コロンビアの録音も音が良い。
 4) はモントウr-ジャズ・フェスティバルでのソロアルバム。オスカー・ピーターソンが病気で出場できなくなり、替わりに出たが、これが素晴らしく評判となったもの。
 これ以外に、Ray Bryant Playsという兄との共演盤や、また日本からのリクエストで製作された、Through The Years Vol.1,2というアルバムも日本では人気がある。


オール・アメリカン・リズム・セクション(2011.6.10)

 ジャズ演奏における著名なリズム・セクションを挙げるとしたらどうなるか。Art Pepper Meets The Rhythm Sectionで知られるThe Rhythm Sectionこと、マイルス・デイヴィスのリズム・セクション。ジョン・コルトレーンの黄金のカルテットを構成するリズム・セクション。そしてカウント・ベイシー楽団のオール・アメリカン・リズム・セクションといわれたリズム・セクションが妥当ではないか。
 この3つのリズム・セクションのドラマーは、Philly Joe Jones、Elvin Jones、Jo Jonesと、偶然にも皆ジョーンズさんである。特にPhillyは先輩のJo Jonesと区別するためにフィラデルフィア出身ということで、頭にPhillyをつけたようである。またエルビンは、ピアニストのハンク・ジョーンズ、トランペッターのサド・ジョーンズと共にジョーンズ3兄弟の末弟であり、妻は日本人という親日家でもあった。いずれも今は亡くなっている。
 話が横にそれたが、ぼくの好きなカウント・ベイシー楽団のリズム・セクションに話を戻そう。このリズム・セクションを構成するのは、カウント・ベイシー(p)、フレディ・グリーン(g)、ウォルター・ペイジ(b)、ジョー・ジョーンズ(ds)である。後にbとdsはメンバーが替わるが、コンセプトは普遍である。音楽的なコンセプトがどうかを説明するのは、ぼくには荷が重いので、詳しい方の説明を引用させてもらいます。
 日本ジャズ界偉才のアルト・サックス・プレイヤーである五十嵐明要(あきとし)さんのオフィシャル・サイトhttp://altosax.igarashi.cc/index.htmlの中のwebmaster's choiceに載っている文を引用します。
 『ベースは、重低音を用いて着実にフォー・ビート(ウォーキング・ベース)を弾き続け、「全体のリズムと和音進行の基調」をつくります。各拍は均等でかつテヌートです。装飾音は一切使いません。ピックアップは用いず、ナマ音が基本です。どうしても必要なときは専用のマイクロフォンを使います。ギターは、リズムをリードするのではなく、ベースと一体となって「和音の進行とリズムに彩りを添える」ことに専念します。当然フル・アコースティックで電気的ピックアップやアップ・ストロークは一切使いません。ドラムスは、主としてハイハットとライド・シンバルを用い、特徴的なアクセント付けによって「スウィング感とドライブ感」をつくりだします。必要なとき以外はオカズは入れません。ピアノは、単純化し不必要な和音は弾きません。そうすることによって全体のリズムが軽くなり、スウィング感が強まります。そしてその結果あのオール・アメリカン・リズム・セクションの「リズムの芸術」がつくられるのです』
 ということなので、当然カウント・ベイシー楽団の演奏を聞けば、あの良くスイングするジャズを楽しめるが、ここではそれとは別にスモール・コンボでの演奏を紹介する。

・Jo Jones Special / Vanguard (CDはFRESH SOUNDより)
 1. Shoe Shine Boy (first take)
 2. Lover Man
 3. Georgia Mae
 4. Caravan
 5. Lincoln Heights
 6. Embraceable You
 7. Shoe Shine Boy (second take)
 Emmet Berry(tp) Benny Green(tb) Lucky Thompson(ts) Freddie Green(g)
 Nat Pierce(p) Walter Page(b) Jo Jones(ds) Lawrence Brown(tb) Count Basie(p)
 Recorded in New York City August 11&16 1955
 1曲目と7曲目にベイシーが参加しており、2~6曲ではベイシーの代わりにウォルター・ペイジがピアノを担当しているが、まさにオール・アメリカン・リズム・セクションをバックに管楽器群がアドリブを展開している。これがアメリカで言うところのメインストリーム・ジャズである。日本では中間派ジャズといわれている。
 これ以外にオール・アメリカン・リズム・セクションの演奏が聞けるものとして、

・Kansas City 7 - Count Basie / Impulse
 1. Oh, Lady Be Good
 2. Secrets
 3. I Want A Little Girl
 4. Shoe Shine Boy
 5. Count's Place
 6. Senator Whitehead
 7. Tally-Ho, Mr. Basie
 8. What'cha Talkin' ?
 9. Trey Of Hearts
 Personnel : Count Basie (p) Freddie Green (gt) Eddie Jones (b) Sonny Payne (dr)
 Thad Jones (tp) Frank Foster (ts) Frank Wess Eric Dixon (ts,fl)
 Recorded at : NYC, Mar 21 & 22 1962
 2代目のオール・アメリカン・リズム・セクションになっているが、ベイシーの演奏のエッセンスがこの1枚で味わえます。
 日本で言うところの中間派のジャズメンというと、テディイ・ウィルソン、ライオネル・ハンプトン、レスター・ヤングが挙げられるが、Jo Jones Specialを制作したVanguard Recordsにはジョン・ハモンドが企画した中間派のアルバムが多くある。著名なプレーヤーとしてはVic Dickenson 、Ruby Braff 、Sir Charles Thompson 、Buck Claytonなどがいる。この中でもBuck Claytonは、同じくジョン・ハモンドが制作にかかわったColombia RecordsにJam Sessionシリーズが著名である。


ジャズのLPを買いました(2011.6.15)

知立のジャズ喫茶「グッド・ベイト」では、お客様が処分したいジャズのLPを店に持ち込んで、価格を持ち込んだ人が決めて売っています。今回も個人の方が処分したいLPが50枚くらい置いてあったので、気に入ったものを買ってきました。
 This Is Tal Farlow / Verve
 これで、「Tal」、「The Swinging Guitar」とあわせてヴァーブの傑作3枚がそろいました。ぼくの好きなタル・ファーロウです。これ以外にはザナドウの「First Set」、「Second Set」などがぼくの良く聞くタル・ファーロウです。
 The Time And The Place - Art Farmer Quintet / CBS SONY
 "Live" At The Half Note - The Art Farmer Quartet Featuring Jim Hall / ATLANTIC
 この2枚は、アート・ファーマーの60年代を代表するアルバムで、なかなかデリケートでホットな演奏を聞かせてくれます。

Side By Side - Richi Cole With Phil Woods / Muse
リッチー・コールが師匠のフィル・ウッズと共演したもので、どちらがどちらか分らない程良く似ています。

Happy Session - Benny Goodman / CBS SPNY
ベニー・グッドマンが従来のスイングスタイルから、モダンスタイルに変身したようなアルバムです。

Eddie Costa Quintet / Mode
ウエスト・コーストで人気の高いMODEレーベルより発売されたものであるが、かなりハードな演奏である。MODEのコレクターは意外に多い。

 

だんだん夜が短くなるにつれて、音楽を聞く時間も短くなる。




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