ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
少しマイナーなジャズのアルバム (2011.11.26)

 少し前、と言っても1999年くらいのことだが、まだミュージックバードがあって寺島靖国さんと安原顕さんがコンビを組んで、PCMジャズ喫茶という番組をやっていた頃、二人がしきりに現代のジャズを聞いて、若い人を応援するんだと言っていた。小説でも亡くなった人の古典も良いが、現代の小説の方がさらに面白いというようなことに例えていた。
 ぼくもそれを聞いて、なるほどと思い、タワーレコードやHMVなどで、聞いたこともない人のアルバムを、ジャケット、収録曲、楽器編成、レーベルなどをチェックして買っては、聞いていた。しかしこの方法は、何を買うか店で選んでいるときはわくわくして楽しいが、歩留まりが悪く、たいていは1回聞いただけでホコリをかぶっている。
 最近はCDのこういう買い方はやめて、LPの少しマイナーなジャズのアルバムを買うことが多い。一説によればジャズのLPは30万枚くらいあるそうである。これの全部とは言わないまでも、まだかなりの部分が流通しているようで、ぼくの知らないものがまだまだたくさんある。

・Together again / Wilis Jackson with Jack McDuff / Prestige 1961
ぼくはウィリス・ジャクソンのテナーは聞いたことがなかったが、このアーシーな演奏はたいへん良いですね。原田和典さんが書いたコテコテジャズを読んで、ジャック・マクダフを知り、彼の演奏するハモンドオルガンの土臭さは、ジミー・スミスの洗練された演奏よりも温かく聞こえ、ぼくには合っていた。このアルバムも彼の演奏とバンゲルダーの録音で決めたのだが、予想以上に楽しいアルバムである。


・Tommy Turrentine / Bainbridge (The Time Series) Italy
ぼくの持っているイタリア盤はジャケットがトミー・タレンタインが煙草を持って椅子に腰かけている写真で、タイムのジャケットとは異なる。これは彼の唯一のリーダーアルバムだそうで、弟のスタンリー・タレンタインの方が有名であるが、彼のトランペットもなかなか味わいがある。ケニー・ドーハムよりは少し明るい音色を持っているが、演奏はたどたどしいところもある。


・Exultation / Booker Ervin / Preitige 1963
ブッカー・アービンがプレスティジに最初に録音したアルバム。彼の黒いテナーは、ぼくには最初なじめなかったが、聞きこんでゆくと不思議なものでとても心地よく聞こえる。最初はなんという演奏だと思ったバラードも、ほのぼのと聞こえる。


・Billy Taylor at The London House / ABC Paramount 1956
ブッカー・アービンとは逆に、演奏を聞いてもたいへん軽やかなノリで黒さを感じさせないのがビリー・テイラーである。聞いていても疲れないので、気分転換にはおすすめである。彼は教育者としての方が有名である。



60歳の手習い(2011.11.27)

 会社に勤めていたときに、退職してすでに80歳に手の届く先輩が、今でも毎日朝起きると数学とドイツ語の勉強をしていると話しておられた。その時は凄い人だなと思ったが、それだけであった。しかし今になって思うと、好奇心が旺盛で若々しい気持ちを持ち続けていたことに驚きである。ぼくも少しはあやかりたいと思って、勉強を始めた。
 12月に、豊田市農ライフ創生センターの地産地食科の受講生の皆さんに、ナスの栽培方法についての講義をする機会を得た。ぼくの経験からこの時に、野菜の肥料の与え方、病害虫と農薬、についても説明しようと思っている。
 たとえば殺虫剤に「コテツ」という薬品がある。これはクロルフェナピルという化学名で、その作用機構は、ミトコンドリア内で行われる内呼吸のエネルギー代謝阻害(電子伝達系の阻害)、と説明がある。受講生にこんな説明をしても、今のぼくには質問されても何も答えることができない。ミトコンドリア・内呼吸・エネルギー代謝・電子伝達系と理解できない言葉がたくさんある。言葉の定義だけなら百科事典や生物学辞典で調べればなんとかなるが、それでは断片的な理解であり、生物を理解したことにならない。そこで専門書にチャレンジした。
 ・図説 生物の世界 遠山 益著 裳華房
 ・植物生理学 三村徹郎、鶴見誠二 編著 化学同人
 ・植物病理学 大木 理著 東京化学同人
 以上の3冊を必要に応じて、こつこつと読み進めた。当然理解できないことにも出くわすが、あまりこだわらずに全体の体系として、著者が言おうとしていることを理解できれば良しとした。そこには今までぼくの知らない生物の世界が広がっており、それを多少なりとも理解できるようになったのはたいへん愉快なことである。

 ・生物が生きてゆくためには、エネルギーが必要である。エネルギーには運動エネルギー、熱エネルギーなどいろいろな形態があるが、生物が利用できるのは化学エネルギーのみである。それもアデノシン三リン酸(ATP)という化合物に蓄えられた化学エネルギーである。生物の内呼吸というのは、ブドウ糖(グルコース)を原料にATPを生産する一連の過程を指すのである。
 ・内呼吸には三つの段階がある。第一段階は解糖系といい細胞質基質内で取り込んだグルコースをピルビン酸に変える反応である。
 第二段階は細胞内のミトコンドリアでクエン酸回路での反応によりピルビン酸がさらに分解される。
 第三段階はクエン酸回路で生じたNADH2とFADH2がさらにミトコンドリアの内膜に存在する電子伝達系で酸化される。この三つの過程でグルコース1分子から36分子のATPが生産されるのである。
 ・コテツが電子伝達系を阻害するというのは、このミトコンドリア内の電子伝達系を阻害してATPの生産をできなくするのである。
 ぼくの説明では、まだ分かったような分からないような話か!




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