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ずっと以前の話であるが、神戸にあるFM放送の「ジャズ・レコード・タイム」という番組で、2週にわたりソニー・クリスの特集を放送した。この番組の構成と解説は、名古屋在住の今高英一さんであった。この放送の内容について紹介する。(紹介文は必ずしも放送内容と同じではない)構成は2週にわたっての2部構成となっている。
「第1部の紹介」
最初にソニー・クリスの演奏の特徴を表した代表的な2曲を紹介する。
・I Get But It
これはクリスの少し乾いたトーンで演奏される、しっとりとしたバラードである。

・Rockin' In Rhythm (Rockin' In Rhythm , Prestige 1968)
これはクリスの高速トーンでぬけの良いフレーズが素晴らしい。クリスのこの曲は45回転のシングルでも発売された。クリスの独壇場の演奏である。
ソニー・クリスはチャーリー・パーカーの演奏にあこがれてプロの道に入り、JATPでのパーカーとのジャムセッションなどで鍛えられてハードバッパーとなった。

・Irresistible You (Inglewood Jam 6-16-'52)
チャーリー・パーカーが'52年に西海岸のイングルウッドにやってきたときに、ソニー・クリス、チェット・ベイカー、アル・ヘイグなどと行ったジャムセッション。クリスはアイドルとの共演でたいへん熱演している。

・West Coast Blues (Jazz U.S.A. , Imperial '56)
直情的なクリスのアルトが冴える、クリスのオリジナルブルースです。

・Memories Of You (Go Man , Imperial '56)
クリスの初の傑作Go Manというアルバムよりの1曲です。ベニー・グッドマン名演もあるが、情緒よりも感情で人の心を揺さぶるクリスの名演です。

・Softly, As In A Morning Sunrise(Sonny Criss At The Crossroads , Peacock '59)
ワンホーン以外でのクリスの演奏は珍しいが、トロンボーンと共演した1枚。ウイントン・ケリーがジョー・スコットという名で参加している。

・Will Be Together Again (Sonny Criss In Paris , Polydor '62)
ソニー・クリスはこれまで彼名義のアルバムを出してきたが、米国ではあまり評価されず、傷ついた彼は欧州に移住した。そんな彼が'62年にパリで録音したアルバムよりの曲。クリスはこのころが一番充実していたと言っている。

・Black Coffee (This Is Criss , Prestige '66)
'65年米国に帰国したクリスはプレステイジのドン・シュリッテンと契約し、米国での活動を再開した。その記念すべき第1作、This Is Crissよりブラック・コーヒーです。ペギー・リーの名唱もあるが、クリスのソウルフルでシャープなトーン、しっとりとしたバラードプレイをお聞きください。

・Sunny (Up, Up And Away , Prestige '67)
プレステイジ・レコードには、ジーン・アモンズ、アーネット・コブ、ジミー・フォレスト、バディ・テイト、ウィリー・ジャクソン、エディ・ロックジョウ・デイヴィス、キング・カーティス、ブッカー・アービンといった骨太のテナーマンや、ジャック・マクダフ、リチャード・グルーブ・ホルムズ、シャーリー・スコットといたオルガン奏者が所属しており、黒人のアーシーでソウルフルな演奏を売り物にしており、ソニー・クリスの受け皿にはうってつけであった。第1部の最後は、彼の大ヒットアルバムUp, Up And Awayよりサニーです。
「第2部の紹介」
ソニー・クリスはプレステイジに7枚のアルバムを残すが、今夜はその最初のアルバムからスタートします。
・Sun Rise Sun Set (This Is Criss , Prestige '66)
陽気で躍動感あふれたフレーズ、哀愁を帯びたクリスの演奏の美しさが、この時期には冴えわたっていました。その中より美しいバラードの1曲です。
・Up, Up And Away (Up, Up And Away , Prestige '67)
ポップグループ、フィフス・ディメンションのヒット曲を取り上げたこのアルバムは、当時のジャズ喫茶の人気盤の1枚です。その代表曲をお届けします。

・Smile (Portrait Of Sonny Criss , Prestige '67)

・Somewhere My Love (The Beat Goes On! , Prestige '68)
続いて映画音楽よりの2曲です。チャールズ・チャップリンのもの悲しい名曲スマイルと、ドクトルジバゴよりララのテーマです。ララのテーマでは、サンバのリズムに乗せてパーカースタイルで快速に演奏しています。

