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風は冷たいが、久しぶりにカラッと晴れた日曜日となった。午後の室内はたいへん暖かい。先月はジャズのLPを思いのほかたくさん入手したが、12月に入ったら連絡してくれる人がいて、クラシックのLPを200枚以上入手した。個人の方が手放したもので、好みを反映してか、バロック、バッハ、モーツァルトで半分を占めている。ぼくにとっては大変うれしい。その中よりドイツ・ハルモニア・ムンディのLPを取り出して、のんびりと聞いている。
・J.S.バッハ(1685-1750):コーヒー・カンタータ、農民カンタータ
・J.S.バッハ(1685-1750):マニフィカート ニ長調、クリスマス・カンタータ
・ジョン・ダウランド(1563-1626):涙のパバーヌ 他



・オルランド・ディ・ラッソ(1532-1594):死者のためのミサ曲
・ギヨーム・デュファイ(1400頃-1474):ミサ「ス・ラ・ファス・エ・パール」他
・ギョーム・ド・マショー(1300頃-1377):ノートル・ダム・ミサ曲 他



・13世紀パリ・ノートル・ダム楽派の音楽
・カルミナ・ブラーナ 巻1:飲み食いの歌、不幸な愛の歌


バッハのコーヒー・カンタータは、世俗カンタータに分類されるもので、当時のコーヒー事情を知っているととても面白い。アメーリングの澄んだ歌声に魅了される。
バッハ以外の音楽は、ぼくにとっては初めて聞くものばかりだが、古典派以降の音楽と比べるとシンプルで、声楽はキリスト教会と結びついたものが多く、厳かな中にも落ち着いていて、少し音を絞って、読書をしながら聞くには快適である。

中古のLPを一度に手に入れたが、まとめ買いをしたのできっとダブりもあると思うが、整理している。最初にやることは、みすぼらしく見えているビニールの袋を新しいものに取り換えることである。そうすると、前の持ち主が大切にしていたと見えて、ほとんどの盤が傷もなく新品同様になる。1枚1枚見ているとぼくの知らないLPが次々と出てきて、何か発見できるかと期待が高まる。
そんな中で最初に飛びついたのが、ドイツ・アルモニア・ムンディの作品であったのは、先回述べたとおりであるが、次に目を引いたのがハインリッヒ・シュッツの6枚のLPである。
★バッハと並ぶバロック時代のドイツの作曲家といえばヘンデルの名前が挙がるが、この時代に詳しい人はシュッツの名前を挙げるという。バッハの生誕の100年前に生まれ、バッハに多大な影響を与えたのがシュッツである。6枚のLPに含まれる作品を列挙すると、
・ダヴィデ詩編曲集 ・モテット集 ・ムジカーリッシュ・エクセヴィーエン
・クライネ・ガイストリッヒ・コンツェルテ ・十字架上の七つのことば
・ルカ受難曲
が演奏されており、彼の主要作品がすべて収録されている。LPもテレフンケンやアルヒーフといったドイツのレーベルである。
イエスが十字架上で磔にされたときに述べたとされる7つの言葉を表現した音楽や、ルカ受難曲を聞くと、まるでもう一つの簡潔なバッハのマタイ受難曲を聞いているような錯覚を覚える。なかなか感動的であり「ドイツ音楽の父」と呼ばれるにふさわしい内容である。

★ロンドン・レーベルの、国内ではキング・レコードより発売された「決定盤!中世・ルネッサンスの音楽」全27枚のLPより、
SL7006 14世紀仏、アルス・ノヴァの音楽
SL7008 中世イギリスの音楽
SL7009 ルネサンスの祝典音楽
SL7019 フランス・ルネサンスのシャンソン
SL7022 T.L.ヴィクトリア:レクィエム
SL7024 J.ダウランド珠玉集
以上の6枚が選定されている。中世からルネッサンス、バロックの音楽であり、これもぼくには初めて聞く物ばかりである。

★バルトークの6つの弦楽四重奏曲、演奏はハンガリーのタートライ弦楽四重奏団である。この楽団はバルトークと同じハンガリーの出身で、ハンガリー弦楽四重奏団・バルトーク弦楽四重奏団と並んで、お国の楽団である。
ぼくは弦楽四重奏といえば、今までハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンが中心で、特に後期ベートーヴェンの祈りの音楽をよく聞いてきた。曲には作曲者の表現したい感動が込められており、それを演奏者も演奏で表現しようとしており、聞く者もそれを共有して感動するのだと思うが、この20世紀を代表する弦楽四重奏は表現方法がガラッと変わっており、慣れないぼくには何回も聞き直さないと何を聞き取るかなかなか難しい。
200枚のLPは、まだまだぼくに新しい世界を教えてくれる。
