ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
思わぬ出費 (2011.11.2)

 今日は朝一番から予約していた病院の眼科で視野検査を行いました。年を取ってきたので、年に2回程度この検査をしています。終わった後、帰りにブックオフにより中古本を16冊ほど買いました。・戸張通子の「マルトー 大作曲家たちを虜にした世紀の大ヴァイオリニスト」、・エド・マクベインの87分署シリーズを7冊、・ロバート・パーカーのスペンサーシリーズの1冊、・宮部みゆきの「あかんべえ」、・辻邦生の「夜ひらく」など、今回はフィクションを買い込みました。はたしてこんなに買っていつ読み通すことができるか疑問ですが。
 思わぬ時間を食ったので、家に帰ってしばらくしたら、お昼になってしまいました。昼食の後SUNVALLEY AUDIOのホームページで第9のIさんのブログをのぞいたら、次のような言葉が載っていました。"その時は6041のSさんに「こんな音がほしいのなら、真空管アンプなんかやめちまえ!」と一喝されて目が覚めました。"申し訳ないが当人はとんと覚えていませんが、でも言いそうなセリフですね。この頃は、いやなことはなるべく早く忘れるようにしているのですが、大事なこともついでに忘れてしまいます。やはり手帳に記録しておくことが大事ですね。
 先日、パソコンを買い替えた後友人と話していたら、ネットとつなげるのにモデムとハブを直結しているのは不用心だ、ルーターを付けたほうがよいと言われたのを思い出しました。デスクトップの大型単体のパソコンなので、有線タイプのルーターを使用することにして買い物に出かけました。
 買い物を終えた帰り道、1週間ぶりに「グッドベイト」に顔を出しました。丁度タイミング良く、Bさんがお見えになっていました。今日はジャズのLPをたくさん持ってきていました。コレクションがだいぶたまってオーバーフローしているので、店に置いてもらって売りに出すということでした。ぼくも見せて貰っていたのですが、かなりの枚数があり、途中で疲れてきました。ぼくがぶつぶつ言っていると、いっそのことまとめて買ったらとマスターが横から口を挟みました。まとめ買いなら半額か、などと冗談交じりに言っていたら、Bさんは本当に半額近い数字を提示されました。ぼくも勢いで買ったと言ってしまいました。でも言った後財布を見たらお金が少し足りません。マスターに足りない分を都合してもらって商談成立となりました。家に帰ってLPを数えてみると130枚くらいあります。中身を見ないで買ってきたので、福袋的な気分を味わいながら、眺めてみると、中にはオリジナル盤も入っています。それと知らなくて想像もつかないようなアルバムもあります。これを、時間を見つけて1枚1枚聞いて、当たりか、外れか聞き分ける楽しみが増えました。 
 それにしても今日は1日いろいろと買い物をしました。それもあまり計画的でなく。昔親父が生きていたころ、土瓶を5個も買って来たことを思い出します。なんでそんなに余分に買ってきたかを聞いたところ、露店で半額にせよと交渉していた中で、その代りまとめて一縛り買うと言ったら売るといわれ、引っ込みがつかなくなって買ったということでした。当人は安い買い物をしたつもりでも、母から見れば必要以上に買ってきて、決して安くないということです。はたしてぼくの買い物も親父と同じ轍を踏んだのかも入れません。でも親父も買い物を楽しんだに違いありません。


まとめ買いLPの紹介(2011.11.5)

 先日まとめて買ったLPを、時間を見つけて聞いています。印象的なものを紹介します。

1)ぼくの好きなバド・シャンク
 バド・シャンクの代表アルバムを上げるとすれば、大多数がThe Bud Shank Quartetを挙げるでしょう。ぼくも最初に聞いたアルバムがこれです。でもなぜか、これを初めて聞いたときに、何回も何回も聞き直したという記憶はありません。ぼくが圧倒的に好きなのが、「シャンク・ロジャース・パーキンス」別名「昼と夜のパーキンス」というアルバムです。このアルバムはショーティ・ロジャースと共演した昼と、ビル・パーキンスと共演した夜の、2部構成になっており、アルバムも昼のロスアンジェルスのハイウェーと夜のハイウェーの裏表になっています。