・Sonny's Dream (Sonny's Dream , Prestige '68)
このアルバムは1968年に発表したクリスの意欲作です。アルバムのサブタイトルにBirth Of New Coolとあるように、マイルスのアルバムを意識しているようです。内容は前年の秋にリハーサルバンドでクラブトロピカーナに出演しました。その成果を記録に残すために制作したアルバムです。ここではクリスはオーケストラのアンサンブルに負けないようにソプラノサックスで演奏しています。しかしクリスのこの意欲的なアルバムは評価されずに、これ以降は元のワンホーンスタイルに戻ってしまいました。

・All Night Long (Crisscraft , Muse '75)

・The Dreamer (Out Of Nowhere , Muse '75)
クリスは人気の上昇につれて、ヒット作を作り続けねばというプレッシャーで再び精神を病み、'69年にプレステイジを去ってしまいます。'75年にMuseで活動を再開するまで、ライブ録音を除くとアルバムを作っていません。Museでの第1作Crisscraftからはアネサ・フランクリンの熱唱でも知られる・All Night Longを、また第2作からはDreamer、ここではクリスの演奏の総決算ともいえる最上のプレイを聞くことができます。

・Saturday Morning (Saturday Morning , Xanadu '75)
クリスは時と共に評論家や一般に支持を増やしていったまれな演奏家でした。その人気の秘密は、本人の努力や実力はもちろんのこと、幸運にも恵まれ、ヒット曲や映画音楽、ミュージカルなどを取り上げて、それをクリス節で演奏したことなどが挙げられるでしょう。また日本での人気の秘密は、演歌にも通じる人情味あふれる演奏や製作者、伴奏者にも恵まれたことが挙げられるでしょう。Xanaduでのアルバムよりタイトル曲を聞いてください。魂の叫びのようなフィーリングのSaturday Morningです。

・Midnight Mellow (The Joy Of Sax , Impulse '77)
クリスは1877年11月19日に突然ピストルで自殺して、50歳の生涯を閉じてしまいました。9日後には日本ツアーを控えていましたが、来日は実現しませんでした。亡くなる直前のストリングをバックに新しいスタイルで挑戦した、どこか物悲しく心にしみるMidnight Mellowです。
以上が、ぼくが今高英一さんの解説を聞いて、受け止めたソニー・クリスの紹介です。こうして整理してみると、今高英一さんの解説は、年代順にクリスの生涯を整理して、実に的確にこの1曲を取り上げているのがよくわかります。素晴らしい解説です。
蛇足になりますが、これ以外にあえてぼくの好きな、この1曲を追加させてもらいます。

・Cry Mw A River (I'll Catch The Sun! , Prestige '69)
今高英一さんも言われているように、プレステイジ時代の最良のクリスのバラードプレイが聞ける1曲です。

・Tin Tin Deo (Sonny Criss With Georges Arvanitas Trio Live In Italy , Fresh Sound '74)
クリスの晩年のライブ録音の1枚です。スタジオとは違った、ライブならではのスリリングな演奏が聴けます。

