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先日、ジャズ喫茶「グッドベイト」に顔を出したところ、安城のBさんがLPレコードを売りに持ってきたところに出くわしました。かなり沢山のLPを持ち込まれていて、見るのも大変そうでした。そんなぼくの様子を見て、低価格のLPを一括購入しませんかと提案を受けました。希望価格の約35%引きで良いという話になり、思わず話に乗り約50枚をまとめ買いしてしまいました。
1枚1枚丁寧に中身を見ずして買ってきたので、なんだか福袋を買ったような気分になり、家に帰ってから、わくわくして中身をチェックしました。今回はヴォーカルのLPが多く、16枚も入っていました。その一覧表を下記に示します。
1 | Anita O'Day | Anita Sings The Most | Verve |
2 | Anita O'Day | ANITA | Verve |
3 | Anita O'Day | This Is Anita | Verve |
4 | Bev Kelly | Bev Kelly In Person | Riverside |
5 | Chris Connor | Chris Connor(Atlantic 1228) | Atlantic |
6 | Diane Schuur | Timeless | Victor |
7 | Don Nelson | The Wind | Mode |
8 | Ella Fitzgerald | Ella Fitzgerald sings the Rodgers Hart Song Book | Verve |
9 | Ella Fitzgerald | Ella in Berlin | Verve |
10 | Ella Fitzgerald | Like Someone In Love | Verve |
11 | Frances Faye | No Reservations | Capitol |
12 | Ginette Reno | Collection | |
13 | Helen Humes | Tain't Nobody's Biz-ness If I Do | Contemporary |
14 | Jimmy Rushing | Listen To The Blues | Vanguard |
15 | Keely Smith | I Wish You Love | Capitol |
16 | Nina Simone | Jazz as Played in An Exclusive Side Street Club | Bethlehem |
このなかで、2と3はタイトルとかジャケットは異なるが、同じ内容のアルバムである。ぼくが同じものを持っていたのは、2と7と9である。また内容は同じであるが、ジャケットとか発売国が異なるのが、1と3と5である。
16枚の中で6枚も同じものがあると考えると、37.5%のダブりとなる。ジャケ違いは有効と考えると16枚のうちダブりは3枚となり、19%となる。これだけを考えると、35%のプライスダウンは、トントンかちょっと得をしたという勘定になる。
しかし一方では、選んでいたら選択しないよな、と思う歌手のアルバムもこういう買い方をすると入っていて、聞いてみると案外よくて、自分の選択の幅も広がるというメリットもある。では今回はどうであったかというと、残念ながらまだ一枚も聞いていないのである。
熱さとか、オリンピックとか、色々と理由があって時間が取れないのである。まだまだ知らないことがたくさんあって、それを知る可能性を持っているという事は、楽しみでもある。
そう考えると、ささやかなまとめ買いも案外悪くはないのである。

NHKのテレビ番組「地球テレビ・エルムンド」にサリナ・ジョーンズが出演し、インタビューとジャズヴォーカルを披露していた。
サリナ・ジョーンズは1944年米国ニューポート生まれで、現在は英国に拠点を置いて活躍している黒人女性ジャズ・ヴォーカリストである。インタビューの中で彼女自身が語っていたが、16歳の時にニューヨークのアポロ劇場のコンテストに優勝し、ジョーン・ショーという名で活動を始めたが、当時の米国における黒人への差別などで活動の限界を感じ、同じ英語圏である英国に渡ることを決意し、1966年に渡英した。
英国では同名のタレントがすでにいたので、改名を余儀なくされた。その時にイニシャルのJ.S.を残したいという中で、大好きなサラ・ヴォーンとリナ・ホーンにあやかりサリナと改名し、今までもちいていたジョーンをジョーンズと改名し、イニシャルもS.J.とすれば良いと考え、サリナ・ジョーンズの芸名で活動を始めた、というエピソードを紹介していた。彼女は日本も大好きで、度々来日し、彼女自身のアルバムも20枚以上日本で制作している。また日本の若手の有能タレントをアポロシアターに出演させる活動の支援もしているという。
そんな彼女が、番組の中で2曲の歌を披露した。1曲はNight and Dayというジャズのスタンダード曲で、聞いていて思わずうまいなぁ、と言ってしまうほどであった。もう一曲はI love Youという曲でどこかで聞いたことのあるような曲であった。良く聞いていると尾崎豊の同曲を、サリナなりにしっとりとバラードで歌っているのであった。
これがきっかけで、最近のサリナ・ジョーンズのアルバムをチェックしていると、2010年の暮れに日本で製作された「サリナ・シングス・J-バラード」というアルバムが発売されていることが分かった。ここでサリナは日本のJポップ曲をカバーしたアルバムを発表していたのである。収録されているのは、以下の11曲である。(カッコ)内はオリジナルアーティスト
1. I LOVE YOU(尾崎豊)
2. PRIDE(今井美樹)
3. WHISKY(ウイスキーが、お好きでしょ/杉真理)
4. FIFTH AVENUE(五番街のマリーへ/高橋真梨子)
5. EVERYTHING(Everything /MISIA)
6. NINGYO(人魚/nokko)
7. 'BOUT LOVE(愛について/スガシカオ)
8. SWEET MEMORIES(松田聖子)
9. MY LOVE SO SWEET(いとしのエリー/サザンオールスターズ)
10. KOKORO NO TABI(心の旅/チューリップ)
11. LOVE LOVE LOVE-ENGLISH VERSION-(DREAMS COME TRUE)
I love Youという曲はこのアルバムの最初に収録されていた。サリナはこれらの11曲を英語に翻訳して、ジャズヴォーカルとは言い切れないものの、そういう雰囲気でしっとりと歌っている。彼女が歌うと、もともと彼女のために作曲された曲のように聞こえてくる。本当にうまい大人の雰囲気を持った歌手である。