 このアルバムのA面、1954年3月録音の演奏はバド・シャンクの初リーダー録音である。ぼくはどちらかというとB面、1955年5月録音の演奏の方が好きである。どちらもシャンクの生き生きとしたメロディーラインとカリフォルニアの澄んだ青い空のような、アルトの音色は魅力的であるが、まず太い音色でよく弾むレッド・ミッチェルのベース、軽快にスイングするハンプトン・ホーズのピアノ、同じようによくスイングするメル・ルイスのシンバルワーク、このリズム隊のサポートに乗って歌うバド・シャンクは何回聞いても楽しい。中でもレッド・ミチェルのぶっといベースは快感である。

2)ジャケ買いのアート・ペッパー
 ぼくがアート・ペッパーの演奏を初めて聞いたアルバムがなんであったかは覚えていないが、多分ミーツ・ザ・リズム・セクションの前後であったと思う。それ以降のアルバムを多く聞いていたと思う。新譜のLPが出なくなってから、もっと初期のペッパーを聞くようになった。だから当然持っているのはCDである。多くの人とは逆かもしれないが、ジャズのCDを持っていてもLPを持っていないと、LPを買いたくなります。それが好きなアート・ペッパーとなると尚更です。ジャケ買いしたアート・ペッパーのアルバムを紹介します。

・I Get a Boot of You / Marty Paich
これはお風呂のジャケットとして有名ですが、同じ内容のアルバムが虎のジャケットでも出ています。どちらも持っています。

・Surf Ride / Art Pepper
収録曲Surf Rideにちなんだジャケットです。ジャズとは思えないです。

 これとは別に踊り子のMarty Paichも注文してあります。

3)孤高のピアニスト、ジョン・コーツ Jr.
 新譜のレコードを買っていた頃は、LPをまとめ買いすることは無かったが、中古LPを買うようになって、まとめ買いするようになった。中でも今回のように100枚以上を一度に入手すると、まずはA面の1曲目だけを聞くことが多い。それでどんな演奏かイメージしてしまう。そんな中で、あれ!と思ったのがJohn CoatesのRainbow Roadというアルバムである。これを聞くと、コーツはキース・ジャレット風のヨーロピアンテイストを感じさせるピアノソロ演奏をしている。このアルバムのライナーノーツを書いている本田俊夫さんによると、どうやらスタイルを真似たのはキースの方である。

 ジョン・コーツの代表アルバムといえば、Alone and Live at The Deer Headである。ぼくも確か持っていたと思ってLPを探し出し聞いてみた。A面1曲目、Prologueである。やはりこの曲よりもRainbow RoadのA面1曲目のBut Not Yetの方がぼくには印象的である。ジョン・コーツのソロピアノ、なかなか良いですよ!

4)聞くとハッピーになるデューク・ジョーダンのピアノ
 ぼくはBarneyというアルバムを聴いて、無性にパリ・サンジェルマンのライブハウスにあこがれたことがあった。このアルバムのデューク・ジョーダンのピアノが、生で聞けたらどんなに良いのだろうと思ったのである。演奏を聴いていて、彼のピアノソロが始まるとアンプのヴォリュームを2目盛りぐらいアップしていた。

 今回入手したのは、East and West of Jazzというアルバムである。Eastを代表してサディク・ハキム、Westを代表してデューク・ジョーダンのグループの演奏が録音されている。A面の、ジョーダンのピアノとともに、セシル・ペインのバリトンサックスが心地よい。もう片面のサディク・ハキムのブルース・フィーリングあるピアノ演奏も好きである。チャーリ・パーカー・レコードからは、このアルバムとは別に、危険な関係のブルースというアルバムが出ている。このLPは、A面に3つのスタイルの危険な関係のブルースが録音されているが、これが録音されたいきさつもなかなか興味深い。