グッド・ベイトのマスターがラジオ出演と言っても、最近の話ではない。5~6年くらい前に地元のFM 放送の「ジャミン・スタイル・ラウンジ」という番組に出演した時のことである。ある程度リスナーを意識しながら、それでもさすがジャズ喫茶のマスターという、玄人受けをするアルバムを持って出演した。この時にはDJの鈴木さんと、ジャズ喫茶についての薀蓄とか、マスターの大好きなエリック・ドルフィーに関する収集の話とか、いろいろジャズに関する興味のある話で番組が盛り上がり、気が付くと1時間番組にもかかわらず、5曲しか紹介されなかった。
それでも、ここで放送された曲とアルバムはどれも素晴らしいものなので、再度僕が紹介します。
・Stardust (Django and his American Friends , Odeon 1937)
1930年代の中ごろにヨーロッパに渡ったコールマンホーキンス、ビル・コールマンなどのアメリカのジャズメンがパリでジャンゴ・ラインハルトと共演した時の演奏を集めてアルバムにしたもの。スターダストでは、弱冠25歳のジャンゴが30歳のホーキンスと共にはつらつとした素晴らしい演奏をしている。こういう演奏を聞くと、あぁ、ジャズだ!という雰囲気で、番組のオープニングにピッタリである。
・Vienna (Clifford Jordan In The World , Strata East 1969)
出ました。マスターの好きなトランぺッター、ドン・チェリー。このアルバムではVienna、この1曲で決まりですね。クリフォード・ジョーダンの情熱的なテナーに続いて、ドン・チェリーの哀愁的なトランペット、いいですね、とても瞑想的な曲です。場違いのようなウイントン・ケリー、しかし彼のブルージーなピアノも曲想と合っていますね。
・My One And Only Love (Art Tatum - Ben Webster , Pablo 1956)
偶然同い年という二人の巨人が共演した夢のような1枚ですね。この中のMy One And Only Love、フランク・シナトラの名演とか、コルトレーンとジョニー・ハートマンの名演が有名ですが、この演奏もそれに勝るとも劣らない名演ですね。
・Round Midnight (Ezz-Thetics , George Russell Sextet , Riverside 1961)
マスターの大好きなエリック・ドルフィーからの1曲ですが、このアルバムを取り上げるとは、さすがジャズ喫茶のマスターですね。アヴァンギャルド風な前奏に続いてドルフィーのアルトがRound Midnightのメロディーを吹き始めますが、なんと瞑想的でスリリングな演奏でしょう。こんな演奏はドルフィーでなければ、けして出来ないでしょう。
・Willow Weep For Me (Ella And Louis Again , Verve 1957)
ルイ・アームストロングについては、何も言う必要なないでしょう。彼が歌い、演奏すればそれがすなわちジャズです。





以上、マスターが紹介したアルバムと曲について、ぼくがかなり勝手な解説をつけて紹介しました。この解説はさておいて、どれもこれも本当に素晴らしいアルバムばかりです。放送されたアルバムはマスターの秘蔵のオリジナル盤ばかりで、年代の古い録音でも本当に良い音がします。

どんな分野でも、先人の知恵を受け継いで今日がある。ぼくも現在、生物に関する知識を細々と勉強しているが、最先端の現状がどうなっているかも興味あるが、歴史的にどういう変遷をたどってきたかも大変興味ある。
1.生物の分類
物事や事象をどう分類するかということは、その時の知識の水準を表す大変重要なことであるが、生物ではアリストテレスが、まず動物を有血動物と無血動物に大きく分類ししたのが始まりのようである。権威あるアリストテレスのこの考えは、中世まで続き以降は次に示す表のような変遷をたどっている。
リンネ (1735年) 2界説 |
ヘッケル (1894年) 3界説 |
ホイタッカー (1969年) 5界説 |
ウーズ (1977年) 6界説 |
ウーズ (1990年) 3ドメイン説 |
---|---|---|---|---|
原生生物界 | モネラ界 | 真正細菌界 | 真正細菌 | |
古細菌界 | 古細菌 | |||
原生生物界 | 原生生物界 | 真核生物 | ||
植物界 | 植物界 | 菌界 | 菌界 | |
植物界 | 植物界 | |||
動物界 | 動物界 | 動物界 | 動物界 |
2.地球上の生物種の数
地球上には現在発見されているだけで、120万種以上の生物が存在する。では未発見も含めてどれだけの総数がいるのか。正確な予測は困難で分かっていないが、最近ハワイ大学とカナダのダルハウジー大学の共同チームによってその研究結果が発表された。
それによれば、地球上の全真核生物数は、陸上で約650万種、海中で約220万種と予測された。生物は現在発見されているのは120万種であり、陸上で86%、海中の91%の生物種が未発見である。
生物を調査している最も大きな組織である国際自然保護連合(IUCN)でも全生物の1%しかカバーできていないのである。
動物 | 777 万種 |
植物 | 29.8万種 |
菌類 | 61.1万種 |
原生生物 | 3.6万種 |
クロミスタ | 2.8万種 |
合計 | 870 万種 |
3.なぜ1%の認識で生物学が成り立つか
地球上の生物に1%しか認識できていないのに生物学が成り立つか。それは、現生生物は単系統で進化して多様化したと考えられるからである。
1)細胞の基本構造が同じである。
2)化学反応が共通である。
3)遺伝情報の流れが共通である。(4文字の遺伝子暗号の組み合わせ、20文字の蛋白質情報)
4)アミノ酸の立体異性が同じである。
5)利用するエネルギー源がATPで共通している。
などである。
丁度、宇宙の起源がビッグバンで始まり、現在の多様な宇宙構造があるようなイメージである。