5)クラシックとの融合、CTIのジャズ
 「CTIレコード(CTI Records)は1967年、プロデューサーのクリード・テイラーによって創設された、ジャズ・レコードレーベル。テイラーはジャズの大衆化を図るために設立し、クロスオーバー(フュージョンの前身)のブームを作った。A&Mレコード内に創設された時の正式名称はCreed Taylor Issueで、独立後はCreed Taylor IncorporatedまたはCreed Taylor Internationalの名をとる。」(以上ウィキペディアより引用)
 このレコードの特徴は、まずジャケットが豪華な見開きで構成されている。演奏はジャズであるが、取り上げる曲はクラッシクである。録音はルディ・ヴァンゲルダーが担当し、素晴らしい。ドン・セベスキーでは火の鳥、スタジオ・トリエステでは白鳥の湖、ジム・ホールではアランフェス協奏曲が取り上げられている。当時、最も多く売れたのがデオダートのツアラトゥストラはかく語りきである。

6)インパルスのヴァンゲルダー録音
 見開きの豪華ジャケットといえば、インパルスも採用している。録音も多くはルディ・ヴァンゲルダーが担当して、いわゆるヴァンゲルダー・サウンドで素晴らしい。内容もCTIとは異なりモダンジャズを取り上げている。インパルス盤は全部集めても損はしない。

 今回ぼくが入手したToday and NowはHawkinsの後期の演奏であるが、彼の王道をゆく太いテナーの音がヴァンゲルダーによってよく捉えられており、オーディオ的にも素晴らしい。ラベルは赤のインパルスで、いわゆるセカンド盤であるが、Van Gelderの刻印が入っている。ここでは、ホーキンスのほかにピアノのトミー・フラナガン、ベースのメイジャー・ホーリー、ドラムのエディ・ロックが参加している。このメンバーを聞けば、ピンと来ると思うが、同じ年に、同じメンバーで、NYヴィレッジ・ゲイトにてライブ録音されたのが「ジェリコの戦い」というアルバムである。こちらの方がよりホットな演奏である。
 次はBenny CarterのFurther DefinitionsとAdditions to Further Definitionsというアルバム。これはどちらもリズム隊とサックス隊によるビッグバンド的な演奏で、カーターの明るくメロディアスな演奏が心地よい。入手盤は、RVGの刻印入りモノ盤とVan Gelderの刻印入りのステレオ盤である。

7)ちょっと珍しいLP
 こんな調子で書いていると、なかなか止まらないので、この辺でひとまず区切りをつけたいと思います。この続きはまたいつか。

 最後に、珍しいLPを紹介します。Bird In Parisは私家録音のSpotlite盤です。この英国盤は、音は悪いが貴重です。Joe PassのTudo Bem!はPabloのドイツ盤です。音の良いドイツ盤もなかなか珍しいと思います。もう一つ素晴らしい盤があります。日本で企画されたテディイ・ウィルソンのBrunswickのSPを編集したLP、The Teddy Wilsonです。ここにはスイングのエッセンスがいっぱい詰まっており、ご機嫌です。この企画編集には油井正一さん、粟村政昭さん、大和明さんが参加されています。


ジャズ・ヴォーカルの紹介(2011.11.10)

 先日購入した中に、ヴォーカルもかなりありました。そんな中で目に留まったものを紹介します。まずはGogi Grant、ジャズというよりポピュラーなイメージのある彼女が、ゴスペルソングをShoutしたアルバムです。めずらしいLibertyのオリジナル盤です。あとの二人はよく知られたJo StaffordとPatti Pageです。Joのはベストアルバム。Pattiはスタンダード曲をワルツに編曲して歌っています。

 Etta Jonesは、時々はビリー・ホリディのフレーズを連想させますが、もう少し明るい感じでジャズ・ヴォーカルを歌います。Della Reeseはゴスペルの唱法が顔をのぞかせます。Dianne Reevesは現存の最もご機嫌なジャズシンガーの一人ですね。

 男性シンガーですが、最初は珍しいYoung Bing Crosbyです。ポール・ホワイトマン等と共演したこのジャズアルバムは、若きクロスビーの貴重な記録です。次はJimmy Rushing、カウント・ベイシー・オーケストラの専属歌手として、心にしみるブルース・シンガーだと思います。Joe Williamsも良いですね。ぼくはフランク・シナトラ、メル・トーメくらいしか男性歌手は聞かなかったですが、こういうブルースをじっくり聞くのもよいですね。

 それから、先回紹介したテディ・ウィルソンのBrunswickセッション、ここで聞くジャズ・ヴォーカルは最高です。レスター・ヤングのテナーをバックに歌う若きビリー・ホリディはしびれます。




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